バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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ここ最近仕事が忙しく疲れが溜まっていて中々更新できませんがよろしくお願いします。


第四問 策略

島田さんの誤解が解けた後の昼休みになった後。俺は優子と一緒に食堂に来て昼飯を食べている。

 

「ってなことがあって、なんとかDクラスとの試召戦争は回避できたってわけだ」

 

「そうだったの。相変わらず身勝手なことをするのね清水さんは」

 

「いくら勘違いとはいえ、明久が島田さんと親しげにしているのが気に食わない。という理由だけで試召戦争を起こされたら何も関係ない奴らからしたらいい迷惑だってのによ」

 

「でもアタシが聞いた話だと他の女子達も斗真達に仕返しをしたいって思ってる人が多いみたいよ」

 

「まあ、確かに女子からしたら俺達は覗き騒動を起こしたんだし。恨まれるのは仕方ないよ。でもあれはカメラを仕掛けたという冤罪を晴らす為にやったんだけどな」

 

「それは言わなくても分かってるわよ。吉井君達が覗きをする原因を作ったのは清水さんだし、斗真だって吉井君達を助けようと思って協力しただけなのに、清水さんは反省するどころか、斗真を逆恨みしていて今にも復讐しようとしているなんて本当呆れるわね」

 

「試召戦争に関しては何とかなったから良いものの、他にも俺達を狙っている奴がいるのは間違いないからどうしたものか」

 

「ねぇ斗真。アタシに何か協力できることはないかしら?」

 

「いや、気持ちだけで充分だよ優子。この問題は俺達Fクラスだけの話だから何も関係ない優子達には迷惑かけたくないしな。一応聞くけどAクラスの女子達は俺達を恨んだりしてはー」

 

「大丈夫よ。アタシと愛子が代表に事情を説明したら納得して女子達を説得してくれたわ。代表も誤解とはいえ坂本君を痛めつけた事に責任を感じていたから、斗真達に仕掛けるなんてことはしないから安心して」

 

「そうか。すまないな優子。何から何まで面倒かけてよ」

 

「別にいいわよ。だって斗真は何も悪いことをしてないのにとばっちりを受けるなんてあんまりだからね」

 

「サンキュー優子。彼氏としては鼻が高いぜ全く」

 

「そこまで大袈裟に言わなくていいけど、誉め言葉として受け取っておくわ」

 

そうして優子と楽しく食事を取っていると

 

「・・・・・・・・・・(トントン)」

 

「ん?ムッツリーニじゃないかどうしたんだ?」

 

肩を叩かれ振り向くとムッツリーニが立っており、何か話しをしに来たみたいだ。

 

「まさか俺が優子と一緒に食事してるのが気に入らないからFクラスにチクるってか?」

 

「・・・・・・・・・・違う。一刻を争う状況になったから来ただけだ」

 

「その様子だと本当みたいだな。で、どんな話なんだ?」

 

「・・・・・・・・・・今度はBクラスが宣戦布告してくる可能性が浮上してきた」

 

「Bクラスだと?・・・・・・あの野郎、この機会に生じて自身の立場を回復させる為に俺達を利用しようってところか。いかにもあの野郎が考えそうな事だ」

 

「・・・・・・・・・・どういうことだ?」

 

「ねえ斗真。それは一体どういうこと?」

 

ムッツリーニと優子は俺の考えてることがわからなかったからか尋ねてくる。

 

「ムッツリーニ。その件については後で雄二が教えるだろうからさっきの話をすぐに教えてやれ。俺も昼飯食べ終わったらすぐに向かうから」

 

「・・・・・・・・・・了解」

 

ムッツリーニはその場を離れ、Fクラスへと向かっていった。

 

「ねぇ斗真。どういうことか教えてよ」

 

「今から説明するよ。さっきのムッツリーニが得た情報によるとBクラスが俺達に宣戦布告をしてきそうってのは分かってるよな?」

 

「ええ勿論よ。でもそれに何の意味があるっていうのよ?」

 

「Bクラスの代表はあの根本だ。アイツは四月に俺達と試召戦争した際卑怯な手を使ったにも関わらず負けてしまった上覗き騒動に参加したからクラス内での居場所は無いに等しいんだよ」

 

「言われてみればそうね」

 

「そこでだ。覗き騒動で女子に恨まれている状況を打開する為に女子の怒りの矛先を俺達Fクラスに向けようってわけ。今の俺達は補充試験を受けてないから点数が無くてそこを突けば前回みたいに負ける可能性がないからな」

 

「それが何になるっていうのよ?」

 

「要は覗き騒動を起こしたFクラスに勝利して女子の怒りを沈めると同時に自身の発言力を取り戻すのが奴の狙いなんだよ。そうすれば根本は代表として表だっていられるからな」

 

「呆れた。弱っている隙を狙って勝とうとするなんて代表としてふさわしくないわね」

 

「となるとそれをどうやって回避するかだが・・・・・・」

 

