バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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今回は優子との絡みもあります。


第七問 強化合宿三日目

翌朝目を覚ました俺は早速起き上がろうとするが

 

ギュッ

 

「ん?」

 

背中から何かに掴まれていたので振り返ってみると

 

「ううん・・・・・・」

 

「・・・・・・何で秀吉が俺に抱きついて眠ってるんだ?」

 

そこには隣で寝ていた筈の秀吉が俺に抱きついていた。

 

「斗真・・・・・・(ギュッ)」

 

「おい秀吉・・・・・・。まあ、悪くはないな」

 

今俺は秀吉に抱きつかれており、その可愛らしい寝顔に思わず見惚れていた。いっそのこと、このまま時間が止まって欲しいなと思っていたが

 

「夢オチ!?がっかりだよ畜生!」

 

バカの叫びが部屋に響き渡り、せっかくのムードが台無しになってしまう羽目に

 

「ったく、朝からうるさいぞ明久」

 

「あ、ごめん斗真・・・・・・。って!?秀吉に抱かれてるなんて、斗真!羨まし過ぎるよこの野郎!」

 

「そういうお前だって後ろでくっついてる奴がいるだろうが」

 

「え?」

 

俺の言葉に耳を傾け、明久は背中を向けると

 

「ぐう・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・最悪だ」

 

明久の後ろで雄二が寝ていたのだ。

 

「明久、もう起床する時間だから雄二を起こしてやれ」

 

「言われなくてもわかってる。とにかく雄二!起きろコラぁっ!」

 

「ぐふぁっ!」

 

「いや、そこは普通に起こしてやれよ」

 

明久は相当気分が削がれたのか、雄二を蹴りながら起こした。

 

「んむ?なんじゃ?雄二はまた自分から離れた場所で寝ておったのか」

 

目を擦りながら秀吉が上体を起こす。秀吉の寝起き姿を初めて見るが、こんなにも癒されてしまうとは何て罪な男なんだ秀吉は。ムッツリーニも同じ気持ちだったのか同じ動きをしている。

 

「秀吉。またってどういうことだ?」

 

「いや別に大したことじゃないのじゃが・・・・・・雄二は寝相が大層悪いようでのう。明け方はワシの布団に入ってきておってーやめるのじゃ明久!花瓶を振りかざしてどうするつもりなのじゃ!」

 

「殴る!コイツからドス黒い血が出るまで殴り続ける!」

 

「バカ!何やろうとしてんだお前は!?」

 

俺は明久を後ろから羽交い絞めにして押さえる。

 

 

ガチャ

 

「おいお前ら!起床時間だーぞ・・・・・・?」

 

「離して斗真!コイツは法廷に出頭させないといけないんだ!」

 

「お前はバカか!雄二が秀吉の布団に入ったくらいで起訴できるわけないだろうが!」

 

「なんだ!?朝からいきなり明久がキまっているぞ!?持病か!?」

 

「ええい落ち着くのじゃ明久!西村先生、済まぬがこやつを取り押さえるのを手伝って頂きたい!」

 

「・・・・・・・・・・!(コクコク)」

 

「・・・・・・お前らは朝から何やっているんだ」

 

そして俺達は明久を止め、何とか押さえつけたのであった。

 

 

 

 

 

「雄二。そういえば昨日妙なことを言われたよ」

 

「ん?なんだ?」

 

ドタバタを終え、朝食を食べている最中。俺の隣に座っている明久が真正面に座っている雄二に話しかける。

 

「工藤さんに『脱衣所にまだ見つかっていないカメラが一台残っている』って」

 

「なんだと?」

 

「明久、それは本当か?」

 

明久の発した言葉を聞き、俺と雄二は箸を止める。

 

「怪しいよね。そんなことを知っているなんて、やっぱり彼女が犯人じゃないかな?」

 

「いや、そうとは限らんじゃろ。それならわざわざ怪しまれるようなことを言うとは思えん」

 

「秀吉の言う通りだ。もし犯人だとしてもそんな自分に疑いをかけられるような事を言うにしてもメリットが一つもないからな」

 

雄二に代わって俺の真正面に座る秀吉が返事をし、俺も秀吉を肯定する。

 

「・・・・・・・・・・確認するしかない」

 

「やっぱりそれしかないか・・・・・・・・・・」

 

「いやそこは姫路さんか島田さんに頼んでカメラを回収してもらった方が早いんじゃないか?」

 

「・・・・・・・・・・その必要はない。俺が行く」

 

「そう言いながら、女子風呂を覗きたいだけだろお前は」

 

