バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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第九問 写真撮影

「痛たた。まさかあそこまでやるとはな」

 

「仕方ないのじゃ斗真よ。姉上は手加減を知らないからの」

 

俺と秀吉は優子にお仕置きをされた後。特別指導室で反省文を書かされた上鉄人先生から指導させられ、解放させてもらった直後に優子にやられた部位を擦りながら自分達の部屋に戻ってきた。部屋には既に回復していた明久達がいて先程の戦いの反省をしていた。

 

「まさか高橋女史まで参戦してくるとはな」

 

「あの人、もう反則なまでの強さだったよ・・・・・・」

 

「成程。向こうには高橋先生もいたのか。そりゃ勝てるわけないか」

 

話を聞いてみると明久は高橋先生に召喚獣で勝負を挑んだらしいがあっさり返り討ちにあい、その場で島田さんと姫路さんにお仕置きされたそうだ。こりゃあますます覗きに行くのが難しいところだ。

 

「じゃがどうする?このままではお主らは脅迫犯の影に怯え、且つ覗き犯という不名誉な称号を掲げられてしまうぞい」

 

前者はともかく、後者はもうなってもおかしくはないんだが

 

「勿論諦める気は毛頭ない。残るチャンスは明日だけだが、逆に言えばまだ明日が残っているんだからな」

 

明日は合宿四日目で、五日目は帰るだけだからな。覗きのチャンスは明日しかないから諦めるにはまだ早い。

 

「そうだね。圧倒的な戦力差だったけど、そんなことは僕らにとってはいつものことだし。こういった逆境を覆す力こそが僕らの真骨頂だよね!」

 

明久もまだ諦めてないからか、絶望はしていないようだ。

 

「・・・・・・・・・・このまま引き下がれない」

 

「そうじゃな。こんなことはFクラスに入ってからは慣れっこじゃ。今更慌てるまでもない」

 

秀吉とムッツリーニも士気が高い。この様子だとここにはいないクラスメイト達もきっと同じ気持ちだろう。

 

「そうか。お前たちが諦めていないのなら、まだ手は残されている」

 

「流石は雄二!何か考えがあるんだね!」

 

「当然だ。俺を誰だと思っている?」

 

「霧島翔子のお婿さん」

 

「テメェ吹っ飛ばすぞ!」

 

「冗談だ。真に受けるなよ」

 

「ったく、とにかく俺たちがやる事はただ一つだ」

 

「それで、どんな作戦を考えているの?」

 

「正面突破だ」

 

「まあ場所が場所なだけにそれしかないな。ボイラー室って手もあるが、あそこは男女共に鍵が掛かってるから入れないし」

 

俺と雄二の話を聞いた明久は全てが終わったって顔をする

 

「そんな絶望的な顔をせずに最後まで聞け。正面突破のスタンスは変えないが、その分事前の準備で考えがある」

 

「正面突破を続行するってことは、こっちの戦力を更に増やすってこと?」

 

「そうだ。向こうの戦力はもう頭打ちだ。アレ以上は戦力を増やせない。口惜しいことに今日は負けたが、おかげで相手の戦力を知ることができた。これは大きいぞ」

 

「・・・・・・・・・・他のクラスでの情報も集めた」

ムッツリーニの言う他のクラスとはD・Eクラスのことだ

 

「向こうの布陣は教師を中心とした防御主体の形だが、色々と弱点がある。それがなんだかわかるか?」

 

「微塵もわからないね」

 

「チョキの正しい使い方を教えてやる」

 

ガシッ

 

「まあ待て雄二。そこまでしなくても普通に教えてやればいいんだからさ」

 

俺は雄二の手を押さえて目潰しを未然に防いだ

 

「あ、ありがとう斗真」

 

「俺が教えてやるよ。いいか明久?召喚獣を喚び出すフィールドには《干渉》ってものがあるんだ。これは一定範囲内でそれぞれ別の教師がフィールドを展開すると、科目同士が打ち消しあって召喚獣が消えてしまうんだよ」

 

「要するに教師は余程開けた場所以外では複数人数を配置することができないということじゃろう?」

 

「そういうことだ」

 

「なるほど。だからさっきも先生たちはそれぞれ別の方向からやってきたんだ」

 

いくら先生と言えども、召喚獣がなければ男子の体力に対抗はできないしな。っていうかそれに唯一対抗できる鉄人先生が異常なだけか

 

