バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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ここのところ、仕事が忙しくてなかなか投稿できませんでしたが、ようやく完成しましたのでよければご覧下さい。

次からは強化合宿編です。


プール 後編

しばらく遊んだ後、俺と明久と雄二はプールサイドのベンチに腰掛け、休憩していると

 

「あのさ、二人とも」

 

「なんだ?」

 

「どうした?」

 

「僕の気のせいかもしれないけど」

 

「ああ」

 

「あの二人、ヤケに険悪な雰囲気で水中バレーやってない?」

 

「大丈夫だ。俺にも険悪な雰囲気に見える」

 

「っというより、ボールを割ってしまいそうな勢いでやってるように見えるんだが」

 

『美波ちゃん、絶対に譲りませんからね!』

 

『上等よ瑞希!スポーツでウチに勝とうなんて思わないことね!』

 

最初は楽しそうにやっていたのに、何であんなことになったんだ?

一方、隣では

 

「愛子!アタシが勝ったら邪魔しないでよね!」

 

「う~ん、別に邪魔する気はないけど負けないよ!」

 

優子と愛子が楽しそうにビーチバレーをしていた。

 

「ときに明久」

 

「ん?何?」

 

「この前俺があげた映画のペアチケットはどうした?」

 

「何だ?明久にはそんなもんあげたのか」

 

「ああ。明久に対する仕返しであげたんだが」

 

「姫路さんと美波が随分と見たがっていたから、それなら二人で見てくるといいよってあげちゃったよ」

 

「・・・・・・間違いない。それが原因だ」

 

「へ?何が?」

 

「・・・・・・明久は気づいてないな」

 

どうやらあの二人は、勝った方が明久と一緒に映画を観に行くと約束してるだろう。でないと水中バレーであんな白熱とした勝負をしない筈だからな。

 

『負けた方が諦めるって約束、忘れてないわよね!』

 

『勿論です!美波ちゃんこそ負けても約束を破らないで下さいね!』

 

『そっちこそ!』

 

あの二人は明久とのデートが懸かってるからか、いつも以上に燃えている。

 

「ほぅ・・・・・・。姫路と島田の勝負とは面白いのう。どちらが優勢なのじゃ?」

 

秀吉もプールから上がって俺達の座るベンチにやってくると俺の隣に座り込む。秀吉は男とはいえ、髪を掻きあげているポーズが色っぽ・・・・・・あの、優子?何で俺の考えてることがわかるんだ?頼むからそんな睨まないでくれよ。

 

「今のところは姫路が優勢だな」

 

「ふむ?それは意外じゃな。球技ともなれば島田の方に軍配が上がりそうなものじゃが」

 

「姫路さんのほうには霧島さんがついてるし、彼女は勉強だけでなくスポーツも万能だからな」

 

「なるほどのう。霧島は運動神経も良いようじゃな。島田と互角とは、なかなかやるではないか」

 

姫路さんと島田さんでは差があるが、それだけでは勝負は決まらない。姫路さんには幸いなことにパートナーの霧島さんが巧みにボールを島田さんのいないところに落として得点を挙げている。

 

「それにしても、島田の相方は動きが不自然じゃな。故意に手を抜いてるように見えるのじゃが」

 

「あ、秀吉もやっぱりそう思う?」

 

「あれはどうみてもペアチケットを島田さんに渡したくないって意思が伝わってくるよ」

 

「ん?ペアチケットがどうしたって?」

 

「何でもないよ」

 

明久についてはともかく。清水さんはみたところ運動神経は良いみたいだが、島田さんに明久とデートして欲しくないのかあからさまに、手を抜いている。審判を務めているアランも呆れながらみているし、これはどうにもならんな。

 

 

「ねぇ斗真?折角だし斗真も一緒にやってみない?」

 

島田さん達が勝負を一時中断している最中に優子が俺に話しかけ、ビーチバレーを一緒にやらないかと尋ねてきた。

 

「ん?優子か。ああ別にいいよ」

 

「それじゃあ向こうでアタシと一緒にやりましょう」

 

「OK」

 

