鉄人が駆けつけ、窓から飛び降りようとした斗真を取り押さえた後。その場にいた女子達から事情を聞き、すぐさま明久達の荷物検査をしたが物的証拠は出なかった。証拠不十分という形で解放された明久達はというと
「はぁ、まさかこんな目に会うなんてね」
「うむ。しかし酷い濡れ衣じゃったのう・・・・・・何故かワシは被害者扱いじゃったのも解せぬが」
「・・・・・・・・・・見つかるようなヘマはしないのに」
「ムッツリーニ、その発言はギリギリじゃぞ」
「でもどうしよう。斗真は今にも死地に赴きそうな状態になってるし」
「・・・・・・」
先程の優子の言葉にショックを受けたのか、斗真は端の方で体育座りをして物凄く落ち込んでおり、下手に声をかけられない状態になっている。
「雄二、どうする?」
「・・・・・・」
「雄二?」
「・・・・・・上等じゃねえか」
何かを決意し、立ち上がった雄二は怒りを孕んだ声を響かせる。
「え?雄二。どうしたの?」
「もうここまでされた上に斗真もああなってるんだ。本当にやってやろうじゃねえか」
その瞳に強い光を宿しており、相当怒ってるのか火がついてるみたいだ。
「まさか、本当にって・・・・・・」
「ああ。そのまさかだ。あっちがそう来るのなら、本当に覗いてやろうじゃねえか!」
雄二はその場で覗きに行こうと発言するが
「やめた方がいいよ」
急に声が聞こえたので振り向くと、部屋の入り口にはアランがおり。さっきの話を聞いていたからか、即座に止めに入った。
「如月!何でテメェがここにいるんだ!?」
「何でって、斗真が酷く落ち込んでるって聞いたから様子を見に来ただけさ。それにそんな馬鹿な真似はしない方がいいよ」
「だがな!こっちはやってもいないのに酷い目に遭ったんだ!黙ってるわけにはいかねえんだよ!」
「とりあえず落ち着いたらどうだい。気持ちは分かるけど、こんな警戒されてるタイミングで行ったところで返り討ちにされるだけだよ」
「そ、そうだね。如月君の言うとおり、今行くのは危険だしね。それに雄二。霧島さんの裸が見たいなら、個人的にお願いしたらいいじゃない?」
「バ、バカを言うな!翔子の裸になんか興味があるか!」
「でも代表だったら坂本君に自信の裸を見せるどころか処女すらあげるかもしれないしね」
「如月!テメェは何恐ろしいことを言ってるんだ!」
「・・・・・・・・・・処女(ブシャァァ!)」
雄二は明久の発言に顔を赤らめながら否定し、アランの爆弾発言に対しては激しく動揺する。ムッツリーニは『処女』という言葉に反応したのか鼻血を噴出してしまう
「ふむ。もしや、例の火傷の痕の犯人探しかの?」
「そうだ。流石に覗きなんて真似はやり過ぎだと思って遠慮していたが・・・・・・向こうがあんな態度で来るなら遠慮は無用だ。思う存分覗いて犯人を見つけてやろうじゃないか」
「待ちたまえ。君達は一体何の話をしてるんだ?」
「あ、そうか。如月君は知らないんだったね。実はー」
アランは雄二の話に疑問を持つが明久が事情を説明すると理解してくれた。
「成程ね。となると女子風呂に仕掛けられたカメラはその脅迫犯の仕業と見て間違いないよ」
「え?どうしてそうなるの」
「聞いた話だと、ムッツリーニ君は女子風呂には近づかずこの部屋にいたんでしょう?それに、入浴時間になるまで女子風呂は鍵が掛けられていたって聞いてるからそんな事ができるのは例の脅迫犯しかいないじゃないか。そうだよねムッツリーニ君」
アランが聞くと、ムッツリーニは首を縦に振り
「・・・・・・・・・・さっきのカメラとマイクは、脅迫犯の物と同じだった」
「なんじゃと?それは本当かの、ムッツリーニ?」
「・・・・・・・・・・間違いない」
「そうか。それは嬉しい事実だな」
「そうじゃな」
「他にそんなことをする人なんていないから当然か」
「・・・・・・・・・・(コクリ)」
「つまり、どういうこと?」
「流石明久、この程度の会話にもついてこられなかったか。つまり、こういうことだ」
四人が頷きあっている中、未だに理解してない明久に説明する雄二
「俺とお前を脅している犯人は、同じで、さっきの覗き犯のカメラとマイクがその犯人と同じ物だった。そして、覗き犯は火傷の痕があるという話だからー」
