巫女と天パと超絶ラッキーガールが異世界から来るそうですよ?   作:ジャンヌ

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第七訓 知らなきゃいいことは、そっと蓋を

 坂田銀時は、意外と女性にモテる。

 うぬぼれとかではなく、実際に。ほんとに。

 うるさいくらいに付きまとう女の忍、ダークマターを製造するゴリラ女、吉原の死を運ぶ花魁、などなど。

 恋愛に発展した例などこれっぽちもないが、不思議と好意は持たれるのだ。

 むろんイロモノぞろいのため、告白されたって付き合いたくない連中だとは思っている。

 むしろ結野アナがコクってきたら泣いて喜ぶ。

 

 だが、銀時も今の状態は満更でもなかった。

 お互いに信頼できる。

 そんな単純な絆が、なぜだか心地よかったのだ。

 

 ともかく大事なのは。

 

 

 

 ・・・これって告白ですか?

 

 

 

 

~~~

 

 

 

「そんなわけないだろ・・・」

 

 ありがたいことに、本人から呆れたように、答えを頂いた。

 まあ、確かに、これ告白じゃないよね?、と聞いたのは他ならぬ自分だ。

 だが・・・あれじゃ、勘違いしちゃうよ?某ボッチ高校生なら、五体投地しちゃうよ?

 それに、なんでそんなはっきり否定するんですか。

 もう少し恥じらいとかないんですか。

 そういったら、ますます呆れられた。黒ウサギにも呆れられた。何故だ。

 

「へえへえそうですか・・・じゃあなんでそんなこといったんだよ?」

「そうでございますよ、仮にも神であられる貴女様が、なぜ?」

 

 そう問いかけたら、ニヤリと笑い、こういった。

 

「面白そうだからだ」

 

「「『・・・』」」

 

「むろん、根拠はある。第一に、人間の身の上で、あれほどの威力。今だ信じられん」

「確かに・・・本当に、アレには驚かされましたヨ」

「こ奴のそばにいれば、何か分かるかと思ってな・・・それに」

 

 むにゅ、と肩に柔らかい、感触が。

 

「え、ちょ、水神様!?何をやっておられるのですか!?」

「なんだ?ただ抱きついただけであろうに」

「そうだぜ、これはただのスキンシップだ黒ウサギ」

「鼻血垂れ流しているヒトの台詞じゃありません!!」

 

 スパコン、とハリセン炸裂。白雪姫に当たらなかったのは、さすがの腕前である。

 

「ただの神の直感だが・・・面白そうだからだ」

「答えになってませんっ!!」

 

 もう一線を越えたのか、神の頭にも容赦なく叩く。

 気にした様子もなく、離れる白雪姫。

 

「ま、というわけでこれからも頼むよ、箱庭の貴族、そして坂田銀時」

「は、はいな!!こちらからよろしくお願いします!!」

「まあ、いいけどよ・・・こちとら名無しのノーネームだぜ?それでもいいのか?」

「かまわんよ、私が興味があるのはそなただけだからな」

 

 聞き様によっては恋人のような台詞であったが、白雪姫のニヤリとした笑みが、まったくそれを感じさせなかった。

 面倒なと表情に出したまま、ガリガリと頭をかく銀時。

 

「そこまでいうなら俺も何もいわねぇよ。それと、フルネームじゃなくていい」

「そうか、よろしく頼む。銀時」

 

 すっと銀時が手を差し出す。その手を戸惑い気味に見つめていたが、意図を理解し、強くつかむ。

 その様子を見ながら、黒ウサギの胸中は歓喜でいっぱいだった。

 

(お、思わぬ収穫なのですよ・・・!神様が来るだけでも物凄く幸運なことなのに・・・おまけにコミュニティの水回り事情までも解決!!一挙両得デス!!)

 

 図らずとも多大な恩恵をもたらした銀時に、心から感謝が湧き上がる。

 

(本当にこの方々なら・・・コミュニティ復活も、夢じゃないのかもしれない・・・!)

 

 

 闇に閉ざされた未来に、光明が差し込む。

 それだけで、後悔は消えた。

 精一杯、この方々と共に歩もう。そう決意した黒ウサギであった。

 

 

 

 

 

「なるほど・・・」

 

 ポツリ、と呟く、浅黒の男。

