《それでは【如月ハイランドウェデイング体験】プレゼントクイズを始めます!》
壇上へ上がった雄二と霧島さんは解答者席に座っていき。霧島さんがやる気に満ちた顔をしているのに対し、雄二は嫌そうな顔をしていた。
「雄二の奴、おそらく適当に答えてこの場をやり過ごすつもりだろう。まあ無理矢理行かされたんだからああなるのも無理はないが」
「坂本君ったら、観念したらいいのにね」
現在俺と優子は壇上の近くにある席に座って雄二達を見ている。
《では、第一問!》
さてどんな問題がでるだろうか
《坂本雄二さんと翔子さんの結婚記念日はいつでしょうか?》
いきなり意味不明な問題が出てくることに
「なぁ優子。二人はまだ式を挙げるどころか籍すら入ってなかったよな?」
「そうね。いきなりそんな問題だされてもどう答えたらいいか分からないわ」
ーピンポーン!
俺達がどう解答したらいいか考えてる最中、霧島さんはボタンは押す。
霧島さん、何て答えるつもりだ?
《はいっ!答えをどうぞ!》
「・・・・・・毎日が結婚記念日」
「やめてくれ恥ずかしさのあまり、死んでしまいそうだ!」
《お見事!正解です!》
「・・・・・・そんな凄い発言ができるなんて流石だな」
「・・・・・・アタシだったら一生表に出れそうにないね」
毎日が結婚記念日って物凄く恥ずかしいこと言えるね霧島さん。隣にいる雄二は今にも顔が爆発しそうな程恥ずかしそうにしている
《第二問!お二人の結婚式はどちらで挙げられるのでしょうかっ?》
それは問題じゃなくて質問な気がするんだが
ーピンポーン!
《はいっ!答えをどうぞ!》
再び霧島さんがボタンを押すと
「・・・・・・鯖の味噌煮」
《はいっ!正解です!》
「なにぃっ!?」
何で場所じゃなくて食べ物が正解になるの?いくら何でもおかしすぎるんですけど
《お二人の挙式は当園にある如月グランドホテル・鳳凰の間、別名【鯖の味噌煮】で行われる予定です!》
「待ていっ!絶対その別名はこの場で命名しただろ!強引にも程があるぞ!」
《第三問!お二人の出会いはどこでしょうかっ?》
司会の人は全然聞いてないようだ。おそらく雄二達にウェデイング体験をさせるために強引に進めているのがあからさまだね。
「クッ!こうなったら!」
雄二は霧島さんより先にボタンを押し、答えようとふるが
「・・・・・・させない」
ブスッ
「ふおぉぉぉっ!?、目が、目がぁっ!」
霧島さんに目潰しされて悶絶する。霧島さん、いくらなんでもそれはやり過ぎなんですけど
ーピンポーン
《はいっ!答えをどうぞ!》
「・・・・・・小学校」
《正解です!お二人は小学校の頃からの付き合いで今日の結婚にまで至るという、なんとも仲睦まじい幼馴染みなのです!》
普通、仲睦まじいカップルは彼氏の目潰しなんて真似はしないんだが
《第四問参ります!》
ーピンポーン
雄二が司会の人が問題を言う前にボタンを押す。あれはおそらく分からないとか言ってわざと不正解にしようとしてるだろう
「分かりー」
《正解です!それでは最終問題です!》
司会の人は正解にして先に進める。
もうこれは何がなんでもウェデイング体験をさせるつもりだ。でないと今までの珍回答が全部正解になるなんてあまりにもおかしすぎるからな。雄二も諦めようとしていると
『ちょっとおかしくな~い?アタシらも結婚する予定なのに、どうしてそんなコーコーセーが特別扱いなワケ~?』
突然不愉快な声が聞こえたので振り返ると、そこには入場ゲートで騒いでたチンピラカップルがおり。そいつらは呼ばれてもいないのにステージの近くに歩み寄って来る
『あの、お客様。イベントの最中ですのでー』
『あぁっ!?グダグダとうるせーんだよ!オレたちゃオキャクサマなんだぞゴルァ!』
茶髪にピアスを顔中につけてるチンピラが不快な大声を出しながらスタッフを威嚇する。
『アタシらもっ、ウェデイング体験ってやつ、やってみたいんだけど~?』
『で、ですがー』
『ゴチャゴチャ抜かすなってんだコルァ!オレたちもクイズに参加してやるって言ってんだボケがっ!』
『うんうん!じゃあ、こうしよーよ!アタシらがあの二人に問題出すから、答えられたらあの二人の勝ち、間違えたらアタシらの勝ちってコトで!』
『そ、そんなー』
