バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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第十三問 勉強会 in 霧島家 後編

「さて、行くか」

 

部屋に入って、待つこと数分。雄二が立ち上がると明久とムッツリーニもそれに合わせる。

 

「了解。覗きだね」

 

「・・・・・・・・・・任せておけ」

 

「お主らはどこまでバカなのじゃ・・・・・・」

 

「バレたら即座に処刑されるのになにやってんだか」

 

「どうやら前回の覗きから何も学んでないみたいだね」

 

因みに俺と秀吉は霧島さんから他の部屋に案内された後、ここにやってきた。霧島さんは俺が秀吉と優子と付き合っているのを知っていたので俺と秀吉を気遣って別に部屋を設けてくれたのだ。

 

「違うぞバカどもが。俺が行こうと言っているのは翔子の部屋だ」

 

「え? 何で?」

 

「まさか、霧島さんの部屋に侵入して問題用紙を盗もうと言うんじゃないだろうな」

 

「ああ。お前の言う通り、さっきの話にあった模擬試験の問題を盗み出す為だ」

 

雄二は相変わらず卑劣なことをしようとするな。アランもそれを聞いて物凄く呆れているし。

 

「けど、別に僕らは問題を盗む必要なんてないんだけど」

 

「(こくり)・・・・・・・・・・それより、覗きが大事」

 

雄二からすれば霧島さんと一緒に寝るのが嫌だと思うだろうが、俺達からすれば望ましいけどな。

 

「本当にそう思うか?」

 

雄二が勿体ぶった口調で確認する。

 

「何が言いたいのさ?」

 

「いいか明久、よく考えてみろ。お前の家に今帰ってきている姉貴は、何を禁止していた?」

 

「えっと、①『ゲームは一日三十分』、②『不純異性交遊の全面禁止』ーーってヤバいっ‼ すっかり忘れてたっ‼」

 

「? ねぇ斗真。彼は一体何を言ってるんだい?」

 

「今明久の家には姉がアメリカから帰ってきていてな。明久の生活を改善させる為に、さっき明久が言った決まりを言い渡してるんだよ」

 

「成程。だから吉井君は急に真面目になったんだね」

 

「あ。 でもバレなければ」

 

「協力しなければ俺がバラす」

 

「外道っ! この外道っ!」

 

明久は否が応でも協力する羽目になった。

 

「それにムッツリーニ。お前も危険だぞ」

 

「・・・・・・・・・・出血多量で死ぬ。 確実に」

 

それはごもっともだ。

 

「・・・・・・・・・・この俺が、死ぬとでも」

 

いっそのことムッツリーニは華々しく散った方がいいかもしれん。

 

「だが、予想されるテストの順位を考えろ。上位の人間から相手を選んでいくとなると」

 

「俺とアランを抜きで考えられるとしたら、一位が霧島さん、二位が姫路さん、三位が優子、四位が愛子ってところだ」

 

「霧島が雄二を、姫路が明久を、姉上が斗真となると、工藤愛子は誰を選ぶかのう」

 

秀吉が顎を指に当てて呟くがそれはもう決まってるよ。

 

「工藤さんは間違いなくムッツリーニ君を選ぶだろうね」

 

「・・・・・・・・・・まさか」

 

「さっきの言い争いもある。ムッツリーニを失血死させて、保体の王座を奪うつもりじゃないか?」

 

「・・・・・・・・・・っ! つくづく、卑怯な!」

 

「鼻血を出して死ぬのはムッツリーニぐらいしか考えられないけど」

 

「・・・・・・・・・・あんなスパッツごときに、殺されるわけには・・・・・・っ!」

 

ムッツリーニからすれば死ぬことじゃなくてスパッツで死ぬことが嫌らしいが、俺からすれば何が嫌なのか違いがわからない。

 

「というワケだ。協力してくれるな」

 

「わかったよ。協力するよ」

 

「・・・・・・・・・・やむを得ない」

 

「どうする斗真。僕達も協力したほうがいいかな?」

 

「んなモン協力しなくていいよ。雄二、俺とアランはこのことを黙っておくからお前らだけで済ませてこい」

 

「そうか。じゃあ秀吉を監視役として置いておくが本当に翔子にバラしたりしないだろうな?」

 