「その現象とムッツリーニが調べてくれた目撃情報を総合して判断すると、明日の相手側の布陣はだいたいこんな感じになると予想できる」

 

雄二がテーブルに紙を広げて配置の予想を書いていった。

 

「あれ?高橋先生は今日と違う場所になるの?」

 

「確実にというわけではないが、俺が向こうの立場ならそうする。絶対に通らねなければならない道に主戦力を置くのは定石だからな」

 

雄二の予想だと高橋先生の配置は地下へと続く階段の前だ。女子風呂へと続く道はそこだけだから、向こうも主戦力を配置してくると予想している。

 

「それなら、なんで今日もそうしてこなかったのかな?」

 

「圧倒的な力を見せてこちらの戦意を挫きたかったんじゃないか?俺たちの進路は予想できていたみたいだしな」

 

「確かに、あの点数は圧巻だったね」

 

「けど向こうの思惑は外れてるよ。何しろ俺達はそんなことで挫折するほど甘くないからな」

 

「それにしても、こうしてみると随分と苦しい勝負だよね。鉄人と大島先生(保健体育)と高橋先生(学年主任)のいる場所は絶対に通らないといけないし」

 

かと言って、他の先生達を無視することはできないしな。雄二の予想だと要所要所に配置されていてこれが外れるとは思えない。

それに対抗するこちらの戦力はD・E・Fクラスの男子のみ。士気は高くても、Aクラスも協力している女子側に比べると戦力としては見劣りしてしまうし、Eクラスは試召戦争の経験がないため操作に関しても敵わない。

 

「俺たちの勝利の為には、どうしてもあるヤツを極力無傷で鉄人の前まで連れて行く必要がある」

 

「あるヤツ?」

 

「お前だよ明久。お前が鉄人と戦って勝利する。これはどうあっても外せない条件だ」

 

「それってやっぱり僕が《観察処分者》だから?」

 

「人間は素手では猛獣には勝てないが、武器を持って始めて対等になれる。そうなると鉄人先生に唯一渡り合える武器を持ってるのはこの中じゃ明久しかいないんだよ」

 

「じゃが、そうなると高橋女史の場所を無傷で通過する必要があるじゃろう?」

 

「ああ。大島はムッツリーニにやってもらうとしても、高橋女史と戦う為の戦力が足りない。というか、今の戦力では高橋女史のところに辿りつくことすらできないな」

 

「大体教師一人当たりに十人くらいの戦力がないと難しいだろうな。そうすると二階と三階だけでも八十人もの戦力が必要ってところか」

 

それに向こうには女子もいるから、こちらの戦力も圧倒的に不足しているのは否めない。

 

「作戦を成功させる為にはどうしてもA・B・Cクラスの協力が必要になる」

 

B・Cクラスは高橋先生に辿り着く為で、Aクラスは俺と一緒に高橋先生を打倒する為に必要な戦力だと雄二は言う。

 

「前置きが長くなったな。そういった理由から他のクラスの協力は必要不可欠となる。そこで、明日の作戦開始時刻まではその根回しに全力をそそぐこととする」

 

「要するにA~Cクラスを仲間にするってことだ。だがな雄二、一回断られてるがどうやって参加させる気なんだ?」

 

「こいつを使うんだよ」

 

そう言って雄二が手にある物を掲げた。それはデジタルカメラと各客室に備えられた浴衣だった。一応浴衣は使ってはいけないって言われてはいるが雄二はそんなルールを守る気など毛頭ないしな。

 

「成程、女子に浴衣を着せて写真を撮り、それを見せて劣情を煽るってところか」

 

「ふ~ん。なんだか雄二の作戦はいつもそんな感じだよね」

 

「ほっとけ」

 

「じゃあ秀吉。こいつを着てくれないか?」

 

「・・・・・・またワシが着るのかのう・・・・・・?」

 

浴衣を渡された秀吉は不満そうな顔をしていたが、今はそれを気にしてる隙はない以上着てもらわないとな

 

「安心しろ。秀吉だけじゃない。姫路と島田にも着てもらう」

 

「いや、ワシ一人で着るのが不満だとかそういうワケではないのじゃが」

 

「悪いな秀吉。これも俺達の為だと思ってやってくれないか。それに俺だって秀吉の浴衣姿を見てみたいからさ」

 

「と、斗真がそう言うのであれば仕方ないのう・・・・・・(////)」

 

秀吉は顔を赤らめながら承諾してくれた。

 

