バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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合宿編の続きです。


第三問 拷問

「ー真!斗真!しっかりするのじゃ!」

 

僅かに薄れていた意識が戻り、目を空けると

 

「・・・・・・ん?ここは一体・・・・・・」

 

「斗真!」

 

「え?秀吉?」

 

「ようやく目が覚めたみたいだね」

 

「アラン?」

 

俺は目を覚まし、周りを見てみると。今の俺はベッドに寝かされていたみたいで、アランは手に電気ショックを与える機器を持っていた。

 

「なぁアラン?ここは一体?」

 

「合宿所の医務室だよ。君はさっき吉井君達に担架で運ばれてね。僕が蘇生するまで生死をさ迷ってたんだ」

 

「・・・・・・マジで?」

 

「ひっく・・・・・・斗真!本当に心配したのじゃぞ!」

 

秀吉が嬉しい涙を流し、安堵している。

 

「君は一体何をしたら仮死状態になるんだい?」

 

「ああそれがなー」

 

アランが何でこうなったのか俺に聞いてきたので俺は移動中に起きたことを話すと

 

「・・・・・・ねぇ斗真。それは本当なのかい?」

 

「嘘だと思うなら、秀吉に聞いてくれ」

 

「うむ。斗真の言ってることは事実なのじゃ」

 

「はぁ、本当に君の周りにいる人達は予想外な事をしてくれるね」

 

「すまないなアラン。じゃあ俺は自分の部屋に戻るけど、俺の部屋は何処か分かるか?」

 

「君は秀吉君達と同じ部屋で3階だよ。念のために秀吉君に付き添ってもらったらどうだい?」

 

「そうだな、そうさせてもらうか。秀吉悪いけど付き添ってくれないか」

 

「うむ、構わぬぞ」

 

ベッドから起き上がった俺は自分の荷物を持って秀吉と一緒に自身が泊まる部屋に行く。

 

「おっ、ここみたいだな」

 

「うむ、入るとするかの」

 

扉を空け、中を見てみると、八人くらいは寝れる程の広さで、ここを俺達五人で使うことになった。

おそらく問題児を一ヵ所に固める為にこの班分けになってるだろう。

 

「あっ、斗真。気がついたんだね」

 

部屋には明久達がおり何かを話してたようだが、俺が入ってすぐさまこっちに振り向く

 

「ったく。誰のせいでこうなったと思ってるんだ」

 

「そう怒らないでよ。お陰でこっちは無事に済んだんだしさ」

 

明久は全然反省してないみたいだな。コイツは後でシバくとしてだ。

 

「落ち着け斗真。今ムッツリーニが犯人の手掛かりを見つけてくれたんだからその件は後にしろ」

 

「ん?それは本当かムッツリーニ?」

 

「・・・・・・・・・・昨日、犯人が使ったと思われる道具の痕跡を見つけた」

 

「おおっ。さすがはムッツリーニだね」

 

しかしムッツリーニの奴、こんな昨日だけでそこまで特定するなんて、本当頼りになるな

 

「・・・・・・・・・・手口や使用機器から、明久や雄二の件は同一人物の犯行と断定できる」

 

「そうなのか。まあ、そんなことをするヤツなんて何人もいないだろうし、断定しても間違いはなさそうだな」

 

そもそも俺達の学年に二人(犯人とムッツリーニ)もいる時点でおかしいんだが

 

「それで、その犯人は誰だったの?」

 

「・・・・・・・・・・(プルプル)」

 

明久が尋ねると、ムッツリーニは申し訳なさそうに首を横に振った。いくらムッツリーニとはいえそこまで断定するのは無理があったか

 

「あ、やっぱり犯人はまだわからないの?」

 

「・・・・・・・・・・すまない」

 

「いや、そんな。協力してくれるだけでも感謝だよ」

 

「それで、犯人の特徴は掴めたのか?」

 

ムッツリーニはコクリと頷き、調べた情報を口にする

 

「・・・・・・・・・・『犯人は女生徒でお尻に火傷の痕がある』ということしかわからなかった」

 

