バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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今回から期末試験編です。


期末試験編
第一問 メール


「ってなわけで、明久と島田さんはより距離が縮んだんだよ」

 

「そうだったのね。でもそれを清水さんが見過ごしたりするのかしら?」

 

「それについては問題ないぞ姉上。清水は島田に盗聴器を仕掛けていたのが斗真にバラされてからは教師による監視が厳しくなったからの」

 

「そういうことだからしばらくの間、彼女は大人しくなるよ」

 

「そうなんだ。それじゃあ斗真。次はアタシの背中を流してよ」

 

「了解」

 

 

その日の夜。秀吉と優子が俺の家に泊まりに来ており、俺は今二人と一緒に風呂に入っている。

この前の強化合宿以降、二人は俺の家に泊まりに来ては、こうして一緒に入浴する機会が増えているが、もし二人と一緒に風呂に入っていることがFクラスのヤツに知られでもしたら、俺は只では済まされないだろう。

 

 

「それに、清水さんが監察処分者になっているのを利用してこの前の試召戦争でそれなりの痛みを与えたから、しばらくは問題を起こしたりはしないよ」

 

「うむ。清水は島田に仕掛けていたのが本人に知れわたって以降距離を置かれてしまったからな」

 

今浴槽に浸かりながら俺に話し掛けてきたのは秀吉だ。秀吉は男とはいえ、見た目が女の子に見えるから、こうして一緒に風呂に入る機会が増えてもドキドキするのは如何なものか。

 

 

「当分の間は大丈夫みたいね。それより二人とも、もうすぐ期末試験があるけど、しっかり勉強はしてるの?」

 

「ああ、アレか。俺は日頃勉強はしてるから問題ないけど、秀吉はどうなんだ?」

 

「う、うむ。まあ、なんと言ったらよいか・・・・・・」

 

「秀吉の反応からして、おそらくー」

 

「斗真。秀吉は演劇に夢中になりすぎて勉強を疎かにしてるわ。本当少しくらいはしておきなさいよね」

 

「し、しかしのう、姉上。この間面白い作品を見つけては思わず夢中に・・・・・・」

 

「あのな秀吉。俺達の目標は打倒Aクラスだろう。四月の一騎討ちで負けてから雄二や明久はそれなりに勉強をしているみたいだし、お前も学力を上げないといけないんだぞ」

 

「そ、そうじゃな」

 

「全く、それじゃあお風呂から上がったら、すぐにテスト勉強を始めましょうか」

 

「秀吉。わかってると思うが、後で徹底的に教えてやるから、覚悟しておけよ」

 

「わ、わかったのじゃ・・・・・・」

 

俺達三人は風呂から上がると、寝る時間までの間は秀吉に勉強を教えることとなった。

 

 

 

 

 

翌日の朝

 

ピピピピピ カシャ

 

「ふぁぁぁっ。・・・・・・もう朝か。さて、さっさと起きて仕度を・・・・・・」

 

ギュッ

 

「ん?」

 

目が覚めた俺は起き上がろうとしたが、何かに掴まれたので見てみると

 

「ううん・・・・・・斗真(俺の腕を掴んだまま寝ている秀吉)」

 

「すぅ・・・・すぅ・・・・(寝息を立てて寝ている優子)」

 

秀吉に腕を掴まれていた。そうだった、昨日の夜、俺と優子の二人で秀吉に勉強を教えた後、もう時刻は十一時を過ぎていて、そのままこの部屋で三人一緒に寝てしまったんだったな。

 

「二人とも。もうそろそろ起きないと学校に遅刻するぞ」

 

「ふぁーあ。おはよう斗真」

 

「う、うむ。もうそんな時間なのか」

 

「俺は下で朝食作るから制服に着替えて待っていて」

 

「「はーい」」

 

 

 

そして朝食を食べ終えた俺達三人は、一緒に登校していると目の前にいたのは・・・・・・裸Yシャツの雄二だった。

 

