全員が揃ったことで、勉強会を始めてからどれだけの時間が経ったのだろうか。各々が苦手な科目や得意科目の点数を上げようと必死に勉強をしていた。
「えーっと、ここは確かー」
「斗真。この数式を解くにはここをこうして解くのよ」
「あ、そういうことか。本当に優子は教え方が上手だな」
「何言ってるの。斗真はコツを掴めばすぐに理解できるくせに」
「そうでもないさ。俺の場合は愛しの彼女から教わった方が実力が上がるんだけどな」
「気休めでもそういうことは言わないで」
「ごめんごめん。次からは発言に気を付けるよ」
「全く、今年はクラスが違ったけど、来年は一緒にAクラスになれるようにしっかり結果を出してよね」
「そうだな。優子には世話になってばかりだからいつかお礼をしてあげないと」
「だったら期末試験が終わったらアタシとデートしましょ。勿論斗真の奢りでね」
「言われなくてもわかってるよ」
「ありがとう。じゃあテスト勉強の続きを始めましょうか」
俺と優子が二人っきりで数学をしている一方俺の隣に座ってる明久はというと姫路さんに世界史を教わっており。二人の雰囲気は俺や優子から見ても仲睦まじく思えるほどだった。
「あ。ところで姫路さん」
「はい?」
「さっきも言ったんだけど、その・・・・・・きょ、今日はいつもと髪型が違うけど、どうしたのかなって思って・・・・・・」
「あっ。え、えっと・・・・・・、これはですね・・・・・・一応ポニーテールのつもり、なんですけど・・・・・・。慣れていないからうまくできなくて・・・・・・。へ、変ですか?」
「ううん! 全っっ然変じゃないよっ! 凄く似合ってるよ」
「そ、そうですかっ? 良かったぁ・・・・・・二時間もかけた甲斐がありましたぁ・・・・・・」
「二時間!?」
「なぁ優子。髪型をポニーテールにするのってそんな難しいことなのか?」
「瑞希は普段から下ろしているから多分慣れていないんじゃないかしら。アタシもたまに髪を結んでいるけど結構手間取ることもあるわ」
「成程。女の子はそれなりに苦労してるんだな。まぁ俺からすれば優子はどんな髪型をしても可愛いと思うけど」
「ば、バカ。恥ずかしいこと言わないでよ!」
「くっ! 木下さんとイチャイチャしてる斗真が羨まし、憎たらしいよ・・・・・・っ!」
「ふふっ。仲睦まじくて羨ましいですね。私もいつか明久君と・・・・・・」
「え? 姫路さん何か言った?」
「い、いいえ、なんでもないです。あ、あの・・・・・・。これからは毎日こうしてきますね」
「あ、いやっ。その髪型も似合うけど、やっぱりいつもの髪型が一番可愛いと思うよっ」
「明久の言う通りだな。姫路さんはポニーテールもいいけどいつもの方がお似合いだしさ」
「か、可愛い、ですかっ!? そ、そんな・・・・・・。お二人ともお上手です・・・・・・」
「あはは。別にお世辞のつもりはないけど」
「本当、明久には勿体ないくらい素敵だな姫路さんは。その優しさを優子に分け与えてほしいくらいだよ」
「斗真。それはどういう意味かしら?」
「待て優子。今のは冗談だから俺の頸動脈を掻っきろうとするのはやめてくれ」
「でも明久君の方が、私なんかよりよっぽど可愛いです・・・・・・」
「それは僕にとっては全然嬉しくない台詞だからね!?」
「瑞希の言ってることはアタシもわかるかも・・・・・・」
「木下さんも僕をそういう風に見ないで!?」
「明久。騒いでないで世界史に目を向けろ」
「斗真!今はそれどころじゃないから!」
俺達四人が楽しく話をしながら勉強していると、雄二とアランから国語を教わっている島田さんが姫路さんと仲良く勉強している明久を睨んでいた。
『おい島田。世界史の方ばかり見ていないで集中しろ。お前の国語は明久レベルなんだからな。せめて二桁は取れるようになってもらわないと二学期の試召戦争の時に困る』
『う・・・・・・。わ、わかってるわよ! でも、その・・・・・・世界史もちょっと自信がなくて』
『大丈夫だ。お前の世界史は全体から見れば酷いがFクラスとしては普通だ。それよりも弱点を強化しろ。お前は問題文が読めたら即戦力なんだから、暗記ものの世界史よりもこっちの方が効率的なはずだ』
