バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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第六問 サプライズ

 「うわぁ・・・・・・、なんか、凄いことになったね・・・・・・」

 

 「ここまでやるとなるとかなりの投資をしただろうな」

 

 翌日、お化け屋敷と化した新校舎の三階を覗いてみたが、あまりもの凄さに驚かほかなかった。薄暗い雰囲気といい、外見から伝わってくるほどに複雑そうな構造といい、ガチで俺達を驚かそうとしてるみたいだな。

 

 「こりゃ三年側も結構本気だな。連中も講習最終日くらいはハメを外したかったってところか?」

 

 雄二も学園側や設営を仕切った三年がここまでやってくるとは予想してなかったみたいだ。

 

 「雄二。僕らは旧校舎に集合だったよね?」

 

 「ああ。三年は新校舎三階、俺たちは旧校舎三階でそれぞれ準備。開始時刻になったら一組目のメンバーから順次新校舎に入って行くって寸法だ」

 

 旧校舎と新校舎をつなぐ渡り廊下には防火シャッターが下ろされており、雰囲気は伝わるが中の様子は窺えない状態だ。おそらく向こうでは常夏コンビや他の三年が下衆な笑みを浮かべながら俺達を驚かそうと考えてるだろう。

 

 「あれ? そういえば姫路さん達はどうしたの?ひょっとしてまだ来てないとか・・・・・・」

 

 「いや、玄関で靴履き替える時に見かけたから来てると思うぞ。雄二、何か話は聞いているか?」

 

 「俺は何も聞いてないぞ。一体あいつらは何やってるんだ?」

 

 「まぁ、考えてもわからんし。先に集合場所に行って待つとするか」

 

 そう言いながら俺達は集合場所である旧校舎にあるFクラスの教室に向かっていくと。

 

 『おぉーっ!』

 『眼福じゃーっ!!』

 『たまんねぇーっ!』

 

 「なんだ? 教室が騒がしいみたいだが何があったんだ?」

 

 「気色悪い声からして何かに興奮してるようだな。何に興奮してるかは想像つかんが」

 

 「うん、中で何があったかわからないけど入ろうか」

 

 明久が教室の戸を開けるとそこにいたのは

 

 「あ、明久君。今来たところですか?」

 

 「・・・・・・・・・・」

 

 「どうした明久。何がどうな・・・・・・って?」

 

 「もう、ウチらは十分前からここで待っていたのに何やってたのよ」

 

 「おいお前ら、一体何がおきて・・・・・・姫路、島田。・・・・・・何でお前らは浴衣を着てるんだ?」

 

 俺達の目の前には姫路さんと島田さんは浴衣を着ており、普段の制服姿とは違い、とても可愛らしく華麗に彩られていたのだった。それに浴衣を着てるのはFクラスの女子二人だけに留まらずこの教室にいる女子全員が浴衣姿になっていた。

 

 「あ、これはですね。如月君が二年生の女子全員分用意してくれたのでお言葉に甘えて着させて貰いました」

 

 「ウチは浴衣着るのは初めてだけど、悪くないわね」

 

 「そうか、アランの仕業だったのか。アイツ、こういう時だけ妙にはりきりやがって」

 

 「そうは言うけどね斗真。この案を考えてくれたのは君のお姉さんである真理さんだよ」

 

 俺の後ろから声を掛けるアランがわけを話す。

 

 「姉ちゃんが? なんで姉ちゃんが敵である俺達にそんなことを?」

 

 「君のお姉さんは常夏コンビと違って二年生と肝試しを楽しくやりたいって言ってたからね。だから僕は真理さんのお願いに答えてあげたのさ」

 

 「そうか。だったら姉ちゃんには後で礼を言わないとな。ん?そういえば今朝から秀吉を見かけなかったんだが、まさか秀吉もー」

 

 「斗真。ワシはここじゃ」

 

 秀吉の声が聞こえたので振り向くと、秀吉は赤い浴衣を着ておりとても魅力的でFクラスの男子達も秀吉の浴衣姿を見ては妙に興奮していた。

 

 「ああそこにいたか秀吉。その浴衣、とても似合ってるぞ」

 