「勿論だ。だからさっさと済ませてこい」

 

「よし。そうと決まれば行動開始だ。翔子の口ぶりから察するに、テスト問題はアイツの部屋にある。そこを忍び込むぞ」

 

「「了解」」

 

というわけで雄二達は霧島さんの部屋に忍び込んでテスト問題の用紙を盗み始めるのだった。

 

 

 

『霧島さん。お風呂はどんな感じなんですか?』

 

『・・・・・・大浴場と露天風呂がある』

 

『流石は代表の家ね。温泉旅館みたいじゃないかしら』

 

『楽しみね』

 

『ボクも楽しみだよ。温泉も、姫ちゃんのコレを直に見るのも、ね』

 

『きゃっ。ど、どこを触ってるんですか工藤さんっ』

 

『ちょっと愛子。いきなり何してるのよ。瑞希が驚いてるじゃない』

 

『別にいいじゃない優子。でも姫ちゃんのコレは本当におっきいよね~。何が入ってるんだろ?』

 

『・・・・・・羨ましい』

 

『やっ! き、霧島さんまでっ』

 

『まったく、大きすぎて不公平よね。・・・・・・注射器で吸い取ったりできないかしら・・・・・・?』

 

『み、美波ちゃん!? 冗談ですよね!? 顔がとっても怖いですよ!?』

 

『そうね。できれば少しでも分けて欲しいくらいだわ』

 

『ゆ、優子ちゃんも何を言っているのですか!?』

 

魅惑の会話をしながら、女子達は着替えを持ってお風呂場へと歩いて行った。

 

「あのさ、雄二、斗真」

 

「なんだ」

 

「まさか覗きに行こうってバカなことを言うんじゃないだろうな」

 

「うん。斗真の言う通りだよ。僕、もう全てをかなぐり捨てて姫路さんについて行きたいんだけど」

 

「・・・・・・・・・・同意」

 

「まったくお主らは・・・・・・」

 

「純情な男子からすれば当然の反応ですから仕方ないとは思いますが」

 

「だからって本当に覗きに行こうとするなよ明久。バレたらお前は一貫の終わりだからな」

 

「落ち着けバカども。あの時のことをよく思い出せ」

 

明久とムッツリーニが覗きに行こうとする中一人だけ冷静な雄二が突っ込みを入れる。

 

「今回はもう同じ失敗はしない! 停学なんてくらわないようにうまくやるさ!」

 

「そういう話じゃないだろうが」

 

「それなら、言い方を変えよう」

 

雄二が明久に指を突き刺してこう発言する。

 

「あの時の、ババァの裸をよく思い出せ」

 

「「・・・・・・・・・・(ケプッ)」」

 

「その反応から察するに、相当ヤバいものを見たんだな」

 

「学園長の裸を想像しただけでリバースしそうな勢いになってますからね」

 

「覗きって、良いコトなんて一つもないよね・・・・・・。見る方も見られる方も・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・犯罪行為、良くない」

 

「わかってもらえてなによりだ」

 

「それじゃあ俺と秀吉がここで女子達を引き付けてやるからその間にさっさと行ってこい」

 

「ああ。任せたぞ斗真。よし、お前ら侵入するぞ」

 

「そうだね。あまりグズグズしていても良くないし」

 

その場で俺達は二つのグループに分かれ、俺と秀吉は女子達に近付き、雄二達は霧島さんの部屋へ侵入することとなった。

 

「あ~霧島さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「・・・・・・何?」

 

「俺達も今から風呂に入るんだけどさっき霧島さんが二つあるって言ってたからどっちを使ったらいいか教えてくれないか?」

 

「・・・・・・男子は露天風呂の方を使ってくれたらいいよ」

 

「そうか。ありがとう霧島さん。じゃあ秀吉、さっそく露天風呂に入るとするか」

 

「うむ。斗真と裸の付き合いをしようではないか」

 

「ちょっと斗真。いきなりどうしたのよ?まさかアタシ抜きで秀吉とお風呂を楽しもうとしてるんじゃないわよね?」

 

「いや、そんなつもりはないよ。それに秀吉は男だから別に問題ないと思うけど」

 

「そうですよ木下さん。斗真は何も変なことをしようとは考えてはいませんから気にしないでください」

 

