IS学園から離れたとある海の近くの道路を数台のバスが走っていた。
「早く着かないかなぁ〜」
「あぁ、そうだな……(確か束さんは臨海学校の間の何処かに来るって言ってたな……)」
そのバスはIS学園が用意した物で今年入学した1年生達が臨海学校に向かっている途中だった。
「あきっち、何処か気分でも悪いのぉ〜?」
本音と武昭が隣同士の席で座っており外を見てた本音が声を掛けてきた。
「いや、そうじゃない、ちょっと考え事をしてただけだから、心配してくれてありがとうな本音」
「ううん、お礼を言われる事じゃないよぉ〜(エヘヘあきっちに褒めらちゃった)」
「武昭、何か気になる事があるなら、いつでも僕達に話してね」
本音が武昭に褒められてると後ろの席にいたシャルロットが話に入ってきた。
「あぁ、分かったよシャルロット……ん、おぉ何か潮の香りがしてきたぞ」
武昭の言葉に本音とシャルロットが外を見ると海が見えた。
その後バスは臨海学校の間、宿泊する施設の近くに泊まり生徒達は旅館の前に来ていた。
「全員クラス毎に整列!織斑と村雨はこっちに来るんだ。ここが臨海学校の間お世話になる【花月荘】だ」
「織斑先生、去年ぶりですね」
千冬が説明をしてると旅館から女将さんが出てきた。
「今年もお世話になります」
「えぇ分かりました、それで……こちらの方々が……」
女将は千冬の横にいる一夏と武昭に気づいた。
「はい、この2人がいる為に余計な手間をかけさせてすみません」
「いえ、お客様のご希望に答えるのか私達のお仕事です。初めまして私はこの花月荘で女将をしている
「あっ、お、織斑一夏って言います」
「村雨武昭って言います」
「あら、2人とも礼儀正しい男の子じゃないですか。しっかりそうな感じがして」
「しっかりしてるのは村雨だけで織斑の方は手のかかる問題児ですよ」
「そうですか、それではお話はここまでにしてお部屋に案内いたします」
千冬との話を終えた女将は生徒達を旅館へ案内した。
生徒達がそれぞれ自分達の部屋を見つける中……
「ねぇねぇ、あんたらの部屋は何処なのよ?」
荷物を置いた鈴が一夏と武昭の所に来た。
「そういや……ん?なぁ武昭……俺たちの部屋って何処か聞いてるか?」
「いや、俺は聞いてないけど……先生に聞いた方が良いかもな」
「おぉ、ちょうど良かったお前達男子の部屋はこっちだ」
一夏と武昭が先生達の誰かに聞こうとした時に千冬が来て2人を連れて行った。
男子2人と鈴が千冬の案内である部屋の前に着いた。
「ここがお前達の宿泊する部屋だ……」
「えっと……織斑先生、俺達の見間違いじゃないければ……【教員室】って紙が貼ってあるんですけど……」
「そうだ、お前達男子は、それぞれ教員室に泊まる」
千冬の説明に一夏は本当にここかと確認するが間違いではなかった。
「なるほど、俺と一夏が同部屋だったら女子達が遅くまで遊びに来るからって事なのか……」
「あぁ、村雨の言う通りだ、それで織斑は私と村雨は隣で山田先生と一緒だ」
「え?武昭は一緒じゃないんだ」
「最初は私が2人と一緒に居る事を提案したんだが、山田先生からこんな時くらいは家族水入らずで過ごしてほしいと言われたんだ」
「そう言う訳でしたか、それじゃ俺はこっちの部屋なんですね……あれ?山田先生がいないな……」
武昭が部屋の扉を開けるが中には誰もいなかった。
「あぁ、村雨に言い忘れていたが山田先生はちょっとした用事を終えてから来るから先に部屋に入っていろ」
「分かりました……(家族水入らずか……)」
千冬の言葉を聞いた武昭は何処か寂しそうな表情を浮かべながら部屋に入った。
部屋に入った武昭は荷物を置くと窓の近くに座って外を見ていた。
「さてと……どうするかな……」
「あっ、村雨君まだ居たんですか?」
武昭が何かを考えてると麻耶が部屋に入ってきて声をかけた。
「山田先生、えぇ……
「村雨君……私も織斑先生から詳しい事は聞いていませんのでそんなに言えないですけど……泳がなくても海に行くだけでも良い思い出になると思いますよ。今日のこの時は今しか無いんですから……」
「山田先生……そうですね浜辺にいるだけでも良いですよね……それじゃ俺は行きますけど……先生が居るなら鍵は大丈夫ですか?」
「えぇ、私は少しやる事があるので構わないで行ってください」
麻耶の優しい言葉を聞いた武昭は頭を下げると部屋を出て行った。
「行きましたか……それにしても村雨君も入学当時と変わって来てますね……それとも、あれが本当の彼なんですかね……」
麻耶は武昭の事を考えながら仕事を始めた。
ちなみにこの作品で山田先生は武昭の詳しい事情は知らされていません。
(記憶喪失という事だけ)