「だったらアタシが代表にお願いして、Bクラスに宣戦布告のフリをして来ようかしら?」

 

「いいのか優子。それをして一体Aクラスにとって何の得になるんだ」

 

「だって根本君のやり方はアタシだって気に食わないしね。それくらいなら代表も許してくれるから協力してあげても構わないよ」

 

「じゃあお願いしようかな。後で何かAクラスにはお礼しておこうか。例えば雄二を霧島さんに差し出すとかしてさ」

 

「それなら代表は大喜びするわね。きっと」

 

雄二には悪い気がするが、ここは俺達の為だから許してくれるわけ・・・・・・ないか

 

「じゃあ俺はFクラスに戻るから後はよろしく頼むぜ優子」

 

「じゃあね斗真。また放課後に会おうね」

 

俺は食器棚に皿を戻した後、Fクラスに戻る。

 

 

 

 

「雄二。ムッツリーニから聞いたBクラスの件についてだがー」

 

「ああ。さっき明久の写真がどうだかの下らないやりとりをしていたが、何とか理解して貰えたぞ」

 

「そうか」

 

「ちょっと!?下らないやりとりって酷くない!?」

 

「今は黙ってろ明久。とりあえずこの状況を打破するにはどうするか考えないといけないかだ」

 

「雄二。それについてなんだが、さっき優子と昼飯を食べている時に優子に説明したら、宣戦布告のフリはしてくれるって言ってたぞ」

 

「何?本当か?」

 

「ああ本当だ。まあ結局は時間稼ぎにしかならないから後はどうするかだが」

 

「そうなると、ちょっとやそっとの理由では戦争は回避できんじゃろうな。常日頃ならともかく、今のワシらは点数補充ができておらん。こんな絶好の機を逃す手はあるまい」

 

「こっちには万全の状態で戦えるのが女子二人しかいない以上。どうあがいてもBクラスに勝つのは難しいな」

 

「して、どうするのじゃ雄二?今からでもテストの申請をして午後は点数補充に費やすのかの?」

 

「そうだね。それしかないよね」

 

俺達Fクラスと違って、向こうは半数が女子だ。残った半数の男子も午前中から補充試験をやっている。クラスのほぼ九割が男子の俺達が今から補充試験をしても焼け石に水なんだが

 

「・・・・・・いや、余計なことはしない方がいい」

 

「え?」

 

雄二は点数補充を却下する

 

「どういうことじゃ?点数補充もせんでBクラスに勝てる策があるとでも?」

 

「いや、Bクラス相手にこの状況で勝てると思うほど俺は楽観的じゃない」

 

「けど、それなら点数補充もしないでどうするのさ」

 

勝てない状況にも関わらず、雄二は何を考えてるんだ?

 

「まずは時間を稼ぐ。Bクラスに宣戦布告されるまでの時間を」

 

「時間稼ぎ?そんなことをして何の意味があるの?」

 

「まさか雄二。他のクラスから宣戦布告してもらうつもりじゃないだろうな?」

 

「ああ斗真の言う通りだ。いいか?Bクラスに宣戦布告をされたら、俺たちはBクラスと戦うことになる。そうなると俺たちは100%負ける。だが、今はまだ宣戦布告を受けていない。つまり、まだ戦争を回避できる可能性があるってことだ」

 

「でも、さっき秀吉が言ったように根本君には戦争をする理由が沢山あるんだよ?とても取りやめてくれそうにないけど」

 

「ああ。だからさっき斗真が言ったように他のクラスから宣戦布告して貰うんだ」

 

「幸いにも試召戦争では一対一しか認められてないから他のクラスから宣戦布告をされた以上Bクラスは俺達に何も手出しはできないってことだ」

 

「それと斗真の言った事に何の関係があるの?」

 

「他のクラスと戦った後。俺達は点数を回復させる期間が与えられるってことだ明久」

 

「なるほど。その間はBクラスから宣戦布告はされずに済むし、戦争後は点数補充をすることができるから、ということじゃな」

 

「その通りだ」

 

試召戦争の細かなルールの一つとして、一つの戦争が終わった後の点数補充というものがある。例え連戦になるとしても、一つ戦争を終える度に消耗した点数を補充する期間をもらえる。このルールがないとどんなクラスでも戦争に簡単に負けてしまうからだ。

 

「先の戦いでは疎ましいと思ったルールじゃが、今回はそのおかげで助かりそうじゃな」

 

秀吉の言う通り、このルールがなければ俺達は前の試召戦争でAクラスを簡単に落とすことができたかもしれん。今はそのルールに助けられるかもしれないのでありがたいな。

 

「しっかり点数補充をして俺たちにBクラスと戦うに足る力があれば、向こうだって戦いを挑んできたりはしないはずだ」

 

「俺達が万全の状態になっていると分かれば根本も流石に手を出さないに決まってるよ」

 

「じゃが、その相手はどうするのじゃ?ワシらからは例のペナルティで戦争を仕掛けることはできん。どこかのクラスに攻め込まれるしかないのじゃが」

 

