巫女と天パと超絶ラッキーガールが異世界から来るそうですよ? 作:ジャンヌ
あと原作一覧から銀魂が消えて軽くショックでした。マル。
それでは、どうぞ!
まだ陽も上がらぬ午前4時。パチリ、と桜市子は目覚めにしてはやけに清涼とした気分でベッドから出た。窓の外を見ても、まだ薄暗い。だが二度寝しようとは思わない。
(遠足の前夜じゃあるまいし・・・)
異世界での最初の闘い。まだ精神的にも成長途上な彼女だ、色々と思うことはある。
「水でも飲も・・・」
素早く制服に着替え、部屋をでる。
しかし、どうにも不思議な気分だ。物音一つせず、こんなにしゃっきりと動いている自分がまるで特別な存在のような・・・微かに残っていた眠気もはれ、高揚する気分。
「よし、絶好調!さすが私!」
休日にいつも三度寝したくなってしまう怠惰な自分。克己したと錯覚している今の彼女に、障害などあるはずもない。食堂への扉を勢いよく開け放つ。
「さーて、おっはよー!って誰もいるわけ、ない、か・・・」
その時、彼女は激しく後悔した。
あの時、ただ顔だけ洗って散歩にでもいけば良かったと。
水など、別に飲む必要はなかったと。
なぜなら、そこにいたのは。
「よ、よう・・・朝から、結構なことだナ・・・」
頬がやせこけ、虚ろな目をした・・・銀時が、床につっぷしていたから。
コポコポ、とピッチャーから麦茶が注がれる。西洋風なこの建物に、ややこの飲み物はミスマッチともいえるが、気にしたら負けだろう。
老人のようにブルブルと手を震わせ、コップを掴む銀時。危なっかしげにそれを口に運び、喉を鳴らして一気に流し込む。
「・・・うまいっ・・・!今までの・・・クズみてぇな人生で・・・一番・・・!」
「大げさねぇ。こちとら朝からあんな醜態見せられてテンション下がるってのよ」
某平凡人のような調子で感動を表す銀時を、呆れながら見つめる市子。素っ気ない言葉だが、すぐさま銀時を介抱したところからも、優しい面が伺える。
「文句いうならテメーの連れに言ってくれや・・・的確に人の弱点つきやがって」
「・・・?何されたの?」
「首つり死体もどきを見せられた」
「あー・・・ドンマイ」
そういわれて納得してしまうのは、ひとえに紅葉の普段の行いのせいだろう。かくいう市子も、幸運にも大事にはならなかったとはいえ、あの縄の餌食になったことがある。余計、銀時には共感できた。
「それで夜中に目が覚めたってわけね・・・」
「いや、違うけど?」
「え?」
「ばっちりオールしたけど、なにか?」
「・・・マジで?」
「大マジ」
呆れた、とばかりに額に手を当てる市子。よくよく見てみれば、クマが尋常ではないことに気付く。固定観念のせいか、まさかと思ったが・・・。
「大の大人のくせして・・・」
「うるせーよ。仕方ないじゃん、あんな精神攻撃Aのスタンドとか反則だろーがよ・・・アレ、スタンドとは言い難いか?んじゃ、『血みどろ色の波紋疾走』ってところか・・・いやいや、あんなグロテスクな波紋があるわけねーだろーが・・・」
「いったんジョ○ョから離れたら?」
未だに下らないことでウンウン唸る銀時に、もうほっといてもいいか、と感じて席を立つ。
「まったく、あんたは出ないとはいえ、もう少し健康には気をつけなさいよ?こっちだって迷惑するんだから」
「・・・やけに心配してくれんじゃねーか。生憎、乳くせぇJKに心配されるほど落ちぶれちゃいねーよ」
「べ、別に心配なんかしてないわよ!?ほら、どっかで野垂れ死にでもされたら目覚めが悪いって話で!!」
「ヘイヘイ、ありがとさん」
顔を真っ赤にして言い訳を口にしだす市子の様に苦笑いし、銀時も席を立つ。まだフラフラしていたが、それでもしっかりとした足取りで市子の前に立つ。
その眼は、市子になぜだか不安にさせた。
「な、なによ」
「・・・聞きたいことがある」
真剣な表情に、思わず背筋が伸びた。
近いような、遠いような。微妙な距離感のまま、銀時は語り続ける。
「てめぇは、今日何しに行くんだ?」
「は?そりゃガルドをぶっ倒すために決まってるでしょ?」
「それは、誰のためだ?」
「っ!?」
思ってもみなかった指摘に、目を見開く。口を、噤んだ。
