「ふぅむ、あの洞窟の奥にのう。何かしらの魔法でもかけてあったのかも知れんが……」
バロン、そしてもう一人のテムジンという老人、その部下たちを拘束した後、13班は人命救助に勤しんだ。
バロンは洞窟前の凶行以外にも、船を破壊し大勢の人間を海に投げ出していたのだ。
レオナも毒で失われた体力の回復が必要で、今は怪我人たちと眠りについていた。
ようやく落ち着いたトウコたちは、目の前のマモノと会話をかわした。
いや、正しくはモンスター、もしくは魔物だという。
きめんどうしのブラスと名乗った魔物との会話で、先ほどの騒動の詳細が知れた。
ここは、怪物の住む島「デルムリン島」。
ここへ神聖な儀式とやらを行うためにやってきた、パプニカ王家の姫、レオナを暗殺しようと画策したのが、その王家に仕えるあの二人だったという。
その話を聞いて、そして海から回収した世界地図を見たトウコたちは、自分たちの置かれた状況が思った以上に厄介であることを知った。
ここは、私達が知る世界ではない、と。
「ううむ、しかし異世界とは……じゃが、イクラくんの未知の魔法を見た後では、でたらめとは思えん」
「ブラスさんは、この島のまとめ役だとか。どうか、島全体の調査許可を頂けないでしょうか」
ブラスとモンスターたちの多くは、15年前からこの島で暮らしているという。
表面上島で知らぬ場所はないが、命の危険が伴う火山帯などの奥深くなど、立ち入ったことのない場所もあるという。
そういった場所に、帰還の手がかりはないかとトウコたちは考えたのだった。
「かまわんよ。お主達のおかげで、レオナ姫もデルムリン島も救われたんじゃから……気をつけなされよ」
ブラスの許可を取り、13班は島の調査を開始した。
その期間中に、レオナを含む怪我人の容態も回復。
レオナは当初の目的である儀式を終え、迎えの船でパプニカへと帰っていった。
レオナたちも島の調査に協力するとも言ってくれたのだが、調査箇所は危険地帯が多く、とても兵士たちに任せるわけには行かず辞退してもらった。
「ねぇ、帰るあてがないようだったら貴方たちもパプニカにいらっしゃいよ。うちの騎士団で雇ってあげるわ」
ダイとの別れを済ませたレオナは、こんなことを言った。
「ありがとうございます。もしものときは、頼らせていただきます」
もしもの時などなければいいのだが、と内心願いながら交わした言葉。
だが、それはほとんど現実のものとなろうとしていた。
「今日の調査報告は……聞くまでもない、か」
三人手分けしての島中の調査は、ほぼ終了した。
だが、最後の調査でも目ぼしい手がかりはなかったことは誰の顔を見ても明らかだった。
「この島に飛ばされただけで、この島自体に仕掛けはないということか?」
「外見上、まったくわからないようだと……ミイナさんたちがいないと見落としてるのかも……」
沈む面々に、空気も重くなる。
「トウコ、帰ってきてたの?」
「ああ、ダイ。おかえり……今日も魔法の修行か?」
そんな空気を打ち払うように、ダイの明るい声が飛び込んでくる。
「俺もちゃんと魔法が使えるようになりたいからさ」
「ボウヤの魔法は凄いじゃないか。あれっきり、さっぱりであれ、な」
ダイは育ての親のブラスの意向で、魔法使いの修行を受けている。
それまでは不真面目であったが、レオナの毒を治せなかったことに反省し、真面目に取り組んでいるという。
だが、数多の呪文を契約しても一向に使える気配はないのだという。
それが、あの日だけは違った。
今まで契約した呪文が、苦もなく使いこなせたのだが……本当にあの日だけだった。
「才能はあるはずだよ。だって、ボクが契約できなかったライデインも契約自体はできたんだよね?」
「そうは言ってもさぁ。イクラは契約できた呪文を、完璧に使いこなせてるじゃないか」
この島にいる間、イクラはブラスにこの世界の魔法について教授してもらった。
その過程で、呪文の習得法である契約を試してみたのだ。
結果、トウコ、チェルシーはゼロ。
マリナは、トラマナ、ニフラムといった特殊な呪文をいくつか。
イクラは攻撃呪文のみであるが、ほとんどと契約ができたという結果となった。
そんなイクラが契約できず、ダイができた攻撃呪文の代表例がライデイン。