「それじゃ、明久。姫路と島田に連絡を取ってくれ。ムッツリーニはカメラの準備を」

 

PiPiPiPi

 

 

「ん?俺のスマホからだ?誰だろう?」

 

メールが来たので見てみると

 

Pi

 

『すまないけど、僕の部屋に来てくれないかな?君に直接話したいことがあるんだfromアラン』

 

「アランのヤツ。何か情報を掴んだのかな?」

 

「どうした斗真?」

 

「いや、こっちの話だ。悪いけど後は任せていいかな?俺は今からアランと話をしないといけないから」

 

「おう。構わねえぞ」

 

「すまない」

 

そして俺は部屋を出るが、部屋の前には鉄人先生が見張っていた為止められそうになったが、学習室に忘れ物をしたので取りに行きたいといったらあっさりOKしてくれた。俺は日頃明久達みたいにバカやってない為ある程度の信頼はされていたから何とかやり過ごすことができたのだ。

 

 

 

 

 

「で、何か掴めたのか?」

 

俺は今アランが泊まっている部屋の中におり、そこにはアランだけじゃなく愛子もいた。

 

「うん。実はね、真犯人らしき人物がわかったんだよ」

 

「! それは本当か!?」

 

どうやら覗きを行う前に解決できるかもしれないぞ

 

「それについては工藤さんから話してもらうよ。工藤さん、斗真に説明してあげて」

 

「は~い。実はね斗真君。君に頼まれた件についてなんだけどー」

 

「どうなんだ?」

 

「それがねー」

 

数分後

 

「そうだったか。確かに“彼女”なら明久を妬む動機もあるし、最初に感じた疑問にも説明がつく」

 

「え?最初に感じだ疑問って?」

 

「脅迫文の内容には『あなたの側にいる異姓にこれ以上近づかないこと』って書いてあったんだ。それを聞いた時、最初は男子かと思ったけど、ムッツリーニから得た情報だと犯人は女子だって言ってたから同じ女子を男子から遠ざけるのに理由がなんでなのか分からなかったからな」

 

「確かにね。そうすると、女子風呂に仕掛けてあるカメラはおそらくその人が個人で鑑賞する為に設置してあるだろう」

 

「そうなると後は証拠を掴まないといけないんだが、愛子悪いけどアレを貸してくれないか?」

 

「アレって?」

 

「ああ。それはなー」

 

 

 

 

 

アランの部屋で情報を得て、愛子からあるものを貸してもらった後。俺はすぐさま自分の部屋に戻っていくと

 

「・・・・・・何で鉄人先生が口から泡を出して倒れているんだ?」

 

部屋の入り口の前には鉄人先生がうつ伏せにしかも口から泡をブクブクと出しながら倒れていたのだ。

 

「・・・・・・まさかね」

 

俺はこの件に関してはおそらく彼女が関わってると思い、部屋の扉を開けてみると

 

「あ、斗真。戻ってきたんだね」

 

「おかえりなさい。東條君」

 

俺の予想通り、部屋には姫路さんがいて、何故か明久と一緒に浴衣を着て写真撮影をしていた。

 

そして俺は浴衣を着て待機している秀吉に近づき小声で聞いてみる

 

(秀吉、さっき鉄人先生が倒れてたんだが・・・・・・)

 

(うむ。姫路が持ってきたお菓子を食べたそうじゃ)

 

(・・・・・・やっぱりな)

 

さっきの鉄人の様子からみて数分はあの状態でいるだろう。となると後はここで写真撮影をするだけだな。

 

「なあ秀吉。この際ムッツリーニに俺と秀吉のツーショット写真も撮ってもらおうか」

 

「ワシは良いのじゃが。これがもし姉上に知られでもしたら・・・・・・」

 

「大丈夫だ。優子だって俺と秀吉の交際を認めてるから問題ないよ。それにこういう機会は滅多に来ない以上撮らないわけにもいかないし」

 

「う、うむ。斗真がそう言うのなら撮ってもらうぞい」

 

「よし決まりだね。お~い、ムッツリーニ。明久と姫路さんの撮影が終わったら、次は俺と秀吉を撮ってくれないか?勿論報酬は後日渡してやるからさ」

 

「・・・・・・・・・・毎度あり」

 

ちょろいなムッツリーニは。まあ、こうして俺と秀吉も、その場で写真撮影をしてもらい一生の思いでを残したのであった。




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