白雪の夜空で・・・   作: まきパリ

5 / 5
二作品を同時並行で書いてるので遅くなりました。申し訳ございません。

今回はSaint Snowのデビュー回になってます。




少年とファーストライブ

新しい学校生活が始まってしばらくが経ち、それぞれが環境に慣れてきた頃、Saint Snowは本格的にその活動を始めようとしていた。

 

 

そんな二人がSaint Snowの出発として計画していたのは校内でのファーストライブであり、その話は家族である雪の耳にも届いていた。

 

 

聖良「雪くん、私たちのファーストライブもちろん見に来てくれますよね?」

 

 

雪「そうですね・・・折角ですし差し支えなければお邪魔したいなと思います」

 

 

聖良「絶対に来てくださいね!楽しみにしてますから!」

 

 

元々二人の性格上相性が良かったためか聖良と雪は本当の兄弟のように仲が良くなっていた。

 

 

雪の反応は素っ気ないものではあるが、それは彼の普通であると聖良も理解している。

 

 

しかし彼と同じ歳である理亞はというと・・・

 

 

理亞「余計な事したら許さないから」

 

 

雪「気を付けます・・・」

 

 

というように理亞の雪に対する八つ当たりという理由もあるがあまり良い関係ではない。

 

 

しかし「来るな」と拒絶しないところを見れば多少なりとも理亞は雪のことを赤の他人とは見ていなかった。

 

 

そんな雪はというと、今までの出来事が嘘のように充実した学校生活を送っていた。

 

 

部活動はやっていなかったがそれでも友人と呼べる存在が増え、自然と笑みがこぼれることも増えた。

 

 

一方で理亞は一学期が始まって約1ヶ月程過ぎた今でも一人で過ごすことが多く、半ばクラスで孤立しかけていた。

 

 

だからこそ理亞は彼を羨み、時には当たってしまうのだろう。

 

 

しかし雪がそんなことを知るはずもなく、何故自分がここまで冷たくされるのかを日々悩んでいた。

 

 

そんな中で舞い込んだ二人のファーストライブの知らせ。彼は二人がどんなことに取り組んでいるのか、スクールアイドルとは何かを知る良い機会だと思い見に行くことにしたのだ。

 

 

あの後で雪は予習も兼ねてネットでスクールアイドルの動画を見ることにした。

 

 

動画サイトで一番上に出てきた動画を再生する。

 

 

(これは・・・)

 

 

画面に映っているのは制服に身を包んだ9人の女の子。

 

 

(この人たちはμ'sっていうのか。)

 

 

しばらく雪は彼女たちのパフォーマンスに見入っていた。

 

 

約5分程度の動画だったが雪はまるで映画を見終わったかのような気持ちだった。

 

 

(・・・これがスクールアイドル。聖良さんたちはこんなのをやろうとしているのか。)

 

 

気付けば彼は何時間もスクールアイドルの動画を見ていた。

 

 

何本も動画を見ている内に彼は少しだが現在のスクールアイドル事情について知ることができた。

 

 

そして彼が一番興味を惹かれたのがラブライブというスクールアイドルの大会についてだ。

 

 

毎年夏と冬の二回に大会が開かれ全国のスクールアイドルの中から頂点を決める大会だそうだ。

 

 

Saint Snowがこれを目指しているか雪には分からなかったが、二人の本気度を見る限り出場しても不思議ではないと思った。

 

 

もし二人がラブライブに出場するのであれば応援に行こうと雪は心の中で誓うのであった。

 

 

 

 

 

聖良と理亞は入学式の次の日から学校でスクールアイドル部を立ち上げ、それから毎日練習に励んでいた。かといってずっとスクールアイドルに関わっているわけでもなく、あくまでもプライベートとはしっかり区別して活動していく姿勢を聖良はとっていた。

 

 

彼女は今年で三年生ということもあり受験勉強の時間を確保したかったというのがひとつの理由ではあるが、それ以上に理亞に学校生活を楽しんでほしいという姉としての想いがそこにはあった。