アランがその場に割って入ると俺をフォローしてくれた。

 

「でも・・・・・・」

 

「ひょっとして木下さん。斗真と一緒に入りたかったのですか?」

 

「んな!?ち、違うわよ!?あ、アタシはただ・・・・・・」

 

優子は顔を赤らめ激しく動揺しながら否定する。

 

「・・・・・・優子?」

 

「へぇ~、優子ったら顔真っ赤にしちゃって~」

 

「そういえば優子ちゃんはこの前東條君と一緒にお風呂に入ってるって言ってましたね」

 

「み、瑞希!? ここでそれを言わないでよ!」

 

「・・・・・・優子。大胆」

 

「うっそぉ~。優子ったら斗真君とそんなことしてたんだ(ニヤニヤ)」

 

「斗真。まさかそこまで進展していたとはね」

 

アランと女子達は俺と優子に熱い眼差しを向ける。

 

「な、なんだその目は!?言っとくけど秀吉も一緒に入ってるからな!?」

 

「う、うむ。じゃからそう見つめないでくれんかのう」

 

「ところで東條。どうして急にウチ達に話しかけてきたのよ?」

 

「え?ああ俺達はただ風呂はどっち使ったらいいか聞きたかっただけさ」

 

「・・・・・・本当?」

 

「本当だよ霧島さん。それじゃあ斗真、秀吉君。僕達はさっそく露天風呂を使わせてもらおうか」

 

俺達がその場を離れようとすると

 

「あ、ちょっと待って。今忘れ物をしたの気づいたから取りに行ってくるね」

 

愛子が忘れ物をしたのに気付き離れて行った。

 

「・・・・・・優子。さっき姫路が言ってた話。詳しく聞かせて」

 

「え!?ちちち違うわよ代表!?あ、アタシは別に・・・・・・」

 

「とりあえずこの場から離れるとするか」

 

「そうだね。巻き込まれると厄介なことになりそうだしね」

 

「では姉上。また会おうぞ」

 

「あ、ちょっと待って!アタシを置いてかないでよ!」

 

「悪い優子。また後でな」

 

優子は必死に俺達を呼び止めようとしたが、俺達は即座にその場を離れて行った。

 

 

 

「ふぅ。ここまで来れば安心かな」

 

「そうだね。とりあえず僕らもさっさとお風呂に入ろうか」

 

俺達は着替えと入浴セットを持って露天風呂へ行こうとすると前から明久と雄二が鼻血を出して気絶しているムッツリーニを抱えてこっちに近づいてくるのが見えた。

 

「ん? 向こうから雄二達が慌ててこっちに来るようじゃがどうしたのかの?」

 

「あの様子からして問題用紙を盗むのに失敗しただろうな」

 

「そうみたいじゃな。何故かムッツリーニが鼻血を出して気絶しておるのが気になるのじゃが」

 

「どうせ下らないことで興奮して鼻血を出したんだろ」

 

「とりあえずどうなったか聞いてみようか。おーい、坂本君。成果はどうだったんだい」

 

「んなモン失敗したに決まってるだろうが‼」

 

「一応聞くけど理由はなんだ?」

 

「翔子が婚姻届を金庫に入れてたんだよ。それをこじ開けてるところで工藤が戻ってきてこの様さ」

 

「そういうことか。まさか問題用紙よりもそっちを優先するとは」

 

「うるせぇ!!とにかくこれが翔子にバレでもしたら・・・・・・」

 

「坂本君の命に関わるのは間違いなさそうだね」

 

「うぅ・・・・・・。 作戦は失敗だよ・・・・・・。どうしよう・・・・・・」

 

「どうするもこうするも、一度見つかった以上は何もできないだろ」

 

「困った・・・・・・。ムッツリーニはこのまま寝かせておけばなんとかなるかもしれないけど、僕たちは」

 

「テストで勝つしかないだろうな」

 

「だよね。雄二が勝って、一緒に寝る相手に僕を選べば・・・・・・」

 

「・・・・・・その瞬間、俺たちは社会的な死を迎えることになる」

 

なんで明久達には肉体的な死か、社会的な死という選択肢しか残されてないんだ。

 

