まず初めに投稿が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。理由としては大学から出される数々の課題やアルバイトに時間を割かれてしまっていたために執筆の時間があまりとれませんでした。
今では少し落ち着いてきたのでゆっくりですが投稿を再開していけるかなと思います。
あと評価やお気に入りを下さってありがとうございます!作品を読んでいただけるだけでも嬉しいのに評価、お気に入りをしていただけるのは私の励みになります。重ねてお礼申し上げます。
それではどうぞ・・・。
北海道の厳しい寒さもなりを潜め、桜の木が花を咲かせるくらいには暖かくなってきた4月1日、鹿角家の子供たちは入学式や新学期を迎えていた。
雪は家からさほど離れていない公立高校に通い、理亞は聖良と同じ函館聖泉女子高等学院に入学した。
理亞は聖良と一緒に学校に向かっているとあることに気づいた。
「あれ?姉様、リボン変えたの?」
彼女は姉がいつもの白いリボンではなく真新しいターコイズブルーのリボンをつけていることを指摘した。
「そうなんです!これは先日、雪くんに選んでもらったんですよ!」
そう言って聖良は愛おしそうにリボンに触れる。
彼女はショックを受けた、なぜなら前につけていた白いリボンは理亞本人が聖良に似合うと選んだものであったからだ。
(私のじゃなくてあの人のを・・・)
理亞は
そんな彼女を見て聖良はこう告げた。
「雪くんは理亞が思っている以上にいい人ですよ。」
「・・・」
彼女だってそんなことは理解できている。
自分の姉をこんなに綺麗な笑顔にできる人が悪い人物なわけがない。
だが彼女はそのことを決して口に出さない。
「理亞が戸惑う気持ちは分かります。それでも雪くんは私たちの家族です。」
「・・・分かってる。」
とても入学式の日とは思えない空気に耐えかねた聖良は俯く理亞の手を引いてこう言った。
「さぁ行きましょう!今日はせっかくの入学式です!笑顔でいきましょう!」
「母さんも来てくれるかしら・・・。」
「はい!きっと来てくれますよ!だからそんな暗い顔では母さんを心配させてしまいます。」
「そうね!姉様の言う通り笑顔でいくわ!」
そこには先程までとは違って仲睦まじい姉妹の姿が輝いていた。
一方その頃、雪は母の美紀と新しく通う学校に来ていた。
「僕の入学式なんかに来てしまって大丈夫ですか?理亞さんの方は・・・」
雪の疑問に美紀は心配ないと答えた。
「あの子の入学式は午後からだから心配しなくても大丈夫よ。それに息子の晴れ舞台を見に行かないのは母親失格だわ。」
と少し笑いながら雪の方を見る。
「あの子たちの通う学校もここから遠くないからあなたも入学式に来る?」
雪は理亞のことが頭に浮かび、彼女のために自分は行かないほうがいいと判断した。
理亞は雪のことをあまり良く思ってはおらず、それは彼自身も自覚していた。
お互いが無口というのもあり、二人はコミュニケーションがちゃんと取れていない。
しかし雪は理亞に対して申し訳ないという感情が強かった。
いきなり家に転がり込んでおいて、家族として受け入れてくださいというのはあまりにも無理な話だ。
だから雪は理亞にどんなに素っ気なく接されても、むしろしょうがないと感じていた。
「嬉しいですが、遠慮しておきます。女子高は少し肩身が狭くて居心地が・・・」
あながち嘘ではない理由で彼女の申し出を断った。
「それもそうよね、無理言ってごめんなさい。」
「いえいえ。・・・ん?あれは何でしょうか?」
雪は目線の先にある人だかりを指す。
そこには多くの新入生とその保護者が入学式と書かれた立て看板と校舎を背景に記念撮影をしていた。
「あれは入学の思い出に記念撮影をしてるからそれの順番を待っている列ね。」
「そうなんですか・・・。」
楽しそうな他の生徒と保護者をじっと見つめる雪に美紀はこんなことを提案した。
「雪くん、一緒に写真撮ろっか!」
雪は予想もしなかった提案に言葉が出てこない。
呆気に取られている彼の手を取って美紀は列に並んだ。
しばらく並んでいると二人の順番が回ってきたのでスマホを近くの人に渡し、二人はポーズをとった。
カメラマンがお決まりのフレーズを言うとパシャっという音と共にシャッターがきられた。
「良かった!上手く撮れてるわ!雪くんも良い笑顔だし!」
もちろん彼が心からの笑顔をしたわけではないこと彼女もそれは分かっている。
だが同時に、それでも彼なりにぎこちないながらも笑顔を作ってくれたことも理解していた。
だから彼女は嬉しかった。ぎこちなくても、心からでなくても、少しずつ心を開いてくれる彼を見るのが何よりも嬉しかったのだ。
「今日この日を迎えられるのは美紀さんたちのおかげです。本当にありがとうございました。」
彼は頭を下げて改めて感謝の気持ちを述べた。
すると美紀は雪の顔を上げさせて優しく抱きしめた。
「こちらこそ私たちの家族になってくれてありがとう。あなたが素敵な学校生活を送れることを心から祈っているわ。いってらっしゃい、私はここから見守っているから。」
そう告げて彼を送り出す。
「いってきます。」
少年は無意識に微笑み、母に背中を向けて一歩を踏み出した。
それは本心からなのだろうか?