「なあ秀吉。今目の前にいる雄二が何か物凄く違和感ある格好をしている気がするんだが」

 

「そうじゃな。何故か雄二が制服の下に体育用の半ズボンを履いておるが、一体何があったのじゃろうか」

 

「あんま関わらない方がよさそうね」

 

「まさかとは思うが、あれはひょっとして・・・・・・」

 

「うむ。霧島の仕業じゃろう」

 

「代表と一体何があったのかしら」

 

そう話していると、雄二は俺達の話し声が聞こえたのか、俺達に振り向き近づいてきた。

 

「気づいてたんなら助けろよコラ!」

 

「ゲッ!変態がコッチにきた!」

 

「誰が変態だ!って言うか、木下姉だけじゃなく男の秀吉とも付き合っているお前にそんな台詞言われたくねぇよ!」

 

「なっ!?別にいいだろ!俺は二人を平等に愛してるんだしよ!」

 

「そうよ坂本君。アタシと秀吉は斗真がどういう人間か知っている上で付き合っているんだからそこまで言われる筋合いはないわよ」

 

「雄二よ。お主は一体何故そのような格好をしておるのじゃ?」

 

秀吉が雄二に尋ねると雄二はこう話す。

 

「何故って、こうなったのも全てあのバカのせいなんだよ!アイツが俺のスマホに変なメールを送ってな。それを見た翔子が勘違いして、俺はズボンを奪われる羽目にあったんだ!」

 

「あのバカ?ああ明久のことか。一体どういうメールが来たんだ?」

 

俺がメールの内容について聞こうとするが

 

『おい見ろよ。Fクラスの坂本が裸Yシャツで登校しているぞ』

 

『しかもこの前『羨ましすぎて殺したい男ランキング』で一位になった東條に迫っているぞ』

 

『ああ。それって確か、東條が木下姉妹と校内でいつもイチャイチャしているからランクインしたんだよな?』

 

『そのランキングの二位には今東條に迫っている坂本がランクインしているぞ』

 

『そりゃあ。あの坂本が美人で有名な霧島さんと一緒にいるからそうなって当然だしな』

 

俺と雄二を見てヒソヒソと話をしているヤツがいて、とても聞ける状況じゃなくなった。って、何で俺がそんな物騒なランキングで一位になってるの!?

 

「あー雄二。ひとまず、ここじゃ何だから、さっさと教室に行こうか」

 

「そうだな。とりあえず、テメェのズボンを寄越しやがれ!」

 

「なっ!?バカかお前は!?こんなところでそんな頼みが聞けるわけねぇだろうが!」

 

「うるせえ!とっとと寄越せ!んで持ってお前も俺と同じ屈辱を味わいやがれ!」

 

「できるか!くっ!仕方ない。秀吉、優子。悪いけど先に行っててくれ!俺はコイツを片付けてから行くよ」

 

「わかったのじゃ」

 

「じゃあ。また昼休みにね斗真」

 

二人が先に学校へ進んでいき、俺と雄二はその場でズボンを巡ってくだらない死闘を繰り広げることになった。

 

 

 

 

「おはよーーって雄二、どうしたの?何でズボンが体育用のパンツになっているの?」

 

くだらない死闘を繰り広げた後、俺と雄二はボロボロになりながら教室に入って数分後、明久が教室に来ると。

 

「テメェのせいだ明久!テメェのせいで俺は、下半身超クールビズ仕様で登校する羽目に・・・・・・!死んで償えこの野郎!」

 

「えぇぇっ!?いきなりどうしたの!?一体何があったのさ!?」

 

「黙れ!死ね!制服を寄越せ!」

 

明久は今朝のやりとりを知らないので困惑しており、どう返事をしたらいいか迷っている。

 

『おい、知ってるか、坂本の話』

 

『ああ。何でも裸Yシャツで登校してきたらしいな』

 

『まったく、流石としか言いようがないな・・・・すぅ。最近女装は見慣れてきたが、アレには度肝を抜かれたぜ・・・・・・』

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

どうやら今朝の一件は、もうFクラスのヤツらには知れわたっているみたいだな。

 

