頂の災禍   作:楓叶

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長らく二話目ですねぇ・・・ 
なかなか内容思いつかなくて、見切り発車って大変ですね・・・(((
今回は神羅の過去編(?)です!
そんなわけで二話、どうぞー


邂逅そして入隊

産屋敷邸ーーーーー

 

「やぁ、待ってたよ神羅」

 

穏やかな声、現代で言うF分の1の揺らぎを持った安らぎすら感じる声を発するのは、鬼殺隊現当主・・・産屋敷耀哉だ。

 

「すまない・・・

また鬼舞辻無惨の居場所は掴めなかった・・・」

 

「いいんだよ神羅・・・

君がまた無事で帰ってきてくれた事が何よりも嬉しいよ」

 

一種のカリスマなのだろう、その声は聞くだけで心服してしまうほどに心地よく聞こえる。

しかし、そんな相手に平然とタメ口をきける神羅には、少し特殊な事情があった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

遡ること5年前・・・

そこは森だった。

ひとつ普通の森と違うのは、そこに腕を血だらけで染めあげた少年と、そのまわりにその少年を心底怯えきった表情で囲んでいる鬼が3体いることであった。

見た目からして、少年は齢13ほど・・・

そんな少年が、こんな状況で腕を血だらけにしていたら大怪我だと言わざるを得ないだろう。

しかしながらそれは違う。

なぜなら、少年は素手で鬼を圧倒していたのだ。

つまるところ腕に付着したのは返り血、鬼の負傷の証なのだ。

 

「来るなら来い・・・

貴様ら鬼共は俺が滅してやろう」

 

「な・・・なんだこのガキはっ!

俺は・・・俺らは鬼だぞ!?」

 

「人間ごときが・・・!

てめぇら!一気に叩き込むぞ!」

 

「・・・あぁ!

さっきのはたまたまだ!

次は・・・殺る!!」

 

まぐれは二度と続かない!

と思ったのか、鬼たちは左右正面から一気に仕掛けた。

そんな状況では、普通の人間なら死を覚悟し、嘆き、無駄な祈りをあげ、そして食われて死んでしまうのだろう。

しかしこの少年は違った。

まず正面から向かってくる鬼に対して、引くのではなく突進をした。

そして顔を13歳とは思えないほどの握力で握りつぶし、そのまま横なぎに振り回す。なぜ人間の子供がそんな芸当を成せるのか・・・それは、この時少年は無意識にも全集中の呼吸を会得していたからである。

類まれなる才能・・・まさに鬼才である。

 

「ぐあぁぁ・・・

クソッタレが!

なんだってんだよ!

ただのガキじゃねぇのかよ!」

 

「さっき食ったこいつの親らしいやつはこんなこと無かったのに!」

 

「くそ、もうすぐ日が昇っちまう・・・!

しかたねぇ!ここは引くぞ!」

 

日が昇るのを見越して、鬼たちは引き上げようとする。

が・・・

 

「なるほどな・・・

貴様ら全く死なんとおもっていたら、

そうかそうか、陽の光が弱点なのか・・・

クカカッ、いい事を聞かせてもらったぞ」

 

新しいおもちゃを与えられた子供のように笑い、ここからが本番だと言わんばかりに体に力を入れる。

先程までよりも圧倒的に濃密な殺気。

鬼たちがまずいと思った時にはもう遅く、

少年は信じられないスピードで鬼たちの手足をもぎりとった。

 

「「「ぐぁぁぁぁぁあ!?」」」

 

鬼は断末魔の叫びをあげ、しかし陽の光に当たることも出来ないので必死に再生を試みる。

が、それを許すはずもなく・・・

 

「おいおい・・・

何を勝手に再生させようとしている?

