強化合宿四日目の朝
「ふぁ・・・・・・あふ・・・・・・」
「流石に眠いぞこら・・・・・・」
「大丈夫かお前ら?」
明久達は昨日の夜、部屋に入ってきた女子達を逃がす為に鉄人先生と逃走劇をしたものの。逃げ切れずに捕まってしまい朝まで指導を受けていたからか、今にも寝てしまいそうな顔をしている。
「お主ら、災難じゃったのう・・・・・・」
「まあお陰で女子達は逃げ延びることができたから良かったものの。今夜はやっていけるか不安だな」
「でも災難といえば災難だったかもーふわぁぁああ~」
不味いな。今日は最終日だから上手くいくか心配だな。自習時間の後は昼から点数を補給しないといけないんだが果たしてどうなるやら。
「弱ったのぅ。お主らがそんな様子ではこんやはとても・・・・・・」
「とりあえず空いてる時間を見つけて仮眠を取っておかないと今夜は難しいぞ」
「別に、全く寝ていないわけじゃないから、気合さえ入れば目が覚めると思うけどーふわぁ~」
明久は大きな欠伸をしながらそう言っているけど、目の前にある朝食を目にせず今にも寝てしまいそうなんだが。
「俺もダメだ・・・・・・。全然気合が入らーふおぉぉおっ!?」
「どうした雄二?急に気色悪い声を出して」
さっきまでダルそうにしてたのに一体何を見たらそんな反応をするんだよ。
「・・・・・・・・・・効果は抜群」
「あ、ムッツリーニ。おはよう」
明久の後ろにはムッツリーニがおり、先程雄二に見せた何かを持っていた。
「ムッツリーニ。雄二に何を見せたんだ?」
「えらく興奮しておるように見えるのじゃが」
「・・・・・・・・・・魔法の写真」
ムッツリーニにしては珍しく、誇らしげに胸を張っているな
「どれ、ワシらにもその写真を見せてくれんかの?」
「一体何を見たらああなるんだ」
「・・・・・・・・・・(スッ)」
手にしていた写真を手渡され、俺達はその写真を明久と秀吉の間に置いて見てみることに。
「魔法の写真だって?何を言ってるんだか。僕らももう高校生なんだし、たかだか写真程度で気合が入るわけがふおぉぉおっ!」
「言ってる側から興奮してるだろうが明久」
「ほぅ。これはまた・・・・・・」
ムッツリーニが見せてくれた写真の一枚目には、昨日撮影した姫路さんと秀吉の浴衣姿が写っており。
姫路さんと秀吉が恥ずかしそうに上目遣いをし、浴衣姿でツーショットで色っぽく少し胸元が開いているその姿はあまりにもいい出来だったのだ。
「僕、生きていて良かった・・・・・・!」
「いや大袈裟すぎるんだが」
「明久。二枚目は何が写っておるのじゃ?」
「えっと・・・・・・」
渡された写真を捲ってみると
「・・・・・・ムッツリーニ。いつの間にこんなもんを撮ってたんだ?」
そこには浴衣姿で迫る霧島さんとハーフパンツ姿の島田さん。そして浴衣姿で胸元を開けている優子が写っていた。ああそうだった。あの時ムッツリーニはカメラを構えていたからその時に撮影してやがったな。
「す、凄いっ!これも凄いよムッツリーニ!今度はキミを心から尊敬している!」
「確かに凄いのう・・・・・・。うまく明久と雄二と斗真が写らんような角度で撮ってあるし、もはやプロの業じゃな」
「俺達が迫られている時によくこんな写真をとれたもんだ」
まるでグラビア写真みたいに上手く撮ってある。全員が浴衣姿じゃないが、あの島田さんでさえ、健康的ながらも色気を出してるように見えるしな。
まさかコイツがここまでの技術を持っていたなんて大したヤツだよ。
「して、三枚目は?」
「あ、うん。三枚目はー」
更に写真を捲り、見てみると・・・・・・ちょっと待て?
