バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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第九問 肝試し Part3

 「皆! もうすぐあの衝撃映像がくるよ! 女子は全員目を閉じるんだ!」

 

 ムッツリーニと愛子の持つカメラが夏川のいる場所に近づいていく。来るとわかっていても耐え難い恐怖を感じる程物凄いプレッシャーはモニター越しでも叫びたくなるくらいだからな。

 

 「つ、土屋君たちがダメだったら、あとはこちらも対抗して明久君がフリフリの可愛い服を着ていくしかありませんね・・・・・・」

 

 「そ、そうね。それしか手はないものね。仕方ないわよね」

 

 「ちょっと二人とも。恐怖のあまりおかしな提案を出してるわよ」

 

 「本当に僕にそんな格好をさせようなんて思わないよね?」

 

 「「・・・・・・・・・・」」

 

 返事をしないってことは肯定すると思っていいんだな。

 

 

 《ムッツリーニ君。あの先だっけ? さっきの面白い人が待ってるのって》

 《・・・・・・・・・・準備はできている》

 

 

 恐怖に怯える皆がいる教室とは対照的に、目的地へと向かっているムッツリーニ達は落ち着いているみたいだな。

 カメラを構えているのは愛子で、ムッツリーニは夏川に対抗する為の何かを抱えているようだ。

 

 「やっぱりまた真っ暗になってるね」

 

 「突然現れる方が効果があるだろうからな。タイミングを見計らってスポットライトを入れるんだろ」

 

 「まぁアレはどのタイミングで現れても驚くけどな」

 

 闇の中でカメラがぼんやりと人を映す。

 

 「そろそろくるぞ」

 

 「うん・・・・・・っ!」

 

 皆がグッと堪えて衝撃に備え始める。

 

 

 バンッ!(スポットライトのスイッチが入る音)

 

 

 ドンッ!(ムッツリーニが大きな鏡を置く音)

 

 

 ケポケポケポッ(夏川が嘔吐する音)

 

 

 そうか。鏡を使って自身の姿を見せつけることで自爆させたか。やるなムッツリーニ。

 

 

 《て、てめぇ! なんてものを見せやがる! 思わず吐いちまったじゃねぇか!》

 《・・・・・・・・・・吐いたことは恥じゃない。それは人として当然のこと》

 《くそっ。想像を絶する気持ち悪さに自分で驚いたぜ・・・・・・。どうりで着付けをやった連中が頑なに鏡を見せてくれねぇし、東條からゴミを見るような目で見られるワケだ・・・・・・》

 《ムッツリーニ君。この先輩、ちょっと面白いね。来世でなら知り合いになってあげてもいいかなって思っちゃうよ》

 《ちょっと待てお前! 俺の現世を全面否定してねぇか!? っていうか生まれ変わっても知り合いどまりかよ!》

 《あ。ごめんなさい。あまり悪気はなかったんですゲロ野郎》

 《純粋な悪意しか見られねぇよ! って待てやコラ! てめぇナニ人のこんな格好を撮ろうとしてやがるんだ!》

 《・・・・・・・・・・海外のホンモノサイトにUPする》

 《じょ、冗談じゃねぇ! 覚えてろぉおっ!!》

 

 

 夏川はダッシュでその場から去っていった。後はチェックポイントに進んで行けばいいだけだ。

 

 「それにしても、工藤さんって意外と厳しいことを言うんだね。坊主先輩も涙目になってたよ」

 

 「あれはおそらく誰かから教わったんじゃないか。そうだろ霧島さん?」

 

 「・・・・・・うん。普段愛子はああいうことは言わない」

 

 「秀吉。愛子は誰から教わったか見ていたか?」

 

 「そう言えば、工藤は突入する前に清水に何かを聞いておったな」

 

 「清水って、Dクラスの清水美春さん?」

 

 「なるほど。それならあの罵倒も頷けるな」

 