「てめぇが勝ったところで、一体誰が得する?死んだガキどもが黄泉から戻ってくるってか?そんなわけはねぇ。ただ勝ったという事実しか残んねーだろーが。てめぇは、そんな自己満足のために行くのか?」
「・・・そんなの、分かってるわよ」
絞り出すような声。僅かに含まれた怒気に、銀時の眉がピクリと上がる。
拳を握りしめる市子。
「意味ないことだって・・・わかってる。それでも、私は・・・アイツが、許せない。そうよ、ただの自己満足に過ぎないわよ。でも、だからこそ・・・私は、勝つ」
「支離滅裂だな。勝ったところでどうすんのか聞いてんだよ」
「・・・どうもしないわ。子供たちの弔いになるわけでもないし。でもね・・・大事なのは、そこじゃないわよ」
「大事なのは・・・アイツに思いを伝える。それが、ただの喧嘩でもね」
不意に落ち着きを取り戻した市子に、銀時は少々面喰った。自分の中に既に答えがあったのか。答えた彼女の顔は、幾分かすっきりとして見えた。
「・・・そうかい。ガキ大将みてぇな言い分だな」
「いいじゃない、考えてみたら私、いつもそうやってきたし。悩むことじゃなかったわね」
「調子のいいこといいやがって・・・まあ、いい。それなら文句は言わねぇよ。てめぇの好きなだけ、暴れてこい」
「言われなくても♪」
ふん、と不敵に笑う彼女は成程、それが性に合うようだ。
食堂を出るその後姿を見送る、銀時。
「・・・俺も、お節介が過ぎるかねぇ」
自嘲するように笑い、グラスに麦茶を注いだ。
***
「さて、ここが”フォレス・ガロ”の本拠!なのですが・・・」
黒ウサギの語尾が尻すぼみになる。もう既に日も昇り、ノーネーム一向は、といっても桃男は元の世界に帰ったが、”フォレス・ガロ”の門の、門前。
誰もが、呆気にとられた顔になった。
何しろ、門は開けっ放し。そしてその先にはただ、一本の道が続くばかり。
そして・・・なぎ倒された、木、木、木の数々。
「な、なにがおこったの・・・?」
「オイ黒ウサギ、ここらの支配者サンはこんなにみすぼらしいとこに住んでんのか?」
「い、いえ、確かもっと綺麗に虎の彫刻とかあったはずデス」
「み、みなさん!ここに契約書類が!」
ジンが大声を上げる。どうやら門の横に貼ってあったようで、目を通していくジン。徐々に、戸惑いへと染まる。
「え、な、なんですかこのルールは!?」
「ちょ、貸してくださいましジン坊ちゃん!」
ひったくるように羊皮紙を取った黒ウサギ。食いつくようにその内容を読み取っていく。
ギフトゲーム名~”Three fatal way~
ゲームマスター
・ガルド=ガスパー
・????
・????
プレイヤー
・桜市子
・坂田銀時
・博麗霊夢
ゲーム内容
・プレイヤーは居住区内に位置する三つの扉のうち、一つをそれぞれ選択する。ただし、一つの門に通行可能な人数は一人。
・待機しているゲームマスターと決闘する。勝敗の判定は後述の通り。
・なお、決闘はすべて一対一で行う。
勝利条件
・勝利者が二人以上確定したコミュニティ。
敗北条件
・戦闘不能、もしくはギブアップしたものが二人以上でたコミュニティ。なお、引き分けは存在しない。
以上の内容を理解し、正々堂々ギフトゲームを行うことを誓います。
なぜこんなルールにしたのか。あの下劣そうで小者臭がプンプンするエセ紳士ことガルド=ガスパーが考案したものとは思えなかった。
おまけに。
「なんで俺もはいってんだぁぁぁぁぁああ!!」
プレイヤー名に、しっかりと、何度こすったってやはり「坂田銀時」と名が記載されているのである。
「オイちょっと待ってコレ、殊勝に乳子に応援した矢先にこれですか?どんだけ俺で落とせば気が済むんだコンチクショー!!」
「誰が乳子だっ!!」
「つーかなんでその虎ヤロウが俺のこと知ってるわけ?」
「・・・確かに。考えればあの時銀時さんはいなかったのに・・・」
もっともな疑問である。何しろ、その時銀時はとなりの蛇神様と仲良くパーリー中だったのだから。
とやかくいっても、契約書類にかかれた事は絶対なわけで。
「すみません銀時さん、まさかこのような事態になるとは・・・」
「いーよ別に、謝んな。こうなったらしかたねぇよ」
「フフ、それでこそお前らしいの」