「・・・・・・・・・・綺麗に撮れたので印刷してみた」
「何で明久がセーラー服を着てるのか気になるんだが」
そう、三枚目に写っていたのはセーラー服を着ている明久であった。明久、お前は鉄人から逃げてる間に何をしていたんだよ。
「放して秀吉!このバカの頭をカチ割ってやるんだ!」
「落ち着くのじゃ明久!よく撮れておるではないか!」
秀吉が明久を羽交い絞めにして抑えている。いつの間にこんなものを撮っていたのか気になるが
「驚いたぞムッツリーニ。まさかここまで凄い写真を撮るとは」
「最後の一枚で台無しになったがな」
目に輝きを取り戻した雄二がムッツリーニを労っていた。あまり女子に興味を示さない雄二ですらこの反応をするぐらいだから男子が見たら興奮するだろう。
「これで増援も期待できるというわけじゃな」
「言い方を変えれば、自制心が無さすぎるとも言えるけど」
「それは言わないでよ斗真」
まあとにかく、秀吉の言うとおり、これを見た男子はおそらく立ち上がってくれるだろう。
「・・・・・・これ、他の皆にも見せないとダメかな?」
明久。それを猫ババする気じゃないだろうな
「明久。俺たちの目的を忘れるな。対局を見誤る人間に成功はないぞ」
俺達がやろうとしてるのは世間から見たらただの覗きだから言ってることが大袈裟な気がするが
「う・・・・・・。それはそうだけど・・・・・・」
「明久、今は躊躇ってる場合じゃないぞ」
「ごめん。確かに間違えていた。この写真は目的の為の手段だし、そんな未練は断ち切る。後でムッツリーニに1グロスほど焼き増ししてもらうだけで我満するよ」
「1グロスは多すぎだろ」
「未練タラタラじゃな」
「我満すらできてないだろうが」
「・・・・・・ほっといてよ」
「よし。それじゃ早速ー」
雄二がどこからかペンを取りだし、写真の裏に荒々しく書き殴った。
『この写真を全男子に回すこと。女子及び教師に見つからないよう注意!尚、パクったヤツは坂本雄二の名の下に私刑を執行する』
なるほど。確かにそうしておかないと回してる途中で誰かに盗まれてしまうからな
「おい須川。コレを男子に順番に回してくれ」
近くで朝食を食べていた須川に写真を渡す。それを受け取った須川は疑問符を浮かべていたが
「ふぉおおおおおおーーーっ!」
気色悪い声を出しながら覚醒した。
「ところで雄二。僕の写真はきちんと抜いておいてくれた?」
「安心しろ。あんなものを流したら士気がガタ落ちだからな。キッチリ抜いておいた」
「そっか、それは良かったよ」
「それ以前にあんなもん誰だって見たくないしな」
「うん?ムッツリーニ。お主、他にも写真を持っておったのか?」
秀吉がムッツリーニの手にある二枚の写真に目を留めていた。何が写ってるんだ?
「どれどれ、何が写っておるー」
写真を見た秀吉は何故か顔を赤らめはじめる。
「どうした秀吉?」
「僕にも見せてよ」
秀吉が受け取った写真を隣から覗き込んでみると
セーラー服姿の明久(WITHパンチラ)
優子を胸元に抱きしめる俺
「・・・・・・・・・・思わず撮ってしまった」
「ムッツリーニ。何でこんなもんまで撮ってやがるんだ!」
「放して秀吉!コイツの脳髄を引きずり出してやるんだ!」
「見ておらん!ワシは何も見ておらんから落ち着くのじゃ!」
なにはともあれ、俺達の気力は極限に達したのであった。後ムッツリーニが持っていた俺と優子の写真はその場で没収した。
「で、Aクラスの様子はどうだった?」
「皆興奮していたみたいだから、参加すると見て間違いなさそうだね」
「あははは。本当に男子って純情ね」
「写真如きで覗きをしようとするなんて、自制心がないのかしら」
現在昼休みになっており、俺は大食堂前の廊下で優子と愛子、そしてアランと今夜の事について話をしている。
「しかし坂本君には驚いたよ。まさか、あんな手を使って皆を鷲掴みにするとは大したものだよ」
「ああ。俺だってまさかムッツリーニがあそこまで出来のいい写真を撮るとは思ってもいなかったしな」
「ねぇねぇ斗真君。ムッツリーニ君が撮った写真を持ってないかな?どんなものが写ってるか見せて貰いたいんだけど~」
「愛子。今更そんなもの見たって何になるのよ」
「だってぇ~、気になるじゃない」
愛子はムッツリーニがどれ程の写真を撮ったか気になっているみたいだが、生憎先程の写真は雄二の手元にある為見せることはできないんだが・・・・・・