 しめ縄が腰回りについた着物を着こみ、存在だけで神々しさが見受けられた。

 

「かんなの器も随分となじんでいたようだが・・・加えて、あの男」

 

 彼の男の脳内に、様々な感情と打算、そして野望が渦巻く。

 

「こちらから下手に干渉できない以上、計画を修正するか・・・」

 

 これも予想のうち、とでもいいたげな台詞を残し、鳥居のようなゲートを取り出す。

 何やら、お帰りなさいませ!!!、と耳が痛くなるほどの大声が聞こえてくるが、顔をしかめもせず、くぐり、消える。

 

 

 彼の男の名は、碇。

 

 神を恨み、世界に復讐せんとする、たったひとつの愛に生きている禍津神。

 

 

 

***

 

 

 さて、その後。ユニコーンに白雪姫が”水樹の苗”のギフトを与え、貧血で倒れた銀時を黒ウサギが抱え、噴水広場にやってきた三人。

 ジン達と合流したのだが・・・

 

「な、なんであの短時間で”フォレス・ガロ”に喧嘩を売ったのですか!?」

「しかも明日!?」

「一体どういう心算があって・・・言い訳は聞きましょう」

 

 

「「「大丈夫、きっといける。反省なんかしない」」」

 

 

「うん、聞いた黒ウサギが馬鹿でした♪」

 

 半ばやけ気味に、三人の頭にハリセンをくらわす。ついでにそこにいたおっさんも叩く。

 

「ってあれ・・・この方は?」

「ああ、熊谷です」

「あ、そうでしたか、随分とご立派に・・・・ってええぇぇぇぇぇ!!!」

 

 思わず二度見する。だが、あのどこか趣味の悪い熊の人形とは似ても似つかない。叫ぶのも無理ないことといえよう。

 

「まったく、紅葉がやれというからやったものの・・・扱いが酷過ぎないか?」

「し、渋い声・・・やはり熊谷さんですね」

「喜ぶべきか判断に困るんだが・・・」

「熊谷。もう戻っていいですよ」

「ほんっとうに雑だなっ!!」

 

 ・・・熊谷がもどるまで、少々お待ちください・・・

 

『はあ、何のためにヒトガタに入ったんだか・・・」

「まあまあ、それはそうと。そちらの着物の方は?見ない顔ですが?」

 

 紅葉の言葉に首肯する、市子と霊夢。飛んでいった奴が生きて帰ったと思ったら、見知らぬ女性を連れ帰ってきたのだ。興味の一つも出るもの。

 

「あー、もしかしてナンパ?」

「・・・オイ・・・今、銀さん調子悪いの。突っ込みさせないでくれる?」

「大丈夫、分かってるわ銀時・・・愛人でしょ?」

「おいぃぃ脇巫女!!てめぇの勘はどうしたよ!?」

「で、だれなのそいつ?」

 

 にやにやしながら銀時を弄る紅葉と霊夢。目が若干ゴミを見る目になっているが、空気を読んで市子が再度問いかけた。

 ピョコン、とウサ耳を揺らし、元気に黒ウサギが紹介する。

 

「はいな、こちらはですね、トリトニスの滝の土着神であられる、白雪姫さまです!!この度、わがコミュニティに参加していただけることとなりました!!」

「白雪姫だ、よろしく頼む」

 

 華麗に頭を下げる白雪。その姿は、やはり神としての風格にあふれていた。

 やはり、と霊夢は心の中で頷く。

 

(神気を感じたから、まさかと思っていていたけど・・・神が人間に従うなんて、ね)

 

 幻想郷といえど、人間のもとにつく神はそうそういない。守矢の神々はもちろん、厄神や秋神たちも、人間と友好的とはいえ下になどはつかない。

 目を見る限り、神としての尊厳を未だ読み取ることができ、決して隷属したわけではないのだろう。

 それでも、何らかの方法で神に力を認めさせたのは、事実。

 

(幽香や地底の鬼どもに紹介したら・・・目に見えるようだわ)

 

 そんな物騒な考えが向けられているとは露知らず、銀時は声をかける。

 

「おい、黒ウサギ・・・そーいやなんか忘れてねぇ?」

「はっ・・・そうですそうです御三方!!理由を説明してください!!」

 

 いままで忘れていたのは随分と呑気なことだが、腕をブンブンと振ってご立腹の黒ウサギ。忙しいことである。

 

「考えなしでゲームをしかけたわけではないですよ・・・戦力としては、話によればこちらの方が勝っている可能性が高い。みすみす逃すよりかは、この機会にわがノーネームの利益にしてしまおうと、そういうことですよ。あー説明かったるい・・・」

