魔法少女リリカルなのはA´s 《棄てられたクローンと新たな家族》   作:三咲ディア

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とある少女との出会い。動き出す暗雲。

「…軽い貧血ですね。まったく、皆慌てて来るから何事かと思ったわ。」

「ごめんなさい…石田先生…」

「そやから、大丈夫やって言うたのに…」

「はやてちゃん。皆はやてちゃんを心配してくれたのよ?大事じゃなかったから良かったけど…これが大事になってたら…」

「そやね…みんな、ありがとな?」

 

 

はやての礼に皆が安堵の息を吐く。角言う俺もその一人だ。

はやてが倒れてから直ぐに石田先生の診察を受けた。結局単なる貧血ということだったが、大事をとって一日入院させるとのことだ。ヴィータははやての膝元に顔を埋めて甘えている。シグナムとシャマルは胸を撫で下ろし、俺はベッドの端に座ってはやての手を握っていた。

 

 

「それじゃあ、私とシャマルさんとシグナムさんは今後のリハビリの予定を組んだりするから席を外すけど、はしゃいじゃダメですよ?」

「「「はーい。」」」

 

 

俺達が元気よく返事をすると小さな笑みを浮かべ、三人は部屋から出ていく。残された子供三人組は、はやての身を案じながらも早く治るようにとマッサージを行っていた。

 

 

「そうや、翼。バルディアスは?」

「いるよ?ほら。」

『お呼びですか?はやて。』

 

はやてにバルディアスを渡す。おおきに、と礼を言うとオレが渡したバルディアスを胸に抱き寄せる。その姿に、何処か寂しそうな感覚を覚えた。

 

 

「…はやて、バルディアス貸しておこうか?その方が寂しくないでしょ?」

『それは良いですね。』

「うん、あたしもそう思うぞ。」

「…いや、ええよ。バルディアスは翼のやん。それに、私にはこれがあるもん。」

 

 

そう言うと胸元から翼のペンダントを取り出して握る。それは誕生日に俺が買った、翼のペンダントであった。

 

 

「…はやて…」

「翼…」

「…あのー、あたしら居ることわすれてねーか?」

『通常運行じゃないですか。今さら。』

 

 

ヴィータ達が何か言っているが、今の俺達には聞こえない。手を取り見詰めながら二人の世界に入っていると、横からヴィータに思いきり張り倒された。超イテェ!?

 

 

「おい、あんまはやてとデレデレすんな。あたしの居場所が無くなるだろ。」

「わ、悪い悪い…」

「こーら。あんま喧嘩したらアカンよ?」

『災難ですね、マスター。』

 

 

はやての膝元に顔を埋めて甘えるヴィータに謝りながら立ち上がる。うん、アイツマジでぶん殴りやがった。

暫くして喉が乾いたと思った俺は、財布の小銭を確認して扉へと歩み寄る。

 

 

「ジュース買ってくるけど、はやてとヴィータは何か飲む?」

「あ、私お茶がええな。」

「あたしはオレンジジュース。」

「はいはい、じゃ行ってくる。」

 

 

二人の注文を聞くと扉を静かに開けて廊下に出る。自販機エリアを目指して、俺はゆっくりと歩を進めた。

看護師がのんびりと歩く廊下を眺め、何もなくて平和だな、等と思いながら自分ものんびり歩く。

自販機へ向かう途中、診察の待ち合い室の前を通ると、シグナムとシャマルが居ることに気づいた。声をかけようとしたが、何やら深刻な顔をして話しているので、悪いとは思ったが気付かれないように気配を消して近付いた。

 

 

「…はやてちゃんの命は…持って半年…」

「…主の病は、闇の書が関係しているのだろう。未熟なリンカーコアが、闇の書の魔力に侵食されているのだ。」

「このままだとはやてちゃんは!」

「落ち着けシャマル。闇の書が覚醒すれば恐らく…」

「でも!蒐集ははやてちゃんが…」

「だがらバレないようにする。…私達が本気を出せば…」

「悪いが、それはさせないぞ。」

「「!?」」

 

 

二人の話を聞いている中で我慢できなくなり、口を出す。コイツら…ふざけているのかと思いながら近付くと二人の前に立ち、怒りも隠さずに見上げる。

 

 

「…はやてが言ってたろ。襲うのは駄目だって。」

「だが主が命の危機なのだ!」

「そうよ!はやてちゃんの命が掛かってるの!翼くんもはやてちゃんがいなくなるのは嫌でしょう!」

「落ち着けお前ら!」

 