 

 

しかしそんな聖良の想いも空しく、理亞はあまり充実した学校生活を送れてはいなかった。

 

 

一応聖良も理亞に「学校生活は楽しいですか?」や「友達はできましたか?」と声をかけてはいるが、理亞は「大丈夫」と言って嘘をつき姉に心配をかけまいとしていたのだ。

 

 

互いが互いを想うが故のすれ違いがそこにはあった。

 

 

そしてSaint Snowのファーストライブの大まかな日程が決まったこの日も学校で理亞は一人昼食を食べ昼休みを過ごしていた。

 

 

学校が始まってすぐの頃は聖良と一緒に昼休みを過ごしていたが、つい先日に「友達とコミュニケーションを取っておくのも大事なことですよ」と彼女に言われ友達と昼食を食べるようにと促されたのだ。

 

 

だがクラス内では理亞が聖良と過ごしていた一ヶ月である程度のグループが形成され、それぞれが集まって昼休みを過ごしているため、理亞は自分の机で母に作ってもらった弁当を一人寂しく食べるしかなかった。

 

 

理亞は心細く感じていたものの、つい見栄を張り一人でいることを受け入れてしまっていたのだ。

 

 

彼女が一人で友人もいないのは決してクラス内でいじめというものがあったわけではない。

 

 

昼休み以外でも彼女は休み時間になると姉のところに行ったり、放課後もクラスの誰とも遊んだりすることなどせず、真っ直ぐ練習に向かってしまうためクラスメイトは彼女と話す機会があまり無かった。

 

 

それゆえにクラスでは理亞に対していわゆる「ぼっち」のアイデンティティが確立し、誰も近づこうとはしなかった。

 

 

つまりクラスの誰もが理亞のことを気にかけていなかったのだ。もちろん理亞自身も。

 

 

昼休みの終わりを告げる鐘の音が鳴り響き、理亞は急いで机に広げていたものを片付ける。

 

 

次の授業の準備をする間も彼女はずっと無言のままだった。

 

 

 

 

 

理亞たち一年生の教室がある二階から二つ上がった四階に聖良たち三年生の教室がある。

 

 

聖良は友人と一緒に昼食を楽しんでいた。

 

 

「あれ?聖良ちゃん、今日は妹さんと食べないんだね」

 

 

彼女の友人がいつもと違う聖良を見てそう声をかける。

 

 

「はい、前までは一緒に食べてたんですけど、人見知りなあの子にも友人ができたらしいのでその子と一緒に食べるように言ったんです。私とは放課後になればすぐに会えますし」

 

 

「いいなぁ~妹がいるって。他に兄弟はいないの?」

 

 

「実は・・・」と言うと聖良はスマホを開き写真を友人に見せる。

 

 

「わぁ!もしかして弟さん?色白クールでかっこいい!」

 

 

友人に雪のことが褒められると聖良は誇らしげだった。

 

 

「でも・・・なんか聖良ちゃんには似てないね」

 

 

血が繋がっていないことを知らない友人はもっともな疑問を口にした。

 

 

「確かに私や妹には似ていませんが私の弟であり、大切な家族であることに変わりはありません」

 

 

「弟さん、聖良ちゃんに愛されていて幸せ者だね。私も聖良ちゃんみたいなお姉ちゃんがほしい!」

 

 

「もぉ何言ってるんですか、それより早く食べないと昼休み終わっちゃいますよ」

 

 

「そうだった。早く食べなきゃ!あ、そういえばスクールアイドル部だっけ?活動上手くいってる?」

 

 

「そうですね・・・個人的にはまだまだだと思いますが、練習の成果を見せるために二週間後にライブをやろうと思ってます」

 

 

「それ私も見に行っていい?」

 

 

「是非見に来てください!あと良かったら友達も誘ってきてくれると嬉しいです」

 

 

「ちゃっかりしてるなぁ。分かった、色んな人誘ってみるね」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

ここでチャイムが鳴り響き生徒たちが授業の準備をし始める。

 