 「斗真。ワシは男じゃというのに何故女子達と同じように浴衣を着らねばならんのじゃ」

 

 「別にいいじゃねぇか。姉ちゃんがアランに頼んで用意してくれたんだし今回だけでも堪能させてもらえばいいんだしさ」

 

 「そ、そうじゃな。先程真理さんから直接着てくれと頼まれたんじゃ仕方なかろうな」

 

 秀吉は違和感を感じているみたいだが俺からすればとても似合っているよ。

 そういえば姫路さんが女子全員が浴衣を着てるって言ってたな。てことは

 

 「ちょっと斗真。なに秀吉に見惚れてるのよ」

 

 優子が顔をムッとしながら俺に尋ねる。

 

 「あ、優子も浴衣を着てたんだな」

 

 優子は秀吉とは対称に白色の浴衣を着ていた。や、ヤバい。秀吉もそうだけど優子が浴衣を着るなんて滅茶苦茶最高じゃねぇか。

 

 「ねぇ斗真。アタシの浴衣姿・・・・・・どう思う?」

 

 「そ、そうだな。優子も秀吉に負けないくらい似合ってるよ。俺としてはなんて言ったらいいか・・・・・・ずっと見ていたいかな」

 

 「あ、ありがとう(////)」

 

いつものように褒めると優子は嬉しそうに顔を赤らめる。うん、優子のその顔はやっぱ可愛いな。

 

 「け、あの野郎。こういう時だけ純情になりやがっーぐわぁぁぁあ!目が、目があぁぁぁあっ!」

 

 「・・・・・・雄二。他の子を見ないで」

 

 雄二は紫の浴衣を着ている霧島さんにお約束の目潰しをされるのだった。霧島さんはなんというか妖艶な雰囲気が出ているな。

 

 「ねぇねぇムッツリーニ君。ボクの浴衣姿どうかな?」

 

 「・・・・・・・・・・何とも思わない」

 

 愛子も黄色い浴衣を着てはムッツリーニに見せつけてはいるが当のムッツリーニは無愛想に返事を返す。

 

 「むぅ。それはあんまりじゃないかな?女心を読めないムッツリーニ君にはこうだよ(チラッ)」

 

 「・・・・・・・・・・卑怯な!(ブシャー)」

 

 愛子が浴衣を少しはだけるとムッツリーニは鼻血を出しその場で倒れてしまった。

 

 「こうして見ると今から因縁の対決をするようには思えんな」

 

 「そうね。でも、斗真としてはあの先輩達に負けるつもりはないでしょ?」

 

 「ああ。姉ちゃんには悪いが常夏コンビには俺達をクズ呼ばわりしたことをたっぷり後悔させてやらないとな。俺達だってやればできることを証明してやるさ」

 

 「斗真・・・・・・」

 

 「とりあえず、参加者は全員いるみたいだな。如月、お前から皆に説明してやってくれんか」

 

 「了解。それじゃあ皆さん。今からルール説明をしますのでコチラを見てください」

 

 雄二の指示を受けたアランは壇上に上がると手をぱんぱんと叩いて皆を纏め上げ、肝試しのルール説明をし始める。

 

 「今回の肝試しは学年対抗で行います。ルールは昨日お渡ししたプリントに書いてありますので省略しますが、ペアに致しましては極力男女でペアを作って下さいね。尚、進行状況はこちらに設置したモニターに映されますのでそれを見て中の様子を覚えておいて下さい。ムッツリーニ君。カメラの準備はできてますか?」

 

 「・・・・・・・・・・バッチリだ」

 

 ムッツリーニはカメラが入ったカバンを掲げて見せつける。あの中にはどれだけカメラが詰められているか気になるな。

 ん? そういや三年はカメラを使うことに反対しなかったのは何故なんだ。アイツらのことだから『カメラで事前に知っていたら驚かなくなるからダメ』なんて言うと思ったんだが

 

 「ねぇ如月君。どうして男女ペアなのか理由を聞かせてもらえるかな?」

 

 「あ、それはですね。そうした方がゲームとして盛り上がりますし、お化けが苦手な人でも相方がエスコートすれば楽しめると思ったからですよ。と言っても組み合わせに関しましては坂本君が考えたんですけどね」