 「そういったことに関しては右に出る人はいないな。優子なら勝てる可能性はあるかもしれんが」

 

 「何ですって?」

 

 「ああいや何でもないよ。だから俺の関節を外そうとするのはやめてくれ」

 

 あれはおそらく愛子なりの夏川対策ってとこか。鏡を見せて自身の気持ち悪さを自覚させ、そこから更に清水さん譲りの罵倒をすれば夏川の精神にかなりダメージを与えただろう。

 

 

 《・・・・・・・・・・先に進む》

 《多分チェックポイントまで後チョットだよね》

 

 

 夏川が走り去った後へ向け歩き出す二人。そのまま進んでいくとその先にはチェックポイントで待機してたであろう三年生が二人待っていた。さっきの仕掛けに力を入れすぎたか、すぐ近くにチェックポイントがあったみたいだ。

 

 「あれ? ここのチェックポイントは坊主先輩じゃないんだね。てっきりあの人が出てくるものかと思ってたよ」

 

 「別にそういう決まりは作っていないからな。後のAクラスかCクラスにでもいるんだろ」

 

 「出てこないってことはないだろうね」

 

 「その可能性はありえるな。昨日俺と明久に戦死寸前まで追いやられたんだ。アイツらの性格からして負けっ放しのままにするわけがないだろう」

 

 「出てきてくれないと困る。その為にわざわざ挑発したんだからな」

 

 Aクラスとは言え、昨日までの経験からして常夏コンビはそんな点数は高くないかもしれんな。雄二も他の人を相手にするよりはやりやすいと思ってわざとあんな挑発をしたんだし。

 

 「まぁ、後のことは後のことじゃ。まずは目先のことじゃな」

 

 「そうだね」

 

 「科目はムッツリーニと愛子の十八番だし、容易いだろう」

 

 画面に視線を戻し、チェックポイントで対峙している四人はそれぞれ召喚獣を喚び出すところだ。

 

 

 《試獣召喚(サモン)っ》

 

 

 ムッツリーニの召喚獣は前にも見たが吸血鬼で、愛子のはのっぺらぼうだった。後ろから見ればどっちも普通の人間にしか見えないが。

 

 「工藤さんの召喚獣がのっぺらぼうなのはどうしてなんだろうね?」

 

 「さぁな。顔がない、つまり素顔を見せないところに何かがあるのかもしれないな」

 

 「でも俺の知る限りじゃ愛子は誰にも包み隠さず自身を曝け出してるから別の意味があると思うが」

 

 「そう言えば、ワシは前に演劇の題目の候補として怪談話を探しておったのじゃが、その中にのっぺらぼうの尻目というものがあっての」

 

 「尻目?」

 

 「どういう話なんだ秀吉」

 

 「うむ。そののっぺらぼうはなんでも、人に会うと全裸になったそうじゃ」

 

 「結局そういうオチかよ」

 

 「愛子ったら・・・・・・」

 

 「でも工藤さんにはピッタリだと思いますよ」

 

 「それはそうと、こっちもそうだけど、向こうも向こうで分かり易いお化けだね」

 

 「そうだな。おかげで敵の行動も予測しやすそうだ」

 

 三年の召喚獣はミイラとフランケンシュタインという組み合わせだ。どっちもメジャーなお化けだから一目でわかる。おそらく特徴は怪我しやすいか根は優しいってところか。

 

保健体育

 

三年Aクラス 市原 両次郎 303点

三年Aクラス 名波 健一 301点

 

 

 点数は300点を超えている。保健体育は受験の科目には入ってないから手を抜いてるかと思っていたがAクラスなだけあって真面目なとこもあるんだな。

 

 

 《ムッツリーニ君。先輩たちの召喚獣、なんだか強そうだね。召喚獣の操作だってボクたちより一年も長くやってるし。結構危ないかな?》

 《・・・・・・・・・・確かに、強い》

 

 

