食堂で鈴が一夏と話してる頃と時を同じくして……
「ごめんね武昭君、急に呼び出したりして」
〔いえ、俺も生徒会役員なんですから構わないでください〕
武昭が楯無に呼ばれて生徒会室に来ていた。
「それで呼び出した理由なんだけど……武昭君は鈴ちゃんの事を覚えているのかしら?」
〔朝にも本人に聞かれたんですけど……覚えてないんです……〕
「そう……(確か虚ちゃんが調べた情報だと鈴ちゃんが武昭君達の幼馴染というのは間違いない筈……)」
〔あの……楯無さん?……〕
「ん?何かしら?武昭君」
〔前に簪のカップケーキを食べた時に頭の中に何かよぎって……部屋に戻った時、本音に聞いたら昔に会った事があるって聞いたんですけど……〕
「えぇ……私達は小さい頃に会ってるのよ……武昭君が……
〔父さんに連れられて……ですか?……〕
「そうよ。私の両親と武昭君のお父さんは、ちょっとした知り合いだったの……」
〔そうだったんですか……さてと、コッチの書類は終わりましたよ〕
「早いですね武昭君は……お嬢様もちゃんと仕事をしてもらえれば、こんなに書類がたまる事も無いのですが……」
武昭の速さを見た虚は楯無の遅さに呆れていた。
「しょ、しょうがないじゃない 私は国家代表としての仕事もあるんだから……」
〔さてと、仕事が終わったんで俺はお昼でも食べてきます」
「あっ、ちょっと待って武昭君。虚ちゃん
「はい、分かりました……武昭君、コレをどうぞ」
楯無に言われて虚が取り出したのは小さなお弁当箱だった。
〔えっと……これは……〕
「それは私が武昭君の為に作った物なの。前に武昭君はあまり食べれないって言ってたから量は少ないけど沢山の栄養が取れる様にしたの」
〔そうなんですか……ありがとうございます。じゃあここで食べても良いですか?〕
「ええ、構わないわよ。私も味の感想を聞かせてほしいから」
〔そういう事なら……うわぁ……楯無さんて料理が上手いんですね〕
武昭がお弁当箱の蓋を開けると混ぜご飯のおにぎりと様々な野菜の和え物、何かを巻いた卵焼きに蒸した鶏肉が入っていた。
「一応少なめには作ったけど、量が多いなら残しても構わないから」
〔分かりました、じゃあ頂きます……まずはおにぎりから……ひじきに油揚げと細切りの人参を入れて甘辛くしたんですね〕
「そうよ、武昭君に少しでも体に良い物って考えたの……それで味はどうかしら?」
〔えぇ、美味しいですよ……大きさもちょうど良いですし……次にオカズは……野菜の肉巻きですか〕
「うん、それは軽く照り焼きにしてタレにお酢を入れてサッパリとさせたの」
〔本当ですね……最後に汁物ですけど……何かトロミがありますけど……〕
「それは豆腐を裏漉しした擦り流し汁にしたわ……」
〔ふぅ……何か優しい味ですね……楯無さんて料理が上手いんですね……これなら旦那さんになる人が羨ましいですよ〕
「はにゃっ!?そ、そうかしら!?(もしかして……私と……そんな風に……)」
〔ご馳走様でした。ん?楯無さん何か顔が赤いですけど、大丈夫ですか?〕
「う、うん!大丈夫よ!」
〔フワァ……何かお昼を食べたら眠くなってたな……すみませんけど、そこのソファ貸してもらいます……〕…zzZZ
ソファに横になった武昭は直ぐに眠り、楯無と虚はそれを見ていた。
「もーう……お姉さんを揶揄ったりして、悪い子なんだから……」
「多分、あれは武昭君の正直な感想だと思いますよ。それにお嬢様も満更でも無い様子でしたし」
「う、虚ちゃ「静かにしないと武昭君が起きるかもしれませんよ?」もーう……」
楯無は虚に軽く揶揄われていた。
「あぁ、お嬢様、この仕事は後でも構いませんので今は武昭君に膝枕でもしてあげてください」
「えっと?……良いの……かしら?……」
「えぇ、今のお嬢様がする仕事は、それですよ……今のこの時間だけは、そうしてあげてください……」
「虚ちゃん……分かったわ……武昭君、貴方がどれだけ辛い目にあったかは私達には分からないわ……けど今のこの時だけは……」
楯無は武昭に膝枕をしながら優しく頭を撫でていた。
因みに、本音は武昭を連れて生徒会室に来た後に簪の手伝いに行ってます。