『坂本君の言う通りですよ。島田さんはまだ日本語を理解する必要がありますから国語を中心にやっていきましょう』
『うぅ・・・・・・。 ウチは別に畳と卓袱台も嫌いじゃないのに・・・・・・』
『ワシも同感じゃ・・・・・・。姫路が転校せずに済むレベルの設備さえあれば充分じゃから、もう少し手を抜いても・・・・・・』
『ダメですよ。島田さんは必要最低限の日本語を読めるようにしないといけませんし、秀吉君に関しては「せめて三桁は取れるよう教えてやってくれ」と斗真から頼まれてるから手を抜くわけにはいきませんよ』
『如月の言うこともそうだが、俺達の目標は必ずAクラスに、翔子に勝つことだ!そうしないと、いつまで経っても俺の立場が変わらないからな!』
『勝っても変わらないでしょ』
『その通りじゃ、もう籍を入れるべきじゃ』
『例え勝ったとしても坂本君が代表に尻を敷かれるのは目に見えてますしね』
『くっ、てめぇら・・・・・・! まぁいい次の問題だ【『はべり』の已然形を用いた例文】を書いてみろ』
『『
『お前らちょっとそこに正座しろ』
『これは少し骨が折れそうですね』
島田さんと秀吉は駄洒落を言っては雄二にその場で正座され、アランも教えるのに一苦労するなと実感するのであった。
『ムッツリーニ君。さすがにこの問題はわからないでしょ?』
『・・・・・・・・・・中一で70%。中二で87%。中三で99%』
『どうしてこんなことまで知ってるの!?』
『・・・・・・・・・・一般常識』
『うぅ・・・・・・。正攻法で勝てる気がしなくなってきたよ・・・・・・』
『・・・・・・・・・・工藤はまだまだ甘い』
『こ、 こうなったら・・・・・・。あのね、ムッツリーニ君。実はボクーー』
『・・・・・・・・・・いつも、ノーブラなんだよね』
『・・・・・・・・・・っ!?(ボタボタボタ)』
『え? それなのにどうして形が崩れないのかって? それはね・・・・・・実は(ボソボソ)って感じのマッサージをいつも(ゴニョゴニョ)ってなるまで、毎晩毎晩ー』
『・・・・・・・・・・殺す気か・・・・・・っ!(ブシャァァッ)』
『殺すだなんて人聞きがわるいなぁ。別にボクは、ムッツリーニ君が出血多量でテストで実力が出せなくなるといいのに、なんてことも考えてないし』
『・・・・・・・・・・この程度のハンデ、どうということはない』
『ふ~ん。そんなこと言うんだ?』
『・・・・・・・・・・お前には、負けない』
『そこまで言うなら遠慮無く。ーーそれで、さっきの続きだけど、(モニョモニョ)を使って(ヒソヒソ)をー』
『・・・・・・・・・・死んで・・・・・・たまるか・・・・・・っ!(ダバダバダバ)』
ムッツリーニと愛子は得意科目である保健体育の勉強をしているが途中から愛子がムッツリーニをからかい始めてはムッツリーニは大量に鼻血を出している。ムッツリーニはいつ倒れてもおかしくないほど出しているけど大丈夫なのか。顔色も優れなくなってきているし。
「・・・・・・そろそろ夕飯だから、別の部屋に来て」
気が付けば霧島さんが声をかけてきたので部屋にある時計を確認してみると時刻は六時を過ぎていた。
「よし。島田、秀吉。とりあえず古典はこのくらいでいいだろ。飯にしようぜ」
「夕食を頂いた後に先程の続きを始めましょうか」
「うぅ・・・・・・。活用形ってなんなのよ・・・・・・。知らなくても生活には困らないのに・・・・・・」
「まったくじゃ・・・・・・。能や狂言をやるわけでもあるまいし・・・・・・」
島田さんと秀吉は雄二とアランにみっちりとしごかれたみたいだな。二人は苦手な科目をしていたからか、疲弊しているのがわかる。
「・・・・・・・・・・生き残った・・・・・・!」
「ムッツリーニ君。また後で、じっくりボクと勉強しようね」
「・・・・・・・・・・断る」
ムッツリーニからすればこれ以上愛子とやり続けたら命がもたないだろうな。
「それじゃあ優子。俺達も一時休憩しようか」
「そうね。数学はもう大丈夫みたいだから次は斗真が国語を教えてよね」
「わかった。教える際明久も加えて一緒にやってもいいか?」
「アタシは構わないわ」
「ということだ明久。飯を食べ終わったら国語を教えてやるから覚悟しておけよ」
「うぅぅぅ。世界史で頭一杯なのにそれはないよ・・・・・・」