 対するムッツリーニと愛子の点数が表示される。

 

保健体育

 

二年Aクラス 工藤 愛子 479点

二年Fクラス 土屋 康太 557点

 

 

 《ーーが、俺と工藤の敵じゃない》

 《確かに、ね》

 

 

 瞬きすら許さない程のスピードで相手のミイラ男とフランケンシュタインをひれ伏した。いくら三年Aクラスと言えど、保健体育のエキスパートであるムッツリーニと愛子じゃ戦力の差が出るのは当然だ。

 

 「ねぇ雄二。今の勝負、何があったか見えた?」

 

 「ああ。はっきりと見えたわけじゃないが・・・・・・ヴァンパイアの方は、一瞬で狼に変身してフランケンを切り裂いて、また人型に戻っていた」

 

 「アラン。のっぺらぼうはどうなってた?」

 

 「のっぺらぼうはどういうわけか、一瞬で全裸になってミイラ男をボコボコにした後、服を着なおしていたね」

 

 なんで攻撃する際服を脱ぐ必要があるんだよ。

 

 「あと、ムッツリーニはその一瞬で出血・止血・輸血を終わらせていた」

 

 「それもある意味凄いけどな」

 

 「・・・・・・雄二、浮気の現行犯」

 

 「な!? ち、ちが・・・・・・っ!? 工藤の召喚獣は見ようとしたわけじゃないから不可抗りょぎゃぁあああっ!」

 

 「あれは俺達の間では『お約束』だな」

 

 「成程ね。Fクラスのメンタルの強さが垣間見えた気がするよ」

 

 

 《じゃあ、Dクラスもクリアってことで。次はどこに行けばいいんだっけ?》

 《・・・・・・・・・・Cクラス》

 《はーい。了解。・・・・・・ところでムッツリーニ君。どうして鼻にティッシュを詰めているのかな?》

 《・・・・・・・・・・花粉症》

 《へぇ〜。ふ〜ん。花粉症ね》

 

 

 ムッツリーニの鼻血の原因はどう考えたって愛子の召喚獣にあると思うが、愛子はそれを知ってるからかムッツリーニを見てはニヤけていた。

 明久は一人だけ悔しそうにしているが、あれはおそらく愛子の召喚獣を目で捉えきれなかった自分に腹を立ててるな。

 

 「あの、明久君。なんだかいやらしいことを考えていませんか?」

 

 「ううん。ちっとも」

 

 「本音は?」

 

 「後でムッツリーニに今の対決をスロー再生して貰おうと思ってる」

 

 「確かこれが土屋君の記録用ハードディスクでしたよね」

 

 「あぁぁっ! 返して姫路さん! それ持ってっちゃダメだよ! その、えっと、そうだ! 不正監視用に使うかもしれないから!」

 

 「大丈夫です。これだけの人数が証人として見ていますから」

 

 「そ、そんなぁ・・・・・・っ!」

 

 「諦めろ明久。俺だって愛子のヌード姿見たかったんだし、気持ちはわか━━痛だだだだ!」

 

 「何考えてるのよこのスケベ!」

 

 「やれやれ。こっちもお約束ですね」

 

 「そうじゃな」

 

 「そ、そっか。アキは小さくても興味はあるんだ・・・・・・」

 

 俺と明久が愛子のヌードを見れず落ち込んでる一方島田さんは一人だっけホッと胸を撫でおろしていたのだった。

 

 

 

 

 《あれ? この口が二つある女の人って何のお化けだっけ?》

 《・・・・・・・・・・ふたくち女》

 《じゃああっちの身体が伸びてる女の人は?》

 《・・・・・・・・・・高女》

 《そっちの毛深い男の人は?》

 《・・・・・・・・・・興味ない》

 

 

 Bクラスよりは狭いがDクラスの倍はある教室を歩いていく二人。夏川を突破するような二人は、普通のお化けに対して何も臆することなく先へと進んで行った。

 