勇者だけが習得できるという、雷撃の呪文である。
「それに、イクラにはエレキなんて魔法があるんだから、ライデインが使えなくたって変わらないよ」
サイキックのスキルであるエレキは雷を操る。
ダイからすれば、ライデインと何も変わりはしないのだ。
「うーん、ボクのスキルは魔法とは別だから、ライデインとの差がわからないからなんとも……」
「なんにしても羨ましいよ。それよりトウコ、また剣の修行付けてよ」
そういってダイは木刀を片手に目を輝かせている。
魔法の修行は真面目に始めたが、やはり剣の方が好きなのだ。
「昔から加減というのが苦手でな……また怪我をさせてしまうぞ?」
実は既にダイとトウコは何度か剣を交えている。
ダイは、トウコが思うよりも強かった。
そればかりか、まるで砂漠に水が染み込むが如く、日に日に強さが増していく。
それ故、最終的には手加減などできずに怪我を負わせての終了となってしまった。
「怪我くらいへっちゃらだよ。じいちゃんとイクラの魔法で治してもらったし」
「過保護過ぎるんじゃないか? イクラクンなど、生まれた翌日には地獄の特訓漬け、ドラゴン漬けだぞ?」
「その地獄に笑って叩き落としたのはチェルシーさんじゃ……」
チェルシーとイクラの会話に、ダイが驚いた表情を浮かべる。
「生まれた翌日って……まさか、この間話してくれたことって全部本当だったの?」
「うん? それって、ボクがまだ生まれたばかりって話のこと?」
イクラは、いつだか自分とマリナの耳について聞かれた時のことを思い出していた。
その際、まだ1歳にもなっていないことも話したのだった。
ダイは笑って聞いていたが、どうやら冗談だと思われていたようだ。
「じゃ、俺の方が兄ちゃんってこ……いてぇ!」
「こりゃ、調子に乗るんじゃないわい」
ダイがブラスに杖で小突かれる。
「年齢が上でも、精神面ではイクラくんの方が大人じゃわい! ……しかし、モンスターにも生まれたばかりで人の大人以上の知能や力を持ったものもおるが、精神は別。自らで育むしかないはずじゃが、1年足らずでしっかりとしたものじゃ……ダイも見習うんじゃぞ!」
「ちぇー……じいちゃんはいつも説教になるんだもんな」
ダイとブラスの様子に、暗かった雰囲気はとうに払われていた。
「みんなー、夕飯できたよー」
「ほう、マリナの料理も様になってきたじゃないか」
台所から料理を運ぶマリナ。
日の丸弁当以外料理経験のなかったマリナだが、島での調査中の13班のためにと、料理や掃除を頑張っていた。
みんなで料理を囲んでの食事に、トウコは今は亡き家族との団欒を思い出す。
ドラゴン襲来の日、意識を失い長い眠りから覚めてみれば、トウコの日常のすべてがフロワロの下に消えていた。
ドラゴンへの復讐だけを生きがいにしてきたこともあったが、今はムラクモが自分の居場所であり、守るべき家族となった。
「(だから、帰らねばな。こんな日常を私達の世界にも取り戻すために)」
この世界では、勇者が魔王を倒して人々に平和をもたらしたという。
未だマモノの脅威が残る地球では、仲間たちが日夜戦いを続けている。
明日からはこの島を出発する準備を始めよう。
そう思いつつも、ダイたちとの別れを惜しいと感じながら、和やかな時間を過ごすのだった。
しかし、翌日。
その日々は、トウコたちの行動を待たずして破られた。
「しっ!」
チェルシーの拳が、目の前のあばれザルを捉える。
一撃で昏倒させたチェルシーは、迫る複数の足音から全力で離れた。
この島には、詰めて3人乗れるかという小舟が一艘あるのみ。
島を出る前準備として、船の材料を探していたチェルシーに、突然モンスターたちが襲いかかってきた。
これまでも軽く力試しなどをしたこともあるが、明らかな殺意をぶつけてくるなど初めての事だった。
ダイの友達を殺すわけにもいかず、意識を奪うことで無力化したのだった。
「チェルシー! やりすぎていないだろうな!」
「合流して言う言葉がそれかぁ? 少しは心配してくれてもいいだろう」
合流したトウコが心配したのは、チェルシーが血の海でも作っていないかだけだった。
特に返り血などはなかったので、トウコはとりあえず安心した。