「ああ、なるほど!その火傷の痕がある人を探したら全部解決するってわけだ!」
雄二の話を聞いてようやく明久は理解した
「これでもう迷う余地はないな」
「そうだね!やってやろう!」
「全く君達は・・・・・・」
明久達は覗きに行こうと決心し、それを見て呆れるアラン。
「ってそれにしても、相変わらず雄二は霧島さんのことになるとやる気が凄いよね。どうしてそこまで頑張るのかって疑問に思うくらいだよ」
それを聞いた雄二は口を開く
「・・・・・・実はこの前、いつものように翔子にクスリをかがされて気を失ったんだが」
「ごめん。その前置きから既にイロイロ厳しいと思う」
「それ以前に代表がそんなことをしてたのに驚くが」
「目が覚めたらヤツの家に拉致されてたんだ」
「霧島さんは本当に一途だなぁ」
「いや、そこは無理矢理坂本君を自宅に連れていった代表に驚くべきなんだけど」
「そこで霧島さんの両親と挨拶をしたとか?」
「いや、そうじゃない。ただ、ヤツの家にー」
「一体何があったんだい?」
「ー俺の部屋が用意されていたんだ」
「「・・・・・・・・・・」」
二人はこの時、雄二も潮時かなと思った。
「あんな台詞を聞かれたら、間違いなく俺は、俺の未来は・・・・・・!」
雄二の壊れかたは尋常ではなかった。
「そ、そういうことならすぐに向かわないとお風呂の時間が終わってしまうね!」
「・・・・・・・・・・(コクコク)」
「え?ムッツリーニも協力してくれるの?」
「・・・・・・・・・・(コクコク)」
「本当じゃったら雄二の台詞には責任があるし、ワシも行きたいところじゃが斗真を見てやらないかんからワシは残るぞい」
秀吉は責任を感じており明久達と行動を共にしたかったが。斗真が再び窓から飛び降りる可能性を懸念し残ると言った。
「別に気にしなくていいよ秀吉。アレは僕と斗真が指示しただけだしさ。じゃあ女子風呂には僕と雄二とムッツリーニの三人で行ってくるから、秀吉と如月君は斗真をお願いしていいかな?」
「了解した。健闘を祈るよ」
「気をつけてくるのじゃぞ」
「・・・・・・・・・・女子風呂なら確認済み」
ムッツリーニがスタスタと部屋を出ていき、その足には迷いがなかった。
「よし。雄二起きて!覗きに行くよ(ボゴッ)」
「ぐふっ‼ーはっ!?」
「明久も雄二の治し方が手馴れてきたのう」
「そもそも、なんで殴って治すという荒療治が当たり前になってるのか聞きたいけど」
「まあそこはおいといて」
「・・・・・・・・・・女子の入浴時間、残り四十分」
ムッツリーニが腕時計を確認している。
「時間がないね。急ごう」
「そうだな。走るか」
「・・・・・・・・・・了解」
そうして三人は部屋を出ていき、この場に残ったのは秀吉とアラン。そして未だに呆然と座っている斗真だけだった
「明久達上手くいくかのう」
「流石に今日は失敗するのは目に見えてるね」
「うむ?どうしてなのじゃ?」
秀吉が心配している中。アランは明久達の覗きは失敗すると断言する。
「知らないのかい?この旅館は学園が買い取って、作り変えたんだよ。つまりー」
「召喚獣が出せるわけじゃな。しかしそれが明久達の覗きとどう関係があるぞよ?」
「教師達の召喚獣は物理干渉ができるんだよ。さっきの騒ぎがあった以上教師達が女子風呂の前に立ちはだかるのは間違いないし。それを出されたら流石の吉井君達でも突破するのは難しいからね」
「なるほど、それが本当なら明久達は覗きに失敗してしまう上指導を受ける羽目になるのう」
「そもそも向こうには西村先生という強靭な番人がいるから突破できるわけないしね」
「じゃとしたら、どうやって脅迫犯を見つけ出すのじゃ?」
「それは他の方法で探しだすしかないね。僕も知り合いの女子に見てきてもらうよう頼んでみるから。そっちは君達に任せるよ」
「うむ。分かったのじゃ」
アランがその場を立ち上がり、自身の部屋に戻ろうとすると
「ああそれと、斗真についてなんだけど。今の状態じゃ一人で風呂に入るのは無理みたいだから、君が使う予定の個室風呂に入れといてね」
「?それはつまり・・・・・・」
秀吉が頭に?マークを浮かべる中アランがこう告げた