「大丈夫ですよ明久君。私がわからないところを教えますからね」
「ありがとう。姫路さん」
「じゃあ夕食を御馳走になりますか」
「・・・・・・案内するから、ついてきて」
「「「はーい」」」
先導する霧島さんに雑談しながらついていくと
「いやー、最近はまともな食事が摂れて嬉しいよ」
「明久君はもう少し生活を見直すべきだと思いますけど・・・・・・」
「一応、掃除や洗濯はきちんとやっているんだけどね」
「前から言っていますけど、やっぱりお弁当だけでも私が」
「それはダメだよ姫路さん。そんなことになったら僕の命が危ないから」
「Fクラスの皆さんはそういうのに厳しいですもんね」
いや、明久は冗談抜きで命にかかわると言っているんだけどね。
「斗真。後でワシも姉上と一緒に国語を教わってもよいじゃろうか?」
「俺は別にいいけどー」
「秀吉は古典を勉強してなさいよ。アンタは苦手な科目を重点的にやらないといけないからね」
「あ、姉上。それはあんまりではなかろうか?ワシはただ、斗真と一緒にー」
「斗真からも言ってやってよ。秀吉はアタシ達とは別に古典を勉強しておけばいいって」
優子が俺の腕を組みながらそう問いかける。
優子は俺と一緒に秀吉に勉強を教えるのが多かったからこういう時は秀吉抜きで俺と一緒に勉強したいのが本音だろうな。
「まぁ落ち着けよ優子。秀吉も俺達と一緒に勉強したいって言ってるんだし、いっそのこと秀吉も加えた五人で一緒にやろうじゃないか」
「わ、わかったわよ・・・・・・」
「そうだね。秀吉も一緒にいてくれたほうが僕にとっても・・・・・・」
「明久君。それは一体どういうことでしょうか?」
「アキ。まさか変なことを考えてるんじゃないよね?」
「滅相もございません」
明久。お前まだ秀吉を女子として見てるのかよ。コイツにはいっそのこと秀吉と一緒に風呂に入らせでもしないとわかってくれないのかな。
俺がそう考えながら部屋を出ていくと、少しずつ御馳走の香りがしてきた。
「・・・・・・この部屋」
先頭の霧島さんが一つの部屋の前で立ち止まり、部屋の扉を開けると
「す、凄い・・・・・・っ!」
「わぁ・・・・・・」
「これはまた、贅沢じゃな」
「まさかここまで豪華なもんを用意してくれるなんてな」
「後で作ってくれた人達にお礼を言わないとね」
目の前には一般家庭ではあまり見かけない長さのダイニングテーブルにこれでもかと思うほど沢山の御馳走が並べられていた。香ばしい匂いを放つ北京ダックに濃厚なスープに浮かべられている鱶鰭の姿煮は勿論、チンジャオロースやホイコーロー、八宝菜に麻婆豆腐といった料理も中央の大皿に盛られていて、それぞれの席に置いてある小さな蓋付きの茶碗には燕の巣が入っている。とても遊びに来た友人の為に用意される夕飯とは思えないな。
「アキがこんなの食べたら、慣れない味でお腹壊しそうね」
「あははっ。本当だよ」
「明久、食べる前から涎を垂らすな」
「ところで、ここで食事を摂るのはワシらだけかの? 霧島の家族はおらんのか?」
「代表。家族はいないのかしら?」
「・・・・・・うん。私たちだけ」
「もし居られましたらお礼をしたかったんですがね」
部屋の中には俺達11人だけしかいない。料理を用意してくれたのは霧島さんのお母さんなのか、お手伝いさんなのかはわからないが。ここまで気を遣ってくれたんだから先程アランが言ったようにお礼を言わないと。
「翔子の家はそれぞれが自由に暮らしているからな」
「・・・・・・うん。だから気兼ねしないで好きに過ごして欲しい」
成程。だから雄二の部屋というより牢屋が作られているわけだ。これほど自由に過ごせるなんて本当霧島さんの家は凄いよ全く。
「・・・・・・それじゃ、適当に座って」
言われた通り手近な席に座ると
「「「いただきまーすっ」」」
皆で手を合わせて、楽しい食事会が始まった。
「これはまた絶品じゃな・・・・・・」
「お、美味しいです・・・・・・! うぅ・・・・・・また食べ過ぎちゃいます」
「僕の好物のカロリーがこんなにたくさん・・・・・・っ!」
「・・・・・・・・・・鉄分補給」
「こんなに豪華な夕食は初めてだな」
「そうね。ここまで贅沢な食事は最高だわ」