「何、ダイに比べれば手加減できる相手ばかりだよ。それに、こういう手合いは初めてではないだろう?」
「やはり、そう思うか?」
「ええ……? こんな状況、ボクは……」
二人を背後から追うイクラは、トウコとチェルシーの落ち着き様に戸惑うばかりだ。
「……帝竜スリーピーホロウ。あいつの鱗粉でやられた奴らと同じ目をしている」
帝竜スリーピーホロウ。
様々な異常をもらたす鱗粉を撒き散らした帝竜。
その最大の特徴として、吸った者の正気を奪う鱗粉がある。
既に対策済みだった二度目の襲来では、大きな被害は出なかった。
しかし、イクラが生まれる前……最初の襲来時、この帝竜は地獄を生み出した。
正気を失った、仲間同士の殺し合い……その時の人々を知る二人は、ある程度冷静に対処できたのだった。
「ブラスさんの家まで戻るぞ。まさかとは思うが……」
「いざとなれば、殴り飛ばしてでもマリナを守るぞ。爺さんも望むことではあるまい!」
ブラスまでも正気を失っていれば、家にいるはずのマリナの命が危ない。
最悪の可能性を浮かべつつ、モンスターを避けながらブラスの家まで辿り着く13班。
「トウコ、みんな! ブラスが……」
そこには、惨劇はなかった。
あったのは、苦痛に表情を大きく歪めたブラスに寄り添うマリナの姿。
「じ、じいちゃん!!」
13班に遅れ、ダイが飛び込んでくる。
「じいちゃん、しっかりしろよぉ!」
「ぐ、ぬうう……はっ!? ダイ、皆も無事じゃったか……ううう」
ダイがブラスを揺さぶることで、揃った面々をようやく認識したブラス。
全身に汗を浮かべながら、ブラスは全員の無事を喜ぶも束の間、すぐに苦しそうな息を吐く。
「しっかり、ブラスさん! この異変は一体……?」
「む、うう……このドス黒い血が全身をかけまわるような感覚……これは、魔王の邪悪な意志によるもの……!」
「ええっ!?」
驚くダイ。
トウコたちにとっては当然……そしてまだ12歳のダイにとっても、既に滅んだ存在でしか無い魔王。
「わしらは元来、魔王の手下のモンスター……魔王の暗黒の力が、暴力の血を呼び覚ますのじゃ……!」
「それが皆が正気を失った理由か」
「ダ、ダイ、島から逃げるんじゃ! このままでは、わしはダイもマリナさんも殺してしまう!!」
ブラスはダイとマリナの手を引き、強引に家を飛び出す。
「どうにかならんのか? イクラクンのリカヴァはどうだ?」
「既に試しました。でも、効果はまったく……」
後を追いながら、解決策を模索するがまったく思い浮かばない。
こういうのは本来、本部のキリノやミイナたちの仕事。
自分たちの仕事はいつだって元凶を叩くことのみ。
それも、魔王の居場所がわからない以上、力は意味を成さない。
無力に打ちひしがれながら、船の停めてある海側まで後を追う13班。
「ピー、ピィィ!!」
「ん……? 君は、ゴメ……だったか?」
怯えた表情を見せ飛んでいるのは、モンスターの中でも最もダイと仲良しなゴメ。
ゴールデンメタルスライムという、この島に1匹しかいない珍獣だという。
「どうやら正気らしいな。なんだ、根性あるじゃないか」
「ピィ~!!」
「野生の血が騒がないんでしょうか? 違いが調べられれば、みんなを正気に戻せるのに……」
「しかし、何か様子がおかしいな。何かを私達に伝えようと……っ!?」
ゴメやモンスターの言葉はダイとブラスにしかわからない。
慌てた様子の意図に気が付くより早く、トウコたちは殺気が近づいてくるのを察知した。
「「グワアアアアア!!!」」
「き、来ました! モンスターの大群です!」
普段穏やかな表情のモンスターたちが、血走った目で大挙をなして走ってきた。
その向かう先は、ダイ達がいるはずの方角。
「これを伝えようとしてくれていたのか……止めるぞ。少々怪我させてでも、ダイとマリナの元へは向かわせん!!」
構える13班に、怯むこと無く進撃するモンスターたち。
迎え撃とうとしたトウコは、背後から近づく、知らぬ気配に足を止めた。
「ほーーー!!」
凄まじい速度で13班の脇を、奇声と共に走り抜ける人影。
それはモンスターの群れを弾き飛ばし、そのまま小さくなっていった。