「それなら姉上よ。ワシも加わりたいのじゃが」

 

「何よ秀吉?アタシの邪魔をする気かしら?」

 

「ワシは別に、姉上の邪魔をするつもりで言ったのではないのじゃが・・・・・・」

 

ちょっと待て優子。何で秀吉が加わるとそんな不機嫌になるんだよ。

 

「まあまあ優子落ち着けよ。この際三人で一緒にやろうか。そっちのほうが楽しいしさ」

 

「そうだよ。斗真君の言うとおり、三人で楽しんだらいいじゃない♪」

 

「むぅ~。愛子、アタシの邪魔をしないでって言ったのに・・・・・・」

 

「そう怒らないで下さい木下さん。斗真は木下さんだけじゃなく秀吉君も入れて一緒にやりたいと言ってるだけですから」

 

「如月君まで・・・・・・」

 

「もう優子ったら、そう拗ねないの。斗真君は優子と弟君の彼氏なんだから別にいいでしょ」

 

「そういうことだ。じゃあ向こうでやろうか」

 

「うむ。さっそくやるのじゃ」

 

「・・・・・・斗真のバカ」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「何でもないわよ。ほら、さっさとやりましょう」

 

「イダダダ!優子!耳を引っ張るなって!」

 

「あ、姉上!急にどうしたのじゃ!?」

 

俺は優子に耳を引っ張られながらビーチバレーをするため他のとこへ向かうことに。何で優子はそんな怒ってるんだ?

 

「やれやれ木下さんは相変わらずみたいですね」

 

「そう言わないの如月君。優子だって本当は斗真君と二人っきりでやりたかったんだしさ」

 

優子は何か不満そうな顔をしていたが、俺は優子と秀吉の三人でビーチバレーをすることに、島田さん達の方は勝負の途中にボールが割れてしまった為、一時中断することになった。

 

 

姫路さん達が水中バレーを中断して、休憩する為にプールから上がると

 

「ところで、どうしてプールを借りることができたんですか?」

 

姫路さんが顎に指を当てて尋ねてきたので、明久が説明をし始める。

 

「まぁ、ちょっとイロイロあってね。プールの掃除を引き受ける代わりに一日貸切りにして貰ったんだよ」

 

「実際は先週末に明久と雄二が勝手にプールに不法侵入した罰なんたがな」

 

「ちょっと斗真!体裁が悪くなること言わないでよ!」

 

「事実だろうが。大体お前に体裁なんてないだろうに」

 

「うぅぅぅ。酷いよ斗真・・・・・・」

 

どのみち何らかの拍子でバレるからそこは正直に話しておいたほうがいいんだが

 

「そうでしたか。でしたら私もお手伝いします」

 

「プール掃除?それならウチも手伝ってあげるわ」

 

「だったら、アタシも手伝うよ」

 

姫路さんを筆頭に、島田さんと優子も手伝ってくれると言ってくれた。

 

「ありがとう。でも、掃除は僕らだけで十分だよ。道具も五人分しか借りてないし」

 

明久が言うように実際は俺達だけでするつもりで女子達は一緒に遊ぶ為に呼んだだけだからな。

 

「そうですか・・・・・・」

 

「う~ん、道具がないなら仕方ないわね」

 

「それなら、どうしようもないわ」

 

「あ、そうでしたっ。それならっ」

 

姫路さんは何かを思い出したのか、ポンと手を打つが。多分あれはおそらく・・・・・・

 

「ちょっと、失敗しちゃって人数分用意できなかったから黙っていたんですけどー」

 

姫路さんがにこやかに言葉を紡ぐ。

その瞬間、俺達は目まぐるしくアイコンタクトをやり取りして

 

「ー実は、今朝作ったワッフルが四つ」

 

「第一回っ!」(雄二の声)

 

「最速王者決定戦っ!」(明久の声)

 

「ガチンコ水泳対決っ!」(俺と明久と雄二の声)

 

「「イェー!」」(秀吉とムッツリーニの合いの手)

 