 「順調だね雄二。このままだとあの二人で全部突破できちゃうんじゃない?」

 

 「いや、そうでもない。さっきの保健体育の点数を見て向こうもムッツリーニの正体に気がついただろうからな。そろそろ対策を打ってくるはずだ」

 

 「え? どういうこと?」

 

 「三年はムッツリーニって名前は知らなくても『保健体育が異様に得意なスケベがいる』ってことくらいは知っているだろう。そうなると、弱点もバレている可能性が高い」

 

 「つまり、ムッツリーニの弱点を突かれたら即座に失格になるってことだ」

 

 「弱点? 弱点って言っても、ムッツリーニは鼻血を噴いて倒れるだけでしょ? 別に悲鳴をあげることはないじゃないか」

 

 「ああ。悲鳴は上がらないかもしれないな」

 

 「それってどういう意味さ雄二」

 

 「悲鳴じゃなくても標的に大きな音をたてさせるのは可能だってことだ。例えば、鼻血の噴出音とか、な」

 

 「あ、あはは・・・・・・。何を言ってるのさ雄二。まさか三年生がそんなことを」

 

 「しないとは言い切れんぞ。ヤツらのことだからおそらくムッツリーニを嵌める為の策を実行するかもしれん」

 

 「まぁ、見ていればわかる。・・・・・・そろそろくるぞ」

 

 モニターに視線を戻すと、二人の持つカメラが薄明かりの下に佇む女の影が二つ映し出されていた。あの二人がムッツリーニ対策なんだろう。

 

 

 《・・・・・・・・・・っ!(くわ)》

 《む、ムッツリーニ君? 何をそんなに真剣な顔をーーって、なるほどね》

 

 

 徐々にその二人の姿がはっきりと見えてきた。

一人は髪を結い上げた切れ目の綺麗な美人で、もう一人はボブカットのセミロングをした・・・・・・俺の姉である真理だった。二人は着物を着崩しており、色っぽくなっていた。

 

 

 『『『眼福じゃあーっ!』』』

 

 

 教室の中から歓喜が上がる。クールな表情や長い手足。タイプで言うなら霧島さんに近い人で、姉ちゃんはどちらかと言うと優子に近いかな。そんな二人が着物を着崩して色っぽく立っているのだから男子が声を上擦らせるのも無理はない。明久も声を上げたかったがそんなことをすれば姫路さんと島田さんに理不尽なお仕置きをされる為我慢していた。

 

 「・・・・・・・・・・雄二」

 

 「み、見ていない! 俺は全然見ていないぞ翔子!」

 

 「・・・・・・私だって、浴衣を着てるんだから」

 

 珍しいな。普段はクールな霧島さんがムッとふくれるとは。自分と同じタイプの人に雄二の目がいったから対抗意識を燃やしてるな。

 

 「ああいや、別にお前に着物を着て欲しいとは言ってないんだが」

 

 「・・・・・・丁度良かった。結婚式にどちらを着るか迷っていたから」

 

 「ん? ドレスと着物か? まぁ、誰と結婚するかは置いといて、悩むくらいなら両方着るって選択肢も━━」

 

 「・・・・・・じゃあ、着物と猫耳メイド服の両方着る」

 

 「なんだその選択肢!? 出席する両親も色んな意味で涙が止まらないだろ!?」

 

 「今の流れでどこから猫耳とメイド服が出てくるんだ?」

 

 「代表。それは流石におかしすぎますからやめてください」

 

 霧島さんが着る服装についてはまた後にして、視線を画面に向ける。姉ちゃん。なんていうか楽しそうな顔をしているな。まぁここ最近は受験勉強で神経を張り詰めていたからここで溜まった憂さ晴らしをしようとしてるな。

 

 

 《・・・・・・・・・・(ぱちっ)》

 

 

 姉ちゃんがカメラ目線にウインクしたその時

 