「・・・本当なのですか、ジン坊っちゃん?」

「うん。彼らの悪行は、無視なんてできない」

 

 力強く頷くジンを銀時はどこか冷静に見つめる。それが市子にうつり、はぁ、とため息をつく。

 

「ま、いいんじゃねーの・・・こいつらが勝手に言い出したことなんだからよ、てめぇのケツはてめぇでふけっつうこった」

「え、それでは銀時さんは・・・」

「誰が出るかよ、んなもん。俺が命削って参加する道理はねーはずだぜ」

「こっちだってそのつもりよ。ケリは、私がつける」

「だ、だめですよ!!仲間どおし、協力を・・」

「「あぁ``!?」」

「・・・ナンデモナイデス」

 

 超ハイランカーのメンチを切られ、萎縮する黒ウサギ。そして残念そうに肩をすくめる白雪姫。

 やや険悪な空気が流れる。

 

「・・・それで?これからどうするの?」

 

 見かねた霊夢が、頭を掻きながら黒ウサギに問いかけた。

 

「は、はい・・・それでは、みなさん。”サウザンドアイズ”に参りましょう!!」

「「「「サウザンドアイズ?」」」」

 

 

 

 

 黒ウサギの話によれば、サウザンドアイズは箱庭でも屈指の商業コミュニティらしい。そこへ明日の突発的なギフトゲームの件もあり、ギフトを鑑定してもらいに行くのだ。自分のギフトの出所を知ることで、実力を正確に把握できるのだとか。

 まあ、ほとんど全員が把握しているといっても過言ではないが、やや黒ウサギに強引に押し切られる形になったのだった。ちなみにジンは用意があるとかで先にコミュニティへ帰った。

 

「そういや、銀時」

 

 不意に、白雪姫が銀時に問いかけた。

 

「んあ?なんだよ」

「いやいや、少しばかりそなたの元の世界のことが気になってな・・・」

「そういえば、聞く前に中断してしまったものね」

「誰のせいだ、誰の」

「たしかに、気にはなりますねぇ」

「・・・仕方ねーなぁ」

 

 すっかり全員の注意がこちらに向いているのを感じ取り、渋々ながら話し出した。

 

 自分が江戸に住んでいること。

 すっかり天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人に支配され、侍そのものが廃れていること。

 そんな中、自分は万事屋という職に就いていること。

 

「ま、依頼なんてさっぱりはいんねーからよぉ、閑古鳥のせいで鼓膜が破けそーだわ」

「それはまた、随分と・・・」

「私たちの歴史とは違うわね・・・」

「その天人というのは、妖怪とはちがうの?」

「全然べつもんだな。や、もうそれにしか見えない奴もいるけど。大魔王みたいなやつもいるけど」

「・・・それは恐ろしいでございますね・・・」

 

 これでいいだろ、とばかりに鼻をほじくりだす銀時。

 だが、白雪姫の口はまだ閉じない。

 

「それだけか?」

「・・・」

「たしかにそれも聞きたいことであったが・・・まだ話していないこともたくさんあろう?」

「・・・ねーよ」

「いや、わかる。それだけじゃあそなたはただのチャランポランだからな」

「まあ、あながち間違ってもいないけどね」

「ちょっとぉ、それどういう意味!?目か、目のことを言っているのか!?」

「ほんと、希望を感じさせない目よね」

「それ酷くない!?生まれてからそんな罵倒初めてなんだけど!?グサリって刺さったよぉぉ!!」

 

 やいのやいの、と騒ぎだす一同。尚も問い詰めようとするが・・・

 霊夢が、口に人差し指をつける。

 『深追いするな』、と。

 

(ぜひとも聞いておきたかったんだがな・・・)

 

 霊夢も自分と同じく、何かしら感じているのだろう。変わっているが、仮にも巫女の服を着ている身、敏感なのかもしれない。

 

 内に秘める、凶暴な気を。

 

(ふふ・・・ますますもって気になる・・・)

 

 今はまだ時期尚早かと思いなおす。

 

 さて、桜がどうのといっている間に、黒ウサギは一軒の豪勢な和式建築の建物の前で足を止めた。

 

