武昭が学園に来る事になった要件を話す事を決めてから数日経ったある日の放課後の廊下で……
「ごめんね武昭、荷物を運ぶの手伝ってもらって」
「気にするな、こんな量を1人で運ぶより2人の方が早いだろ?」
武昭とシャルロットが先生に頼まれたプリントを運んでいた。
「けど、今日は鈴達と約束があったんじゃ無いの?」
「あぁ、そうだったな、けど俺はロッテと一緒じゃないと……な?」
「フェッ!?そ、それって!それに今、僕の名前を……」
「なんとなくだけど……俺は小さい時にロッテと会ってるんだよな?そして、ある事を約束したんだろ?」
「う、うん……そうだけど……えっ!?」ドサッ
シャルロットが戸惑ってると武昭が抱き締めてきたので持っていたプリントが廊下に散らばった。
「今はまだ思い出してない、こんな俺だけど……ずっとそばにいてくれるか?」
「武昭……うん、僕はずっと武昭のそばにいるよ、思い出してもこれからも……」
「そっか、ありがとうなロッテ……」
「ううん僕の方こそ、ありがとう……武昭……」
2人の顔が迫って、距離が0になるのと同時だった……
「うーん……あれ?武昭……って今のは……夢だったんだ……もーう!もう少しだったのにー!」
シャルロットが自分の状況を確認すると今までの事は夢であり周りを見ると学園寮の部屋だった。
「ラウラはもう起きてるんだ……って今は……え?」
シャルロットが隣のベッドを見ると同部屋の筈のラウラがいなかった。
シャルロットが女性と分かってから武昭との同室は解消されラウラとの同室になった。
そして武昭は以前のルームメイトである本音との同室に戻っていた。
更にシャルロットが時計を見ると……
「た、大変だぁー!!」
遅刻ギリギリの時間になっており慌てて着替えて部屋を出た。
シャルロットがそうなる数十分前……
「うん……もう朝か……ん?なんだ?……(何か頭に鈍い痛みが……まぁ大丈夫だろ……)本音、そろそろ起きた方が良いぞ?」
目を覚ました武昭が何か違和感を感じていたが構わず本音を起こした。
「うーん……あと3時間〜むにゃ〜」
「3時間って……確か今日の1時間目の授業は織斑先生だった様な……「うん!早く起きないとダメだよね!!」じゃあ俺はシャワー室で着替えてくるから」
本音を起こした武昭は着替える為にシャワー室に向かった。
武昭と本音が食堂に行くといつも一夏、箒、セシリア、鈴、ラウラ、簪が先に来て食事をしていた。
「おっ、皆おはよう……って一夏、
武昭が席に座ると一夏の頬に真っ赤になった誰かの手形がついていた。
「いや、あの、これは……それよりも武昭にしては今朝は遅くないか?」
「そうか?まぁ俺だって偶にはそんな時もあるよ、んじゃいただきます」
「武昭?あんた今日は、おにぎり一個だけなの?なんだったら私のオカズを少し分けてあげるわよ?」
「鈴、それだったら私があげるから大丈夫……」
鈴が武昭のメニューを見て自分のオカズを分けようとしたが簪が参加した。
「いや、今朝はこれだけで良いよ……」
「武昭さん、どこかお体が悪いのではありませんか?」
「それだったら保健室に行った方が良いぞ?」
「心配してくれてありがとうな、箒、セシリア……」
「うわぁ!急がないと!!」
武昭が箒とセシリアにお礼を言っているとシャルロットが慌てて食堂に入ってきた。
「ん?シャルロットにしては珍しいな遅刻するなんて、どこか体が悪いのか?」
「フェッ!?な、なんでもないよ!その、ちょっと二度寝をしちゃったから」
「ふーん、そうか……それにしてもシャルロットって女性用の制服も持ってたんだな」
「う、うん、一応正体がバレた時の為に用意してたんだ(もーう、あんな夢を見たから武昭の顔が見れないよー)」
「おいっ!早く食事を済ませろ!時間は限られているんだぞ!!」
武昭とシャルロットが話してると寮長でもある千冬が来て、そう言うと食堂から出て行った。
それを聞いて一夏、箒、セシリア、鈴、ラウラ、簪が食事を終えてその場から飛び出す様に出て行った。
「アワワワ!急いで行かないと!!」
「シャルロット、そんなに慌てて食べると喉に詰まるぞ?」
「大丈夫だよ!ご馳走様!!」
「他人に構ってる暇は無いか!本音もまだだったのか?」
「そうだけど、あきっちは先に行って良いよ〜」
シャルロットが慌てて食事を終えて食堂を出たので武昭がその後に続こうとしたが本音がまだ食べていた。
「悪いな、本音、じゃあお言葉に甘えて……〈ガクッ!〉あれ?なんだ?急に頭が……うっ!?」ガタン
武昭が本音の言葉を受け入れて立とうとした時に急に足に力が入らなくなり頭痛がしたと同時にそのまま倒れて気絶した。
「フェッ!?あきっち!?どうしたの!あきっち!目を開けてよ!!
「本音!?早く教室に行かないと……って武昭!?どうしたの!?」
武昭が倒れたので本音が駆け寄ると様子を見に来たシャルロットも驚いた。
「私も分かんないよ!急に倒れたんだもん!!」
「とりあえず医務室に運ばないと!本音はそっちの方をお願い!!」
「うん!分かったよ!!あっ、チャイムが鳴ったけど……今はこっちだよ!!」
2人はチャイムが鳴っているのにも構わず武昭を医務室に連れて行った。
一方、1年1組では……
「さてと、今日の授業を始める……その前に村雨とデュノア、布仏はいないのか?誰か何か聞いていないか?」
「確か朝は俺達と一緒に朝食を食べてました……そうだよな?箒、セシリア、ラウラ」
「はい、一夏の言う通りです」
「確かシャルロットさんは遅れて来ました」
「だが私達が食事を終えた時にはまだ食べていました」
千冬が何があったか聞くと一夏の問いに箒、セシリア、ラウラが答えた。
「そうか、では後で何らかの課題を「「すみません!遅れました」」全く、お前達は放課後に教室の……村雨はどうしたんだ?」
千冬が何か言おうとした時にシャルロットと本音が一緒に入って来たが武昭がいない事が気になった。
「それが……朝食を食べて教室に向かおうとした時に急に倒れて気を失ったんです……」
「何?……それで村雨は今?……」
「私達で医務室に運びました〜 医務室の先生が言うには暫く寝かせておいた方が良いって……」
「そうか……ならば早く席に座るんだ、授業を始めるから」
シャルロットと本音は千冬にそう言われてそれぞれ自分の席に座った。
(武昭……お前に何が起きているんだ?……後で束に連絡してみるか……)
千冬は授業をしながら武昭の事を考えていた。
その頃、世界の何処かにある束の研究所で……
「束様、武昭様に何が起きたんですか?」
クロエが武昭の右腕と機体から来た情報を見て束に理由を尋ねた。
「うーん……多分だけど、たっくんの機体のコアの中にある……
「あの子とは……まさか武昭様が保護された時に展開されていた
「そうだよクーちゃん……あの子も私の子供達の中の1人だけど、あの子の大本は
「武昭様のご両親が……」
「だから、あの子はたっくんのご両親の
束が壁に飾っていた写真に目を移すと今よりも若い武昭、一夏、箒に千冬と束、そして2人の男女が写っておりどこか武昭の顔の面影があった。