 『おい東條先輩がこっちに向かってウインクしたぞ!』

 『ああ。あれはおそらく俺に向けてのヤツだろうな!』

 『いいや違うぞ!あれはどう考えたって俺に向けてだろうが!』

 『なんだとぉ!んなワケあるか!俺に決まってるだろうが!』

 

 

 たかがウインクをしたぐらいでFクラスは自分に向けたヤツだと勘違いし、バカ騒ぎをしていた。

 

 「たく、姉ちゃんが誤解を招くようなことをするから」

 

 「別にいいじゃないか斗真。君のお姉さんは多分君に向かってウインクしただけかもしれないしね」

 

 「おい待てアラン。ここでそれを言うのはやめろ。Fクラスだけじゃなくここにいる男子の殆どが俺に殺意を向けているからな」

 

 「ああ失礼」

 

 「ふ〜ん。斗真だって自分のお姉ちゃんにデレデレしてるみたいじゃない」

 

 「姉上の言うとおりじゃ。お主にはワシと姉上がおるのじゃぞ」

 

 秀吉と優子は俺に疑いの目を向ける。

 

 「落ち着けよ二人とも。俺は別に姉ちゃんを意識して見てるわけじゃないからな」

 

 「本当?」

 

 「本当だよ。じゃなきゃ」

 

 

 ギュッ

 

 

 「きゃ。ちょ、ちょっと!?」

 

 「お、お主! いきなり何をするのじゃ!?」

 

 「こうやって二人を抱き寄せるわけないじゃないか」

 

 「ば、バカ。恥ずかしいことしないでよ(////)」

 

 「そういうのはここでしないで欲しいのじゃが(////)」

 

 俺は秀吉と優子を自分の両肩に抱き寄せたがこれが仇となったのか。

 

 

 『殺せーっ!』

 

 

 俺が木下姉弟を抱き寄せた姿を見たFクラスの男どもが怒りを爆発させ。俺を殺そうと躍起になりはじめたのだった。

 俺がFクラスの男達と不毛な争いをしている間ムッツリーニはと言うと

 

 

 《・・・・・・・・・・この・・・・・・程度で・・・・・・この俺・・・・・・が・・・・・・っ!》

 《・・・・・・ムッツリーニ君。足にきてるみたいだケド?》

 《・・・・・・・・・・(ブンブンブン)》

 

 

 ムッツリーニはグロッキーになりかけており、はだけられた着物の隙間に意識が飛ばされそうになっていた。

 

 「すごい! あのムッツリーニがここまでの色気を相手に我慢するなんて! この勝負はもう勝ったも同然だよ」

 

 「いや待て! まだ何かある!」

 

 「え?」

 

 

 《ようこそいらっしゃいましたお二方。私、三年Aクラスの小暮葵と申します》

 《同じくAクラスの東條真理よ。昨日以来ねムッツリーニ君》

 

 

 小暮先輩が艶っぽい声に濡れた瞳を見せ、伏し目がちに頭を下げて挨拶をする。姉ちゃんも小暮先輩ほどではないが屈託のない笑顔を見せており、教室にいる皆が感嘆の声を出す。

 

 

 《小暮先輩と東條先輩ですか。こんにちは。ボクはニーAの工藤愛子です。その着物、似合ってますね》

 《ありがとうございます。こう見えてもわたくし、茶道部に所属しておりますので》

 《私は演劇部から拝借したものだけどね》

 《あ、そっか。茶道って着物でやるんだもんね。その服装はユニフォームみたいなもんだよね。ちょっと着方はエッチだけど》

 《はい。ユニフォームを着ているのです》

 《そうですか。あ、東條先輩は斗真君のお姉さんでしたよね?》

 《ふふっ、そうよ。名前で呼ぶってことはうちの弟と仲良くしているみたいね》

 《はい。後でシュークリームを奢ってもらうことになってますけど》

 《そう。あの斗真にこんな素敵な友達ができて嬉しいわ》

 《え? 斗真君って昔、何かあったのですか?》

 《ううん何でもないわ。今後とも斗真と仲良くして頂戴ね》

 《はい。勿論です。えっと二人には申し訳ないですけどボクたちは先を急ぐので》

 《そして、実はわたくし━━》

 《ごめんね愛子ちゃん。私、この下にね━━》

 《? なんですか? まだ何か》

 