 

大きな声で騒ぎ出す二人を一喝し、念話のチャンネルを開く。これ以上大声でこんなことを言っていると、病院に迷惑がかかると判断した俺は二人に念話で話し掛けた。

 

 

『バカか?病院内であんな話するなよ。』

『っ…だが主が…』

『だから、それを望んで無いって言ってるんだよ。』

『翼くんははやてちゃんが居なくなってもいいの!?』

『良いわけないだろ?』

『では!』

 

 

二人の悲痛な声も、今の俺にはイライラとしてくる。闇の書の完成でしか助けれないと言う二人の固い頭を叩き壊してやりたい衝動に駆られながらも、落ち着いて話を続けた。

 

『お前ら…本当に闇の書が完成すればはやてが治るのか?確証があるのか?』

『それは…』

『何が最善か…はやての為に考えてくれ。』

『…翼、すまない。そして感謝する。我等は少し冷静さを欠いていたようだ。』

『わかれば良いよ。…俺も、今のお前達との生活壊したくないからさ…』

「…翼くぅぅぅぅん!ごめんなさぁぁぁい!」

 

 

いきなり念話を止めて泣き付くシャマルにぎょっとする。お、俺何か悪いことしたか?

慌てふためく俺の様子に少し吹き出したシグナムは、シャマルの服を掴むとゆっくりと離してくれた。

 

 

「シャマル、落ち着け。翼が困っているぞ。」

「ご、ごべんなざい…」

「い、いや、大丈夫だから。それよりシャマル、鼻水出てるから…」

 

 

みっともなく鼻水を垂らしているシャマルの鼻を拭いてやる。シリアスな場面が台無しだと胸中でゴチながらも、俺は泣いているシャマルをあやすように背中を撫で続けた。

 

 

「取り敢えずは、蒐収とか無しの方向で考えてみよう。な?」

「ああ、わかった。本当にすまない…」

「私達…少し焦っていたのね。」

 

 

冷静になったところで、今後の動きを勝手にさせない様に蒐収禁止と釘を刺す。二人とも納得したのか穏やかな表情を浮かべている。俺はほっとしたように小さく息を吐くと、二人を連れて自販機へと向かった。

 

 

余談だが、飲み物を買って病室に戻るとヴィータに遅いとどつかれた。俺はなにも悪くないはず…多分…。

 

 

数日後、はやては無事退院した。長期入院にならなくて良かったと、俺達は笑いあって退院を祝福した。

 

 

 

 

 

 

はやてが退院して数週間後の日曜日、俺は何の気なしに町へと出掛けていた。何時もははやてと一緒に行動しているが、シャマルがはやての事を看てくれるというのでその言葉に甘えて一人でお出掛けを楽しんでいる。

 

 

「やっぱり誰かいないと少し寂しいな…」

『マスターは存外、寂しがり屋ですからね。』

「うっさい。」

 

 

周りに怪しまれないようにバルディアスと会話をしながら街を歩いていく。しかし、出掛けていても頭の中を覆うのははやてと闇の書の事ばかりである。考えると言った手前、何も浮かんでこないのは駄目だと思い、必死に解決案を模索していた。

そもそも、闇の書が未熟なリンカーコアに影響を与えていることを前提として良いのか。そして、蒐収をしたからと言ってその問題が解決するのか。

闇の書がリンカーコアに影響していると仮定しよう。恐らくシグナム達が話していたから間違いではないはずだ。では、影響を与えている闇の書の覚醒と、その侵食を止めることに関連性はあるのか。俺はNOだと思っている。

解決策としては、はやてと闇の書の繋がりを切り離すのが良いのだろう。

だが、それだけで本当に解決するのか?転生してきた、とヴォルケンリッター達は言っていたが、前の持ち主はどうなったのか。色々と調べる必要がありそうだ。

 

 

「きゃっ!?」

「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」

 

 

色々と思考を巡らせ、闇の書と呼ばれるものを覚醒させて良いものなのか、と考えながら歩いていると前から来た人とぶつかってしまった。

ぶつかって倒れた、栗色のツインテールの女の子に手を貸す。

 

 

「だ、大丈…え?フェイトちゃん?」

「え?」

 

 

俺の手を握り立ち上がる女の子の顔が、驚いた表情になる。

 

 

「フェイトちゃん!い、いつ此方に来たの!?管理局での処罰は!?」

「ちょ、ちょっと落ち着いて!?俺はフェイトって子じゃないよ!」

 

 

俺の肩に手を置いてガクガクと揺さぶる女の子に落ち着くように言う。って言うか力強…気持ち悪くなるっ…!