姫路さんの台詞を聞き終える前にタイトルコールを入れた。突然のことに、女子達とアランは目を丸くしていた。

本当なら姫路さんに事実を話したいが、明久達がまた適当にはぐらかす為仕方なくここは明久達に合わせることにした。

 

「明久、ルール説明だ!」

 

「オッケー!ルールはとっても簡単。ここのプールを往復して、最初にゴールした人の勝ちという、誰にでもわかる普通の水泳勝負です」

 

一見したら普通の水泳勝負だが、一位とそれ以外の順位の間には大きな差がある。何しろ姫路さんが作ったワッフルという名の殺人兵器は四つあり、それに対して俺達は五人。そうなるとこの中から生き残る事ができるのは一人だけだ。二位や三位であろうと困難になるのは明白である

 

「バカなお兄ちゃん達、突然どうしたんですかっ?急に水泳勝負だなんて、葉月びっくりですっ」

 

「葉月ちゃん。男にはね、大切なものを掛けて戦わないといけない時っていうものがあるんだ」

 

「ふぇ~。お兄ちゃん、かっこいいですっ。プライドを賭けた勝負ってやつですねっ」

 

大袈裟に言ってるように聞こえるが、実際は命懸けであるためこれは俗にいう 『DEAD OR ALIVE』

 

「よく分かんないけど、五人の中で誰が一番速いのか興味があるわね」

 

「そうですね。体力なら坂本君が一番に見えますけどっ・・・・・・」

 

「・・・・・・動きの速さなら吉井や土屋も引けをとらない」

 

「それは斗真にも言えるわよ代表」

 

「へぇ~、面白いそうだね。それじゃボクが判定してあげるよ」

 

「これはなかなか見所がありそうだね」

 

愛子がスタート兼ゴール地点に向かい。俺は右端に行き隣には秀吉が立っている。プールは25メートルあり往復するから50メートルってところだ

 

俺達が闘志を燃やしながらスタート地点に立ち

 

「はい、行くよ!位置についてー」

 

愛子さんのコールが響き、俺達は飛び込みの構えをとり

 

「よーい、スタートっ!」

 

「「くたばれぇぇっ!」」

 

愛子の合図と同時に飛び込むが。明久と雄二は互いに跳び蹴りをしていた。

 

「くそっ!やっぱり雄二も同じことを考えていたね!?」

 

「てめぇこそ卑怯な真似してるじゃねえか!この恥知らずが!」

 

「その言葉、そっくりそのまま返してやるっ!」

 

普通に泳いでる俺達を無視して明久と雄二は喧嘩を始めた。何やってるんだあいつらは?

 

『ねぇ、お姉ちゃん。水泳勝負なのに、どうしてお兄ちゃん達はまだプールの中に入らないですか?』

 

『見ちゃダメよ葉月。バカが移っちゃうからね?』

 

葉月ちゃんが明久達を気にしているが、島田さんはそれを無視するよう注意している。

 

「あのさ、二人とも。取っ組み合いもいいけど、他の三人はそろそろ折り返しだよ?」

 

明久達がバカやってる間に俺と秀吉とムッツリーニは折り返し地点についてすぐさまゴール地点に向かう。

 

「おい明久!斗真とムッツリーニと秀吉がいつの間にか折り返して来ているぞ!?」

 

「ホントだ!雄二なんかを相手にしている場合じゃない!」

 

だったら最初から喧嘩なんかするなよ。

明久達がくだらない喧嘩をしている間に俺達は残り20メートルに達すると

 

「雄二!このままじゃ僕らの負けは確定だよ!?」

 

「そうは行くか!俺はムッツリーニを止める!明久は斗真と秀吉をやれ!」

 

「了解!ここは一時休戦だね!」

 

そう言った後、雄二はムッツリーニのレーンに行き、明久は秀吉と俺の中間に飛び込み止めに入ってきた。

 

「な、なんじゃ明久!?お主は隣じゃろう!?」

 

「って!邪魔をするな明久!」

 

「ダメだよ二人とも!ここは通さない!」

 

明久は秀吉にしがみつくが秀吉も激しく抵抗する。

 

