バン達が郷田がいる部屋へ向かっている間に後ろから「タンッ、タンッ」と足音が聞こえた。
「二人とも、後ろから誰かが来る…」
「リュウが戻ってきたんじゃない?」
しかし、アミの予想とは裏腹にやって来たのはカズだった。
「さっきリュウがスラムから走って出てきたけど…お前らマジで郷田に会いに行くのか…」
「カズ!」
「来てくれたのね!」
「アキレスを買いたい俺は行かずにお前らが郷田と戦いにいくって言うのは変だろ?」
「なら、一緒に行こう!」
「そいえば何でミカがいるんだ?」
「…少し、心配だから」
「カズも来たことだし、郷田からアキレスを取り返すぞ!」
「「「おー!」」」
カズが合流してから階段を昇ってすぐに郷田がいるらしきアジトの前にたどり着いた。原作通り扉に「我道」と赤いスプレーでかかれていたのですぐにわかった。
「ここがヤツらのアジトか…」
「おそらく、そう…」
「いかにもボス部屋って感じね…」
鍵は閉まっておらず、中に何人かの人の気配がする。
「じゃあ、開けるぞ…!」
バンが扉を開けると郷田が木刀を片手に持ち、肩に『ハカイオー』を乗せ、仁王立ちして立っていて、郷田のまわりにはさっき戦った郷田三人衆の姿もあった。
「お前達か…」
「ッ!!」
アミとカズが身構えたので空気を読んでバンも取り敢えず身構える。
「俺のことをかぎまわっているっていう……一年は!」
郷田がこちらに振り向くとその手にはアキレスの箱を持っていた。
「まさか……」
「バン、ヤツだ。ヤツが……」
「そうだ。俺が郷田だ!!」
バンは時々郷田に会っているので馴れているが、こうして見るとなかなかインパクトがある。
(て言うか郷田…まさか俺達が来るまでずっとあの姿勢でまってたのか…!?)
「あいつが…郷田ハンゾウか…」
「…とりあえずアキレスを返してくれないか?」
「そうよ!キタジマ模型から盗んだアキレスを返しなさいよ!」
バンとそれに便乗したアミがアキレスを返してもらうように言う。
「人聞きの悪いことを言うんじゃねぇよ。俺達はこいつを守ったのさ」
(…前々から思っていたんだけど、何でプラチナカプセルを守るためにアキレスのアーマーフレームを守る必要があるんだろう。LBXの性能はコアスケルトンとCPUやモーターと操作している人の技量で決まるものなのに……)
まああの天才技術者のことだからフレームも父ート級のものだろう。
「守っただって…?」
もうバンが話さなくてもアミやカズが勝手に進めていく。
「ある人から頼まれたんだよ。悪い大人達やお前みたいなガキに使われる前に回収しろってな」
「……郷田さんも中学生……」
「そのある人っていうのは誰なの…?」
「フフフ、レックス……あの人の言うことに間違いはない」
郷田の言葉に反応したのはカズとミカだった。それを知らないアミは聞く。
「…誰?」
「レックスは……ネット世界で噂……の伝説のプレイヤー……」
「でもどうして伝説のプレイヤーがアキレスを欲しがっているんだ?」
確かにそれは思った。俺は別にナイトフレームのLBXは使ってないし、正直郷田から渡されてもカズに流すし。
(正直父ートはコアスケルトンだけで十分だよ……)
「さあな、俺が言えるのはここまでだ」
「…とりあえずそのフレームはカズが買うはずのものだったから返してもらうぞ」
「…ほらよ」
原作どうり、バンにアキレスを渡されるがあいにくバンが使うわけでもないのでカズに渡した。
「俺のハカイオーにそのアーマーフレームは合わなかった……ってお前が使うんじゃないのか!?」
「別にわざわざ使いなれているストライダーフレームからナイトフレームに変えるメリットってないだろ」
「サンキュー、バン!」
「…まあいい、お前ら四人がかりで俺と戦え!俺のハカイオーと!!」
──地中海遺跡──
アーマーフレームをウォーリアーからアキレスに交換したカズとアミのクノイチとミカのアマゾネスとバンのジョーカーが戦場に降り立った。
そしてその反対にはハカイオーがどっしりと構えていた。
「俺とミカで前衛をするからカズは後ろから援護、アミは遊撃してくれ!」
「「「わかった(わ)(ぜ)!!」」」
まずジョーカーとアマゾネスは横一列になってハカイオーに攻撃を仕掛けた。
「おらっ、一撃が軽いなぁ!」
しかしジョーカーとアマゾネスはハカイオーに比べて重量が軽い…更にバンのジョーカーは大鎌を使い高速で動くので通常の市販のジョーカーよりも軽く作られているのでパワー勝負には負けてしまうのだ。
「後ろが空いているわよ!」
ハカイオーが破岩刃を振り切った所でクノイチが突撃してハカイオーの背中に傷をつけた。
「くそっ!チマチマと……!」
「1対4でいいっていったのはそっちの方だからな!」
こうしてハカイオーを少しずつ削っていったが、ほんの少しの瞬間にジョーカーとアマゾネスがハカイオーとの間合いを離してしまった。
「くらえ!必殺ファンクション!」
アタックファンクション!
ガオーキャノン
牙王砲!
ハカイオーの強烈な技を食らった四人は体制を崩してしまった。
「始まるよ……リーダーの破壊のショーが…!」
隣にいたリコが呟く。そしてそれは現実になろうとしていた。
「おら!」
ハカイオーの重い一撃を食らったのはクノイチだった。
「吹っ飛べ!」
上に打つあげられたクノイチのハカイオーがジャンプし、破壊しようとしていた。
「砕け散れ!!」
ハカイオーの攻撃が当たろうとした瞬間、アミは目をつむった。しかし、クノイチが爆発する音は聞こえなかった。
「アミ、大丈夫か!?」
ジョーカーの大鎌がハカイオーの破岩刃の持ち手を大鎌の先端を器用に使って破岩刃を食い止めた。
(さっきまではアミとカズがいるから手加減していたが、本気を出さないと原作のカズみたいに破壊される…!)
そこからの展開は早かった。ジョーカーが重量で負けているはずのハカイオーを一方的に攻撃し、大鎌を使ってハカイオーを転倒させることに成功した。
「三人とも、離れるんだ!」
「っ、しまった!」
郷田の額に汗が流れた。今まで何回もバンと戦っているのでこのあと何をされるのかがわかってしまったのだ。
「必殺ファンクション!」
アタックファンクション!
デスサイズハリケーン!
黒い竜巻が倒れているハカイオーに直撃し、爆発した。
「…信じられねえぜ」
郷田の後ろにいたギンジが呟いた。
「まさかリーダーが負けるなんて…」
リコが呟くが郷田は諦めた様にため息をついた。
「…そのアキレスフレームはお前らのものだ」
「いいのかいリーダー、そんなあっさり引き下がって」
「…俺らは敗北者だ。そんなに勝負を引きずってちゃ男がすたる」
そう言うとリコは引き下がった。
「縁があったらまた会おうぜ、バン」
「さて、レックスに頭下げに行くとするか!行くぞ!」
「「「ウィーース!」」」
こうして原作の様にLBXを破壊されることなくアキレスは返してもらうことができた。
しかし、ここからバンが知っている原作と違っていくことをまだバンは知らない……
私生活の方が忙しかったのでかなり遅れてしまいました。次からの話は早めに出しますのでお許しを……