その答えは彼にも分からない。
それから時間がしばらく経ち時計の針は正午を指していた。
理亞は体育館で入学式の真っ最中だった。
保護者席には母と姉が彼女と一緒に記念すべき一日目をともに過ごしていた。
少女の目線は壇上に向けられていて、その耳には校長先生のありがたい話が入ってくるが意識は別のところにあった。
それはやはり白銀雪のことだった。
彼に向けられた感情はただ一つ。
嫉妬
鹿角家に来て間もない彼は母と姉の愛情を独占している。
姉は彼と二人で出かけた時に一緒に買ったリボンを嬉しそうに髪に結び、母はいつも彼に構ってばかりな上に自分に向ける以上に優しそうな顔を彼に向けていた。
(もしかしたら私はいらない子なのかな・・・)
そんな負の感情が彼女の頭の中を渦巻いていた。
理亞の表情はこの晴れ舞台に似つかしくない暗く落ち込んだものだった。
入学式が終わり生徒たちは各自が振り分けられた教室に向かった。
理亞も先程確認した自分のクラスに到着し、出席番号の席に着いた。
彼女の周りの女子生徒は早速近くの席の子と言葉を交わし、交友関係を築いていた。
しかし理亞の場合はそうではなかった。
人見知りで人付き合いが得意でない彼女からすれば入学初日という日は恐怖に近い緊張を胸に抱える日でもあった。それに加えて新しい家族との関係で頭を悩ませている今はとても友人を作ることができる心持ちではなかったのだ。
窓際の席に着席した彼女は誰と話すでもなく、窓から校庭の脇に咲く美しい桜の木をただ見つめるだけ。
理亞自身もこうしているうちに誰かが話しかけてくることを少しは期待していたが、結局ホームルームが始まるまで誰一人として理亞と話すことはなかった。
(誰とも話せない・・・)
と落ち込んだのもつかの間、彼女は自分がこの学校に来た本来の目的を思い出した。
(私はここに友達を作りに来たんじゃない!姉様とスクールアイドルでラブライブに優勝するために来たのよ!)
彼女の思っていることは間違いではないが、友人がほしかったのもまた事実、彼女なりに強がっていたのだ。
そんなうちに教室に担任教師が来て彼女のクラスではホームルームが始まり、クラスの自己紹介が行われた。
黒板には『名前』『趣味』『入ろうと思っている部活動』『その他なんでも』と自己紹介について四つの項目が描かれていた。
生徒たちは少し緊張の色を見せながらも簡単な自己紹介をしていた。
何人かが自己紹介を終え、理亞の番となる。
彼女は立ち上がりクラスメイトたちの方を向いた。
大勢の視線が彼女に向けられ、理亞は息をのんだ。
緊張に押しつぶされそうになりながら彼女は言葉を紡ぐ。
「はじめまして・・・。か、鹿角理亞といいます。えっと・・・しゅ、趣味はお菓子作りで・・・部活動は・・・スクールアイドル部を新しく創って姉様・・・じゃなくて姉と一緒にスクールアイドルをやろうと思ってます・・・よろしくお願いします。」
なんとか自己紹介を終えて席に座るとクラスから様々なが聞こえた。
「スクールアイドル?なにそれ?」
「なんか可愛くない?」
「姉様だって。今時ねぇ・・」
声の内容はともかくとしてクラスメイトたちに良くも悪くも鹿角理亞という生徒は印象に残った。
ホームルームが終わり、その日は解散となったので理亞は帰宅の準備をしていた。
周りではクラスメイトたちがこの後どこかに行こうと話していたが、その輪に彼女は加わることができなかった。
「はぁ・・・」
口から思わずため息が漏れる。
準備を終えた彼女はにぎやかな声を背に教室を後にした。
少年はとある男子と肩を並べて歩いていた。
「白銀は元々はどこに住んでた?」
「前は静岡に住んでた・・・。」
「静岡かぁ!それはまた遠くから。まぁ何かあったら俺に聞いてくれよ!ここら辺には子供の時からずっと住んでるからさ!」
少年は理解できなかった。なぜ横にいるこの男は自分なんかに話しかけてくるのか。