言ったはずだ・・・

貴様ら鬼は一匹残らず滅するとな・・・!」

 

そして日は昇り、鬼たちは阿鼻叫喚の中で塵も残さず消えた。

 

「親父・・・お袋・・・

助けられなくて、不甲斐なくてすまなかった・・・

もう2人のような犠牲を出さないためにも、

俺は強くなるぞ・・・!」

 

涙を流しながら、両親の墓を作り、ズタボロに壊れた家をあとにして山を降りた。

 

少年はそれからも鬼を狩り続けた。

武器も持たず、殴る蹴る叩く頭突く貫く・・・何もかもを試した。

陽の光をあびるその時まで、鬼たちは泣き叫び、許しをこい、生に

執着した。

しかし少年が辞めるはずもなく、何体もの鬼が葬られていた。

 

1ヶ月後・・・

いつものように鬼と対峙していたら、1人の剣士がやってきた。

 

「逃げて!

私が来たからにはもう大丈夫!

さぁ、早く!」

 

女の人だった。

女がこいつらを倒せるのか?

しかし刀を持っている・・・

見れば勝てる見込みがあるようだ。

少し見てみるか。

少年はそう思うと、少し後ろへ下がった。

 

「花の呼吸・・・壱の型

秋明菊(しゅうめいぎく)』!」

 

太刀筋がかすみ、見えなくなり一線。

鬼は気づくことすらなく逝った。

 

「・・・ごめんね」

 

女の剣士はぼそっとそうつぶやき、少年の方に向き直る。

 

「大丈夫だった?」

 

「問題ない・・・

助かった、礼を言う・・・」

 

しかしこの女はなんだ?

あの鬼を陽の光に当てずに倒してしまった。

それに、呼吸・・・型?なんだそれは・・・

そう考えにふけっていると、まだ怯えているのかと思った女の剣士が話かてきた。

 

「私は胡蝶カナエ

あなたは?こんな所で何してたの?」

 

「俺は夜刀神神羅・・・

ここには鬼を狩りに来た」

 

少年・・・神羅がそう言うと、一気に顔色を変えた

 

「・・・あなたみたいな子供がそんなこと出来るわけないわ

遊びで言っているのなら、即刻立ち去りなさい

これは命に関わることなのよ」

 

そう言われるが、神羅は顔色ひとつ変えず

 

「そんなことはとうに知っている

これまで鬼は何十体と狩ってきた

嘘だと思うのなら思えばいい

だが、俺はあんたのその刀が気になる・・・

それはなんだ?あいつらは陽の光を当てなければ死なんはずだ・・・

どうやって殺した?」

 

剣士・・・カナエはそれを聞いて驚いた。

まだ10といくつ程の少年が、何十体も鬼を狩った?

ありえない。しかしこの落ち着きようはなんだ?

なぜ陽の光を当てれば鬼が死ぬのを知っている?

考えれば考えるほど、目の前の少年が分からない。

 

「・・・とりあえず、あなたは家に帰りなさい

ここは子供がいていい場所じゃないわ」

 

考えても答えは出ない。

ならば早いとここの少年を帰してしまおうと考えたカナエは、

家に帰るように促す。

が、

 

「その刀はなんだ?呼吸・・・型とは一体なんだ?

見たところどこかの組織に属しているのか・・・

なんという組織だ?そこに行けば鬼を狩れるか?」

 

少年は聞く耳を持たず、しかし怒涛の質問攻めをしてくる。

カナエは困ったが、少年にも事情があるのかと話を聞くことにした。

 

「・・・あなた、鬼に何かされたの?

どうしてそんな事が知りたいの?」

 

「俺は親を鬼に殺された・・・

俺のような被害者を出さないというのもあるが、俺は鬼を一匹残らず滅するために力がいる

そして、その力を胡蝶カナエ・・・あんたが持っているのなら、

俺はそれを知る必要がある」

 

胡蝶カナエは絶句した。

親が鬼に殺されるなんてことはこの世ではざらにある話だが、そこでは無い。

この少年は親を殺されたその瞬間から鬼狩りとしての才覚を表したとでも言うのか。

考えも見てほしい。親を殺されたということは、その場に鬼がいる。

その場に鬼がいるというのに、鬼殺隊が出張ったという話は聞かない、どころかさっき初めて見たという反応からこの子は初めての鬼との戦闘で、しかも素手で生き残ったとでも言うのか。

 

「・・・そう・・・なのね

たしかに、今までの感じからしてあなたの言っていることに嘘は無いのでしょうね・・・

嫌なことを聞いて、それに話を信じてあげられなくてごめんなさいね」

 

「気にしていない

むしろ信じてもらえるなんて思ってもいなかった

それで、あんたの属する組織はなんだ?