慌てるスタッフをよそに、チンピラカップルはズカズカと壇上に上がり、マイクをひったくるというあまりにも身勝手過ぎる行動をする。
「アイツら!(ギリッ!)」
「待って斗真!今ここで問題を起こしたらマズいわ!」
「離せ優子!今すぐにでもあいつらをー」
「落ち着くのじゃ斗真!」
「そうよ。ひとまず落ち着いてってば!」
俺はあのチンピラどもに殴りかかろうとしたが優子と秀吉に止められ。歯がゆいまま耐えるしかなかった。
「・・・・・・ゆ、雄二・・・・・・?」
霧島さんもどうすればいいかわからず困惑してる中、雄二はというとこの状況を好機と思ってるのかいつも見る嫌な笑みを浮かべていた。あの野郎、いくらウェデイング体験するのが嫌だからってそれはないだろうが
『じゃあ、問題だ』
チンピラは雄二に問題を出す。一体どんな問題を出すつもりだ
『ヨーロッパの首都はどこだか答えろっ!』
「・・・・・・」
あまりにもバカな問題に言葉を失う俺
『オラ、答えろよ。わかんねぇのか?』
いやヨーロッパは国というカテゴリーじゃなく陸地なんだが。
このチンピラはもしや明久以上のバカなのか
《・・・・・・坂本雄二さん、翔子さん。おめでとうございます。【如月ハイランドウェデイング体験】をプレゼント致します!》
『おい待てよ!こいつら答えられなかっただろ!?オレたちの勝ちじゃねぇかコルァ!』
『マジありえなくない!?この司会バカなんじゃないの!?』
お前らの方がどうみたってバカなんだけどな。あのバカップルがギャアギャア騒いでる中、幕が下りた以上もう雄二達の勝利になったのは決定だ。
「・・・・・・行こうか優子」
「・・・・・・そうね。行きましょう」
その後俺と優子はレストランから出た後、雄二を見つけると
「雄二!さっきのチンピラに絡まれた時のアレは何だったんだー」
バチバチバチ‼
「・・・・・・よ」
雄二に文句を言おうとしたが。雄二はさっきの似非スタッフにスタンガンを押し付けられ、どこかへ連れて行かれたので文句を言おうにも言えなかった。
準備が整った後、俺達は近くで見ようと壇上の近くに座らせて貰ったが。生憎、すぐそこには先程のバカップルがいたので気分を害してしまう。
《それではいよいよ本日のメインイベント、ウェデイング体験です!皆様、まずは新郎の入場を拍手でお迎え下さい!》
園内に響き渡る程の拍手が聞こえ、そこから白いタキシードを着こなした雄二が出てくる。
「雄二の奴、以外と様になってるな」
「本当、普段の姿や行動からは想像がつかないからね」
入場した雄二はもう観念したのか、何の抵抗もせずに淡々と足を進めていき新婦を待ち構える
そこから新郎のプロフィールの紹介が始まるが
《ー省略します》
明久、そこは手を抜くなよ。
するとバカップルがまたギャアギャア騒ぎだし、さっさとこいつらを沈めてやりたいと思ったが。ここでやると問題になるため、堪えることに
《ーそれでは新婦の入場です》
アナウンスが流れると同時に会場の電気が消え、スモークが雄二の足元に立ち込め、雰囲気が盛り上がる。
《本イベントの主役、霧島翔子さんです!》
幾筋ものスポットライトが壇上の一点を照らし出し、暗闇から一転して輝き出す壇上には白いウェデイングドレスを着ている霧島さんが立っていた。
『・・・・・・綺麗』
静まりかえった会場から溜め息と共に出た、誰とも分からない台詞。だがそれはここにいる誰もがそう思っているだろう
「・・・・なぁ優子。霧島さんって本当に綺麗だな。まるで女神がそこに現れたように感じるよ」
「アタシもそう思えるくらい。今の代表は輝いて見えるわ」
何せ、霧島さんが着ているドレスは入念に制作されたのか皺1つなく着こなされており、スカートの裾は床に擦らないギリギリの長さに設定されていて。霧島さんが雄二に近づいていく時一度も床に触れる事はなかった。
「・・・・・・雄二・・・・・・」
ヴェールの下に顔を隠し、シルクの衣装に身を包んだ霧島さんをが不安げな顔をして雄二を見つめる。
「翔子、か・・・・・・」
「うん、・・・・・・」
雄二はあまりにも綺麗になった霧島さんに見惚れたのか動揺している。そして霧島さんは恥ずかしげな表情をして雄二に問いかける
「・・・・・・どう・・・・・・?私、お嫁さんに、見えるかな・・・・・・?」
「ーああ、大丈夫だ。少なくとも、婿には見えない」