「翔子。なぜ俺に取り分けた料理だけ毒々しい色をしているんだ」
「・・・・・・おかしな薬なんて入ってない」
「ボク中華料理大好きなんだよねー」
「意外ですね。僕は何回も食べたことありますから馴染み深いんですけど」
まるで高級ホテルの貸し切りをしているかのようで、皆は楽しそうに食事をしているのである。
「斗真君。ボクが食べさせてあげる。はい、あーん」
「ん? あーん」
「ちょっと愛子!何してるのよ!?」
「斗真! お主は一体何を!?」
「斗真!君は何羨ましい事をしているんだ!?」
「アキっ! 何やってんのよ!」
「明久君っ! お行儀が悪いですよっ!」
「翔子。なぜ俺のコップに注いだ飲み物だけ毒々しいピンク色をしているんだ」
「・・・・・・怪しい薬なんて入ってない」
「代表。いくらなんでもそれはやり過ぎだと思いますが」
「・・・・・・・・・・ツバメの巣。美味しい」
滅多に食べられない高級食材に舌鼓を打ち、俺達は勉強の疲れを癒すのであった。
最後に締めのデザートの杏仁豆腐を食べていると、霧島さんが雄二に話しかけていた。
「・・・・・・雄二」
「なんだ翔子?」
「・・・・・・勉強の進み具合はどう?」
「まったくもって順調だ。心配はいらねぇ」
「・・・・・・本当に?」
「ああ。次のテストではお前に勝っちまうかもしれないぞ」
「・・・・・・そう」
「そうしたら俺は晴れて自由の身だな」
雄二は気付いていないみたいだが、霧島さんは目を細めているな。
「・・・・・・そこまで言うのなら」
「ん?」
「・・・・・・勝負、する?」
霧島さんにしては珍しく、挑発的だ。
「勝負だと?」
「・・・・・・うん。雄二がどの程度できるようになったのか、見てあげる」
「ほほぅ・・・・・・。随分と上からの目線で言ってくれるじゃねぇか」
雄二のヤツ。まんまと霧島さんに乗せられているのに気付いてないみたいだが。
「・・・・・・実際に、私の方が上だから」
「くっ。上等だ! 勝負でもなんでもしてやろうじゃねぇか! 本当の実力の違いってヤツを見せてやらぁ!」
雄二は霧島さんに乗せられ勝負を挑むことに。本当霧島さんは雄二を扱うのがお上手だこと。
「・・・・・・わかった。それなら、この後に出題範囲の簡単な復習テストで勝負」
「おうよ! 今までの俺と思うなよ!」
「・・・・・・それで、私が勝ったら、雄二は今夜私と一緒に寝る」
「は?」
やはり霧島さんの狙いはそれだったか。霧島さんが雄二に勝負を仕掛けるとしたら雄二に関する事だけだしな。雄二も急な事を言われたからか目が点になっているし。
「霧島さん。ゴメン。杏仁豆腐を食べたいからナイフを貸してもらえないかな? 包丁や日本刀でもいいけど」
「・・・・・・今持ってくる」
「待て翔子! 今のコイツに刃物を渡すな! 俺の命に関わる!」
「明久。なにバカなことをしようとしてんだよ」
「止めないで斗真。羨ましいことをしようとする雄二はここで仕留めないといけないから」
「あのな、まだ雄二が霧島さんと寝ると決まったわけじゃないんだからとりあえず落ち着けよ」
「・・・・・・代わりに、雄二が勝ったら吉井と一緒に寝るのを許してあげる」
「驚くほど俺のメリットがねぇぞ!?」
「うぇっ。雄二が明久と寝るとか想像しただけで吐き気を催しそうだ」
「なに気色悪いことを想像してんだお前は!」
「でもいいかもっ。吉井君と坂本君が一緒に寝るとしたら。吉井君が受けで坂本君が攻めかな・・・・・・」
(えっ!?あの~秀吉君。木下さんはひょっとして・・・・・・)
(うむ。姉上は正真正銘の腐女子じゃ)
雄二が霧島さんと勝負をするだけの話が何故かカオスな展開に。
「いいな~。そういうの、面白そうだよね。ボクも何かやりたいな」
愛子が楽しげに話しかけると
「・・・・・・愛子も勝負する?」
「それもいいけど、折角だからーー」
わざと一呼吸置いて俺と明久に目線を送る愛子。もしや
「ーーそのテスト、皆で受けて、その点数で部屋割りを決めようよ」
愛子は俺と明久を見たまま目を瞑って見せる。どうやら愛子は俺達を誘いたくてこんな提案を出したんだな。
明久は見事に引っ掛かってるけど
「よしっ! 望むとこー」
