内容はほぼ変わりません。
今度は完結させたいです。
幻想郷───
そこは、
博麗の巫女が管理する、博麗大結界の中にのみ存在を赦された、夢想の幻。
そんな幻想郷の一角、妖怪の山と名づけられた巨大な山の頂上。そこに、守矢神社と呼ばれる二柱の神々が住む神社があった。
外の世界で言う諏訪大社に祀られる二柱の神である。
外の世界での信仰が得られなくなったことにより、湖ごとこの幻想郷に移動してきた。
移動してきた当初は博麗神社の乗っ取り宣言をしたり、地底の地獄鴉に核融合の力を与え八咫鴉にし、「山の産業革命」を起こそうとしたりと色々と無茶をやってきたが、今では幻想郷の人々とも打ち解け、幻想郷の住人(住神?)として受け入れられている。
特に妖怪の山の中では最上位の権力を持ち、当初の目的であった信仰心を集めると言う目的も少しづつであるが達成されて行ってると言ってもいいだろう。
幻想郷の外で(信仰は最早無くとも)未だに忘れられていない特異な神々。
今から語られるのはそんな二柱の神々と、眷属である二人の現人神達が綴る、幻想郷での日々を描いた日常記録である。
Memory.1『守矢家の人々』
妖怪の山の頂上に佇む守矢神社。
地霊殿異変が落ち着いてから約三ヶ月の月日が流れたその神社の二柱は今、
「ああっ!私のキノコが!!」
「神奈子おっ先ーー!」
「あ!まちなさいこのカエル神!この私にサンダーを当てた罪は重いわよ!」
「悔しかったら当ててみなよー!」
「このーー!!!!食らいなさい!!」
「ちょっ!?そのタイミングでスター引くとか!?ってあああ!!」
「ざまぁ(笑)」
「このっ!神奈子ーー!!」
マ○カーで対戦していた。
神の癖に...何て言わないで欲しい。神とはいえど何でもかんでも出来るわけではないのだ。
外の世界の科学は最早、神に取ってみても神域の産物。特に『でぃーえす』や『うぃー』などと言った俗にゲームと呼ばれるこれらの物は、二柱の力を持ってしても再現するのは難しいだろう。
緻密で精密な外の世界の機械は神にとっても未知の物なのだ。
最初は未知の物に対する恐怖からかゲームをやりたがろうとはしなかった二人だが、一度やり出してからは大いにドハマり。今ではゲームをしてない時間の方が短いという始末。
特にマ○カーやスマ○ラなどと言った、二人で対戦の出来るゲームをよくしており、既に対戦回数は百回を優に超えている。スーパーマ○オブラザーズのような協力の出来るゲームもやることはあるが、
1分もすれば互いに互いを蹴落とすゲームに早変わりし、協力の字の欠片も見えない状態となる為、あまりやっている姿は見かけない。
最近の彼女たちの中でのムーブはモン○ターハ○ターと呼ばれるゲームで、日々ハンターランクとやらを上げるために罪のない怪物達を狩りまくっている。
「ふふん!また私の勝ちだね!」
「くぅぅぅ~~~~~~!!!!!!!もう一回!もう一回だけ!!!今度こそその生意気な態度を改めさせてやるから!!!」
ゲームの腕は諏訪子の方が現状は上らしい。マ○カーだけの戦績を見てみても、諏訪子165勝、神奈子142勝と勝ち越している。
ずっとゲームばかりやっていた分神奈子の腕も悪くはない、と言うか軽々と幻想郷の五指に入る程度の実力は持っているのだが、これは天性の才の違いだろう。
一部神奈子が勝ち越してるゲームがあるとは言え、全体的に見てみても、諏訪子の方が勝率は高い。
「ああー!?また負けたー!!!!」
「なんどやってもおなじだよー。神奈子じゃ私には一生勝てないよ!」
どうやらまた神奈子が負けたらしい。がっくりと膝から崩れ落ちる神奈子を、諏訪子はケラケラと笑いながら見下ろしていた。
と、そんな中に響く声があった。
「まだやってんですか……こっちの用事は終わりましたよ、神奈子様、諏訪子様」
「あ!一樹、お帰り!」
そう言って、ふすまを開けて入ってきたのは緑色の綺麗な髪を持つ少年だった。
名を、
二柱の眷属であり、神社の掃除や、炊事洗濯、二柱の世話などもこなす苦労人な人物である。
「言ってた物は持ってきてくれた?」
「ええ、これでしょう?」
そう言って一樹が諏訪子に差し出したのは、銃器やゾンビ、廃れた町などが描かれたホラーチックな薄いケースだった。表紙にはバイオ○ザードと書かれている。
「そうそうこれこれ♪紫に聞いてからずっとやってみたかったんだぁ♪」
「……こんなことを言うのは気が引けるんですけど……神様がやるゲームではないですよね?」
「何一樹?ホラー系は嫌い?」
「ええ、まあ……別にお化け屋敷も入れない、みたいなレベルではないですけど……」
「勿体ないなぁ」
