比較的落ち着いた感じの文章で書いていこうと思うので、アドバイスや意見をいただけると嬉しいです!
それでは少し短いですがお楽しみください。
音も無く真っ暗な部屋の中。
窓から差し込む月明かりが机の写真立てを照らす。
写っているのは一人の男子と二人の女子。
女の子は笑顔で写っているが、男の子は違って俯いている。
そんな写真を見て部屋にいた男は懐かしそうに微笑んだ。
その男の子は孤独だった。
幼くして事故で両親を亡くし、兄弟もいなかった彼は祖母の家で暮らしていた。
しかし、しばらくして急病により祖母がこの世を去ってしまい、彼は親戚の家に引き取られた。
だが、引き取られてからある程度時間が経つと彼は別の親戚の家に行き、またそれから時間が経つと違う親戚の家に行くように転々としていた。
もちろん彼自身が望んでこういったことになったわけではない。
彼が親戚の家をたらいまわしにされていた理由としては両親が親戚とあまり仲が良くなかったというのもあるが真の原因は彼のその容姿と性格にあった。
父親譲りの目つきの悪さと母親に影響された物静かな性格は周囲の人間を不気味がらせた。
ある者は彼を不幸を呼ぶ者や悪魔の子といい、罵倒したり陰湿な嫌がらせをしていた。
しかし当の本人はそんな状況を気にしている様子は無かった。
なぜなら彼自身の感情は両親が旅立ってしまったあの日から氷の結晶のように冷たく固まってしまったからだ。
彼にとって目の前で起こる事象はテレビで見るドラマのようにどうでもよいことだったのだ。
そして彼が高校に進学する直前のある日のこと今日は・・・何度も経験した別の家庭への引き渡しの日だった。
「あなたは今日から別の人と一緒に暮らします。」
今までこういった日には幾度となく耳にしたフレーズ。
そうか・・・また別の家に厄介払いされるのか・・・・と彼は小さなキャリーケースをタクシーのトランクから降ろしていた。
新しくお世話になるであろう家の前で親戚に礼と別れを告げると親戚はかれにこう言った。
「・・・色々ごめんなさいね。でも次はきっといい方と暮らせるからね・・・。」
親戚の顔を見る限り嘘を言っているわけではないのであろう、どこか申し訳なさそうだった。
一人になった彼は空を見上げた。
(今日は何だかいつもより寒いな。)
白い息を吐きながら彼はインターホンを押した。
ピンポーンとインターホンを鳴らしてからしばらくして目の前の扉が開いた。
「は~い」と出てきたのは優しそうな女性だった。
「はじめまして。本日からお世話になる・・・」と最後まで言う前に目の前の女性は笑顔で・・・
「
食い気味な反応に彼はほんの少したじろいだ。
「ここじゃ寒いからどうぞ家に入って!今日からここはあなたの家ですから。」
そう言って彼女は彼の手を引いて家の中に招き入れた。
「雪くん、おかえりなさい。」
「!」
彼は何年かぶりに聞いたこの言葉に驚き、どこか懐かしさを感じた。
そして彼は・・・
「・・・ただいま。」
と小さくも確かにそう言った。
彼が玄関で靴を脱いでいる時にふと横を見ると暖簾の奥に茶屋ようなつくりの広い部屋が見えた。
不思議そうに見ていると美紀さんが
「うちは古くからこの喫茶店をやってるの。ちなみに名物は抹茶とくじら汁です!後で作ってあげるから楽しみにしておいてね。」
彼女の優しさに少年はふと疑問を口にした。
「どうして僕を引き取ってくれたんですか?」
彼の質問に彼女はそのままの優しい笑顔で答えた。
「私ね、あなたのお母さんの友達だったの。それも小学校からずっと。それであなたのお母さんが亡くなった時お葬式であなたを見かけて私に何かできることがないかって色々やったんだけど、私は親戚でもないただの友人だから何もできなくて・・・。
そんなやるせなさを感じて数年が経った頃、あなたの親戚からあなたのことを聞いたの。色んなご家庭を転々としてるって。
だからその時に思ったの。この子は私の家で私の家族と一緒に暮らすべきだって。あなたのお父さんやお母さんから受けるはずだったたくさんの愛情を私達があげなきゃって。天国にいるあの子もこれで少しは安心できるんじゃないかってね。
あとは・・・男の子が子供にほしかったっていうのも少しあるかな。
そして今日あなたに会って思ったの。やっぱりあの子に似てるなって。あなたの優しそうなその雰囲気がね。」
彼女の言葉が少し彼に響いたのだろうか、彼は目を見開いてまっすぐ彼女を見ていた。
「そうですか・・・母さんの友達ですか。・・・教えてくれてありがとうございました。」
「あなたは紛れもなくあの子の息子よ。そして今日から私の息子でもあるからね♪」
彼女の持論は少し奇妙だったが彼は今まで引き取られた親戚のどこにも『家族』と言われたことがなかった。
だから彼は少し・・・ほんの少しだけ口元を緩ませた。
しばらく彼が彼女と話していると奥から二つの人影が出てきた。
「母さん、お客様ですか?」
美紀んにそう聞いたのはエプロン姿に青紫色のサイドテールが印象的な女の子。
「ちょっと待ってよ姉様。」
そして後から続いてきた、こちらもエプロンを着たツインテールの女の子。
「ちょうどいいわね・・・雪くん、紹介します。この子たちは今日からあなたの兄弟になる私の娘の鹿角聖良と鹿角理亞です。二人ともいい子だから仲良くしてあげてね!」
「今日からお世話になります、白銀雪です。よろしくお願いします。」
この瞬間から彼の心を包む氷の塊が少しづつ溶け始めたのだった。
次話がいつになるか分かりませんが、文字数はもう少し多くしていく予定です。