 

聖良はカバンから教科書を取り出しながら理亞のことを考えた。

 

 

(理亞・・・頑張りましょうね。私たちのファーストライブ)

 

 

 

 

 

雪がスクールアイドルの動画を見た次の日の放課後、雪は隣の席の八神にこんなことを聞いていた。

 

 

「スクールアイドルぅ?」

 

 

「はい、八神君は知っていますか?」

 

 

「いや、知ってはいるんだけどあんまり詳しくはないな。まぁ強いて言いうならμ’sっていうグループなら知ってる。妹が好きで動画見させられたから覚えてるな。それでそんなこと聞いてどうしたんだ?」

 

 

「実は・・・」

 

 

雪は八神にSaint Snowのこととファーストライブのことを伝えた。

 

 

「へぇ・・・白銀の姉ちゃんたちがスクールアイドルだったとは。ちょうど二週間後にライブがあるんだな。いいじゃねぇか、もちろん見に行くんだろ?」

 

 

「見に行くつもりなんですが・・・妹が・・・」

 

 

雪は理亞が自分のことをよく思っておらず、見に行って機嫌を損ねてしまうのではないかと悩んでいた。

 

 

「なんだそんなことか」

 

 

八神の無神経な答えに雪は顔を少し歪めた。

 

 

「白銀の妹ちゃんはツンデレだ!だから大丈夫!」

 

 

「ツンデレ?」

 

 

雪は馴染みのない単語に首をかしげた。

 

 

八神はツンデレを知らない雪に詳しく説明をし、雪はなんとか理解することができた。

 

 

「何となく理解はできました。理亞さんは恥ずかしいからあのような態度をとっているのですね」

 

 

「あぁそうだ。だから逆に見に行ってやらないと余計に悲しむぞ」

 

 

理亞がツンデレであるということはある意味正解なのだが、雪に対してのあの態度は別の理由があることに彼は気づいておらず、八神の意見に納得してしまった。

 

 

(これからは理亞さんの言動にはより注意しないといけないな)

 

 

とにかく雪はライブを見に行くのに憚られる理由が無くなったのでそれはそれで結果オーライといえるだろう。

 

 

 

 

 

 

それから一週間が過ぎてSaint Snowファーストライブ当日を迎えた。

 

 

雪は久しぶりに女子高に足を踏み入れた。そしてその手にはビデオカメラがあった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ライブ前日、雪は聖良にあることを頼まれていた。

 

 

「雪くん、良ければ明日のライブを撮影しておいてほしいんですけど」

 

 

「大丈夫ですけれど、どうして撮影を?」

 

 

「実は今回のライブをネットで公開して知名度をあげていこうと思うんです。ある大会のために」

 

 

彼は『ある大会』という単語にピンときた。

 

 

「もしかしてラブライブに出るんですか?」

 

 

「!?」

 

 

聖良は彼からおよそ出てくるはずのない言葉を聞いて驚いた。

 

 

「どうしてそれを?」

 

 

「実はスクールアイドルのこと知りたくて色んな動画を見て、そうしているうちにラブライブを知ったんです」

 

 

「そうだったんですね・・・なら話は速いです。私と理亞はラブライブに出場して優勝を目指します。そして明日はそれに向けての第一歩目です」

 

 

雪の胸に優勝という言葉が強く響いた。

 

 

(聖良さんたちは本気でスクールアイドル活動に取り組んでる。だったら家族である僕も二人を精一杯応援することはできるはずだ)

 

 

毎日夜遅くまで学校で練習して、家に帰ってからもずっと練習を続ける二人の姿を見て彼にも思うことがあった。

 

 

彼は拳を強く握った。そしてその目には決意の光が見えた。

 

 

「聖良さん・・・僕は他人と接することが苦手でそのうえスクールアイドルについても詳しいわけではありません。ですが、僕は本気で何かに取り組む聖良さんと理亞ちゃんを本気で尊敬してますし、何か力になれたらいいなと思いました」

 

 