 

 「え?そうなの雄二?」

 

 「ああ。俺としては地獄の鉄人補習フルコースをサボりたかっただけだからな。肝試しの準備も三年がやってくれたんだ。後は皆に楽しんで貰えればいいんだよ」

 

 「で、本音は?」

 

 「翔子にペアを組むように脅された腹いせに全員を巻き込んでやろうと思った」

 

 「結局ただの八つ当たりじゃねえか」

 

 雄二の私情はともかく、肝試しは男女でペアを組むのが王道だからな。俺は優子か秀吉『ワシは男じゃ!』と組めばそれで良しとするか

 

 「明久、お前は姫路さんか島田さんと組むんだろ?」

 

 「うん。そうしたいんだけどね・・・・・・」

 

 「なんだ? 何か問題でもあるのか?」

 

 「姫路さんは優しいからお願いしたら断らないかもしれないけど、僕は雄二や斗真と違って力強さや安心感が圧倒的に足りないからね。ぶっちゃけると僕は頼りないかな」

 

 「そんなことはないぞ明久。お前は基本バカだが行動力は人一倍優れているし、いざという時は頼りになるからそこまで自分を卑屈しなくていいぞ」

 

 「ありがとう斗真。バカは余計なんだけど」

 

 「となると島田さんとペアを組むのが最適か」

 

 「そうだね。美波も姫路さんと同じくらい怖がっているけど、美波なら多少僕が頼りなくても大丈夫そうかな。それに、美波となら気楽かもしれないしね。身体接触も含めて」

 

 「最後の言葉は気になるがその方が良さそうだな」

 

 「でもそれはそれで問題があるんだけど」

 

 「問題? ああアレか」

 

 明久が言った問題が何なのか気付いた俺はその問題である人物に視線を移すと

 

 

 『殺します・・・・・・。お姉様とペアを組むブタ野郎は誰であれ殺します・・・・・・!』

 

 

 朱色の浴衣を着てる清水さんが明久に対して呪詛の声を送り続けていた。確かにあれでは島田さんと軽く接触しただけでも手を出してきそうだし、明久が消極的になるのも無理はないな。

 

 「ねぇ斗真。君には悪いかもしれないけど秀吉とペアを組んでもいい?」

 

 「俺は別に構わんぞ。秀吉ならこういったものには苦手意識がないから大丈夫だしな。唯一の問題はアイツらがどう出るかだが」

 

 俺は須川達に視線を向けると

 

 

 『須川会長。木下にペアを申し込もうとした異端者を発見しました』

 『連れて行け』

 『はっ。調理方法はいかように?』

 『生爪フルコースだ』

 『かしこまりました』

 

 

 相変わらずバカなやり取りをしていたのだった。

 

 「あのさ、ムッツリーニ」

 

 「・・・・・・・・・・?」

 

 「肝試しだけど、一緒に行かない?」

 

 「・・・・・・・・・・っ!?(ブンブンブン)」

 

 明久は狙われないようムッツリーニにペアを組むよう頼むがムッツリーニは首を激しく振ると明久から飛び退った。

 

 「あ、明久君!? どうしてこの中からよりによって土屋君を選ぶんですか!?」

 

 「そうよアキっ! 木下はともかく、アンタついに土屋にまで興味を持ったの!?」

 

 「え? だって、雄二か斗真を誘ったら霧島さんと木下さんに悪いじゃないか」

 

 「この面子でお前の選択肢は俺と斗真とムッツリーニの三つしかないのか!?」

 

 「そこはせめて姫路さんか島田さんのどちらかを選んでやれよ」

 

 「・・・・・・・・・・明久・・・・・・。気持ちだけでも迷惑・・・・・・」

 

 「相変わらずお主の考えていることはまったく読めん」

 

 「どうして吉井君は誤解を招く発言をするのかしら」

 

 明久は気を遣って言ったつもりが皆から酷い言われようを浴びる羽目に。

 

 「お姉様っ! 肝試しのペアでしたら、美春が立候補します!」

 

 明久がムッツリーニを誘ったことに安心した清水さんが島田さんに飛付く。もし明久が島田さんを誘っていたら明久は今頃文房具を投げつけられてたであろう。

 