俺もそこに行けば力をつけることが出来るのか?」

 

カナエが謝るも、その力を求める貪欲さを隠すことも無く 根掘り葉掘り聞いてくる。

カナエは苦笑すると共に、この少年・・・夜刀神神羅を鬼殺隊本部、『産屋敷邸』に連れていくことにした。

 

産屋敷邸ーーーーー

 

「御館様・・・」

 

「よく来たね・・・カナエ

元気そうでなによりだよ

ところでどうしたんだい?」

 

カナエは、産屋敷にこれまでの事を余さず話した。

 

「なるほどね・・・

君、神羅といったね?」

 

「あぁ」

 

産屋敷にタメ口で話す神羅に、カナエが血相を変えて怒る。と言うよりも焦る。

 

「コラ!

御館様には敬語!」

 

「ケイゴ?なんだそれは」

 

「ははは

いいんだよカナエ

彼の好きなよに話させてやってくれ」

 

生まれてこの方山で育った挙句、13の時に親を失い、そこからは誰と話すことも無く鬼を狩り続けた神羅には、敬語は分からなかったようだ。

それを産屋敷も気にしないようだが、それが更にカナエを焦らせる。

 

「君は・・・神羅はここに入ってどうしたいんだい?」

 

「鬼を一匹残らず滅する・・・

それだけが俺の今の目標だ」

 

揺るがない瞳で産屋敷を見つめ、そう返す。

 

「そうか・・・

カナエ」

 

「はっ」

 

「彼を蝶屋敷で面倒を見てやってはくれないか?

そして、頃合になったら最終選別に向かわしてほしい」

 

「ですが・・・」

 

カナエは答えを渋った。

産屋敷が首を傾げていると、カナエはそれに答えるように話した。

 

「実は、この子・・・神羅には花の呼吸の適正がないのです

このに来るまでに試したのですが・・・

私では彼を育てることはできません」

 

「なるほど・・・そうか」

 

2人が考え込んでいると、

 

「呼吸?なら必要ない

俺が新しいものを作ればいいだけだ

カナエは俺に剣を教えてくれ

俺は剣どころか木の棒すら握ったことは無い

今まで素手だったのでな」

 

そんなことを言い出す神羅に驚きを隠せない。

呼吸とは、炎、水、風、岩、雷の基本呼吸があり、更にそこから必要であれば派生させていくのである。

呼吸を何も知らない神羅では、派生は愚か呼吸を使いこなせない。

そのことを伝えると、さも何も問題ないかのように答えた。

 

「それならば、俺はその呼吸?とやらを使っている

これを使っている間、俺の身体能力は向上し、鬼すら素手で屠れるほどだ

今じゃ寝ても醒めてもその呼吸をしている」

 

2人はさらに驚いた。

まさか常中までとは・・・

と産屋敷が驚いていると

 

「そういう訳だ

そこは問題ない

これまでなかったというのなら俺が初めてになればいいだけの話だ

カナエこれからよろしく頼む」

 

3ヶ月後・・・

神羅は鬼を狩っていた際に鬼で色々試した結果、『壊し方』を熟知していた。

あくまで素手でのではあるが。

しかし、そんな神羅はまさか、5呼吸からではなく『全集中』からの派生を生み出した。

属性に囚われない、しかし相手を壊す・・・滅することだけに特化した

 

 

ーー『滅』の呼吸をーー

 

 

そして最終戦別試験当日

 

最終選別とは藤襲山(ふじかさねやま)にて行われる、鬼殺隊入隊試験のことである。

山は藤の花に囲まれており、中には2,3人しか人を食べたことの無い鬼が生息している。

鬼は藤の花を極端に嫌っているため、外に出ることは無い。

ここで7日間生存することが試験内容である。

 

そして最終選別がはじまったーーーー

 

1日目、

神羅は山を歩き、鬼を見つけ次第狩っていった。

特に特徴もない今まで相手してきた鬼と同じ、もしくは弱い鬼ばかりなので、刀を持った今の神羅の相手になりはしなかった。

 

