魔法少女リリカルなのはA´s 《棄てられたクローンと新たな家族》   作:三咲ディア

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襲撃の後と新たな友

シグナムside

 

 

 

『わかった、此方も見付からないように探してみる。』

『頼むよ。はやてには内緒でな?後、折を見てお前達の…闇の書のこと、話してみる。管理局なら、何か言い方法知ってるかもしれないしさ?』

『わかった。くれぐれも無理はするな。』

 

 

わかってるよ、と明るい返事が返ってくる。

まさか闇の書が偽物とすり変わっているとはな…。私は小さく息を吐き、念話を切る。ふと窓ガラスを見ると、戸惑いの目をした自分の姿が写った。

これはいかんと思い頭を振り気持ちを切り替え窓ガラスを見ると、そこには何時もの私がいた。

 

 

「調べてみなければな…」

 

 

翼に言われたことを反芻しながら呟くと、私はヴィータが騒ぐリビングへと向かった。

 

 

 

シグナムside out

 

 

 

 

 

 

翼side

 

 

クロノとリンディさんとの話が終わった後、俺はアースラの食堂にいた。

現在時刻は二十時。一戦終えた俺の腹は限界まで空いており、先程の取り調べと言う名の話し合いも、俺の腹の虫が鳴いたことで終わりとなったのだ。

現在、オレはメニュー表の前で途方に暮れていた。

 

 

(困ったな…美味そうな物が解らない。)

 

 

どうせなら美味しいものを食べたい。空腹の時は何でも美味しく感じるが、それなら道端に生えてる草でも食べてろと言いたい。逆だ。空腹時だからこそ、美味しいものを食べて更に美味しく感じたいのが俺なのだ。

閑話休題。

そうやって悩んでいる俺の背後に人が立つ。俺は邪魔になったら悪いと思い横に寄ろうとしたが…

 

 

「…へ?」

 

 

いきなり後ろの人物に羽交い締めにされて身動きが取れなくなってしまう。

いきなりの事に頭を混乱させていると、その人物は俺の首筋に顔を埋めて擦り付けてきた。

 

 

「あぁぁぁ~!フェイトのポニーテールも可愛いねぇ!」

「ふぁぁぁっ!?」

 

 

いきなりの首筋への刺激に変な声が漏れてしまう。振り替えると、犬耳の生えた女性が俺に抱き着いていた。どうやらフェイトと俺を間違えているようだ。

俺は違うと大声で言いながら引き剥がそうともがくも、力が強くて離れない。

暫くの間もがいていると、背後に別の人の気配を感じた。先程の魔力の感じからして、恐らくフェイトだろう。

 

 

 

「あ、アルフ…何してるの?」

「良かった!コイツ止めて!お願いだから!」

「ん~!フェイトは可愛いねぇ~!」

 

 

呆れと戸惑いの声を出すフェイトに助けを求める。暴走しているアルフと呼ばれた女性は周りが見えて居ないのか、更に強く顔を擦り付けてくる。いい加減話を聴けっ!

仮面の男と言い闇の書の事と言い、深まる謎に苛つき始めている俺は、遂にキレた。

 

 

「いい加減にっ…しろっ!!」

「おぐっ!?」

 

 

全力の肘撃ちを鳩尾に叩き込むと、痛みで呼吸が止まったのか力が緩まる。俺は間髪入れずに腹部にもう一度肘撃ちを決めると、前屈みになるアルフの顎に後ろ回し蹴りを入れる。

武闘家さながらの流れるような動きで鬼のようなコンボを決めると、アルフは小さな呻き声を上げて気絶した。フェイトは唖然としてこちらを見ている。

 

 

「ふぅ…やり過ぎたか?」

「やり過ぎだよ!」

 

 

俺の呟きで我に返ったフェイトが突っ込んでくるが気にしない。俺はフェイトを無視したまま無難なホットケーキを頼んでみる。

食堂員は災難だったねと苦笑いを浮かべながら、ホイップクリームをおまけしてくれた。

ホットケーキを席に持っていく最中、フェイトは俺の後ろをずっと着いてきた。三歩歩けば三歩歩き、半歩下がれば半歩下がる。何がしたいんだか。

 

 

「で、何か用?さっきのあれ、謝ってほしいの?」

 

 

席にホットケーキの乗ったプレートを置くと後ろを振り向きながら問いかける。俺と目があったフェイトは暫く目を見つめると、俺の隣へと腰を下ろした。

 

 