「そういえば、ムッツリーニから没収したヤツが一枚あるんだが」
「え?何々ー?どんな写真かな?」
「イヤ、これを見せるのはちょっと・・・・・・」
今右のポケットに手を突っ込みあの写真を取り出そうか戸惑っている。
「どうした斗真?余程見せられないものが写ってるのかい?」
アランの予想通りその写真には見せようにも写っているものがものだけに、どうしたらいいか迷っていると
「あーもう!持ってるなら見せなさいよ!」
「あ!待て優子!その写真はー」
優子が苛立ち、俺から引ったくるようにポケットから写真を取りあげ、その場で見る。
「・・・・・・・・・・」
今朝の秀吉と同じように顔を赤らめる優子。
「あ、・・・・・・優子。それは・・・・・・その・・・・・・」
「え?何々?何が写ってー」
「おやおや大胆なことをするね斗真」
それを愛子とアランに見られてしまい、優子はというと
「イヤあぁぁぁぁぁあっ‼」
恥ずかしさのあまり絶叫するのであった。
「痛たた。いくら撮られたのが恥ずかしいからって、俺にビンタすることねえだろうが・・・・・・」
「うるさい!こんなもん撮られたなんて恥ずかし過ぎて顔から火が出てしまうわよ!」
あの後俺は優子に強烈なビンタをされてしまい、顔に紅葉ができていた。
「で、Aクラスは協力はしてくれると見て間違いないんだなアラン?」
「おそらくそうだろうね。ただ彼が動いてくれないことにはー」
「彼?・・・・・・ああ。アイツか」
アイツには女子の写真は意味ないからな
「何しろ男子達のリーダーは僕じゃなくて彼である以上何らかのきっかけがあるといいんだがね」
「つまり動くかどうかはアイツ次第ってことか」
「でも本当に大丈夫なの?ここまで大騒動になってしまったら、女子が入りたがらないと思うけど」
「仕方ないだろ。ここまで来たからには止めるとこはできないんだし、適当にやり過ごす他ないんだよ」
「はあ、こんなこと学園長に知られでもしたらヤバイんじゃないかしら?」
「大丈夫だ優子。あの婆さんがこんな所に来るわけー」
「アタシがなんだってクソジャリ?」
「ん?ゲッ!?何でババァがここに!?」
「出会い頭に罵倒かい!このクソジャリが!」
「す、すみません学園長。斗真にはアタシからキツく言っておきますのでご許しを」
噂をすればババァこと学園長がここに来ており、ババァと言った俺に対し激怒する。このババァには清涼祭で散々な目に遭わされたからこれくらいは別にいい気がするが
「申し訳ありません学園長。ですが学園長であるあなたが何故ここに?」
「ふん!アタシはただ視察しに来ただけだよ」
「そうでしたか。しかし、遠路はるばる御苦労様です」
アランは俺とは違い丁寧に返事を返す。
「で、アタシがなんだって言うんだい東條?」
「あ~、実はですねー」
説明後
「全く、あのクソジャリどもが。こんな所に来てまで騒ぎを起こすなんざ何を考えてるさね」
「大丈夫ですよ学園長。防衛には教師達も着いてますので、決して覗かれるようなことはありませんので」
「そうですよ。ですからここは安心してください」
学園長に心配ないよう伝えるアランと優子。まあ、本来の目的は別にあるから仕方ないんだが
「そうかい。なら安心するね・・・・・・。そうだ。東條、ちょっといいかね?」
「ん?何ですかババ━痛だだだだ!」
「斗真!」
「本当お似合いのカップルだねアンタらは。それはそうとアンタにはこれを渡すさかい、今夜にでも試してみな」
「ん?これって、腕輪じゃないですか。見たところ明久達が持ってる『白金の腕輪』に似てますけど」
「当然だよ。それは吉井が持ってる二重召喚用のプロトタイプだからね。吉井のとは違って高得点者でも扱えるが制限時間があるから使う際は考えておくんだよ」
「そうですか。それじゃあ、ありがたく使わせて貰いますよ」
「良かったじゃないか斗真」
「さて、アンタら、今夜は本当に大丈夫なんだろうね」
「大丈夫ですよ。悪いようにはしませんので(笑)」
「斗真。君が言うと録でもないことになりそうな気がするが」
「全く。ちゃんとしてよね」
こうして昼休みが終わり、俺達は点数を補充する為に回復試験を受けはじめたのであった。
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