一夏side
一夏がISの授業でグラウンドにクレーターを作った日の放課後……
学園寮の食堂で[織斑一夏 クラス代表決定パーティー]が行われていた。
『織斑君!クラス代表選出!おめでとうー!!』
「あ、あぁ、皆ありがとう……」
「ふん、鼻の下を伸ばして嬉しそうだな」
「そんな事考えてないぞ」
一夏がクラスの女子にジュースを注がれたのを見ていた箒が機嫌悪そうになっていた。
「それよりも……うちのクラスに、こんなに居たっけ?」
「そうだな、私も見た事が無い生徒がいるから多分他のクラスからも来てるんだろう」
「えぇ、それは2人しかいない男性操縦者の1人がクラス代表になったとなれば様子を見に来るのも当然ですわ」
2人が話してるとセシリアが近くに来た。
「そんなもんか……そう言えば武昭は何処に居るんだ?箒かセシリア知らないか?」
「いや、私は見ていないな……」
「私も見ていませんわ」
「はーい!学園で噂の男性操縦者にインタビューをしに来ましたー!!」
一夏達が武昭を探してるとメガネをかけて左腕に[新聞部]と書かれた腕章を付けた女生徒が駆け寄って来た。
「え?イ、インタビューって……俺にですか?」
「そうだよ!あっ、自己紹介が遅れたね、私はこういう者だよ」
女生徒が出したのは名刺で、そこには[IS学園新聞部 副部長
「は、はぁ……ありがとうございます……(うわぁ、漢字の画数が多い名前だなぁ……)」
「まずはクラス代表としての意気込みを教えてもらおうかな?」
「え、えっと……成り行きで代表になりましたけど……頑張らせてもらいます!」
「おぉー熱いコメントだねぇ……次は対戦したオルコットちゃんで良いかしら?」
「えぇ、構いませんわ」
「私が調べた話だと決定戦で勝ったのはオルコットちゃんだったのに織斑君に譲ったってあるんだけど、どうしてかな?」
「えぇ、それはこの私がクラス代表を行うのは当然ですが……」
「あぁー 話が長くなりそうだから織斑君に惚れたって事にしておくね」
「なっ!?そ、そんな事はありませんわ!!」
「そうだな、そんな事は無いな」
一夏の言葉を聞いたセシリアは睨んでおり箒は苦笑いしていた。
「これで大体は終わった……次はもう1人の村雨武昭君に……あれ?何処に居るんだろ?」
「えぇ、俺も探してるんですけど見当たらないんですよ」
薫子が食堂を見回すが一夏が告げた。
「そうなんだ……そうだ村雨君と織斑君て幼馴染だって聞いたんだけど……どんな子だったの?」
「それだったら箒も同じですね」
「なっ!?お、おいっ!一夏!!何をする!!」
薫子の言葉を聞いた一夏に手を引かれて前に出された箒は頬を染めた。
「いや、学園の中で武昭の事を知ってるのは俺と千冬姉以外なら箒しかいなかったから……」
「そ、そういう事ならば仕方ないな……」
「そう、ありがとう篠ノ之さん、それじゃ聞くけど……」
(箒さんだけズルいですわ……けれども武昭さんの事ですから……でも本当に武昭さんは何処にいるのでしょうか……)
一夏と箒が薫子のインタビューを受けてる最中、セシリアは食堂を見回して武昭を探していた。
武昭side
「ごめんね武昭君、仕事を手伝わせちゃって……」
〔いえ、俺も生徒会役員なんだから気にしないでください……〕
武昭は生徒会室で楯無と一緒に書類仕事をしていた。
何故、武昭が生徒会役員なのかと言うと……
数日前に武昭の保護を兼ねて楯無から勧誘したのだった。
「けど、今日はクラス代表決定のパーティーをするって本音ちゃんが言ってたわよ」
〔そうですけど……こんな体ですし、それに……俺はあまり食べ物を食べないんですよ……〕
「そうなの?……だとしたら栄養が足りなくなったりしないのかしら?」
〔えぇ、
「へぇ……なんでか理由はあるのかしら?」