「・・・・・・・・・・!(ブンブン)」

 

「今更否定するなよ」

 

何でそこは効率じゃなく欲望を優先するんだムッツリーニ

 

「だが、工藤の情報はありがたいぞ」

 

「え?カメラが残っているってことが?」

 

「ああ。それを工藤しか知らないってことは、そのカメラに女子の着替えが撮影されている可能性が高い。それを手に入れたら入浴していない女子の確認もできるからな」

 

「・・・・・・・・・・隠し場所なら5秒で見つける自信がある」

 

「それができるのはムッツリーニだけなんだが」

 

「けど、本当にそんなカメラがあるのかも怪しいよ?」

 

「いや。最初に脱衣所でカメラが見つかった方がおかしいんだ。あんなに盗聴や盗撮に長けている犯人のカメラが素人に見つけられるなんて考えにくい。そうなるとー」

 

「・・・・・・・・・・二段構え」

 

「そうだ。最初に見つかったカメラはカムフラージュだった可能性が高い」

 

「そうじゃな」

 

雄二の言う通り。油断をさせてその隙に本命のカメラで撮影とはホント手の込んだことをする犯人だな。

 

「けど、それならお風呂の時間を避けてカメラを取りにいけば解決ってことだね」

 

「・・・・・・・・・・それは無理」

 

「え?なんで?」

 

「・・・・・・・・・・時間外だと脱衣所は施錠されている」

 

「初日のカメラ騒動と明久達の覗き騒動が原因だからどうしようもないな」

 

「諦めて今までどおりの方法を貫けってことか・・・・・・」

 

「そうじゃな」

 

結局はあの警備を通り抜けるしか道はないか

 

「そこで昨日の反省だ。明久、昨日の敗因はなんだと思う?」

 

「敗因?う~ん、向こうが女子の半分を防衛に回してきたことと斗真が抜けていたことじゃないかな」

 

「いや明久、俺が行ったところで大して変わらん気がするが」

 

「・・・・・・・・・・敵側には工藤愛子もいた」

 

ムッツリーニが悔しそうに告げる。こいつにとってはよっぽど邪魔をされた事に対して腹を据えかねているな。それに、向こうには愛子だけじゃなく保健体育担当の大島先生もいたから、それを含めての二対一で得意科目で不覚をとったことがよっぽど悔しいかっただろう。

 

「そうだ。昨日の敗因はAクラスを含め、敵の戦力が大幅に増強されていたことだ」

 

昨日行ってきた雄二の話を聞く限り、向こうはこちらの三倍以上の人数がいたらしい。それに教師がついてる以上、こちらが突破するのは不可能と言っても過言ではない。

 

「そこで、こちらも更に戦力を増強しようと思う。Fクラスだけではなく他のクラスも味方につけて対抗するんだ」

 

「やっぱそれしか方法がないか」

 

俺は昨日雄二がそうするだろうと予想していた。秀吉も俺の側にいたから既にわかっている。

だが雄二の事だ。戦力を増やす理由はただ突破するだけじゃないだろうな。

 

「む?明久、どうしたのじゃ?」

 

秀吉が不可解な顔をした明久を見る。

 

「う~ん。なんか、この作戦がいつものやり方と違う感じがしてなんだか・・・・・・。ほら、向こうの戦力が大きいからってこっちの戦力を増やすっていうのが、今いち僕たちらしくないというか・・・・・・」

 

どうやら明久は疑問に感付いてたようだ。

 

「ほぅ・・・・・・。明久も少しは頭が回るようになってきたな。その通り。このやり方の目的は正面突破だけじゃない」

 

「んで、他の目的って何?」

 

「俺たちの保身だ」

 

「僕らの身を守る?誰から?」

 

「それはおそらく教師達からだろ。既に覗きという行為をしてしまった明久達は学校から罰則を下される可能性があるからそれを回避する為だ。そうだろ雄二?」

 

「おっ、流石に斗真は気付いていたか。お前の言う通り、覗きは立派な犯罪だ。作戦が成功して女子風呂に至ったとしても、例の真犯人が見つからない限り俺たちは罰則を受けることになる」

 

何しろ俺たちは覗きという行動をしてしまったからな。雄二が言ったように真犯人を突き出さないと俺たちは性犯罪者というレッテルを貼られる。

 

「それを避ける為の増強ーつまり、メンバーの増員だ」

 

「増員が処分を逃れる手段になるって?」

 