時間は少し遡り、入学式の終了後に戻る。
入学式を終えた雪は指定された教室に向かい自分の席で静かにホームルームが始まるのを待っていた。
周りには既にいくつかのグループができており、雪はその中のどのグループにも入っていなかった。
彼自身これに関しては特に気に留めず、ぼうっと前を見つめていた。
そんな時に突然彼の肩が何者かに触れられた。
雪は 驚いて振り返るとそこにいたのは茶髪の男子生徒。
「よっ!初めまして、俺は後ろの席の
急な自己紹介に首を傾げながら雪も挨拶を返した。
「白銀雪ね・・・覚えた!じゃあこの学校初めての友達は白銀だな!」
彼の見た目やその話し方に軽薄そうな印象を受けた雪だったがそれ以上にある言葉が気になった。
(友達・・・。)
これまで各地を転々とし周りから不気味がられて満足に友達を作れなかった彼にとってこんなことを言われたのは初めてだった。
(なんで僕なんかに・・・)
雪はどうせ最後には彼も自分から離れてしまうのだろうと考えていた。だから最初からこんな付き合いは無しにしたかったのだ。
しかし八神にはそんな彼の気持ちが分かるはずもなく、ホームルームが始まるまでずっと話しかけてきた。
ホームルームを終え、帰宅準備をしている雪はあることを感じていた。
(ここは・・・この学校の人達は今までとは違うのかもしれない。)
これまで彼が通ってきた学校では誰も彼に近寄ることは無く、いつも一人で過ごしていた。
だが、この学校では八神はもちろん男女問わずクラスの多くの同級生が彼に話しかけてきてくれた。
初めてのことで彼は戸惑ったが、その中の誰一人として彼に怯えている様子もなく寧ろ好意的に接してきてくれた。
(なんだろうこの気持ちは・・・)
表情は依然として変わらなかったものの、彼は胸の中で何か温かいものを感じていた。
そして同じく帰宅の準備をしていた八神が雪に言った。
「せっかく友達になったんだからさ、一緒に帰ろうぜ!」
雪は無言で頷いた。
初めての友人である八神と雑談しながらの帰り道、話題は家族の話となった。
「白銀には兄弟とかいるの?ちなみに俺は一人っ子だぜ!」
雪は返答に詰まった。本来なら彼も八神と同じ一人っ子なのだが今は違う。彼のそばには聖良や理亞がいる。
だから彼は質問に質問で返した。
「血のつながりが無くても家族って言ってもいいのかな・・・」
八神はすぐに答えた。
「何言ってんだよ!血がつながってるとかそうじゃないとかなんて関係ねぇよ!白銀が心から信頼できる人、お前の帰りを待ってくれてる人はみんなお前の大切な『家族』なんだぜ!」
彼の言葉を聞いて雪の頭には鹿角家みんなの笑顔が浮かんだ。
「八神君の言う通りだね・・・。うん、僕には二人の兄弟がいるんだ。優しい姉と可愛い妹が。」
「かぁ~!!いいなぁ兄弟がいるってのは!それに白銀がそう言うならきっと良いお姉さんと妹さんなんだろうな。」
「そうだね。二人とも僕の大切な『家族』なんだ。」
八神はそう語る雪の表情はどこか穏やかに見えたのだった。
それからしばらく歩くと交差点に差し掛かり二人は別れの挨拶をしてお互いに別々の道に進んでいった。
自宅に帰ると理亜の入学式から帰ってきていた母の美紀が出迎えてくれた。
「おかえりなさい。新しい学校はどうだった?楽しかった?」
「はい。あの学校ならきっと良い思い出が作れそうだと思いました。」
「それは良かったわね。あ、そうだわ。帰りにケーキ買ってきたから、聖良と理亞が帰ってきたら一緒に食べましょ!」
二人は足取り軽くリビングへ向かい、姉妹の帰りを待つのであった。
現時点では原作と関連を持たせられるように構成を考えているので原作突入までもう少々時間をかけていこうかなと思っております。
あとオリキャラがこれからも出てくる場合があるかもしれませんが、基本的に主人公と鹿角家、原作キャラ中心に話は進んでいきます。