「なんだ今の赤いのは?」
男が通った後には、一直線に光が立ち昇っていた。
ひとまずダイたちの安否を確かめるために、海へと向かう13班。
すると、そこにはダイたち以外に見知らぬ緑色の服を着た少年がいた。
「あっ、トウコ!!」
「ダイ……今のは?」
尋ねたトウコに、ダイは困った表情で首を傾げる。
どうやらダイにもわからないらしい。
そうこうしている内に、島のあちこちから天に向かって光が昇る。
次第に近づく足音と共に、カールを巻いた、独特な髪型の男が戻ってきた。
「魔を退ける力を感じる……これは、浄化の……?」
「そうか、これは……魔法陣?」
マリナとイクラが、立ち昇る光から何かを感じ取る。
赤い服の男は、にやりと微笑みながら地面に描いた光を繋げ、拳に力を込めた。
「いえ~す! これこそ邪を退ける力……ぬぅぅ!! マホカトール!!」
男の唱えた呪文に応えるように、立ち立ち昇る光が大きく島を包み込んだ。
それまで感じていた邪悪な気配が消え去り、天に光が指す。
「うう……こ、これは奇跡か!?」
ブラスは苦しんでいたのが嘘のように、ただただ空の光を見つめている。
「結界……島を邪悪から守っている……」
「島中に満ちていた殺気が消えた……あなたが、これを?」
「これは申し遅れました。私……こーゆー者でございます!!」
男が懐から巻物を出し、広げる。
そこには……
勇者育成ならおまかせ!!
この道15年のベテラン「アバン・デ・ジニュアール3世」
魔法使い、僧侶も育てます
などと書いてあった……
「すまんなぁ、うちは新聞は読まないんだ」
「ちょ、いやいやよく読んでください! 家庭教師! 勇者の家庭教師なんです!!」
面倒くさそうな顔のチェルシーに追い払われかけた、アバンを名乗る男はたじろぎながら自己アピールを続ける。
「家庭教師ぃ?」
「そう! 正義を守り悪を砕く平和の使徒! 勇者、賢者、魔法使い……彼らを育て上げ、超一流の戦士へと導くのが私の仕事なのですッ!!」
「は~~」
「これは弟子のポップ。現在魔法使いとしての修行を積んでいます」
ぺこっと頭を下げる少年、ポップ。
「それで……その家庭教師がなぜこの島へ?」
ブラスの質問に、アバンは真剣な表情で答えた。
魔王の復活。
それにより、世界各地で野生のモンスターが暴れだし、魔王の死後見かけなくなったタイプのモンスターまで現れだしたこと。
アバンが知るだけでも、ロモス、パプニカといった王国が危機に陥っているということ。
そしてパプニカ王家に、未来の勇者ダイを真の勇者に育てて欲しいと依頼されてやってきたことを……
「ロモスの王様に……パプニカ……レオナが!?」
「この島同様……それ以上の危機が、世界中に迫っています。ダイ君、私の修行を受けてみますか? もちろん、修行はムチャクチャハードですが」
「……やる! レオナがピンチなら救いに行かなくちゃ! それに、じいちゃんたちの平和を守るために、魔王だって倒す!!」
レオナの危機を知り、ダイは決意を示すかのように叫んだ。
「ケケケーーーっ!!」
その決意に水を差すような下卑た声が、空高くから響いた。
皆が見つめる方角から、二つの影が飛来する。
「が、ガーゴイルだ!!」
ポップが示した通り、現れたのは二体のガーゴイルと呼ばれるモンスター。
「人間だぁぁ!! 殺せぇぇ!!」
「ポップ、あいつらを……ッ!!」
ポップに撃退を任せようとしたアバンの表情が変わる。
いつの間にか結界の外に、トウコが立っていた。
「お、おい、危ねぇぞ!!」
「いいえ……もう、終わっています」
ポップの心配する声に、アバンはそれは無意味だと告げる。
「ケケー! 死……アブァ!?」
「ひぃ……ギャアァァ!!」
既に、トウコは切り捨てた後だったのだ。
アバンの目を持ってしても、初動は見えなかった。
それほどまでの居合で、ガーゴイルは死ぬ瞬間まで斬られたことさえ自覚していなかった。
「ダイ」
「う、うん……なんだい、トウコ?」
「私達は、元いた場所に帰らねばならない。この世界がどれほどの危機に陥っていようと、それは変わらない」
「……知ってるよ。トウコたちは、故郷の人たちを守らなきゃいけないんだよね?」
トウコの言葉に、ダイはただ頷く。