「あれはアルフが悪いから…」

「まあ、起きたら声くらいはかけておくよ。」

「ごめんね…アルフが迷惑かけて。いつもはあんな感じじゃ無いんだけど、時折暴走するんだ。」

「もう気にしてないって。で、用件は?」

「クロノやリンディさん抜きでお話ししたいなって思って…」

「お話ねぇ…」

 

 

フェイトの口からポツポツと言葉が紡がれる。俺はそれを、ホットケーキを切り分けながら聞いていた。

 

 

「翼の魔法、私に似てたよね?」

「バルディアスに教えてもらったんだ。俺の大切な相棒さ。」

「そっか…。良い技だね。」

「んむ…二人で考えてきた技だからな。」

 

 

口にホットケーキを入れながら答える。出来立てのホットケーキはふわふわで甘く、シロップの甘さに負けないが主張しすぎない、とても上品な味だ。

食べながら話すな。行儀が悪いって?気にするな。

 

 

「…やっぱり、翼は私と同じ…アリシアの…」

「おう。」

 

 

フェイトの小さな呟きに軽く頷く。幸い、誰も居ないので好都合だった。余りにも淡白な答えに、フェイトは面食らっていた。

 

 

「んぐ…色々と面倒な事になりそうだし、俺はもう八神翼だ。だから、言う必要もないし黙ってた。」

「何で私には言ってくれたの?」

「バラさないだろうし、何より感覚でわかりそうだったから。」

「ひ、否定できないかな…。」

「それなら先にバラしちまおうって寸法さ。」

 

 

いたずらに笑いホットケーキにホイップクリームを乗せながら言うと、口のなかに入れる。

シロップとは違う甘さの滑らかなクリームは、口に入れただけで溶けて風味を鼻へ送る。掛け値無しに美味しい物だと心から思った。

俺達の談笑は、なのはが目を覚ますまで続いた。その様子は、通りがかった人が仲の良い兄妹と思うほどであった。

 

 

翼side out

 

 

 

 

 

はやてside

 

 

「なーなーはやてー。アイス食べて良いか?」

「ふふ、ええよ?でも、お風呂上がりに一つだけやで?」

「やったー!」

 

 

はしゃいどるヴィータを見て、思わず頬が弛んでしまう。夜天の皆が来てからは、翼と二人きりの時以上に楽しくなった。

ザフィーラはお兄さん分、シグナムはお姉さん、ヴィータは妹。シャマルは…ま、まぁ翼の事を除けばええお姉さんや。料理が苦手やけど…。

そんな皆が大好きで、こんな日がずっと続けば良えなって思っとる。

 

 

「はやてちゃん、翼くんは大丈夫かしら…」

「翼はしっかりしとるから、心配せんでもええよ。」

「私が居ないと眠れないとか言わないかしら…。いえ、寧ろ言って!そして私の布団のなかに!」

「ヴィータ。」

 

 

暴走を始めたシャマルを止めるためにヴィータを呼ぶ。

呼ばれたヴィータがゲートボールのスティックを手にシャマルの後ろに立つと、思いきり振りかぶり振り抜く。

 

 

「目ぇ覚ませっ!」

「あいた!?」

 

 

スコーンと小気味良い音を立ててシャマルがぶっ飛ぶ。シャマルはほんま翼に甘いなぁと思いながら、私は笑みを溢す。

騒がしいけど、こんな家族と居れるのがとても幸せだった。

 

 

「いたた…」

「コイツ、こんなにポンコツだったか?」

「ええやん、これも個性や。」

「こんな個性ならあたしはいらねー。」

 

 

そう言って私の隣に座るヴィータ。そう言うヴィータかて、最初の頃に比べたら大分角が取れて子供っぽくなってるんやけどね?

私はヴィータの頭を撫でながら今日友達になったすずかちゃんの事を思い出す。優しくて可愛くて、とても素敵な子やった。

翼が居って、皆が居って、新しい友達も出来て、こんなに幸せでええんやろか、と思いながら此処に居らん翼を思う。

早う翼にも会わせてあげたいと、私にも友達が出来たと胸を張って伝えたかった。

 

 

「翼、早よ帰って来んかなぁ…」

 

 

翼からのプレゼントのペンダントを握りながら小さく呟く。そんな私の様子を見てシャマルはニヤニヤしていたが、今の私は何の事かは解らんかった。

 

 

 

 

はやてside out

 

 

 

 

 

 

 

??? side

 

 