 「し、清水さん!? 待ちなさい! さっき坂本も言ってたでしょう!? 男女のペアにするって。ウチとアンタじゃダメなのよ!」

 

 「お姉様!美春とお呼びください! 大丈夫です!お姉様の、こののどかな湖の水面を思わせるようなお胸があれば、性別の壁なんて、あってなきが如しです!」

 

 清水さんは島田さんを褒めてるつもりが言ってることが失礼な為逆効果になっている。もしそれを明久が言ったら肋骨は折られてるだろうな。

 

 「清水さん。悪いけど島田さんは明久と組むことになってるから離れてやってくれないかな?」

 

 俺がそう言って島田さんに目線を送ると

 

 「そ、そうよ! ウチはアキと組むことになってるの! だから離れなさい!」

 

 「待って斗真!僕は美波と組むつもりはくぺっ?」

 

 島田さんは俺の言ったことに口裏を合わせ、清水さんを引き剥がすと、明久に近付き頸椎を握る。そこはせめて腕を組めばいいのになんで明久の急所を狙うんだ?

 

 「ですがお姉様! そんなブタ野郎が一緒ではーー」

 

 「清水さん。アンタはウチが約束を破るのが嫌いってこと、知っているでしょ? それなのに、まだそんなことを言うのかしら?」

 

 「でも・・・・・・」

 

 「それにウチは清水さんがしでかしたことを許したつもりはないからね」

 

 島田さんがそう言うと、清水さんは悔しげに下唇を噛み締め俺と明久を睨みつける。あれはおそらく自分から島田さんを奪った明久と自身を嵌めた俺に対する憎しみを向けてるだろう。

 

 「・・・・・・わかりました、お姉様。そういうことなら、この場は引きます」

 

 「うん。わかってくれてありがとう清水さん」

 

 「ですが、万が一そこのブタ野郎が参加できなくなったら、その時は美春と」

 

 「ごめんね清水さん。その時は、ウチはお腹が痛くなってる予定なの」

 

 「お姉様は冷たいですーっ!」

 

 島田さんにそう言われた清水さんは涙を流しながら走り去っていった。断り方が腹痛になる予定って斬新過ぎるが

 

 「そ、そういうワケだから、アキ。よろしくね?」

 

 島田さんはそう言ってはいるが、明久は既に急所を握られている為断る事ができない状況になっている。

 

 「でも美波、相手は僕でいいの?」

 

 「そ、そんなに遠慮しなくても、ウチはアキで充分よ。ちょっと頼りないけど、ウチはあんな作り物、全然怖くないし。それにアンタだって、他にパートナーのアテなんてーー」

 

 「本当にいいの美波? 僕、人間だよ?」

 

 「なんだその質問の仕方は。まるで島田さんは人外じゃないとペアを組めないみたいに聞こえるぞ」

 

 「その誤解、絶対に今日中に解いてみせるからね」

 

 ま、これで明久は島田さんとペアを組むことが決まったな。後は清水さんがどう動くかだが

 

 

 『吉井明久・・・・・・!美春を観察処分者にした東條諸共殺します。殺します。ころします。コロします。殺しころしコロしころコロコロコロ・・・・・・!』

 

 

 俺と明久を憎たらしく睨んでいる清水さんは肝試しが終わる頃には人では無くなりそうな気がしてならない。

 

 

 『待つんだ清水さん。まずは様子を見るんだ』

 

 『ーーあなたは・・・・・・Aクラスの久保利光君、でしたね。美春に何か用ですか?』

 

 『手を組もう清水さん。恐らく僕らの利害は一致するはずだ』

 

 『・・・・・・美春にとっても、悪い話ではなさそうですね』

 

 

 なんだろう。出会ってはいけない二人が遭遇した瞬間にしか見えないのは俺の気のせいだろうか。

 

 「み、美波ちゃんずるいですっ! 私だって明久君と」

 

 「う・・・・・・。ごめんね、瑞希・・・・・・。でも、アキと一緒に行ったら、チェックポイントであの召喚獣をアキの前に曝さないといけないわよ?」

 

 「はぅ・・・・・・っ! そ、それは・・・・・・!」

 