「・・・・・・雄二・・・・・・」
すると霧島さんは手に持っていたブーケを抱え直し、雄二の名を呼ぶと
「・・・・・・嬉しい・・・・・・」
と言葉にした
《ど、どうしたのでしょうか?花嫁が泣いてるように見えますが・・・・・・?》
「お、おい。どうした・・・・・・?」
会場から静寂が消え、観客が少しざわめくが。霧島さんは小さいながらもはっきりと聞きとれる声で嘆いた。
「・・・・・・ずっと、夢だったから・・・・・・」
《夢、ですか?》
「・・・・・・小さい頃からずっと・・・・・・夢だった・・・・・・。私と雄二、二人で結婚式を挙げること・・・・・・。私が雄二のお嫁さんになること・・・・・・。私一人だけじゃ、絶対に叶わない、小さな頃からの私の夢・・・・・・。」
霧島さんは雄二と式を挙げれたことに相当嬉しかったのか。目に涙を浮かべ、雄二に自分の想いを告げていく。
「まさかそこまで雄二を想ってたとはな」
「代表、今とっても幸せそうね」
俺と優子は霧島さんを見て感想を言っていく
「・・・・・・だから・・・・・・本当に嬉しい・・・・・・。他の誰でもなく、雄二と一緒にこうしていられることが・・・・・・」
霧島さんの言ったことに感激したのか。会場から鼻を啜る音が聞こえてくる。貰い泣きかな
《どうやら嬉し泣きのようですね。花嫁は相当に一途な方のようです。さて、この花婿はこの告白にどう応えるのでしょうか?》
雄二、霧島さんが本当の気持ちを伝えたんだ。ここまで来たからにはちゃんとその気持ちに応えろよ。この状況でも逃げようもんなら俺が許さなー
『あーあ、マジでつまんない!』
すると側にいたチンピラが場の空気を読まず失礼にも程がある失言を発した
『マジつまんないこのイベントぉ~。人のノロケなんてどうでもいいからぁ、早く演出とか見せてくれな~い?』
『だよな~。お前らのことなんてどうでもいいの』
コイツら!霧島さんがこんなにも嬉しそうにしてるのになんてことを!
『ってか、お嫁さんが夢です。って、オマエいくつだよ?なに?キャラ作り?ここのスタッフの脚本?バカみてぇ。ぶっちゃけキモいんだよ!』
『純愛ごっこでもやってんの?そんなもん観る為に貴重な時間割いてるんじゃないんだケドぉ~。あのオンナ、マジでアタマおかしいんじゃない?ギャグにしか見えないんだケドぉ?』
『そっか、コレってコントじゃねぇ?あんなキモい夢、ずっと持ってるヤツなんていねぇもんな!』
『え~っ!?コレってコントなのぉ?だとしたら、超ウケるんだけどぉ~!』
《んだとテメエらっ!もういっぺん言ってみやがれ!》
《あ、明久君!落ち着いてっ!ステージが台無しになっちゃいます!》
舞台裏で明久が騒ぎ、姫路さんが落ち着かせる声が流れるが
《は、花嫁さん?花嫁はどちらへ行かれたのでしょうか?》
霧島さんは壇上から姿を消しており、会場はパニックになってしまう
《霧島さん?霧島さーんっ!皆さん、花嫁を捜して下さい!》
スタッフがバダバタと騒ぎだし、イベントは中止になってしまったようだ。
ん?雄二の奴、霧島さんがいなくなったのに何してるんだ?
「さ、坂本雄二さん!霧島さんを一緒に探して下さい!」
スタッフが雄二に霧島さんの捜索をお願いするが
「悪いが、パスだ。面倒だし、便所にも行きたいしな」
「え?ち、ちょっと、坂本さん・・・・・・!」
・・・・・・
「優子、悪いけど霧島さんをお願いしていいか?雄二の方は俺が何とかするから」
「わかったわ」
霧島さんについては優子に任せ、俺はすぐさま雄二に近づき
トントン
「ん?何だよ斗真。こんな時にー」
ドガァ!
「ぐはぁっ!?」
俺は雄二の顔面をグーで殴りつけた。
「痛たた。斗真!いきなり何しやがる!?何故俺が殴られなきゃいけなー」
ガシッ!
「なっ!?」
俺は雄二に文句を言わせず胸ぐらを掴み
「いい加減にしろ!霧島さんがどれだけ嬉しそうにしていたのかわかってるのか!お前は霧島さんの夢をあのクズどもに侮辱されたにも関わらず、自分には関係ないからどうでもいいって。本当に言ってるのかお前は!」
俺は怒鳴りながら雄二にそう告げる。
「う、うるせー!お前に俺の何が分かる!翔子はな、過去に俺が犯した過ちで勘違いして俺を好きになっただけなんだよ!んなモンで勝手に好きになられたこっちの身にもー」
ドガァ!