「「君(お前)は一体何を調べたんだ(よ)」」

 

どうやってそんな情報を得たのか、ムッツリーニの調査方法が気になるな。

 

「・・・・・・・・・・校内に網を張った」

 

そう告げながらムッツリーニが取り出したのは小さな機械だ。

 

「それは集音器みたいだが、まさかお前ー」

 

「・・・・・・・・・・昨日学校中に盗聴器を仕掛けた」

 

やっぱりな。ムッツリーニの事だから録な方法で調べる訳ないのは分かっていたが、まさか学校に盗聴器を仕掛けるとは。まぁあくまで犯人を見つける為にやったことだからここは見過ごすか

 

ーピッ 《ーらっしゃい》

 

スイッチを押すと、内臓されている音源からノイズ混じりの声が部屋に響いた。

 

「随分と音が悪いね」

 

「校内全てを網羅したのなら仕方ないだろう。音質や精度に拘る余裕はないからな」

 

「そもそも、どうやって沢山の盗聴器を仕掛けられたのか気になるが」

 

辛うじて女子の声だというのはわかったが、音質が悪いため、人物の特定は難しいな。

 

《・・・・・・雄二のプロポーズを、もう一つお願い》

 

対する女子の声だが、これは独特の話し方をしている為、すぐに断定できた。

 

「しょ、翔子・・・・・・!アイツ、もう動いてたのか・・・・・・!」

 

「よっぽど早く手に入れたいんだね」

 

雄二に関しての行動は早いな霧島さんは

 

《毎度。二度目だから安くするよ》

 

《・・・・・・値段はどうでもいいから、早く》

 

《流石はお嬢様、太っ腹だね。それじゃあ明日ーと言いたいところだけど、明日からは強化合宿だから引渡しは来週の月曜で》

 

《・・・・・・わかった。我慢する》

 

 

「あ、危ねぇ・・・・・・。強化合宿があって助かった・・・・・・」

 

「タイムリミットが来週の月曜まで延びたね」

 

「だが土日は行動できない以上。実質後は四日しかないぞ」

 

「・・・・・・・・・・それで、こっちが犯人特定のヒント」

 

ムッツリーニが機械を操作する。

《ー相変わらず凄い写真ですね。こんな写真撮っているのがバレたら酷い目に遭うんじゃないですか?》

 

《ここだけの話、前に一度母親にバレてね》

 

《大丈夫だったんですか?》

 

《文字通り尻にお灸を据えられたんたよ。全く、いつの時代の罰なんだか》

 

《それはまた・・・・・・》

 

《おかげで未だに火傷の痕が残ってるよ。乙女に対して酷いと思わないかい?》

 

それ以降は他愛もない商談がいくつか続いた。

 

「・・・・・・・・・・わかったのはこれだけ」

 

「なるほどね。それでお尻に火傷の痕か」

 

「今の会話を聞いても女子というのは間違いなさそうだな」

 

「口調は芝居がかってたが女子なのは間違いないだろう」

 

音は悪かったが、自分で乙女と言ってるから女子とみておかしくないしな。

 

「犯人を特定できる有益な情報だけど、お尻の火傷か・・・・・・。仮にスカートを捲ってまわったとしてもわからない可能性があるし、う~ん・・・・・・」

 

「赤外線カメラでも火傷の痕など映らないだろうしなぁ・・・・・・」

 

「・・・・・・お前ら、何堂々とセクハラして見つけようとしてるんだよ」

 

明久と雄二は真剣に犯人を見つける方法を考えてるがやり方がアウトだ。

 

「お主ら、さっきから何の話をしておるのじゃ?」

 

秀吉が首を傾けながら聞いてくる。そういえば秀吉にはまだ話してなかったな。

 

「秀吉、実はねー」

 

明久が秀吉に事情を話す。

 

「そうじゃったのか。それにしても、お尻に火傷の痕とはー」

 

「いっその事、同じクラスの女子に確認してもらうよう頼むしかなさそうだな」

 