「ああ。人数を増やせば相手の特定は難しくなる。向こうだって戦いながらその場にいる全員の顔を覚えるのは厳しいだろうからな」

 

しかし明久達はもう面が割られているから意味はないと思うが

 

「でも、既に僕らは面が割れてるよね?それなら無意味なんじゃないの?」

 

明久も俺と同じ事を思っていたのか。雄二に聞く

 

「文月学園は世界中から注目を集められている試験校だからな。そんな不祥事があった場合はひた隠しにするかキッチリと一人残らず処分するかのどちらかしか選べない。中途半端に一部の生徒だけを罰するようなことになれば、ただでさえ叩かれている『クラス間の扱いの差』についてマイナス要因を増やすだけだからな」

 

そういうことか。俺達だけを罰したら『出来の悪いFクラスだけが処分を受けて他の優秀なクラスは手心を加えられている』なんて風に見えてしまう以上、世間の注目を考えたら、あの学園長はそんなバッシングの元になるような話は避けたい筈だからな。

 

「なるほど。流石は雄二。汚いことを考えさせたら右に出る人はいないね」

 

「知略に富んでると言え」

 

いや、そこは悪知恵を働かせると言うべきだ。

 

「ふむ。ならば今日は協力者の確保を主軸に行動するわけじゃな」

 

「ああ。幸い合同授業の上に殆ど自習みたいなものだからな。動きは取りやすいはずだ」

 

「そうだね。じゃ、まずはどこから行く?」

 

「戦力を考えるとA~Cクラス辺りがいいと思うが」

 

「当然Aクラスからだ。同じ手間なら能力が高い方がいいからな」

 

どうやら雄二も俺と同じ事を考えてたか

 

「Aクラスならば昨日の合同授業で交流があるしのう。話もしやすいじゃろうて」

 

「決まりだな。合同授業の間にAクラスと話をするぞ」

 

「了解。ムッツリーニもそれでいいよね?」

 

「・・・・・・・・・・問題ない」

 

「じゃあさっさと飯食って行動を開始するか」

 

方針を固めた後。俺達は朝食を再開した。

 

 

 

 

「Aクラスなら久保か如月を説得するのが妥当だな。そんなわけで明久、斗真。説得に行ってこい」

 

「了解。アランには俺から話してみるよ」

 

「うむ。如月は兎も角、久保に関しては明久ならば適任じゃな」

 

「・・・・・・・・・・頼んだ」

 

久保の説得は明久に一任された。まあ理由はだいたい予想がつくが

 

「あ、うん。別にいいけど」

 

明久もそれを承諾した。

 

「でも、どうして僕なの?」

 

明久は気になったのか俺達に訪ねるが

 

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

 

理由が理由なだけに目を逸らすしかなかった。

 

「あ、あのさ。なんだか凄く嫌な感じがするんだけど、本当に大丈夫だよね?」

 

「そ、そうじゃな。一応、久保はお主に悪意を抱いておらんと断言できる」

 

「・・・・・・・・・・彼に悪気はない」

 

「なんで二人ともそんな奥歯にものがはさまったような言い方をするの?」

 

「明久、早く行ってこい」

 

「え?でも・・・・・・」

 

「大丈夫だ。この中ではお前が久保に一番好かれている。自信を持て」

 

「というより。他に久保を任せられるヤツがいないから仕方ないが」

 

「あ、うん」

 

「・・・・・・ただし、いざという時はコレを使え」

 

そう言いながら雄二は明久にあるモノを渡した。

 

スタンガン(二十万ボルト)

 

明久は何故久保にお願いをしに行くだけでスタンガンを持たないといけないのか疑問に思いながらそれを受けとる。

 

「そ、それじゃ、行ってくるね」

 

明久は釈然としない様で久保のところへ向かった。

 

「俺もアランに頼むとするか」

 

そう言いながら俺もアランのいる席へ行く。

 

 

 

 

 

「なあ、アラン。ちょっといいか」

 

「ん?どうしたんだい斗真?」

 

アランは俺の方に顔を向けると俺は他の人には聞こえないよう小声で話しかける

 

(昨日言っていた戦力の増強に関する交渉で来たんだが、今夜協力して貰えないか?)