心底勿体ないというように、ため息をつく諏訪子様。
それを苦笑気味に見ていた神奈子様がふと思い出したように問いかけてきた。
「そういえば、早苗は?」
「早苗なら、このゲームを河童の所に取りに行ったときに、一緒に置いてあった「びーむらいふる」とか言うのを見てから動かなくなったので、置いてきました」
「ああ……早苗のロボット好きは筋金入りだからねぇ……」
「あれはもうどうにもなりませんよ……っと、噂をすれば」
石段の方から聞こえてくる「神奈子様ーー!諏訪子様ーー!!」と言う女の子の叫び声。
「ただいま帰りましたー!!!」
そう元気な声と共に勢いよくふすまを開けて入ってきたのは、二柱のもう一人の眷属であり、戸籍上は一樹の義理の姉である、一樹と同じ透き通るような緑色の髪を持つ少女。
「遅い」
勢いよく飛び込んできた早苗の頭に寸分の狂いもなく一樹のチョップが叩きつけられる。
「あうっ!た、叩くことないじゃないですかぁー!!一樹!!!」
「叩かれたくなかったらもっとさっさと帰ってこい」
「ううー」
涙目で抗議する早苗を呆れ気味に突き放す一樹。
そんな二人を微笑ましげに見つめる二柱。
種族は違えど、性別は違えど、思想は違えど、彼らは確かに家族だった。
「それはそうと早苗」
「何ですか?」
一樹の問いかけに可愛らしく小首を傾げる早苗。
「神奈子様に言われた物は持ってきたのか?」
「あ、はい!ちゃんと持ってきましたよ!」
早苗はそう言って自信満々に何かを取り出した。
それは真っ白な筒で、俗に言うガ◯ダムのビー◯サーベルの柄のような──
「あ、すいません間違いました」
「おい待てなんだ今の」
「き、気にしないでください……」
冷や汗をだらだらとかきながら、誤魔化そうとする早苗に冷たい目を向ける一樹。
「お前……また河童のとこから盗んできたな?」
「盗んだなんて人聞きの悪いこと言わないでください!これはパクっ……借りているだけです!!!」
「今パクったって言おうとしただろ」
「き、気のせいです」
「まあまあ、一樹そこまで」
「たくっ……諏訪湖様は早苗に甘すぎるんですよ」
「まあ子孫だしねえー。過保護になるのも当然だよ」
ぐちぐちと文句を言いながらも「しょうが無い」と認めてしまう時点で一樹も十分甘いのだが、知らぬは本人ばかりと言うことか。そんな彼を見て、二柱はにやにやが止まらない。
「……何なんすか」
『いや、何も』
「あ!ありました!!これですよね?」
一樹が懐疑的な目を向け、二柱がにやにや笑いのまま白々しく嘯く。そんな中に早苗の声が響いた。
早苗がその手に持っていたのは……
「カビ◯ラー!!!」
「ちょっと待てぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
「そうそう、これよ!これが欲しかったの」
「なんで!?なんでカビ◯ラー!?」
「いやぁ……手入れをほっぽり出してたら御柱にカビが生えてしまって……この際だし一掃しようかなーって……」
「それ場合によっちゃあ御柱ごとアウトですよね!?」
「……あ」
この阿呆神共が。
そんな声が聞こえた気がした。
「はぁ……処理は俺がやっておきますよ」
「いいの?」
「ええ、ご神体がカビまみれなんて格好が付きませんからね。それに皆さんに任せるのは不安すぎます」
「あはは!まあ神奈子様ですからね!しょうが無い、私が手伝ってあげますよ!」
「いや、お前もだよ早苗。寧ろお前に言ってんだよ」
「なぬっ!?」
ショックを受けたように、「よよよ……」と崩れ落ちる早苗。コレはもう放っておこうと、一樹はあまり気にしないようにした。
だが、そう決意した矢先に早苗は勢いよく復活する。
「だ、だったら!一樹がカビと格闘してる間にお昼御飯作っておきますよ!!」
「え?いや、けど俺の仕事だし……」
「良いんです!……少しは頼ってくれても良いじゃないですか、血は繋がって無くても私たちは兄弟なんですよ?」
早苗の目は真剣で、そんな顔の早苗を見て、一樹に断ることは出来なかった。
「はあ……じゃあ頼むよ」
「!……はいっ!!!」
諦め半分で任せると告げた一樹に、早苗は屈託のない笑顔で元気よく返事を返した。
その表情は本当に一つの悩みもないような満面の笑みで、一樹はその笑顔を守り続けていようと小さく心に刻み込んだ。
まあ、早苗がやらかしたことにより、結局は一樹が料理を作ることになるのだが、そこはご愛敬ということで。
何分4年ほど前に投稿したものなので、作品内に出てくるアイテムの名前が古いです。
今更そこを書き直すのもそれはそれで違和感がありそうだったので、そのままにしました。