「ところで斗真達は今から風呂に入るんだよね?」

 

「ああ、さっき霧島さんから露天風呂を使ったらいいよって言われたからそっちを使う予定なんだけど」

 

「ひょっとして秀吉も一緒に入るつもりなの?」

 

「当然じゃ。ワシも斗真と如月と一緒に入るのじゃがー」

 

「待てぃ‼君たちはなに勝手に秀吉と混浴しようとしてるの!?秀吉は女の子だからそっちに入るのはダメに決まってるじゃないか!」

 

「明久よ、ワシは男じゃぞ。斗真らと入るのはおかしいことじゃないぞい」

 

「秀吉の言う通りだ。だからお前もさっさと準備を済ませて一緒に入ればいいだろうが」

 

「あ。言われてみればそうだね。それじゃあさっそく準備をー」

 

「ねぇ瑞希。突然だけど、アキが水のないプールに飛び込む姿とか、見てみたくない?」

 

「奇遇ですね美波ちゃん。実は私も、急に明久君が酸素ボンベなしでスキューバダイビングをする姿を見てみたくなっちゃったんです」

 

え?俺が気付かぬ間に明久の両腕が後ろに縛られているんだが。っていうかこの二人も未だに秀吉を女子だと思い込んでたの!?

 

「じゃあ行きましょうかアキ。この家ならプールくらいありそうだし。20メートルクラスの飛び込み台があるといいわね?」

 

「その後はお風呂に頭の先まで浸かってきちんと1000数えましょうね? 身体の芯まで温まりますよ?」

 

「あははっ。二人とも、冗談がうまいなぁ。そんなことしたら僕は死んじゃうじゃないか」

 

「まったく、戻ってきてみたら、よりによって木下と一緒にお風呂だなんて・・・・・・」

 

「工藤さんが忘れ物をしてくれて良かったです。後でお礼を言わないといけませんね」

 

「あは、あはは・・・・・・。二人ともさっきから冗談ばっかり。本当は僕をからかっているでしょう? ねぇ、冗談だよね!? どうして二人ともこっちを向いてくれないの!? どうして僕の手を更に厳重に縛るの!? とにかく話を聞いてよ! 斗真、秀吉、助けっいやぁああーっ!」

 

 

『・・・・・・雄二』

 

『しょ、翔子!? お前いつの間に戻ってきていたんだ!?』

 

『・・・・・・婚姻届を盗もうとするなんて、許せない』

 

『ま、待て! 話を聞け! アレは盗難じゃなくて正当な権利でぎゃぁあああーっ!』

 

 

『ムッツリーニ君、起きて起きて』

 

『・・・・・・・・・・う・・・・・・うぅ・・・・・・』

 

『えいっ (チラッ)』

 

『ぐぼぁっ!(ブババ)』

 

 

「・・・・・・斗真。ワシらはどうすれば良いじゃうか」

 

「アイツらは助けようにもどうにもならないから俺達だけで風呂を済ますしかないな」

 

「そうみたいだね。じゃあ早速ー」

 

「ひ~で~よ~し~、と~う~ま~。ちょ~っといいかしら?」

 

「あ、姉上!?」

 

「ゆ、優子!?一体どうしたんだ?」

 

「どうしたも何も、よくもアタシを見捨ててくれたわね。それとさっきの会話を聞くかぎりじゃアンタ達坂本君が代表の部屋からテスト問題を盗もうとしてたのを知ってたみたいじゃない」

 

「な、なんのことかなぁ~。俺はただ霧島さんからどっちの風呂を使ったらいいか聞いただけで・・・・・・」

 

「問答無用よ。アンタと秀吉はここでお仕置きをしてあげないとね」

 

「あ、あははは。何を言ってるんだ優子。俺は別にそんなやましいことは何も・・・・・・ま、待て!その関節はそっちには曲がらなーあああああっ!」

 

「あ、姉上!わ、ワシと斗真の腕が変な方向にーぎゃああああっ!」

 

「・・・・・・僕一人で風呂に入るとしますかね」

 

この時俺は霧島さんの家が広くて助かったと思ったのだ。これがもし隣家のすぐ近くにあったなら、おそらく俺達の悲鳴を聞き付けた警察が踏み込んで来ただろうからな。

 




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