 

俺の頼みに対しアランは

 

(僕は構わないけど、その件に関しては久保君の返事次第でいいかな?流石に僕一人じゃ同じクラスの男子達を動かす事はできないからね)

 

(そうか。じゃあ明久から結果を聞いてからだな)

 

(ごめんね。こっちにも立場ってものがあるから仕方ないんだ)

 

(その気持ちだけ受け取っておくよ。ただでさえ疑われてる中で協力してくれるんだしさ)

 

(ありがとう。すまないね斗真)

 

さて、アランと話を済ませたし。明久から久保との交渉の結果を聞くとするか

 

 

 

 

「明久。どうだった?」

 

「ごめん。失敗だったよ」

 

「こっちも久保の返事によって決める。って言ってたから、実質Aクラスは不参加だな」

 

「そうか。まぁ、無事で何よりだ」

 

「いや、そんな危ないことはしてないんだけど」

 

「となると他のクラスとの交渉を迅速に進めないといけないか」

 

「それはそうだけど、今は一応授業中だよ」

 

「それは分かっている。だが、全クラスに声をかけるとなると休み時間程度では全然足りないからな。なんとしても抜け出すしかない」

 

「何しろここの監督をしてるのは鉄人先生だから下手に動けないしな。雄二、ここは一つ俺に任せてもらっていいか」

 

「ん?どうするつもりだ?」

 

「別に大した策じゃないよ。雄二達への目線を逸らす為に俺が鉄人に質問をしに行くだけだ。その隙に雄二達はここを出て他のクラスと交渉をしてくれないか?」

 

「そうか。じゃあ斗真。鉄人は任せたぞ」

 

「ああ。了解した」

 

すると

 

「こらっ。アンタたち、また何か悪巧みしてるでしょ」

 

少し離れていた席で勉強していた島田さんがこちらに近づく。

そして彼女の言った悪巧みという言葉に鉄人先生がピクッと反応した。

 

「美波、僕たちは悪いことなんて考えていないよ」

 

明久は何も悪いことは考えてないと誤魔化している。

 

「はぁ・・・・・・。今更アンタたちに問題を起こすな、なんて無理を言う気はないけど、よりによって覗きなんて・・・・・・。少しは覗かれる方の気持ちを考えてみたら?」

 

島田さんの言っていることはごもっともだが、明久達だって好きで覗きを行ってないからな。明久達を真っ向から信じていない島田さんに本当の事を話しても無駄だからここは明久達に任せるか

 

(じゃあ雄二。鉄人先生は俺がなんとかするから後は任せた)

 

(ああ、分かった。気を付けていけよ)

 

俺は鉄人先生に問題について聞くため問題集を持って鉄人先生に近づく

 

「ん?東條か」

 

「先生。分からない問題がありますので聞きたいのですが、よろしいでしょうか」

 

「ああ構わないぞ。どれなんだ?」

 

「はい、これなんですがー」

 

「ふむ。この問題を解くにはだなー」

 

俺が鉄人先生に質問をしている間、明久達は学習室を抜け出すのに成功する。島田さんは明久に何か吹き込まれたのか騒いでいるみたいだが

 

「ん?あのバカどもはどうした?」

 

「多分トイレではないでしょうか。別にトイレくらいは構わないですよね先生?」

 

「まあ、それくらいなら問題ないが、他に分からんところはないか?」

 

「いえ、大丈夫です。ご教授ありがとうございます」

 

鉄人先生に礼をした後。俺は自分の席に戻ろうとすると

 

「・・・・・・斗真」

 

「ん?どうしたんだ優子?」

 

席に戻ろうとした俺に優子が近づく

 

「えっと・・・・・・あ、あのね斗真・・・・・・。折角の合同授業だから一緒に勉強しましょう。分からない問題あったらアタシが教えるからさ」

 

「いいのか優子。俺みたいな覗き魔に構ったりして?」

 

「アタシは別に問題ないわ。それに、その・・・・・・あれはもうアタシは気にしてないからさっさと始めましょう。ほら、こっちに来て」

 

どうやら初日の事については気にしておらず、俺としては嬉しいことだ。

 

「あ、ちょっと優子。手を掴むなよ」

 

優子に手を掴まれ、そのまま優子が座っていた席の隣で勉強することに・・・・・・なったのだが

 

「優子。どうして勉強するのにそんな近いんだ?」

 

「べ、別にいいでしょ!アタシが教えるのに文句ありのかしら!?」

 

優子が顔を赤らめながら告げる

 

「だからって、もたれ掛かる必要はないと思うが」

 

「い、いいからさっさと始めましょう・・・・・・」

 

「お、おぅ・・・・・・」

 

そうして俺は昼食の時間になるまで優子と一緒に勉強をするのであった。

俺と優子が仲睦まじいと見えてるのか。羨ましそうに見ている女子と今にも俺を殺さんとカッターを構えるFクラスの男子の目線が痛いのが気になったが




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