2日目、

段々と相手の力が強くなっている気がする。

自分以外の隊士見習いを食って強くなったのか・・・

しかし神羅には及ばない。

息をするのと同義とするように屠っていく。

 

3日目、4日目も以前変わらず鬼を屠っていく。

しかし、他の隊士と全くと言っていいほど会わない・・・

もう神羅以外は全滅してしまったのだろうか

 

5日目、

叫び声が聞こえた。

声の方向に走っていると、一人の少女が巨大な異形の鬼と戦っているところだった。

 

「鱗滝の弟子ぃ」

 

「くっ・・・!」

 

何やら苦戦している様子だ。

助太刀した方がいいか・・・

 

「滅の呼吸・・・災禍之参(さいかのさん)・・・

黄泉遭(ヨミアイ)』・・・」

 

今居たところから音もなく神速のごとき速さで走り、鬼の背後に立ったかと思えば鬼の首、両腕、両足、胴が瞬く間に切れた。

まるで体の全てが手で出来たかのようなその異形の鬼を瞬殺し、落ちた隊士見習いの少女を救出した。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「うぅ・・・あ、ありがとう」

 

少女は立ち上がると、フラフラしながらだが礼を言った。

 

「他の隊士見習い達がどうなったか分かるか?」

 

「いつつ・・・えっと、さっきの鬼にあらかた食べられてた

それ以外の隊士見習いも他の鬼に何人か食べられてたよ・・・

助けようとしたんだけど・・・」

 

どうやら他の見習い達は全滅したと思っても良さそうだ。

 

「そうか・・・まぁいい

・・・なぁ狐面」

 

「きつねっ・・・!

真菰ですっ!」

 

ぷりぷりと怒っているが全く怖くはない。

がそんなことは今は関係の無いことだ。

 

「・・・真菰、お前は今負傷している」

 

「してるけど・・・」

 

見たところ真菰は足を怪我している。

これでは残り2日と少し、生き残るのは難しいだろう。

 

「残り数日、俺と一緒に来るか?

知り合ったのも何かの縁だ

死んでしまっては寝覚めが悪い」

 

「・・・悔しいけど、あなたの実力は今のであたしよりものすごくすごいってのは分かったつもり

・・・うん、ついて行きます」

 

そして、無事最終選別は終わりを迎えた。

 

超屋敷へ帰ると、産屋敷邸に連れていかれた。

 

「よくやったね神羅」

 

「あんなもの、なんとでもない」

 

「ははは

それは何よりだよ

しかし、心強いね」

 

そんなふうに産屋敷と話していると後ろから数人の気配がしてきた。

 

「「「「「「「柱一同、馳せ参じました」」」」」」」

 

「うん、よく来たね

私の可愛い子供たち」

 

「うむ!今日は一体何用でしょうか!」

“炎柱”煉獄杏寿郎

 

「・・・(空が青いな)」

“霞柱”時透無一郎

 

「今日も派手に行こうじゃないか」

“音柱”宇髄天元

 

「・・・その子供は?」

“蛇柱”伊黒小芭内

 

「御館様ァ・・・こいつはどういうことでしょうか・・・」

“風柱”不死川実弥

 

「(怒ってる不死川さん・・・可愛い)」

“恋柱”甘露寺蜜璃

 

「・・・はぁ」

“花柱”胡蝶カナエ

 

「うん・・・

では今から、()()()()()()()()()()()についての会議を始める」

 

「・・・え?」




はい、第2話でございました
1話に比べて長めですねぇー
てかすげぇ中途半端なところで終わっちゃったよ
次の話どうしよう・・・:(´◦ω◦`):

なんか書いてて、キャラとか時制あってるかなとか心配なんですけど・・・
初めてなので何卒ご容赦ください<(_ _)>ナニトゾォ...

カナエさんの壱の型はオリジナルですー
載ってなかったので作っちゃいました☆
花言葉は『薄れゆく愛』です(´∇`)

てか神羅くん強すぎますね
もうどうにでもなれって感じで書いてます✩°。⋆⸜(*˙꒳˙* )⸝
さぁさぁ神羅くん、このあとどうなっちゃうの!?
次回お楽しみに!(楽しんでくれるかな?)

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