彼は聖良からビデオカメラを受け取りこう言った。

 

 

「だから・・・明日だけとは言いません、これからも僕はSaint Snowのために協力します」

 

 

すると聖良は顔を手で覆い彼女の肩が震えだした。

 

 

突然のことに雪は戸惑い、慌ててハンカチを差し出した。

 

 

彼女はそれを受け取り涙を拭いて彼に感謝を伝えた。

 

 

「ごめんなさい・・・まさか雪くんがそんなこと言ってくれると思わなくて・・・」

 

 

「僕も自分自身が変わり始めてるのを感じてます。みんなから見捨てられ生きることに何も感じなくなった僕に美紀さん、理亞さん、聖良さんが手を差し伸べてくれたからです。だから今度は僕が聖良さんたちを助ける番です。だから明日は一緒に頑張りましょう」

 

 

「はい!明日のライブ絶対に成功させます!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

記憶を頼りに体育館へ向かい、扉の前に着くと中から多くの人の気配を感じた。

 

 

そのまま扉を開けて中に入ると並べられたパイプ椅子にぎっしりと人が座っていた。

 

 

観に来ているのはこの学校の生徒がほとんどだが中には他校の女子高生もいた。

 

 

(もしかして他校のスクールアイドルかな?初めてのライブなのにもう注目されてるなんてすごいな)

 

 

雪は体育館中央に設けられた撮影用のスペースにカメラをセットしてステージが始まるのを待った。

 

 

しばらくすると体育館の照明が消え、辺りが静寂に包まれる。

 

 

真っ暗な舞台上に二つの人影が現れたことに観客は気づいた。

 

 

すると舞台に光が差し音楽が流れだした。

 

 

曲が始まり静かだった会場に曲と二人の歌声が観客の完成と共に響き渡る。

 

 

激しい曲調に合わせたような二人のダンスはその人数の少なさを忘れさせるような圧倒的な存在感がそこにあった。

 

 

それに加えて聖良の美しい歌声と理亞のラップパートは曲の完成度が高いということの証明に他ならなかった。

 

 

いつもとは違う二人の姿に雪は見惚れていた。

 

 

(映像で見るのと全然違う・・・生で見るスクールアイドルってこんなにすごいんだ・・・)

 

 

曲が終わっても拍手と歓声が鳴り止むにはしばらく時間がかかった。

 

 

それほど見ていた人の心を二人は動かしていたのだ。

 

 

雪はライブ中に声をあげることは無かったが、それでも彼自身二人のステージに感動していた。

 

 

舞台上の聖良がマイクを持ち、観客席に向かって話し始める。

 

 

「皆さん、初めまして。私たちは函館聖泉女子高等学院スクールアイドル・・・Saint Snowです!」

 

 

再び会場が完成で包まれる。

 

 

「今日は私たちSaint Snowの初ステージでした。そしてここから私たちの物語が始まります!目標はもちろん私たち二人の夢である・・・ラブライブ優勝です!」

 

 

堂々と優勝を宣言し、より一層盛り上がる体育館。

 

 

「たとえどんな壁が待ち受けていようとも私たちはそれを乗り越えてみせます。今日観に来てくださった皆さんは始まりの目撃者で、きっと今日のことをずっと心に刻むでしょう・・・そして優勝した時はもう一度ここに戻ってきます!優勝旗と共に!その時は私たちと一緒に喜びを分かち合いましょう!だから・・・信じて待っててください!」

 

 

高々と拳を天に掲げる二人の姿はいつまでも雪の目に焼き付いていたのだった。

 

 

そして雪が聖良の指示通り今日のライブの映像をネットに投稿し、後日Saint Snowというグループがスクールアイドル界に期待の新星としてその名を轟かせるのであった。

 

 

 




SS何話も書いておいて今更ですがオリジナルストーリーは構成が難しいですね(笑)

さて、そろそろAqoursとも絡ませていこうかなと思ったり思わなかったりしてますが、そのうち出てきますのでご安心を。

それでは次話でまたお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。