バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

71 / 126
第四問 腕輪

「ーというわけで、プロトタイプの腕輪を返却した代わりに、この『黒金の腕輪』を貰ったんだ」

 

「そうじゃったか。しかし大丈夫なのか?前にお主から聞いた話じゃと点数が高すぎると暴走するんじゃー」

 

「それに関しては大丈夫だ秀吉。欠陥は直してあるみたいだから暴走する危険性はないよ」

 

「本当。どうして斗真達だけそんな便利な物を貰えるのかしらね」

 

「まぁそう怒るなよ優子。腕輪を使うからにはそれなりのデメリットがあるんだし、危険性を伴うから普通の生徒に渡すわけにはいかないんだよ。それに、学校側からしたら俺達は問題児の集まりだから、教師達からしたら俺達がどうなろうと構わないと思ってるだろうしな」

 

「斗真。それはあんまりじゃぞい」

 

「そうよ。斗真達は理由があって問題を起こしたんだから、そこまで言わなくてもいいじゃない」

 

「ああすまなかったな二人とも。さて、さっさと昼飯食わな昼休みが過ぎるし、いただくとしますか」

 

 

 

 

終業のチャイムが鳴り、放課後になった。

 

「雄二、斗真、ちょっといい?」

 

「ん?どうした明久」

 

「何か用か?」

 

「今日なんだけどさ、雄二の家に泊めてくれない?それで、期末テストの出題範囲の勉強を教えて欲しいんだ」

 

 

ザワッーー

 

 

明久が言ったその時、教室にざわめきが広がった。

 

『おい・・・・・・聞いたか、今の・・・・・・?』

 

『確かに聞いたぜ。俄かには信じ難いことだが・・・・・・』

 

『まさか、アイツらがな・・・・・・』

 

『ああ。まさかあの吉井と坂本が・・・・・・』

 

『『期末テストの存在を知っているなんて・・・・・・』』

 

お前ら、明久はそこまでバカじゃないからな。

 

「勉強を教えて欲しいだと?」

 

「うん」

 

「やれやれ・・・・・・。お前はまだ七の段が覚えられないのか」

 

「待って!僕は一度も九九の暗唱に不安があるなんて言った覚えはないよ!?分数の掛け算だってきちんとできるからね!?」

 

「ああそうか。三角形の面積の求め方に躓いているところだったよな」

 

「(底辺)×(高さ)=(三角形の面積)!いい加減僕をバカ扱いするのはやめなさい!」

 

「明久。後はそれに二を割らないといけないんだが」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ふぅ、やれやれ・・・・・・。雄二と斗真は人の揚げ足を取ることに関してだけは天才的だね」

 

「凄ぇ!その返しは流石の俺でも予想外だ!」

 

「返す言葉がおかしすぎるぞ」

 

俺達がくだらない言い争いをしていると

 

「あの、明久君」

 

姫路さんが鞄を手に抱えてこちらに近づいてきた。

 

「なに、姫路さん?」

 

「あのですね、九九の覚え方にはコツがあるんですけど、」

 

「言えるからね!?いくら僕でも九九くらいはきちんと言えるからね!?」

 

姫路さんに心配そうに声をかけられ、明久はショックを受ける。

 

「しかし、急にどうしたのじゃ?昼休みに斗真も言っておったが、明久が勉強なぞ、特別な理由もない限り考え難いのじゃが」

 

「そうだな。急に真面目になるからにはそれなりの理由があるとしか思えないが」

 

俺と秀吉が言った後、明久は姫路さんに意味深な目線を送る。

 

「いや、ホラ。さっき雄二が説明してたじゃないか。『試験召喚システムのデータがリセットされる』とか、『期末テストの結果が悪いと夏期講習がある』って。木刀と学ランなんて装備をそろそろ卒業したいし、夏休みも満喫したいし、頑張ってみようかな~、なんて」

 

「・・・・・・・・・・明久らしくない」

 

「そうね。アキがその程度の理由で勉強をするなんて思えないわね」

 

ムッツリーニと島田さんもやってきた。しかし、明久が勉強を教えてほしいって一言発しただけでここまで言われるとはな。

 

「あの、明久君。私で良かったら・・・・・・一緒にお勉強、しませんか?」

 

おずおずと言った感じで姫路さんが手を挙げる。教えるじゃなくて一緒に勉強をするってあたりは奥ゆかしい姫路さんらしいな。

 

「姫路さんの家に泊めてもらうわけにはいかないしなぁ・・・・・・」

 

「え!?明久君、私の家に来たいんですか?」

 

「あ、いやそうじゃなくて」

 

「そ、それなら、家に電話してお父さんにお酒を飲まないように言っておかないと・・・・・・。その・・・・・・、もし、ですけど、明久君がお父さんに大事なお話(、、、、、)があるのなら、酔っぱらちゃってると困りますし・・・・・・」

 

あ~姫路さん。明久は君のお父さんに娘さんをくださいって報告しに行くわけじゃないんですけど。

 

「まさか転校の話!?だとしたら説得に行くけど!」

 

「んなわけあるか。明久、姫路さんは変に誤解しているだけだ」

 