「さて、ここが件の”サウザンドアイズ”でございます!!それでは入店許可を取ってきて参りますので、少々お待ちください!」

 

 旅行ガイドのような口上を述べ、駆け足で玄関へと向かう。見れば、箒を手にした女性店員がまさに暖簾を下ろしかけたところだった。

 

「待っ」

「待ちません。当店は時間外営業は断固おことわりです」

 

 ギロリ、と黒ウサギを睨む女性店員。

 

「随分と商売っ気の無い店ねぇ」

「ま、全くです!!まだ閉店時間の五分前でございますよ!?」

「文句があるならどうぞ余所へ。貴方方は今後一切の出入りを禁じます」

「出禁!?これだけで出禁とかお客様舐めすぎですよ!?」

「そうだ、お客様は神様なんだよコノヤロー」

「いえ、それは意味が違うでしょう」

 

 呆れたように突っ込む女性店員。

 

「オイオイそんなこといっちゃっていいのかねぇ?こちとらモノホンの神様がいるんだけど?」

「は?なにをいって・・・!」

 

 思わず固まる。銀時の言葉につられ、一歩目に踏み出した、白雪。

 

「久方ぶりだな」

「し、白雪様・・・!なぜここに!?」

 

 ひどく狼狽し始める店員。けしかけた当人の銀時でも、すこし違和感を感じた。

 

「ん?驚きすぎじゃね?」

「おそらく白雪様がサウザンドアイズの関係者だったのでしょう・・・幸運なことですが」

「そうだ、ここのオーナーが私に神格を与えてくださったのだからな」

「オーナー・・・?それってもしや」

 

「いやっっほおおおぉぉぉぉぉううう!!!よく来た黒ウサギィィィィィ!!そして白雪ィィィィィ!!」

 

 そらから、弾丸のごとく。

 幼女が、突進してきた。

 

「え・・・ちょ」

「白夜叉様!?なぜここに・・・ひゃあぁぁぁ!?」

 

 予想外の人物に会い、一瞬思考を停止してしまった黒ウサギも、ドヤ顏の白雪姫も仲良く、幼女のラリアットの餌食となった。

 一同、思わずポカンと口を開け・・・否、銀時はビクリ、と肩を震わせた。

 トラウマでも、蘇ったように・・・

 

「ど、どうしてあなたがこんな下層に!?」

「黒ウサギの気配を感じ取ったからに決まっておろう!!フフ、フホホホ!!どれここか?ここかのう?白雪もますます魅力的になってからに・・・ムホホホ!!」

「・・・白夜叉様、つもり話もありますが」

「ええ、まずは・・・」

「「ちょっと離れてください!!」」

 

 白夜叉、と呼ばれた少女を二人がかりでひっぺはがし、ヒルでもくっつかれた時のようにブン、と投げ出した。

 クルクル、と遠心力がかかり、あわや地面に激突しそうになる。

 

「っ!!チッ、何してんだよ!!」

 

 唯一冷静だったせいか、いち早く駆け出し、ポスンと受け止める。衝撃を受け身で受け流すつもりだった白夜叉は、思いのほか柔らかい感触に、驚いて目を見開いた。

 

「ったく、あって早々パフパフとか・・・うらやまゲフン餓鬼が粋がってんじゃねーよ」

「ほう・・・わしをうけとめたその紳士の所作は誉めてやってもよいが・・・餓鬼とはなんじゃ!!お主の何倍も生きとるんじゃぞ!!」

「・・・はあ、これが白夜叉、ねぇ・・・」

 

 見た目相応に腕を振り回して騒ぐ少女を見下ろし、はあ、とため息をついた。

 

「へいへい分かったよ・・・んじゃ、オメーのことは”ババア”って呼ぶから」

「あれじゃな、おんし目上への尊厳とかないのな!!」

「なんだよ不服か?じゃあちょっと軽めに”BBA”のほうがいい?」

「なにもかわっとらんわ!!!むしろ馬鹿にしとるわ!!」

 

 

「・・・なんなの、あいつ」

「さあ・・・しかしエナジーは相当なもの・・・いや、やや異質ですね。神にしてはどこか変な気も」

「そう?ただの変態和装ロりなんじゃないの?」

 

 

「うえぇ・・・まさか黒ウサギもびしょ濡れになるとは・・・」

「白夜叉様・・・あんな方だったか・・・」

 

 

 

 その後、不服そうな女性店員をなだめ、白夜叉は自室へ通すのだが・・・霊夢と市子と紅葉に一発ずつ、鉄拳を食らったという。

 

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