 島田さん。そういう君だってあのぬりかべの召喚獣を曝さないといけないんだけど。まぁここでそれを言ってしまえば島田さんは俺に手を出してきそうだから発言は控えるか。

 

 「ねぇ斗真。行くときはアタシとペアを組みましょ」

 

 優子は俺の左腕を組みながら一緒に行かないかと誘う。

 

 「あ、姉上狡いぞ!ワシだって斗真と一緒にペアを組みたいのじゃ!」

 

 秀吉もそれに負けじと俺の右腕を組んで自分が俺と行くと反論する。

 

 「ダメ!斗真はアタシと組んだ方が点数からしても一番ベストだからイイの! 秀吉は男だから他の女子と組みなさい!」

 

 「嫌じゃ! ワシは斗真と一緒に行きたいのじゃ!」

 

 「秀吉!お姉ちゃんの言うことが聞けないのならその関節をー」

 

 「はいはい二人とも落ち着いて。俺はどっちとも組んであげるからそこは仲良く話し合って決めようか」

 

 「「でも・・・・・・」」

 

 「そうしてくれないと俺はそこで羨ましさのあまりカッターを畳に突き刺してるFクラスのヤツらに狙われかねんから我慢してくれ」

 

 

 『須川会長。東條が木下と木下優子からペアを組むよう申し込まれてますがどうしますか?』

 『うむ。ヤツには生爪だけでは足りないな』

 『では、逆さ磔からのカッターを投擲するのは如何でしょうか』

 『それだ。すぐに実行したまえ』

 『かしこまりました』

 

 

 どうしよう。さっきより酷くなってるんだが

 

 「姉上。ここは斗真の言うことに従おうぞ」

 

 「そうね。秀吉、後でちゃんと話し合って決めましょう」

 

 「わかったのじゃ」

 

 二人は俺を気遣い、話し合いで決めることにした。

 

 「まぁ組み合わせはだいたい決めておいて細かい部分は後からでもいいだろ。まずは他の参加者を楽しませてやらないとな」

 

 雄二が手をぱんぱんと手を叩きながら発言する。

 

 「? どうしたの雄二? 他の人を優先するなんて、らしくないじゃないか」

 

 「俺達はこの肝試しを企画した側だからな。自分たちが楽しむのは後まわしだ。まずは皆をもてなすのが筋ってもんだろ」

 

 「本音は?」

 

 「翔子とペアになった以上、他の連中にクリアさせて俺は参加しないで済むように仕向けたい」

 

 「じゃあ先頭バッターは雄二と霧島さんに行ってもらうか」

 

 「・・・・・・ありがとう」

 

 「おい斗真!なんてことを言いやがる!?」

 

 「別にいいだろ。どうせ後から戻ってくればいいんだしさ」

 

 「テメェ・・・・・・!」

 

 「まぁまぁ坂本君落ち着いて。とりあえず順番を決めましょうか」

 

 アランが雄二を宥め、突入する順番を決めようとする。

 参加者は補習が義務付けられた俺達Fクラス五十名と夏期講習に参加していた有志百名程度。人数からして学年の半分はいるな。

 

 「ムッツリーニ。モニターの準備は?」

 

 「・・・・・・・・・・問題ない。Aクラス設備のディスプレイを運んである」

 

 「先程接続を済ませておいたから大丈夫だよ」

 

 「よし。そんじゃ、夏の風物詩を楽しもうぜ」

 

 「そうだね。今回は酷い罰もないし、楽しもうか」

 

 「皆には悪いけどしばらく高みの見物をさせてもらうか」

 

 「うむ。体育祭の片付け程度ならば今までに比べれば楽なもんじゃ」

 

 「アタシとしては早く斗真と行きたいかな」

 

 「私はあまり、楽しみじゃないです・・・・・・」

 

 「う、ウチはまぁ、アキを盾にできるから、ちょっと楽しみだけど」

 

 「島田さん。それはいくらなんでも吉井君が可哀想じゃないですか?」

 

 「・・・・・・・・・・色々と良いショットを期待してる」

 

 俄に活気づき始めた校舎にて、俺達は降って湧いたお祭り騒ぎに各々が思いを抱いては肝試しを始めるのであった。




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