 

《━━新体操部にも所属しておりますの》

《━━水着を着ていたの》

 

 

 はだけられた着物は完全に脱ぎ捨てられーーその中からレオタードを身に纏う小暮先輩と競泳水着を着た姉ちゃんが現れた。

 

 

 「音声レベルもモニター画面も全部真っ赤じゃ!!」

 

 「畜生っ!やり方が汚ねぇ! はだけた着物だけでも限界ギリギリだってのに、その下に露出満点のコスチュームだと!? あのムッツリーニがそんなもんを直接見て耐えられるわけがねぇだろうが!」

 

 「くそっ!姉ちゃんはともかく、まさか三年にあんなエロい先輩がいたとは予想外だったぜ!」

 

 「全くだよ!なんて汚い手を使うんだ! とにかく雄二と斗真は急いで対策を練って! 僕は今から姫路さんに土下座をしてさっきの記録用ハードディスクを設置し直してもらうから!」

 

 「わかっている! 抜かるなよ明久!」

 

 「明久、これを使え!昨日ムッツリーニから没収したカメラだ!」

 

 「サンキュー斗真! 必ず録画と撮影をしてみせる」

 

 「ああ。期待してるぞ明久!」

 

 

 ガシッ

 

 

 「ん?」

 

 「ふふふふ。斗真、バカなことを考えようとする頭はこれかしら?」

 

 メキメキメキ!

 

 「痛だだだだ! 優子!頭が割れる!喰われる!砕けちるからやめてくれぇえええっ!」

 

 優子は怖い笑みをしては俺の頭にアイアンクローをする。その力は霧島さんにも負けず劣らずで俺の頭蓋を砕こうとしていた。

 

 「痛たたた。あそこまでやる必要はねぇだろうに」

 

 「ふ〜ん。それじゃあ、あの二人と同じようにしたらよかったかしら」

 

 「え?」

 

 優子がそう言うので明久と雄二を見てみると

 

 「ダメじゃない、アキ。坂本と東條に作戦練るのを任せちゃうなんて。ねぇ瑞希?」

 

 「そうですね美波ちゃん。今使うべきなのは目じゃなくて頭だと思いますよ、明久君?」

 

 「って痛ぁっ! 目ぇ痛ぁっ! バカな! 痛みを遅れて感じさせるほどの速度で僕の目を潰したって言うの!?」

 

 「・・・・・・雄二。悪い物を見るいけない目はこれ?」

 

 「ぐぁあああっ! 『いけない目はこれ?』じゃねぇ翔子! 耳や口を捻りあげる調子で目を突くな! お仕置きのレベルが全然可愛くねぇぞ!?」

 

 明久と雄二はヤンデレ化した女子達の手によって目潰しをされており、それを見た俺は冷や汗をかいてしまった。

 

 「お願いだ姫路さん! 今は絶対一遇のピンスなんだ! だからハードディスクを!」

 

 「明久よ。色々な言葉が混ざって次世代言語になっておるぞ」

 

 「どうやら真理さん達の魅力溢れる姿に脳までやられてしまったようですね」

 

 

 『大変だ! 土屋が危険だ! 助けに行ってくる!』

 『一人じゃ危険だ! 俺も行く!』

 『待て! 俺だって土屋が心配だ!』

 『俺も行くぜ! 仲間を見捨てるわけにはいかないからな!』

 

 俺達がくだらないことをしているうちにFクラスだけじゃなく他のクラスの男子が独断専行をはじめようとしていた。どうやら姉ちゃんと小暮先輩にやられたのは俺達だけじゃなかったようだな。

