バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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やっと清涼祭編を書き終えました。
次は少し短編を書いてから、強化合宿編に移ります。


第十七問 打ち上げ

「痛てて・・・・・・。随分と殴られたよ・・・・」

 

「くそっ、鉄人め。あの野郎は手加減を知らないのか」

 

「それだけの事をしたんだ。停学にならないだけマシだと思うが」

 

「うぅ~。痛いよお」

 

あの後明久達は鉄人先生に捕まり、これでもかという程殴られ顔が脹れあがっている。普通校舎に花火なんて投げたらただではすまないからな。二人は良くて停学、悪くても退学になるところを厳重注意という軽い処分で済まされた。

 

「ババァが手を回してくれたんだろうな」

 

「今回の処分のこと?そうだろうね。そうじゃなければこんな軽い処分なわけないよね」

 

「もし他の所に当たってたら、間違いなく停学になってたかもな」

 

「そう言わないでよ斗真」

 

「これでババァも助かったもんだ。感謝する気なんてさらさらないからな」

 

「僕らは学園長を救ったんだし、学園長が僕らを助けてくれるのはギブアンドテイクってやつだよね」

 

「まったく、お前らは・・・・・・」

 

俺は呆れながら二人にため息をつく。

明久達が早く解放されたのも、花火が校舎に当たった事に関係しているからな。花火は偶然にも教頭室に飛び込んだおかげで、修繕という名目の調査が始まったからだ。そうなると学園長は、徹底的に調べ上げ、教頭先生の尻尾を掴むだろう。学園長は俺達に思わぬ借りができたってところだ。

 

「む。やっと来たようじゃな。遅かったのう」

 

「・・・・・・・・・・先に始めておいた」

 

「ああ、ゴメンゴメン。鉄人がしつこくてさあ」

 

「そうなる原因を作ったのは明久達にあるんだが」

 

集合場所である近所の公園は、既にFクラスのメンバーで一杯になっていた。特に店も取らずに、菓子とジュースを用意しての公園での打ち上げ。これならお金も掛からないし、それなりに楽しいだろう。

 

「お主ら、もはや学園中で知らぬ者はおらんほどの有名人になってしまったのう」

 

「・・・・・・・・・・(コクコク)」

 

「コイツと同じ扱いとは不本意だ」

 

「それは僕の台詞だよ・・・・・・」

 

「どっちもどっちだけどな」

 

あれだけの事をしたんだから悪評が広まるのは当たり前だ。でもあれは学校にいる皆を守る為に仕方なくやったことだから、事情を知ってる人から見れば二人は学園を救ったことになるんだけど。

 

「あれだけの事をやっておいて、退学どころか停学にすらならないんだもの。妙な噂が流れて当然でしょ?ウチだって気になるし」

 

島田さんがそう言いながら明久と雄二にジュースが入った紙コップを渡す。

 

「ほれ、斗真。お主もオレンジでよかろう」

 

「ああ、ありがとう秀吉」

 

俺は秀吉から貰い、さっそく飲んでみると少し苦味があるな。安物にしては少し甘味が少ないけど

 

「そういえば、お店の売り上げってどうだったの?」

 

「まあ明久達が優勝してから、かなりの客が来たんだし。期待してもいいんじゃないか」

 

「そうね。凄いって程じゃなかったけど、たった二日間の稼ぎとしては結構な額になったんじゃないかしら」

 

島田さんから収支の書かれたノートを見せて貰うと。二日間で得られた額としては少ないないっところか。

 

「ふむ、どれどれ・・・・・・?」

 

雄二が後ろから覗き見る。

 

「この額だと、椅子と机は苦しいな。畳と卓袱台がせいぜいだ」

 

「う~ん・・・・・・。やっぱり、出だしの妨害が痛かったよね」

 

「まぁ喫茶店となると、どんなに人気が出てもお客さんの回転に限界が出るし、短期間でこれだけ出せただけでもよかったじゃないか」

 

「すいません。遅くなりました~」

 

声のした方を向くと姫路さんが手を振ってこっちに近づいてくる。

 

「あ、瑞希。どうだった?」

 

「はいっ!お父さんもわかってくれました!東條君と美波ちゃんの協力のおかげです!」

 

どうやら転校は阻止できたみたいだ。明久は声を出しそうだったが、グッとこらえている。そこは隠さず素直に喜んでもいいと思うが

 

「姫路さん、お疲れ様」

 

「あ、吉井君・・・・・・」

 

明久の顔を見るや姫路さんは一瞬微妙な表情になってたがすぐに戻った。姫路さんは内心では明久と一緒になれる事が嬉しいだろうな。

 

「すみません。私も飲み物貰っていいですか?沢山お話したので喉が乾いちゃって」

 

「あ、うん。どうぞ」

 

明久が自分が飲んでたジュースが入った紙コップを渡す。ってか明久。それだと姫路さんと関節キスをしたことに

 

「ありがとうございます」

 

姫路さんはそれをすぐさま受けとり、飲み干す。

 

「あ・・・・・・っ!」

 

島田さんがそれを見て声を上げる。

 

「ん?美波、どうかした?」

 

「あれ?もしかして、美波ちゃんのだったんですか?」

 

姫路さんはさっき明久が飲んでたのを知らずに飲み干してしまったからか、首を傾ける。

 

「そ、そういうわけじゃないけど、その・・・・・・」

 