 

 

「ご、ごめんね?あまりにも似てたから…」

「うぇ…気持ち悪…」

 

 

暫くして落ち着いたのか、俺を解放する女の子。俺は揺さぶられた影響ですっかり気持ち悪くなっていた。

このまま歩くのも苦なので、近くの公園のベンチに腰を掛けて休憩をする。責任を感じてか、女の子も付き添ってくれた。

 

 

「悪いね…付き合わせて…うっぷ…」

「う、ううん。私が揺らしたのが悪いから…。あ、私は高町なのは。君は?」

「俺は八神翼、よろしくな。」

 

 

未だ青ざめた顔の俺の背中を擦りながら自己紹介をするなのはに、手短に答える。暫くして回復して俺は、なのはに大丈夫だと告げて深呼吸をする。その最中も、なのはは俺の顔をじっと見ていた。

 

 

「あー、そんなに見つめられると照れるんだけど?」

「はにゃ!?ご、ごめんなさい!やっぱりフェイトちゃんに似てるなって…」

 

 

ふと、先程から出ている【フェイト】と言う名に引っ掛かる。バルディアスから聞いた俺達の開発コードは、【Project F.A.T.E】。少なからず関係しているであろうと関連付けたが、さして気にする事でもないと考えて触れずにおくことにした。

 

 

「そっか。でも残念ながらしゃべり方で解る通り、俺はちゃんで呼ばれる性別じゃないよ。」

「へ?」

 

 

何を言っているか解らないと言わんばかりに首をかしげるなのは。…うん、無理もないと思う。声質、容姿、髪の長さ、どれをとっても女の子その物なのだから。

 

 

「もしかして、男の子?」

「逆にそれ以外の性別があったら聞きたいんだけど?」

 

 

第三の性別等ではない。断じてない。

 

 

「なんなら脱いでみせるけど?」

「い、良いよ!もうわかったから!」

 

 

脱いで証拠を見せようとすると、顔を赤くしながら全力で止められた。どうやら信じてもらえたらしい。

それから暫く、俺となのははお互いの事を話す雑談へ興じていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

一週間前。

八神家から少し離れた空で、仮面をつけた二人の人物が恨めしそうに八神家を睨んでいる。

一人の人物の声色は何処か焦っており、余裕がないようにも聞こえた。

 

 

 

「守護騎士達は、蒐収するつもりがないらしいな…」

「クソッ…何故だ!あいつらも主が大切ではないのか!」

「落ち着け。何、あいつらが蒐収しないのであれば…」

 

 

逆に落ち着き払った人物は、闇の書と似た本を取り出すと魔法を使い転移させる。数秒後、その人物の手には本物の闇の書があった。

手の闇の書を見て何処か嬉しそうな、それでいて冷酷な声色を浮かべながら、その人物はこう言った。

 

 

 

 

 

 

「俺達が、【善意で】蒐収してやれば良いのさ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




携帯が壊れ、下書きが飛び、ログインアドレスとパスを忘れてログイン出来なくなっていたディアです。

翼「幾らなんでも待たせすぎだろ。」

はやて「ほんまやね。」

返す言葉もございません…。これからは誠心誠意執筆していきますので、何卒この小説をよろしくお願いいたします。

翼「いつも感想くれてる人達、本当にありがとうな。励みにさせてもらってるよ。」

なのは「今回のお話は、病院へ運ばれたはやてちゃんと八神家の皆のお話と、私と翼くんの出会い、そして仮面の人の怪しい行動だね?」

翼「なのはは次のお話にも出てくるからな。ようやくの出番が来た感想は?」

なのは「すごく嬉しいの!それに次も出てくるんだよね?フェイトちゃんの人気は凄いけど、私も負けないように頑張らないと。」

逞しい女の子ですね。そしてオリジナル展開です。翼くんは闇の書の繋がりを切り離そうとしていますが、仮面の人が何やら暗躍していますね。

翼「関係ねえよ。何かあればぶっ飛ばすだけだから。」

はやて「翼も存外タフネスさんやからなぁ…。色々と心配やわ。」

なのは「色々とすごい会話なの…」

さて、それでは次話でお会いいたしましょう。



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