〔それは、分からないです……俺の身体を検査した人が今も調べてるみたいですけど……〕
「ふーん……(そう言えば……一応、私の方でも調べてはみたけど……武昭君の事に関しては詳しい事が出てこないのよねぇ……)」
〔次は、この書類を……ん?こんな時期に転入生?……〕
「あっ、ごめんね武昭君 そっちに紛れ込んでたみたいね……どうしたのかしら?」
楯無は武昭が書類を見て何かを感じている事に気付いた。
〔どうぞ……いえ……その写真の子なんですけど……見てたら……何か……ん?誰だろう?〕
「ごめんなさい……こんな時間に来て……」
武昭が説明しようとした時に誰かがノックしたので確認すると簪だった。
「あら簪ちゃん、どうしたの?」
「うん……武昭が生徒会役員になったから……これ……作ってきたの……」
簪は紙袋の中からカップケーキをの入った箱を取り出した。
「ちょうど良いから休憩にしましょうか、虚ちゃんお茶をお願い」
「はい、分かりました」
〔あっ、虚さん……俺はぬるめで良いですか?ちょっと熱いのは苦手なんで〕
「えぇ、構いませんよ 武昭君は猫舌ですか?だったら冷たいお茶を淹れますが……」
〔ありがとうございます、じゃあそれで、お願いします〕
「頂きま〜す……あれ?カンちゃん、このカップケーキ、焦げてるよ〜」
本音の言葉を聞いた簪がカップケーキを見ると黒く焦げていた。
「間違って失敗したの持って来たんだ……ごめんね皆……」
〔俺は食べさせてもらうよ……簪が作ってくれたんだし、それにこの大きさ位の方が丁度いいからさ……」
「た、武昭……無理して食べなくても……どうしたの?」
〔ん?……いや……今、ケーキを食べたら……何かが頭の中によぎったんだ……何かが……ウッ!〕
武昭がケーキを食べると何かを感じたので、その心当たりを探してると倒れそうになったが近くにいた楯無が慌てて支えた。
「武昭君!?虚ちゃん!今すぐ保健室に!!」
〔いえ…大丈夫ですよ楯無さん……すみませんけど……今日はもう寮に戻らせてもらっても……〕
「えぇ、構わないわよ。本音ちゃん武昭君と一緒に帰っていいわよ」
「分かりました、お嬢さま……あきっち〜本当に大丈夫〜?」
〔うん、特に痛みがある訳じゃないから……それじゃ失礼します……〕
武昭は本音に肩を借りながら寮に戻った。
武昭と本音が出て行った生徒会室では楯無、簪、虚が話していた。
「うーん、武昭君が急に体調が悪くなったのは……簪ちゃんが作ったカップケーキを食べてからよね……もしかして……」
「お姉ちゃん!そんな事は無いよ!なんで私が武昭に……」
「2人とも、お待ちください……あの時武昭君は何かが頭の中をよぎったと言ってましたが……」
「あっ、もしかして……」
虚の言葉に簪が何かを思い出した。
「簪ちゃん?何か心当たりがあるの?」
「うん……昔、小さい時に武昭が家に来た事があったよね?」
「えぇ、ご両親がお父さんに会いに来た時に一緒にいたわ……私は、ちょっといなかったけど……」
「その時に私はお母さんに手伝ってもらって……カップケーキを作ったの……今回のよりも下手だったけど……」
「何となく分かりました……武昭君は、簪様が作ったカップケーキを食べて昔の事を思い出したのではないでしょうか?」
「似たような事を聞いた事があるわ。私が聞いたのはある匂いを嗅いで特定の記憶を思い出すって奴だけど……」
「プルースト効果と呼ばれてる心理現象ですね……」
「そっか……やっぱり武昭の中に私達の記憶が残ってるんだ……」
虚の説明を聞いた簪は感動して軽く泣いていた。
「けど、焦らないでじっくりやらないと……(そうよね……武昭君は私と簪ちゃんの仲を修復してくれた、なら今度は私達が……)」
楯無は外の景色を見ながら何かを決意していた。