島田さんにしては歯切れが悪いな。島田さんからすれば姫路さんが明久と関節キスしたのが面白くないだろうな。

 

「美波も飲みたかったとか?」

 

「飲みたかった・・・・・・?そ、そうね!瑞希悪いけどウチも一口貰っていい?」

 

「あ、ごめんなさい。全部飲んじゃったんです。新しいの貰ってきますから、ちょっと待っててくださいね。」

 

姫路さんはそのまま新しいのを貰いにジュースが置いてある所へ向かった。

 

「・・・・・・新しいのじゃ意味がないじゃない・・・・・・」

 

ドンマイ島田さん

 

「そういえばアキ。一つ言っておきたいことがあるんだけど・・・・・・」

 

「ん?何?」

 

「昨日、変な連中から助けてくれた時、その・・・・・・」

 

島田さんが顔を赤らめながら俯いている。おそらく昨日明久がチンピラから自分を助けてくれた礼を言いたいところか

 

「その・・・・・・、『よくも美波に手をあげてくれたな!』って怒ってくれたの、凄く嬉しかった・・・・・・」

 

「えっ!?あ、いやっ、そのっ・・・・・・」

 

「言いたかったのはそれだけっ!じゃあね!」

 

島田さんは顔を赤くしたまま行ってしまった。

 

「良かったな明久。あんなこと言われて」

 

「えっ、な、何が?」

 

「まったく、この鈍感が」

 

「きゃっ」

 

向こうから姫路さんの悲鳴が聞こえたので来てみると、姫路さんが缶ジュースを持って転んでいたのだ。

 

「姫路さん、大丈夫?」

 

明久が声を掛けると

 

「あ、はい。大丈夫れす・・・・・・」

 

「そっか。それじゃ捕まって」

 

ん?姫路さん。少し呂律が回ってなかったような

 

「はい。それじゃ、ぎゅ~・・・・・・」

 

「ひひひ、姫路さん!?」

 

姫路さんは明久の腰に掴まり、胸を明久の腰に当てていた。

 

「明久君はいい匂いです~」

 

明久の胸に顔を埋めている姫路さん。いいな明久、姫路さんにあんなことされるなんて。

 

「姫路さん、どうしちゃったの!?」

 

今の姫路さんは顔を真っ赤にし、目もトロンとしているからおそらく酔っ払っているな。

 

「明久。多分姫路さんは酒を飲んだんだよ」

 

「え!?あっ、だから僕がさっき飲んだヤツは少し苦かったんだ」

 

「本当、羨ましいな明久。姫路さんに抱きつかれるなんて痛だだだだ!」

 

「何よ、アタシじゃ不満だって言うの?」

 

「優子?何でここに?確かAクラスは別の場所じゃー」

 

「抜け出してきたのよ。らって斗真と一緒じゃないとつまりゃないんだもん」

 

そう言いながら優子は俺の右側に抱きつく。

 

「優子?何で酔っ払ってるの?ってまさか!?」

 

どうやら優子もここに置いてあったお酒をジュースと勘違いして飲んでしまったみたいだ。

 

「ちょっと待て優子。こんなとこで抱きつかれたらここにいるFクラスの男どもにー」

 

「別にいいでしょ。アタシ達付き合ってるのもう皆知ってりゅんだからさあ」

 

「あ、姉上。狡いぞ!ワシだって斗真に抱きつきたいのじゃ!」

 

俺に抱きつく優子を見た秀吉は、ムッとした顔のまま俺に左側に抱きつき、今の俺は木下姉弟にサンドイッチにされていた。

 

「ちよっ、秀吉。何でお前も抱きつくんだ!?」

 

「斗真はワシと付き合っとるからこれくらいするのは当然じゃろう」

 

「いや、だからってここでするのはマズいって!」

 

「何よ。斗真はアタシと秀吉の彼氏なんだかりゃさ」

 

優子は酔っ払ってるからか少し呂律が回ってない上、意識が朦朧としながら俺の胸に抱きついている。ってかこの姿をFクラスの皆に見られでもしたら

 

「と~う~じょ~う」

 

俺の予想通りこの場にいたFクラスは即座に異端審問会へと変貌した。

 

「ま、待てお前ら!優子は酔っ払ってるだけだ!決してお前らに違反してるようなことは」

 

「・・・・・・・・・・(トントン)」

 

「ん?どうしたムッツリーニ?もしかして助けてくれるのか?」

 

 ピラッ

 

するとムッツリーニは俺にある写真を見せつける。

 

「・・・・・・あっ」

 

ムッツリーニが見せた写真に写っていたのは、昨日準決勝前に空いた時間を利用してデートしてた時の俺と隣で腕を組んでいた優子であり、写真に写ってた優子はいつも以上に顔が笑っていて幸せそうな表情をしていた。

 

 

当然モテない男子からしたら羨ましく見える写真を見た異端審問会は

 

 

「コ~ロ~セ~‼」

 

 

『コ~ロ~セ~‼』

 

「わぁ~‼何でこうなってしまうんだー‼」

 

そして打ち上げはすぐさまメチャクチャな状況に変わり果て、俺は抱きついていた二人を抱えその場から逃げ出した。

 

『逃がすな~‼すぐに編隊を組み、東條を捕らえるんだー‼』

 

『うおぉぉぉぉー‼』

 

それからの記憶は一才覚えておらず、思い出そうにも何らかの恐怖が沸き出てしまうのでこのときの出来事は最悪な締めくくりとなるのであった。




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