バンは驚いた。基本的にバンはミソラタウンで活動しているのではなく、アキバの裏通りで活動している。
『白い死神』という少し恥ずかしい異名は郷田の『地獄の破壊神』やこれから先に出てくる仙道の『箱の中の魔術師』とかと比べるとアキバやアングラビシダスを除いてマイナーな名前だからだ。
だからまさかミカが知ってるとは思っていなかったからだ。
「……どうして俺の事が『白い死神』ってわかったんだい?」
「前々から『白い死神』が貴方だっていうことは分かっていたけど、その一見普通のジョーカーだけどをその動きを見て確信したの…」
「俺って、そこまで有名だったっけ?」
「学校ではそこまでだけど……マニアには郷田さんよりも有名……『白い死神』の素顔を知っているのはごく一部だけだから……」
「そ、そうだったんだ……」
衝撃の事実を知ってしまった…
「それで貴方に頼みたい事があるの……」
「な、何かな?」
「今度、ハンマーの取り回し方を教えて欲しいのと……」
ミカがバンに正方形の厚紙とサインペンをバンに渡した。
「ここにサインを書いて欲しいの」
「まさか……『白い死神』って……!?」
バンの言葉に対し、首を縦に振った。
(まじで!?そんなの書いたら間違いなく黒歴史化まちがいなしなんだが!?)
「だめ……なの……?」
(断り煩い……)
ミカの目がうるうるしているのを見て余計に断り煩くなってしまったバンは仕方なくサインを書いた。
「はい……絶対他の人には俺のこと言うんじゃないよ……」
「ん、わかった…」
ミカが紙とペンをしまった。俺の黒歴史が……
「じゃあ、戻ろうか…」
アミとリュウと合流してからゲームセンターを出たところでリュウがアミに話した。
「なあ、マジで行くのかよ。ちょっと今日はLBXのコンディションが悪くてよ……」
(コイツ……今さらチキりやがったな……)
「何いってるんだよ。授業中に追尾機能が五倍になったって言ってたじゃないか」
「う…、そ、それは……」
「まったくもう……」
(うちのチームの紅一点があきれているぞ……それでいいのかリュウ……)
「でもバン、リュウみたいにちょっと戦力が不安だったらキタジマ模型店でバトルの準備をしていきましょう」
「…確かにそうだな」
「な、なんだよ…俺が役にたたないっていうのか…」
「いや、そういうことじゃないけど……」
──スラム入り口──
「……なんでミカもいるの?」
なぜか本来同行していないはずのミカがバンの隣にいた。
「何か問題でも?」
「いや、そういう訳では…」
「いいじゃない。今は一人でも仲間が欲しいし」
そう言い、アミはすたすたと門に向かって歩きだした。それに続いてバン、ミカと続くがリュウは少し躊躇っていた。相変わらずの男勝りな女の子である。
「早くしないとおいてくわよー!」
「ちょ、ちょっとまってくれよー!」
──五分後──
「全然人がいないわね……聞いていたのと違うわね……」
「な、何か不気味だよな…」
スラムに入ってから少し時間がたったが、全くバトルを挑まれない。噂では速攻でバトルをさせられてLBXを破壊させられるのだが、その相手すら来ないのだ。
アミの後ろでこっそりとミカが耳打ちしてきた。
「…もしかして貴方がいるから勝負を挑んで来ないのでは…?」
「…間違いなくそうだろうね」
あれからミカとはかなり打ち解け、バンとだけは普通に話しかけてくるようになった。アミは少し不服そうな表情をしていたが。
少し進んだところで道の奥の方で普通なら聞き逃すほどの小さな声が聞こえた。
「おい、あいつら『白い死神』と一緒にいるぞ!?」
「ヤバい、早く隠れろ!」
…俺ってそんなに恐れられていたんだな
「…?今人の声がしたような…」
「き、気のせいじゃない?」
アミがあの小さな声を拾ったことに少し焦ったが、何とか誤魔化す事に成功した。
そのまま先に進むと少し広い空間に出た所で郷田三人衆が待ち構えていた。
「ここはアンタ達みたいな優等生が来るところじゃ……ってなんで……」
「お前たち、郷田の仲間だな!?」
バンは異名がばれないようにごり押ししてバトルをすることに決めた。バレたら一生バカにされる自信があるからだ
「俺達とバトルするためにここで待ってたんだろ!?俺達がこのバトルに勝ったら郷田の居場所を教えて貰うからな!」
「ちょっ、まだ自己紹介が…」
「レギュレーションはアンリミテッドだ!」
「わ、わかったからそんなに急がせるな!は、早くギンジこい!」
「はいはい、わかっ……って何でし……」
「お前も敵か!よし、バトル開始だ!」
とにかくごり押してさっさと終わらせることに決めた。