医務室での治療は終えて寮の部屋での療養に切り替わった武昭が本音と一緒に戻ってきた。
「あきっち、荷物はここに置いておくね〜」
「あぁ……ありがとう……本音……」
「ううん、あきっちはまだ片腕が無いんだから、しょうがないよ〜」
本音は武昭の荷物を片付けていた。
そんな中……
「あの、セシリアですが、今、大丈夫ですか?」
ドアがノックされたので武昭が返事をすると何らかの紙袋を持ったセシリアが入ってきた。
「どうも……セシリアさん……今日はどうした……んですか?」
「えぇ、鈴さんから武昭さんが目を覚ましたと聞いたので遅くなりましたが、お見舞いを持ってきたのです」
「あぁ〜 その紙袋って有名なケーキ屋のお店の奴だぁ〜」
「えぇ先日の休日に外出をした時に、たまたまお客が少なかったので買えたのです。
それで武昭さんのお見舞いにどうかと」
「そうだった……んですか……すみません……何か……お手数をかけて……」
「いえ、わたくしがしたくてした事ですから、布仏さんお皿とかはどちらにありますか?」
「ううん、私が用意するから良いよ〜」
セシリアが用意をしようとしたが本音が動き出した。
その後、3人はケーキを食べながら話していた。
「それで武昭さん、その腕は……」
「あぁ……ちょっとね……だから授業でも、実習は見学だね……それにしても……このケーキは美味しいな……」
「えぇ、ここの店はその季節に応じてフルーツ等を使用する事で有名なんですわ……」
「ふぇ〜 そうなんだ〜 コレって何のケーキなんだろう〜?」
「うん…多分だけど、コレは……アプリコットのジャム?……だと思うな……」
「武昭さんの言う通りですわ……時期が少し早いですがアプリコットを使用してるんです」
「やっぱりか……「ねぇ……美味しい?……」ウワァ!?」
ケーキを食べていた武昭の脳裏に何らかの映像が浮かぶと軽く頭痛がすると体を崩してフォークを落とした。
「あきっち!?」 「武昭さん!?」
それを見た2人は慌てて駆け寄った。
「いや……大丈夫だ……少し頭痛が……しただけだから……(けど、今のは?……)セシリア?」
「え?どうしたんですか?私の名前など呼んだりして」
「あぁ……なぁ、セシリアって……小さい頃とかに……日本に来た事は…あるか?………」
「いえ、わたくしは小さい時はイギリスにいたので日本へ来たのはIS学園に通う事になってからです」
「そうか……そうだな……なぁ小さい頃に……瞳が紫色だったら……大きくなっても……変わる事は……無いよな?……」
「えぇ、コンタクトとか等を入れたりなどしなければ、そのままですが……何故、その様な事をお聞きに?」
「いや……何でもない……(確かに……今、浮かんだ子の瞳は紫色で金髪だった……誰なんだ?……)」
(あきっち?……また何かを思い出したの?……)
武昭の様子を見ながら本音は何かを感じていた。
とある日のフランスの空港を飛び立った飛行機の中で……
(僕のやる事は……IS学園に編入して【男性操縦者のデータを入手する事】……けど、2人の男性操縦者の1人が【彼】だなんて……)
乗客の1人がポケットにあった写真を見ていた。
その写真は以前、束が研究所で見ていた物と同じ小さい頃の武昭が写っている物と同じ物だった。
(出来る事なら……こんな事をしないで日本に行きたかったな……)
その人物の表情は何処か悲しげだった。