「雄二・・・・・・。何か辛いことがあるのなら、相談に乗るからさ・・・・・・」

 

「明久。雄二がこうなったのは、お前が原因みたいだぞ」

 

「え?そうなの?雄二」

 

「ああ。お前が送ってきたメールを翔子に見られたせいでズボンを奪われたんだボケ!」

 

すっかり興奮状態になってしまった雄二。事情を知らないヤツからしたら滅茶苦茶に聞こえるが

 

「何を言ってるのさ雄二。いくら霧島さんでも、男からのメールくらいでそんなことをするわけないじゃないか」

 

明久の言う通り。普通男友達から来たメールで怒る理由は見当たらないが

 

「いや。正直、お前の文章はかなり際どい感じだったと思うぞ・・・・・・」

 

「際どいって、どんなメールだったんですか?」

 

突然、俺達に話し掛けてきたのはこのクラスに三人しかいない女子『ワシは男じゃ!』失礼、二人しかいない女子の内の一人である姫路さんだ。

 

「別にただの頼みごとのメールのはずだけど?」

 

「ほほぅ。そう思うのなら、俺に送った文面を大きな声で読み上げてみろ」

 

「雄二。何もそこまでする必要は・・・・・・」

 

「? 別にいいけど?」

 

明久は雄二に言われた通りスマホを出して、雄二に送ったメールをその場で読み上げる。

 

「雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと・・・・・・帰りたくないんだ!」

 

「待て明久。何だそのメールは?文脈からして何か誤解を招きそうな内容になってるぞ」

 

ガラッ

 

明久が言った瞬間。教室の扉が開かれる。

 

「・・・・・・・・・・」

 

その扉の向こうにいたのは、島田さんだった。

 

「ウチにはアキの本心が全然わからないっ!」

 

「え!?何!?なんで美波は登場と同時に退場しているの!?」

 

島田さんは勘違いをして教室を走り去ってしまった。

 

「な、なんてことを言うんですか明久君っ!そういうことはもっと、その・・・・・・オトナになってからですっ!」

 

どうやら姫路さんも誤解をしてしまう。明久は雄二に泊めてもらうようメールを送っただけなんだが、言い方に問題があった為、姫路さんは明久と雄二ができてると思い込んでしまったようだ。

 

「相変わらず朝から賑やかじゃな・・・・・・。先ほど島田が教室から飛び出して行くとは。何があったのじゃ?」

 

島田さんとは入れ違いに、秀吉が教室に入ってくる。

 

「いや、別に何もないけど」

 

「なんじゃ。ワシに秘密かの?それはちと、寂しいのう・・・・・・」

 

「秀吉。別に大したことじゃないよ。島田さんは明久が雄二に送ったメールを聞いて変に誤解してしまっただけだよ」

 

「聞いてくれ秀吉。実はこのバカがこんな時間から公序良俗に反するような発言をしたんだ」

 

「明久・・・・・・。お主、朝っぱらから助平なことを言っておったのか」

 

「ち、違うよ!僕はそんなムッツリーニみたいな真似はしないよ!」

 

「・・・・・・・・・・失礼な」

 

すると、どこからか現れたムッツリーニがムッとした顔をしながら立っていた。

 

「おはようムッツリーニ。どうしたの?随分荷物が多いけど」

 

今ムッツリーニは両手に学校の鞄の他に何か大きな荷物が入っている袋を提げている。

 

「・・・・・・・・・・ただの枕カバー」

 

「枕カバー?そのわりには包みが大き過ぎない?」

 

「・・・・・・・・・・そんなことはない」

 

「いや、誰から見ても、明らかに不自然極まりない気がするんだが」

 

「・・・・・・・・・・失礼な」

 

ムッツリーニは首をブンブンと振って否定するが、コイツがこういう否定のポーズをする時は大抵何か隠し事をしているのは想像に固くないからな。

 