「だ、ダメですそんなことっ! 明久君にそういうコトはえっと、その、まだ早いと思います!」
「そうよ!斗真にはまだ早すぎるわよ!」
姫路さんだけじゃなく優子も誤解してしまったようだ。
「でも、保健体育のテストの為にも吉井君と斗真君がボクと実戦を経験しておくのはいいコトだと思うよ?」
「ダメですっ! そんなのいけませんっ!」
「愛子! 斗真に手を出したらどうなるかわかってるよね!」
「保健体育のお勉強、ボクが二人に教えてあげたいな」
「ダメったらダメです! 絶対にダメですっ! 工藤さんがそんなことをしようとするのなら・・・・・・私が明久君と一緒に寝ますっ!」
「えぇぇええっ!? 姫路さん何言ってるの!?」
「あ、アタシだって・・・・・・斗真と一緒に寝るわよ!」
「待て優子!俺はまだ勝負するとは言ってないから!」
まんまと乗せられた姫路さんと優子はとんでもない発言を口走ってしまう。
「み、瑞希! 何言ってるのよ! そんなのダメに決まってるでしょ!」
「あ、姉上! 何を言っておるかわかっとるのか!」
「五月蝿いわね秀吉! アンタは引っ込んでなさい!」
「でも、美波ちゃんだって明久君のHな本を見たならわかるはずです! 明久君だって男の子なんです! Hなことに興味津々なんです! 工藤さんと一緒に寝たら大変なんです!」
「確かに、アキの持っていた本の四冊目にはショートカットのコも載っていたけど・・・・・・」
ちょっと待て。何故そこで明久が持ってるエロ本の中身をバラしてるんだよ。
「ですから、明久君を守る為に、私が一緒に寝ます!」
「そ、そうねっ。アキを守る為に、ウチが一緒に寝てあげないとねっ!」
「とにかく! 斗真と一緒に寝るのはアタシだからね!」
「と、斗真。これは一体どうすればよいのじゃろうか」
「俺に聞かれてもな」
「ちょっと待って。その案に乗らなければいいだけだと僕は思うけど」
「勝負です工藤さん! 私、明久君の為に負けませんっ!」
「そうね! アキの為にもウチが一緒に寝るとするわ!」
「あははっ。二人ともやっぱり面白いね。そうこなくっちゃ」
「愛子! アタシは絶対に負けないからね!」
「なぁ秀吉、アラン。これは最早止めようがないな」
「そうだね。こうなった以上勝負に勝つしかなくなったけど斗真はいいのかい?」
「ワシとしては斗真が工藤と一緒に寝るのは複雑じゃが仕方なかろうぞ」
「大丈夫だよ秀吉。要はテストで勝てばいいだけの話なんだからさ」
「・・・・・・じゃあ、まだ開けていない新品の模擬試験を持ってくる」
「待て翔子! 俺はまだ承諾してないぞ!」
「・・・・・・決定事項。さっき雄二は勝負するって言った。反対意見は認めない」
「ぐ・・・・・・っ! そ、それはそうだが・・・・・・!」
雄二は目を泳がせながら何かを考え始める。
そしてテーブルの上に視線を送ると、霧島さんに見えないようような角度で雄二はわざとジュースの入ったコップを傾けた。
「っと、すまん翔子! 服にかからなかったか?」
「・・・・・・大丈夫」
ぱっと見た感じ、霧島さんの服にジュースはかかってないが
「いや、大丈夫じゃない。お前には見え辛いかもしれないが、服の裾のそのへんにかかったみたいだ」
「・・・・・・それは困るかも」
「悪い。俺の不注意でーー」
「・・・・・・あの薬は繊維を溶かすから」
「待て。お前は俺の飲み物に何を入れたんだ」
どうやら雄二の飲み物には何らかの薬品が混ざっていたようだ。だから皆と色が違ったわけか。
溢れたジュースと絨毯が反応して煙を出しているのが気になるけど
「・・・・・・着替えてくる」
「そうした方がいいだろうが・・・・・・それなら、ちょっと早いが先に風呂にしないか? 腹ごなしも兼ねてな」
着替えに行こうとした霧島さんを呼び止めて雄二が提案するが、あれはおそらく霧島さんが風呂に入ってる間に録でもない事をしでかそうと考えているな。
「・・・・・・わかった。それなら先にお風呂にする」
「んじゃ、模擬試験はその後だな」
「・・・・・・うん」
霧島さんの同意を得た後、俺達は着替えの用意の為に男女別々の部屋に分かれるのであった。
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