「そうだ!もうすぐ、お風呂の時間だし、秀吉に見てきてもらえばいいのか!」

 

「明久。なぜにワシが女子風呂に入ることが前提になっておるのじゃ?」

 

「明久、秀吉は女の子らしくみえるが、実質男だからそれは無理だ」

 

「大丈夫だって。秀吉は性別が『秀吉』だから問題ないよ」

 

「お前なぁ」

 

「それは無理だ、明久」

 

雄二が明久にしおりを渡し、秀吉が女子風呂に入る案を否定する

 

「どうして無理なのさ」

 

「いや、じゃから儂は男じゃと」

 

「3ページ目を見てみろ」

 

雄二に言われたとおりしおりを見てみると

 

~合宿所での入浴について~

 

男子ABCクラス・・・20:00~21:00 大浴場 (男)

 

男子DEFクラス・・・21:00~22:00 大浴場 (男)

 

女子ABCクラス・・・20:00~21:00 大浴場 (女)

 

女子DEFクラス・・・21:00~22:00 大浴場 (女)

 

Fクラス木下秀吉・・・20:00~21:00 個室風呂④

 

「・・・・・・くそっ!これじゃ秀吉に見てきてもらうことができない!」

 

「そういうことだ」

 

「どうしてワシだけが個室風呂なのじゃ!?」

 

「おそらく学校も第三の性別『秀吉』として認識してしまったみたいだな」

 

「良い考えだと思ったのにな・・・・・・」

 

「ここは島田さんか姫路さんに事情を説明して頼むしかないか」

 

俺達五人がそう話していると

 

 

ードバン‼

 

 

「全員手を後ろに組んで伏せなさい!」

 

物凄い勢いで俺達の部屋の扉が空け放たれ、女子がぞろぞろと入ってきた

 

「な、なにごとじゃ!?」

 

「木下はこっちへ!そっちのバカ四人は抵抗はやめなさい!」

 

先頭に立つ島田さんが、咄嗟に窓から脱出しようとした明久達の機先を制する。って待て!俺も明久達と同等の扱いなの!?

 

「なぜお主らは咄嗟の行動で窓に向かえるのじゃ・・・・・・?」

 

「何の躊躇もなく、向かう時点で心当たりがあるんだろうな」

 

「仰々しくぞろぞろと、一体何の真似だ?」

 

雄二が窓を閉めながら女子に問い詰める。

 

「よくもまぁ、そんなシラが切れるものね。あなた達が犯人だってことくらいすぐに分かるというのに」

 

島田さんの後ろから出てきて高圧的に言い放ったのは確かCクラス代表の小山さんだ。後ろで並んでいる女子もうんうんと頷いているが、どういう事だ?

 

「犯人?犯人って何のことさ?」

 

「コレのことよ」

 

小山さんが俺達に何らかの小さい機器を突きつけてくる。

 

「・・・・・・・・・・CCDカメラと小型集音マイク」

 

その手の物に詳しいムッツリーニが答えてくれた。

 

「女子風呂の脱衣所に設置されていたの」

 

コレが女子の脱衣所に、要するにー

 

「え!?それって、盗撮じゃないか!一体誰がそんなことを」

 

「とぼけないで。あなた達以外に誰がこんなことをするっていうのよ?」

 

この台詞を聞いて秀吉が小山さんの前に出る

 

「違う!ワシらはそんなことをしておらん!覗きや盗撮なんてそんな真似はー」

 

秀吉が必死に俺達の無実を証明しようと声を荒げる

 

「そうだよ!僕らはそんなことはしない!」

 

「・・・・・・・・・・(コクコク)」

 

明久達も必死に抵抗しているがそれに対し小山さんは冷ややかな目で見ている。

 

「そんな真似は?」

 

「・・・・・・否定・・・・・・できん・・・・・・っ!」

 

「ええっ!?信頼足りなくない!?」

 

コイツらが今までやってきた事を考えればそう思うのも無理はないか

 

「まさか、本当に明久君達がそんな事をしていたなんて・・・・・・」

 

殺気立つ女子陣の中から悲しそうな顔をした姫路さんが出てくる。

 