「Cクラスは一度Aクラスに負けているから俺達と同様宣戦布告はすることができないし、Eクラスには俺達に戦争を仕掛ける動機がない。となると残されたのはDクラスしかないってところか」

 

「ああ。お前の言う通り相手はDクラスだ。ヤツらに宣戦布告をさせて、その戦争をやり過ごして点数補充を済ませる。Bクラス相手なら危険だが、Dクラス相手なら勝つとまではいかなくても負けない程度の勝負は不可能じゃない。幸いにも、アイツらも開戦派と非開戦派の論争で点数補充を終えていないからな」

 

もしそうなるとすれはDクラスの主戦力は大半の女子だけだ。Bクラスよりかはやりやすいだろう。

 

「じゃが雄二。勝算があるのなら、なにゆえDクラスとの勝負をしなかったのじゃ?」

 

雄二の言葉に引っ掛かったのか、秀吉が首を傾ける。

 

「違うぞ秀吉。勝算はない。ただ、負けない勝負ができるというだけだ。勝つことができないので、ひたすら引き分けの為に戦う。そんな面倒なこと、やらないで済むなら、やりたくないだろう?」

 

「あれ?でもさっきの話だと、やっぱり戦争はするんだよね?だったらなんで午後を点数補充に使わないの?」

 

「お前の耳は飾り物か?さっきのムッツリーニの情報を思い出せ」

 

「ムッツリーニ!一枚100円は安すぎるよ!秀吉は500円なのに!?」

 

「お前は一体何を思いだしたんだ明久?それに秀吉が500円って、何勝手に秀吉の写真を売ってるんだよムッツリーニ」

 

「ほほぅ。500円か・・・・・・。二人とも、ワシの写真について少々話を聞かせてはもらえんかの?」

 

「・・・・・・全て秘書がやったこと」

 

「そんな政治家みたいな!」

 

「お前ら全然危機感抱いてないだろ」

 

「全く、本当に大丈夫か」

 

俺と雄二は呆れているが、時間がないため雄二が話を続ける。

 

「さっきの情報で、根本は『こちらの動きを気取られたら即座に宣戦布告を行う』って言っただろう?」

 

「ああ、そっちね。うん。確かに言っていた」

 

「つまり向こうは俺たちが向こうの動きに気がつくまでは点数補充を続けるつもりだ。これは逆に言うと、連中の点数補充が終わるか俺たちが向こうの動きに気づくまでは宣戦布告をしてこないということになる」

 

「今でも充分に勝てる筈なんだが、Bクラスは一度俺達に敗れているからそれなりに警戒をしているってところか。それに、根本のヤツも点数がない以上もしものことがあるから、点数を補充しておかないと不安みたいだしな」

 

「ふむ。ならば、明日までは猶予がありそうじゃな」

 

「そうなの?今日中に攻め込んでくる可能性はないの?」

 

「そういえば、今朝鉄人先生が『試験召喚システムはメンテナンス中で明日までは試召戦争ができん』って言ってたから今日中に宣戦布告される可能性はないな」

 

「えーっと、話が長くなったけど、要するに僕らはこれからどうするの?」

 

「勿論Dクラスからの宣戦布告を受ける為の工作を始める。期限は今日一杯。それが出来なければ俺たちはみかん箱とござの教室に逆戻りだ」

 

「わかってると思うが、もしそうなってしまえば今度は間違いなく姫路さんが転校してしまうから失敗は許されんぞ」

 

「そうだね。それだけは何としてでも阻止しないといけないね」

 

「具体的な案はどうなのじゃ?」

 

「今朝の一件を利用する。明久と島田をくっつけて清水を焚き付けるんだ」

 

「え?でも、あの話は誤解だって」

 

「事実はこの際置いておこう。お前と島田はこのクラスの為に仲睦まじい恋人同士を演じるんだ。清水が嫉妬に狂うほどにな」

 

「えぇぇっ!?そんなの無理だよ!美波はあの話で思いっきりヘソ曲げちゃってるんだよ!?」

 

「無理でもやるしかないんだよ明久。他に方法がない以上どうしようもないからな」

 

「演技に関しては秀吉に任せる。台本なんかも用意できるようなら頼む」

 

「了解じゃ」

 

「ムッツリーニは情報収集及び操作、俺と斗真は作戦が成功した時の為に対Dクラス戦の用意を始める」

 

「・・・・・・・・・・わかった」

 

「さて、そうと決まれば呑気に飯を食っている暇はないぞ。姫路と島田が教室に戻ってき次第行動開始だ。ムッツリーニ。この教室の盗聴器は無力化されているんだよな?」

 

「・・・・・・・・・・大丈夫」

 

「な、なんてことに・・・・・・」

 

 

雄二から説明を受けた後。俺達はDクラスからの宣戦布告を受ける為、島田さんに協力を求めることになったのだった。

 




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