「たく、よく言うぜ。自分にゃかんけーねーからってよぉ」
はあ、とため息をつき、頭をガシガシかく。箱庭にきてから、この仕草を何度やったことか。
「んじゃ、手っ取り早く終わらすぞー、脇巫女、乳子」
「「ああ゙゙!?」」
「・・・ゴメンナサイ」
美少女二人におっさんが睨まれるというシュールな空気のまま、本拠へと歩を進める三人。残りのメンバーはプレイヤーに入らないため、本拠内に入ることは不可能だ。箱庭中枢と繋がる黒ウサギのウサ耳だけが情報源となる。
「少々予想外とはいえ、あいつらなら問題無いだろうな」
「ええ、内容自体はシンプルですし・・・寧ろこちらが有利でしょう」
気楽そうな二人とは対照的に、ジンの顔つきは険しい。
(あの道中にあったウェイトレスの言葉・・・)
『どーも昨日の夕方から、部下たち皆ともども追い出されたらしく、おまけに獣の咆哮が聞こえてきたそうで。ですが、それも陽が落ちた後にはパタリ《・・・》と止んだみたいですよ〜?』
六本傷の猫耳ウェイトレスの忠言だが、今となっては何か大事な情報のように思えてならない。
胸中に不安が立ち込めるジンと同様、黒ウサギにも気にかかる点があった。
(なぜ・・・ジン坊っちゃんの名前がないのですか!?)
無論、危険が無いに越したことはない。だが、標的になってもおかしくはなかった。紅葉も同様、本人は気にしていないようだが、市子に次いで憎悪が向けられていたはずだ。
やはり、坂田銀時が選ばれたのは不自然すぎる。
((何事も起きなければよいのですが・・・))
周りが台風の通過後のような惨状であること以外に特になんということもなく、進む三人。
誰も口を開かない。どこか不穏な空気を感じ取ったのか。軽口を叩く気分にはなれない。
かくして、ようやく変化が、それも更にキテレツな形で現れた。
開けた平地に浮かぶ、3つの物体。
"獣"、"恋"、"幼"。
それぞれ一つの漢字が草書体であしらわれている、洋風だか和風だかよくわからない意匠の扉。恐らく契約書類にあった扉だろうが・・・
「「どこでも○ア?」」
市子と銀時は、そうすっとんきょうな声を上げた。
何せ、扉しか《・・・》ないのである。
地面に直に佇む役立たずなそれらは、一層奇妙に思われた。
「成る程ね・・・ここから転移されると。洒落た真似するじゃない」
ペタペタ触っていた霊夢は、数秒ともせずそう口にする。
「オイオイ、そんな簡単に分かるもんなのか?」
「ええ、というよりあからさまね。妖力の欠片が残っているわ」
契約書類の文面からも、それは察することができる。特にそれ以上は疑うこともせず、銀時は無造作に扉を見やる。
「じゃ、私は"獣"にするわ。多分あのゲスがいるだろうしね」
「私は"恋"で。」
「俺は“幼”かよ・・・ま、楽に終わればいいけどな」
扉の選択は存外早く決まり、それぞれ手をかける。
例え面倒なことになったとしても、やることは変わりはしない。
敵を、倒す。
ただ、それだけだ。
「あんたたち・・・勝ちなさいよ」
「心配されなくても、テキトーに済ますわよ」
「よーしテメー等、いくぞォ!全ての戦いが終わったあと・・・ジャボンディ諸島で!!」
「「いやどこそれ!?」」
「始まったわね・・・」
幾多の目玉が蠢く空間のなか、妖艶な笑みを浮かべる、その女。
目の前の三つのスキマが、リアルタイムに戦場を映し出す。
「・・・来たか」
「へぇ、随分とイメチェンしてきたじゃない」
「やっぱり来たな霊夢。お得意の勘か?」
「あの字みたら嫌でも予想がつくわよ・・・魔理沙」
「貴方は、食べていい人間?」
「あ?糖尿病になるから止めとけコノヤロー」
神出鬼没の賢者は、愉快そうに目を細め、笑う。
彼女の目に映るモノ。それが何かは、伺いしれない。
「さあ、見せて頂戴・・・貴方達の、魂の色を・・・!」
今回もあまり進んでませんね・・・。
次回からは戦闘シーン尽くしなんで!お楽しみに!
さて、私ジャンヌも今年度から大学受験。
いつかは勉強に集中せねばならんわけです。
現時点の予定では、何とかペルセウス編まで終わらせようと思っています。
また何かあれば連絡いたしますので、見限らずに今後もお付き合いくだされば、と思います!