「転向、ですか?明久君のお家って、仏教じゃないんですか?」

 

「ほえ?何の話?」

 

「いえ、ですから、お家の宗教が違うことのお話を・・・・・・」

 

「???」

 

二人とも、話が噛み合ってないぞ

 

「たまに姫路の思考回路って明久と同レベルになる時があるな」

 

「そうじゃな。朱に交われば赤くなるといったところじゃろうか」

 

「・・・・・・・・・・似た者同士」

 

「そういったところは、お似合いのカップルだな」

 

俺達は明久を見ながらボソボソと言い合う。

因みに島田さんは分からない単語でも入っていたからか、頭にクエスチョンマークを浮かべている。

 

「それはそうと明久。朝から気になっていたが、どうして俺の家に泊まりたがる。自分の家に何かあったのか?」

 

「あーー、えっと、実は」

 

「嘘をつくな」

 

「急に勉強に目覚めてーーって、早いよ!まだ何も言ってないのに!」

 

明久は言わなくても嘘をついてるのは想像に固くない。

 

「まぁ、次の試召戦争のこともあるし、勉強くらい教えてやらんでもないが」

 

「え?ホント?」

 

「ただし、お前の家で、だ。その方がやり易いだろ」

 

雄二は言った後、小さな声で「我が家にはあの母親がいるからな・・・・・・」と呟いていた。前から気になっていたが雄二の母親ってどういう人なんだ?

 

「って、僕の家はダメだよ!今日はちょっと、その、都合が悪いんだ!」

 

「都合が悪いだと?何かあるのか?」

 

「う、うん。実は今日、家に改装工事の業者が」

 

「嘘つけ。本当なら今日はお前の家でボクシングゲームをやる予定だったろうが。改装業者が来るはずないだろ」

 

「じゃなくて、家の鍵を落としちゃって」

 

「それならマンションの管理人に一言言えば開けてもらえるはずだが」

 

「ちょっ、斗真。余計なこと言わないでよ。でもなくて、家が火事になっちゃって」

 

「火事に遭ったくせに弁当を用意してYシャツにアイロンをかけてきたのか?お前はどこまで大物なんだよ」

 

「あー、えーっと、他には・・・・・・!」

 

「いい加減にしろ。お前の嘘は底が浅いんだよ」

 

「ぐ・・・・・・」

 

ここまで焦る明久を見るのは初めてだ。しかし明久が何でそこまでして家に入れたくないんだ?ひょっとして、明久の家には

 

「わかったよ。今日はおとなしく家に帰るよ・・・・・・」

 

明久は鞄を担いで、立ち上がるが

 

ガシッ

 

「待つのじゃ明久。何をそこまで隠しておるのじゃ?」

 

秀吉が明久の肩を掴んで明久に問い詰める。

 

「うぇっ!?いや、別に何も!」

 

「何があるのかわからんが、このバカがそこまで隠そうとすることか・・・・・・。面白そうだな」

 

雄二はニヤニヤと嫌らしい目で笑う。

 

「よし。ちょっと確認しに行ってみるか」

 

「それもそうだな。どうして明久が家に入れたくないか気になるしな」

 

「ちょ、ちょっと雄二、斗真!?何言ってるのさ!?」

 

「そうね。何かアキの新しい一面が見られるかもしれないし」

 

「私も興味があります」

 

「・・・・・・・・・・家宅捜査」

 

「テスト期間で部活もないし、ワシも行ってみようかの」

 

いつものメンバーが明久の家に行こうと話が一致するが

 

「ダメだよ!今日は僕の家はダメなんだ! その、凄く散らかっているから!」

 

「あの、それならお手伝いしますけど?綺麗にしないとお勉強に集中できませんし」

 

姫路さんは優しそうに明久に声を掛けるが、明久はそれでも家に入れたくないからか、苦々しい顔をしている。

 

「でも、散らかっているのは2000冊以上のエロ本なんだ!」

 

明久はそう誤魔化すが

 

「片付けます!」

 

「全部処分するわ!」

 

「・・・・・・・・・・任せておけ(グッ)」

 

「しまった!更にムッツリーニの興味を煽る結果に!?もの凄い逆効果だ!」

 

「寧ろお前が大量にエロ本を所持してる時点でおかしすぎるだろうが」

 

「よし、それじゃ意見もまとまったことだし、明久の家に行くか」

 

「「「おーーっ」」」

 

「やめてーっ!」

 

明久は全力で抵抗はしたものの、結局雄二に首根っこを掴まれ皆に連行される羽目になってしまった。

 

ガラッ

 

「斗真。一緒に帰ろ・・・・・・どうしたの?坂本君が吉井君の首を掴んでるみたいだけど」

 

教室の扉が開き、優子が一緒に下校しようと声を掛けるが

 

「ああ優子か。今から皆で明久の家に向かうところなんだが、良かったら優子も一緒に来るか?」

 

「そうね。折角だしアタシもついて行こうかしら」

 

「じゃ、決まりだな」

 

優子も俺達と一緒に明久の家に行くことになった。

 




評価・感想をお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。