「アキ・・・・・・。信じていたのに、どうしてそんな事を・・・・・・」

 

「美波。信じていたなら拷問器具は用意してこないよね?」

 

「寧ろそんなものを何処から持ってきたんだよ」

 

島田さんからは信頼のカケラを感じられないんだが

 

「姫路さん、違うんだ!本当に僕らはー」

 

「もう怒りました!よりによってお夕飯を欲張って食べちゃったときに覗きをしようなんて・・・・・・!い、いつもはもう少しその、スリムなんですからねっ‼」

 

あの姫路さん、怒るところがおかしすぎますけど?

 

「う、ウチだっていつもはもう少し胸が大きいんだからね!?」

 

「それはウソ」

 

「皆、やっておしまい」

 

「ご、ごめんなさい!つい咄嗟に本音が!」

 

素早い動きで明久とムッツリーニは取り囲まれ、石畳の上に乗せられた。俺は即座に躱した為回避できたが

 

「雄二頼むっ!この場を何とか収めて」

 

明久は雄二に何とかしてもらおうと頼むが

 

『・・・・・・浮気は許さない』

 

『翔子待て!落ち着ぎゃぁぁああっ!』

 

雄二は霧島さんにお仕置きをされていた。

 

「ま、待てよ皆!見つかったのはカメラだけだろ?それだけで決めつけるのはおかしいだろうが!」

 

俺は明久達を助けようと必死に抵抗するが

 

「うるさいわね!他に誰がそんなことするって言うのよ!」

 

駄目だ。島田さんは完全に明久達の仕業だと思い込んでるようだ。一体どうすれば・・・・・・そうだ!

 

「秀吉!ここは鉄人先生を呼んでこい!そうしないとこの場は収集が着かない!」

 

「わ、わかったのじゃ!」

 

俺の言葉を聞いた秀吉がその場を離れ、先生を呼びに行った。後はここをどう乗り切るかだが

 

ガシッ!

 

「ん?」

 

咄嗟に腕を掴まれたので見てみると

 

「・・・・・・斗真。さっきの話はホントなの?」

 

俺の腕を掴んでいたのはなんと優子だった。

 

「ゆ、優子!まさか、お前も俺を疑ってるのか!?」

 

「斗真、本当の事を言って・・・・・・」

 

「いや、ち、違う!違うからな!俺は覗きなんてしてないから!本当にやってないから!」

 

優子が俺を疑ってるみたいなので、俺は無実だと主張するが

 

「・・・・・・斗真」

 

「ゆ、優子。信じてー」

 

 

バチン‼

 

俺は優子に強烈なビンタをされてしまい、それを見た女子達と明久らは黙然とし。ビンタをした優子は悲しそうな顔をして、俺にこう言い放った

 

 

「斗真なんて・・・・・・大っ嫌い‼」

 

優子はそう言って大粒の涙を流しながらすぐさま部屋から出ていき、ビンタされた俺はというと先程喰らったビンタの痛みも気にならず、むしろ優子に大嫌いと言われたことに呆然としていた。

 

「う、嘘だろ・・・・・・。お、俺が・・・・・・。ゆ、優子に・・・・・・大嫌いって・・・・・・言われるなんて」

 

ダッ!

 

 

俺はショックのあまり、窓に向かい飛び降りようとしてしまうが

 

「と、斗真!早まっちゃ駄目だ!」

 

明久に咄嗟に抑えられ、必死に抵抗する

 

「離せ明久!俺は、俺は、優子に嫌われてしまったんだ!もう、俺なんか放っておいてくれー‼」

 

「き、気持ちは分かるけど。だからって自殺なんて真似はしないで!」

 

「と、東條君!落ち着いてください!」

 

「アンタ何バカな事をしようとしているのよ!」

 

すぐさま姫路さんと島田さんにも抑えつけられるが、今の俺はもうどうにも止まらなくなっており。数分後、秀吉が呼んだ鉄人先生が来てその場で取り押さえられ、特大の説教をされるのであった。

 

 




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