転生者は友が多い   作:北方守護

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第52話 自分の想いと消えない傷……

教室から逃げ出した武昭は屋上に来ていた。

 

「はぁ……絶対、後で織斑先生に怒られるだろうなぁ……まぁ、ある意味それを覚悟してここに来たからな……」

 

〈なぁ、アニキ……アニキは彼女達の事をどう思ってるんだ?……〉

武昭が柵に寄りかかってるとアバルが話しかけて来た。

 

「どう思ってるって……こんな俺に好意を持ってくれてるのは嬉しいと言えば嬉しいよ……けど……」

 

〈やはり……マスターは()()()()()()……〉

 

「そうだ、セルテスの考えてる通りだ……俺はあいつらとは違うんだ……俺の手は……」

セルテスと話してた武昭は自分の右手を空に翳した。

 

「だからこそ……俺に彼女達の思いを受ける訳には行かないんだよ……」

 

〈それでも!なんで武昭さんが1人で苦しまないとダメなんですか!?〉

 

〈けど、武昭も気付いてる筈です……どこかで自分を受け入れてくれる人を探している事に……〉

武昭が自分の意見を言うがアブネルとマァガルが反論して来た。

 

「皆の言う通りだな……けど、それは皆が俺の罪を知らないからだ……それを知ると皆は俺から離れていくよ……」

 

「……だったら……私達に、その罪を教えてよ……武昭……」

武昭が独り言を言ってると声がしたので見ると屋上の入り口に鈴達といった武昭に告白をした者達が立っていた。

 

「皆……何でここに……それよりも……まさか俺の言葉を聞いていたのか?……」

 

「うん……武昭が“私達と違う”って言った所から聞いてたよ……」

 

「ねぇ、あきっち……その罪とあきっちがたまに魘される事は関係があるの?」

 

「それに……昨日、大浴場で見たあの傷痕も何か……武昭?」

 

「や、やめろ……俺は……何も俺は……アァーッ!!」

簪、本音、シャルロットが理由を尋ねていると武昭の顔が青くなり体が震えて怯えていた。

 

「武昭君!?どうしたの!!」

 

「違う!俺は、俺は!!」

楯無が近寄って抑えようとするが武昭の動きは止まらなかった。

 

「武昭!落ち着いて!!」

 

「ねぇ!そんなに苦しまなくて良いんだよ!!」

 

「皆!そのまま抑えてて!!」

武昭の動きが止まらなかったので鈴とシャルロットが抑えていると本音が以前千冬から渡された鎮静剤を注射して武昭を眠らせた。

 

「本音、それって……」

 

「前に織斑先生にあきっちが魘された時に注射しろって渡された奴なんだ……けど、もう数が……」

 

「それならば、問題は無い……それを作った奴を呼んでいるからな、ほら出てくるんだ」

本音が簪に説明していると千冬が誰かを連れて屋上に来た。

 

「織斑先生……それと……その人は……まさか!?」

楯無は千冬の横に居たのが誰か心当たりがあった。

 

「ヤッホー、私が篠ノ之束だよー」

束の自己紹介を聞いた皆は驚きから声が出なかった。

 

しばらくして……

 

「あの、織斑先生……何で篠ノ之博士がここに居るんですか?」

皆が復活すると最初に簪が事情を聞いた。

 

「あぁ、それは……行方不明になった()()を発見したのが束だったからだ」

 

「あれ?織斑先生……今武昭の事を名前で……」

鈴は気になった事を千冬に尋ねた。

 

「今は先生ではなく……武昭の義姉として接しようと思ってな……凰なら知っている筈だ」

 

「そう言えば……一夏と織斑先生は武昭のご両親の世話になってましたね……」

 

「それに束さんもたっくんのご両親には凄く世話になってたんだよー」

 

「そうだったんですか……それで武昭がこうなったのは……」

 

「うーん……それを話しても良いけど……興味本位だけで聞きたいなら私とちーちゃんは話さないよ?」

束が説明してるとシャルロットが事情を聞こうとしたが束の雰囲気が変わった。

 

「それに関しては束の言う通りだな……ここで武昭の事を話すのは簡単だが……本人が話したくないと思っている事を私達から話す事も何か違うと思わないか?」

皆に視線を向けられた千冬が自分の意見を言うと彼女達は黙り込んだ。

 

「だから、私から言える事は……武昭を信じてやれ……そして何があっても……傍にいてやれ……」

 

「うん、私もちーちゃんと同じ意見だね……けど、私から言える事があるとすれば……たっくんが失った記憶を取り戻すって事は……とても辛い事になるかもしれない……それじゃ私は帰るよ……あぁ、ちーちゃん、これ、そろそろ無くなる頃だよね?」

 

「そうだったな、お前らもそろそろ教室に戻るんだ、楯無、悪いが武昭を生徒会室で休ませておくぞ」

 

「はい、私は構いません」

束は千冬に鎮静剤を渡すとその場から離れ千冬は武昭を抱えると生徒会室に向かった。

 

 

残された皆は何かを考えるとどこか決意した様な表情になっていた。

 

 

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