「おい明久!こうするくらいなら最初からバカやらなければよかっただろうが!」

 

俺は明久を引き剥がそうと近づくが

 

「うるさい!これには僕らの生死が賭かってるんだ!このまま引き下がれるか!」

 

「明久、放すのじゃ!」

 

秀吉は強引に進もうとするが、明久はとっさにどこかを掴んだその時

 

ズルッ

 

明久が掴んでいた物が外れる

 

「・・・・・・? なんだろう?」

 

「あっ、明久君!何をしているんですかっ!」

 

「へ?」

 

「お前が手に持ってるやつだ」

 

俺が明久に伝えると

 

「あはは。そういえば、コレ秀吉の水着に似ているね」

 

「んむ?そういえば胸元が涼しいのう」

 

秀吉も気づき、その場に足をつき立ちあがる姿を見ると上半身を晒した秀吉がいた。

 

「・・・・・・死して尚、一片の悔い無し・・・・・・!」

 

ムッツリーニは秀吉の上半身を見て興奮したのか大量に鼻血を出し、そこから水面を真っ赤に染め上げていく

 

「って、コレやっぱり秀吉の水着!?ごごごごめんなさいっ!神に誓って僕は何も見ていないから!」

 

「待つのじゃ明久!ワシは男じゃぞ!どうしてそこまで慌てるのじゃ!?」

 

「うおっ!大丈夫かムッツリーニ!?この出血量はマジでヤバくないか!?」

 

「・・・・・・構わない。むしろ本望・・・・・・。」

 

「ってムッツリーニ!血が物凄いことになってるぞ!」

 

「き、木下っ!とにかく胸を隠しなさい!土屋の血が止まらないわよ!」

 

「いいいイヤじゃっ!ワシは男なのじゃ!胸を隠す必要はないのじゃ!」

 

「木下君、我儘言っちゃダメです!土屋君が死んじゃいます!」

 

「・・・・・・愛子。救急車の手配、頼める?」

 

「はーい。やっぱりFクラスの皆は面白いねぇ」

 

「面白いなんてもんじゃないわよ!何で秀吉はいつもいつも・・・・・・!」

 

「あはは、さすがにこれは予想外ですね」

 

「バカなお兄ちゃん達、いつも楽しそうで羨ましいですっ」

 

「お姉さま、愛しています・・・・・・」

 

結局、ムッツリーニは何度も峠を迎えながらも駆けつけた俺達と救急隊員の懸命な延命措置で一命を取り留めた

 

 

 

 

 

そして、週明けの朝

 

「・・・・・・吉井、坂本、東條。ちょっと聞きたいことがある」

 

現れるなり何の挨拶もせずに鉄人先生が俺達を呼び出す

 

「断る」

 

「黙秘します」

 

「いやそこは答えろよ」

 

すると鉄人はプルプルと震えはじめた。

 

「・・・・・・どうしてー」

 

鉄人先生は一度言葉を区切り、大きく息を吸うと

 

「ーどうして掃除を命じた筈なのにプールが血で汚れるんだ!?鉄拳をくれてやるから生活指導室で詳しい話を聞かせろ!」

 

「説教なんて冗談じゃねえ!むしろ死人を出さなかった事を褒めて貰いたいぐらいだ!」

 

「そうですよ!本当に危ないところだったんですからね!」

 

「元はと言えば明久達が原因を作った筈なんだが・・・・・・」

 

「黙れ!お前らの日本語はさっぱりわからん!拳で語り合った方が早い!」

 

先生、それはいつの時代の学園ドラマですか?

 

「ええい、この暴力教師め!逃げるぞ明久!」

 

「了解!」

 

「あ、ちょっと待て。今更逃げたって無意味だぞ」

 

「貴様ら、今度は反省文とプールの掃除では済まさんぞっつ‼」

 

雄二と明久はその場から逃げ出すが、すぐさま捕まってしまい。殴られながらも一応事情を話すと

 

「・・・・・・今度の学力強化合宿の風呂は、木下を別にする必要があるようだな・・・・・・」

 

と鉄人先生は溜め息混じりに呟いたのだった。




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