「ごめんムッツリーニ。ちょっと中身を見せてね」

 

「・・・・・・・・・・あ」

 

明久がムッツリーニから荷物を奪い取り、中身を見てみるとそこに入っていたのは

 

ー等身大の明久がプリントアウトされた白い布(セーラー服着用)だった。

 

「・・・・・・ムッツリーニ・・・・・・。何、コレ・・・・・・?」

 

「・・・・・・・・・・ただの抱き枕カバー」

 

「んなわけあるか。こんな気色悪い枕カバーを欲しがるヤツがいるわけないだろうが」

 

「ちょっと!それはどういうことか説明して斗真!後ムッツリーニ。枕カバーと抱き枕カバーには大きな隔たりがあるということをよく覚えておくんだ!っていうかどうして僕の写真なの!?」

 

「・・・・・・・・・・世の中には、マニアというものがいる」

 

「何を言ってるのさ!僕の抱き枕カバーなんかを欲しがる人なんてどこにもー」

 

コンコン

 

「失礼。土屋君はいるかな?前に頼んでいた枕カバーを」

 

明久が騒いでいる中教室に入ってきたのは、Aクラスの久保だった。

 

「あれ?珍しいね久保君。ムッツリーニに何か用?」

 

「まさか、この抱き枕カバーを注文したのは・・・・・・」

 

「ーー何でもない。少々用事を思い出したのでこれで失礼するよ」

 

久保は明久の顔を見るなりそそくさと去っていった。

 

「ムッツリーニ。久保とも取引していたのか?」

 

「(こくり)・・・・・・・・・・強化合宿以来、お得意様」

 

「ヤツめ、完全に吹っ切れたな」

 

 

久保の野郎。もう取り返しのつかない領域に達したか。

 

「はぁ・・・・・・。とにかくムッツリーニ。とりあえず、その抱き枕カバーはあとで没収するからね・・・・・・。作った分を全部回収して、写真を秀吉に変えて持ってきてよ・・・・・・」

 

「おい明久。何勝手に秀吉の抱き枕カバーを作るよう依頼してるんだ。秀吉は俺の彼女だぞ」

 

「明久よ。ドサクサに紛れてワシの抱き枕カバーを作るでない。後斗真よ、ワシは男じゃ」

 

「そうですよ明久君。人の物を勝手に取って、しかも改造するなんてダメです。・・・・・・一枚は私の分なんですし・・・・・・

 

姫路さん。君もムッツリーニに注文してたのか。

 

「ところで、先ほどのお主らの話は何じゃったかの?」

 

「あ。えっと、何の話をしてたっけ?」

 

「お前が雄二に変なメールを送った話だよ」

 

「そうだ。俺が明久にトランクス姿での登校を強要された、という話だ」

 

「明久、お主・・・・・・」

 

「雄二っ!わざと誤解を招くような言い方をしないように!」

 

「そうなるきっかけを作ったのはお前だろうが」

 

俺からすれば色々と突っ込みたい部分が飛んでいる気がする。

 

「まぁ、それは冗談だが・・・・・・。要するに、明久が送ってきたメールのせいで翔子が何かを勘繰って、それが原因で俺が酷い目にあったって話だ」

 

「メール?それは一体どういうことかの明久」

 

秀吉も明久を怪しむような目で見詰める。

 

「明久君の様子、ですか・・・・・・?そう言われて見れば、今朝はいつもより顔色がいいですね。制服も糊まで利いてパリッとしてますし、寝癖もないですし・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・明久らしくない」

 

「お前、最近何かあったのか?」

 

俺達が明久に問い詰めると

 

「た、たまにそういう気分の日もあるんだよ!それより、そろそろチャイムが鳴るよ!鉄人が来る前に席につかないと!んじゃ、そういうことでっ!」

 

「「「「怪しい・・・・・・」」」」

 

明久は俺達を無視して自分の席についたが、どうやらアイツ、俺達に何か隠し事をしているな。




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