「君が斗真と一緒に風呂に入るんだよ」
「・・・・・・・・・・」
アランの言葉を聞いた秀吉は顔を真っ赤にし
「な、な、な、なんじゃと!?ワシが斗真と混浴せねばならぬというのか!?」
「いや君は男だから何もおかしくないんだけど・・・・・・」
アランは秀吉の『混浴』という発言に突っ込みを入れる
「し、しかしいいのか!?わ、ワシが斗真と一緒に風呂に入ったなんて姉上に知られでもしたら・・・・・・」
「秀吉君。その感性は最早女子と変わりないんだけど。それに君のお姉さんについては多分問題ないから後は頼むね」
「う、うむ。分かったのじゃ。斗真はワシが何とかするから後は任せるのじゃ!」
「・・・・・・本当に大丈夫かな?」
「だ、大丈夫なのじゃ!」
その後アランは秀吉達を気になりながら自分の部屋に戻ると
「・・・・・・秀吉」
「お、大丈夫か斗真」
斗真は秀吉に抱きつくと
「俺、優子に嫌われてしまった。・・・・・・もう俺に残されたのは秀吉しかいないんだ・・・・・・。だから・・・・・・。お前は俺を見捨てないでくれ・・・・・・」
「大丈夫じゃ斗真よ。ワシはお主の傍から離れないから心配するでない。それに姉上も真相に気づけばお主に詫びるじゃろうから落ち着くのじゃ。とりあえず今夜はワシと一緒に風呂に入ろうぞ」
「いいのか?いくら秀吉が男とはいえ、勝手に個室風呂に入ったりして・・・・・・」
「それに関してはワシから教師に頼んでみるが、納得してくれるかの」
「教師も俺と秀吉が付き合ってるのを知ってるから多分いけると思うが」
「うむ。ひとまず行ってみないことにはどうにもならんからの」
「じゃあ今から準備するから先に行っててくれないか」
「うむ。了解したぞい」
そうして俺は秀吉と一緒に個室風呂に行き、近くにいた高橋先生に秀吉が頼むと意外なことにあっさりと了承してくれたのだ。まあ、秀吉は男だから何もおかしくないから当然だったかな。
その頃、女子風呂では
(・・・・・・アタシ、斗真に酷いことをしてしまった)
女子風呂には先程斗真にビンタをした優子が入浴しており、自身がしでかしたことを後悔していた。
ビンタをくらった斗真がショックのあまり、窓から飛び降りようとしたのを姫路さんから聞いて、その後鉄人が斗真達の荷物を調べたみたいだが証拠は出てこなかった為斗真は無実だと知った優子は自身の過ちに気づいたからである。
(・・・・・・斗真。ごめんね)
優子が浴槽に浸かりながら落ち込んでいると
「あの、お隣よろしいですか?」
「・・・・・・姫路さん?」
優子の後ろには姫路さんが立っており、大きな胸を揺らしながら優子に話しかけてきた。
「いいわよ姫路さん。アタシも姫路さんとお話をしたかったしね」
「ありがとうございます」
ちゃぷ
姫路さんが優子の隣に浸かると大きな谷間をちらつかせ、それを見た優子は自分もそれぐらいあったらなと思っていた。
「あの・・・・・・木下さん。あなたは東條君をどう思っているのですか?」
「・・・・・・アタシにとって、斗真は自分の全てをさらけ出せる唯一の存在かな。斗真はアタシを心の底から愛しているって言ってたわ。それを聞いてアタシは斗真だったらアタシのありのままを出してもいいかなって」
「そうだったんですか。ふふっ、木下さんは羨ましいですね。そんな素敵な人とお付き合いなされて」
「あ、ありがとう。姫路さん(////)」
「私もいつか明久君とそんな風になれたらいいのに・・・・・・」
「大丈夫よ姫路さん。斗真も『明久は姫路さんの事が好きなのは間違いないよ。だって今までやらかしてきたことは姫路さんの為を思ってしたことなんだしさ』って言ってたからきっと姫路さんも吉井君と上手くいくとアタシは思うよ」
「木下さん。ありがとうございます」
「優子でいいわ。アタシも瑞希って呼ばせてもらうかから」
「はい、優子ちゃん」
姫路さんと優子が仲良く話している一方女子風呂の前では
「歯ぁ食い縛れぇっ!」
「ごぶぁっ!?」
アランの予測通り。明久達は覗きに失敗し、反省文と補習をやらされる羽目になったのだった。
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