 

 

 『『『うぉおおおぉぉっ! 新体操と水着━━っっ!!』』』

 

 

 言うまでもなく突入した男子全員は失格となるのであった。

 

 「・・・・・・突入と同時に全員失格したようじゃな・・・・・・」

 

 「真理さんにはしてやられましたね」

 

 「なんでうちの学校の男子どもってこうもバカだらけなのかしらね・・・・・・」

 

 「どうして覗き騒ぎが起きたのかよくわかる気がします・・・・・・」

 

 「むしろ覗き騒ぎが原因で男子達の頭がおかしくなったのかしら」

 

 秀吉とアラン。そして島田さんと姫路さんと優子は揃って呆れていたのだった。

 

 「う・・・・・・うぅ・・・・・・。ま、マズいな・・・・・・。このまま放っておいたら男子は久保と如月以外全滅しちまう・・・・・・」

 

 霧島さんにお仕置きされた雄二が目を押さえながら言う。アランは女子を見てもそんな興奮はしないし久保はアレだからな。

 

 「そうだね。状況を打開するためにも、ここは僕に任せてよ雄二」

 

 「じゃあ明久。さっき渡したカメラを使って━」

 

 「アキ。アンタここまでやってもまだ懲りてないのかしら?」

 

 「明久君。あまり反省していないようですと、お姉さんに言いつけちゃいますからね?」

 

 「斗真。今度はただではすませないわよ?」

 

 「明久、ここは諦めようか」

 

 「そうだね」

 

 いくらレオタードと水着を撮影する為とは言え命を捨てる覚悟はできないな。

 

 「仕方がない。向こうは色香で攻めてくるのなら、こっちは━━」

 

 「秀吉。悪いけどここはお前に任せていいか?」

 

 「女子に行ってもらうわけだね。よし。頼んだよ秀吉」

 

 「斗真はともかく、明久は誤解しておるようじゃが、ワシとて異性に興味はあるのじゃからな。特にお主にはそのことを覚えておいてもらわんと、ワシは色々と困」

 

 「・・・・・・え・・・・・・? 異性に興味があることを覚えて欲しいだなんて、秀吉・・・・・・。皆の前でそんなことを言われても、僕は、その・・・・・・」

 

 「待て明久。秀吉はお前に告白するつもりで言ったわけじゃないからな。後秀吉は俺の彼女だから諦めろ」

 

 「そ、そうじゃ。今のはお主への遠回しな告白ではないぞ!? ってなにゆえ斗真に憎しみの籠もった視線を向けとるのじゃ!?」

 

 「不公平です・・・・・・。どうして木下君だとあれだけで告白だと・・・・・・」

 

 「ウチなんて、キスまでしたのに・・・・・・」

 

 「ほら二人とも。今はそれどころじゃないから後にしなさい」

 

 「とにかく、今は肝試しですね。次は木下君と他のクラスの女子にお願いしましょうか」

 

 「じゃあ玉野さんにアキちゃんのセーラー服を報酬に秀吉と行って来てもらうとするか」

 

 「待てぇい!なんで斗真がそんな物を持ってるの!?それは合宿の時に撮られたヤツだよね!?」

 

 「ああこれは交渉の際使えると思ってムッツリーニから無償で貰ったやつだ。俺としてはさっさと捨てたいくらいだが」

 

 「ちょっと!?それは明らかに僕に対する侮辱だよね!?上等だ!ここで君と決着を━━」

 

 「はいはい。それは後にして下さい。じゃあ秀吉君、お願いしますね」

 

 「うむ。了解したのじゃ」

 

 秀吉は俺が渡したアキちゃんの写真を持ってDクラスの玉野さんのところへ歩いていくのだった。




 原作の目潰しはリアルだとやりすぎなんですが何度見ても面白かったのでそのままにしておきました。

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