何もない虚無の空間に生えている黒い木の下で、一人の女性が悲しそうな表情で佇んでいた。

彼女は一冊の本を抱えて、そっと表紙を撫でる。その本は鮮やかな紫色に金色の十字架の装飾がされていた。

 

 

「私は…私には主を守ることは出来ない…。だから…お前が守ってやってくれ。」

『…仕方がないな。だが、うぬもうぬでどうにかせぬか。』

「それが出来れば…何人の主を救うことが出来たのだがな。」

『…我も考えてやる。うぬも諦めるな。』

 

 

本と会話をしている女性は小さく微笑む。口は悪いが優しさの滲むこの声の主に、女性は心から感謝をしていた。

女性は本をそっと抱き抱えると、黒い木に触れて木へと埋もれていく。最初は小さかった木は、根を張り、立派な木へと成長していた。

 

 

 

 

???side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼side

 

 

「ここをこうしてこうすれば、まだプロテクションの性能が上がると思うんだ。」

「なるほど…」

『ユーノは補助魔法に長けていますね。勉強になります。』

 

 

アースラ艦内に宛がわれた俺の部屋にて、ユーノに魔法の術式を見てもらっている。ユーノは補助魔法に長けており、俺の魔法を強化するのに力を貸してくれていた。

魔法談義に華を咲かせている最中、ユーノが大きな欠伸をする。かなり長い間話していたから、大分遅くなってしまったようだ。

 

 

「ユーノ、大丈夫か?」

「うん…ちょっと眠いかな…」

「んじゃ、もう終わるか。部屋まで戻れるか?」

「ちょっと面倒臭い…かな…?」

 

 

てへへと舌を出していたずらっ子の様に笑うユーノに少し笑みが浮かぶ。ユーノとは、お互いに親近感が沸いたのか知り合って直ぐに仲良くなれた。理由?女顔って事でだよ。言わせんな。

 

 

「じゃあここで寝るか?」

「うん、そうさせてもらおうかな?」

「俺は掛け布団使って床で寝るから、お前はベッドだけで寝てくれ。」

「酷くない!?」

「冗談だって。局員の人から毛布貰ってくるよ。」

 

 

ユーノは俺の提案に暫く考え込んでいたが、漸く口を開いた。

 

 

「翼も同じベッドで寝れば良いんじゃないかな?」

「ん…それもそうだな。」

 

 

ユーノの提案に頷くと、バルディアスを首に下げてベッドに寝転ぶ。ユーノは俺の隣に腰を下ろすと、コロンと可愛らしい仕種で寝転がる。本当に男なのかと疑いたくなる。

 

 

「翼…僕ね、君となら凄く仲良くなれそうな気がするんだ。」

「ん…仲良くしていけば良いだろ?」

「ふふ、そうだね。何だか兄さんが出来たみたいだ…」

 

 

一つの布団で向かい合い、笑い合う。布団をかけてやると、俺達はどちらともなく目を閉じて眠りへと落ちていった。

 

 

 

襲撃の後とは思えぬ穏やかな時間に、この後に起こる悲劇の足音に気づかぬまま……。




い、15000UA越えに驚いてる作者のディアです!

翼「本当にな。こんな小説がこんなにも沢山の人に見てもらえて、本当に嬉しいぜ。」

はやて「ほんまありがとうな。」

さて、今回は襲撃の後のお話でしたね。ユーノくんと翼くんの距離が縮まりました。

翼「まあ、弟なんていなかったからな。結構新鮮だったぜ?」

はやて「ふふ、翼も色んな人と会うて成長していってるな?嬉しいわ。」

翼「そりゃ成長くらいするさ。」

ユーノ「あはは…。それにしても、アルフの件は災難だったね?」

翼「あー…あれな。シャマルに似た雰囲気を感じたよ。」

フェイト「本当にごめんね。きつく言っておくから…」

はやて「本編で会えると良えな。楽しみやわぁ。」

はやてちゃんにも、沢山の友達を作ってあげたいですね。

翼「そう言えば、15000UAを記念して何かしないのか?」

うーん…あまり考えていませんね。需要があるなら、ifな日常を書いていきたいなとは思っていますが。主に翼くんやマテリアル達の…。若しくは、翼くんや登場人物の人に聞きたいことがあるのであれば、Novel Stageですかね。

はやて「私達に聞きたいことがあれば、活動報告にある【魔法少女リリカルなのはA´s 《棄てられたクローンと新たな家族》Novelstage質問受付】で募集してます。遠慮せずどんどん聞いてください。」

それでは次回もこの小説に…

翼&はやて「「 リリカル、アクセス!」」




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