何かの間違いでデルムリン島に辿り着いてしまったが、未だ苦しんでいる人たちが帰りを待っていると聞いていた。
守りたい人たちがいるのに、守ることが出来ない場所にいる。
今、レオナを守りたいと思う気持ちを持って、ダイにもようやくその辛さがわかった気がした。
「……だが、未だに帰る手がかりも掴めていない。ならば、これまで世話になった恩くらいは、返しておくべきだと思う」
「えっ?」
「うちのリーダー様は真面目が取り柄でなぁ。ボウヤのことは放って置けないが、ムラクモに帰還せねばならないしと板挟みでな……強引な理由付けなんだ、察してやってくれ」
「ちぇ、チェルシー!!」
真っ赤になったトウコを、チェルシーがからかうように笑う。
「ボクたちはいつか、ダイくんを置いて帰ってしまうかもしれない。でも、それまではダイくんの力になりたいんだよ」
「トウコ……わたしは平気。ムラクモも、そんなに弱くない。自分の気持ちを、大切にして……」
マリナの言葉に、トウコはダイに向かい合う。
「ダイ、君が勇者となる手伝い……私達にもさせてほしい」
「う、うん! ありがとう、トウコ!!」
がっちり交わす握手。
それを見て、再びチェルシーが怪しい笑顔を浮かべる。
「ダイ……そんな笑顔でいられるのも今だけだぞ……なぁ、イクラクン?」
「トウコさんは裏表のない素敵な人です。トウコさんは裏表のない素敵な人です。トウコさ」
「イクラァァ!?」
壊れたように同じ言葉を繰り返すイクラをダイが揺さぶる。
「ううーん……私、なんだか印象薄くなっちゃいましたかねぇ。ですが……」
アバンは、少々蚊帳の外に置いて行かれた感じに困りながらも、嬉しさを感じていた。
この世界にはまだ、自分以上の猛者が当然のように居てくれたということに。
彼女らと共にならば、ダイを真の勇者に育て上げることができるだろう、と。
「しかし、そうなると特別ハードコース以上の特訓になりますか。さしずめ、特別ハードコースEX(エグゾースト)……といったところでしょうかねぇ?」
アバンは、自分にとっても未知の超特訓にダイがついてこれるようにと、密かに祈るのであった。
ムラクモ13班簡易紹介
トウコ
職業:サムライ
容姿:ステューデントスタイル(女)
性別:女
CV:女性F
年齢:17
参戦時期:西暦2020年
ドラゴン襲来前の、ムラクモ入隊試験の日から戦い続けているムラクモ13班のリーダー。
性格は真面目が人の形に具現化したかの如く。
自己を捨て、人類の刃足らんと戦いに身を投じていたが、チェルシーと激突しあうことで自分も大切にするようになり、性格も多少丸くなった。
2021年の戦いでもリーダーとして戦い抜いた、13班最強の剣。
チェルシー
職業:デストロイヤー
容姿:オタクスタイル(女)
性別:女
CV:女性R
年齢:15
参戦時期:西暦2020年
トウコと同期のデストロイヤー。
元々はハッカーの才能を期待されていたが、トウコの意見でデストロイヤーに転向。
それ以来、その容姿と体格からは想像もできない戦いを繰り広げ、ムラクモの守護神の異名を持つ。
全身に癒えることのない傷跡を残しているが、一番深い傷はトウコとの喧嘩によるものである。
他人を卑下し、束縛を許さない性格で、トウコと激突したことは数知れないが、もっともトウコを認めているのもチェルシーである。
同様にイクラのこともからかいながらも認めているため、仲間に不当な評価を下す相手には激怒する。
イクラ
職業:サイキック
容姿:ルシェスタイル(女)
性別:男の子
CV:女性A
年齢:0
参戦時期:西暦2021年
ムラクモの研究で現代に蘇った、アトランティスの民、ルシェ族。
肉体ベースにS級能力者の遺骸を使用していると噂されているが真偽は不明。
少なくともSランクのサイキック能力を持ち、13班全体でも最高の才能。
全ルシェの中で最後に生み出された個体であるが、容姿が女性ベースで生み出されてしまった。
ちゃんとついてる(何が
性格は臆病で気弱だが、地獄の特訓と実戦で改善された。
ミイナ、ミロク、マリナの弟的存在。
名付け親のマリナに特に懐いているが、名前の由来は直前に食べたおにぎりの具である。