雄二が未だに分かってなかったので俺はもう一発雄二の顔を殴り付ける
「お前の過去に何があったのかは知らないが、まずは霧島さんを心配してやれよ!あんなにもお前のことを想ってたのに、何でそうやって平然としてられるんだよ!」
「だ、黙れ!テメェには関係ないだろうが!」
雄二は俺に殴りかかろうとするが
ガシッ!
「なっ!?」
俺は雄二の拳を片手で受けとめ少し力を加えると
「い、いだだだ!?テメェ、そんな力強かったのかよ!?何で俺がこんな目に・・・・・・!?」
こいつ、全然気づいてないみたいだな。
「ああもう分かったよ。まさかお前がここまで薄情な奴だったとはな。何も感じてないならそこで黙ってろ!」
ブン!
「ぐえっ!」
俺は雄二の拳を払い、雄二がその拍子に倒れた後、周りを気にせず先程霧島さんを侮辱したあのクズカップルの元へ行こうとするが
「あーもう!その必要はねえよ!」
「あ!?」
雄二はすぐさま起き上がり、俺に告げる。
「あのチンピラどもは俺がこの手で礼をしてくる。だからテメェは引っ込んでろ」
「チッ!気づくのがおせえよバカ」
「うるせえ!お前には翔子を頼む」
「・・・・・・了解」
そうして雄二はあのクズカップルのところへ行き、戻ってきた時には整っていたタキシードがかなりボロボロになっていた。見たところ、雄二は派手にやったようだな。
ちなみに霧島さんは優子が見つけて側にいてくれた為、後の事は二人の問題である以上本人達に任せることにした。
「・・・・・・少しは素直になれよまったく」
翌日
「ふぁ~あ。本当、昨日は色々と疲れたよ」
「でも残念だったわね代表。せっかくの夢が叶ったかもしれなかったのに・・・・・・」
「まあ、あのバカップルは雄二が後始末をつけたみたいだし、後は本人達の問題だ。俺達が口を挟んだところでどうにもなるわけじゃないしな」
俺と優子が今一緒に登校し、Aクラスの前で優子と別れようとしたところ
「よぉ~斗真。昨日は色々と世話になったな」
「ん?どうした雄二?」
「今ここでテメエには昨日殴られた借りを返したいところだが。ここで殴ると問題になるからちょっとした仕返しを用意してやったんだよ」
「仕返し?何をするつもりだ?」
トントン
「ん?どうしたムッツリーニ。こんな朝早くに一体何のようー」
ピラッ
ムッツリーニが俺にあるものを見せつける
「・・・・・・ムッツリーニ、いつの間に撮ったんだ?」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・俺はどんなシャッターチャンスも見逃さない」
それを見て俺が驚愕し、優子が顔を赤らめる。
そうムッツリーニが見せてきたものは・・・・・・
観覧車の中で俺にキスをしている優子の写真だった
「・・・・・・」
「あ、アハハハ。ムッツリーニ、悪いけどそれ渡してくれないか?そんなものをあいつらに見られでもしたらー」
「・・・・・・・・・・周りを見てみろ」
「え?」
そう言われ見てると
ゴゴゴゴゴ
どうやら気づかぬ間に囲まれてしまったようだ。
「・・・・・・・・・・これは一体どういうことだ?」
ムッツリーニもいつの間にかあっち側についており。どう応えようか悩むが
「あ~、これはなムッツリーニ」
「・・・・・・・・・・ふむ」
「・・・・優子にキスして貰ったんだ(笑)」
「・・・・・・・・・・どうする」
ダァン
「んなモン、有罪に決まってるだろうが‼」
『死、死、死、裏切り者には死をー‼』
どうやら火に油をそそいだみたいか
「さらだばー‼」
ダッ
「逃がすなー‼何としてでも東條を捕らえるのだー‼」
『うおぉぉぉぉー‼』
ダダダダダダダダダ‼
「畜生ー!汚ねえぞ雄二!こんな手で仕返しをするなんてあんまりだろうがー‼」
俺はこの日の朝を異端審問会に追い回されるという最悪な出来事から迎え始めたのであった。
「・・・・・・・・」
「あれ?どうしたの優子?もうすぐ朝のHRが始まるわよ」
優子はキスしたところを撮られたのがあまりにも恥ずかしかったのか、高橋先生が来るまでその場で固まっていた。
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