一夏とセシリアとの模擬戦が決まった日の放課後、武昭は千冬と共にある所に向かっていた。
〔織斑先生、俺をどこに連れて行くんですか?〕
「あぁ、
〔ん?俺が一緒に住むって……同じ男性の一夏じゃないんですか?〕
「それなんですけど……急に見つかった男性操縦者なので寮の部屋割りを変更出来る事が無理だったんです」
〔そうでしたか……なんかすみません、先生達に迷惑をかけて……〕
「いや村雨達が悪い訳ではない……うむ、ここだ」
武昭が連れてこられたのは生徒会室だった。
〔生徒会室って……この中に居るんですか?〕
「あぁ、おい入るぞ」
千冬達と共に生徒会室に入ると水色の髪に赤目の少女と薄い茶色の髪にヘアバンドをして眼鏡を掛けた少女がいた。
「あら織斑先生、山田先生、いらっしゃいませ そちらの生徒が」
「あぁ、男性操縦者の2人の内の1人村雨武昭だ」
「ん……
「初めまして、生徒会会計の布仏虚と言います」
〔布仏?……あの俺のクラスに布仏本音って子がいるんですけど……〕
ガラッ
「ハァハァハァ、ごめんなさ〜い来るのが遅れちゃったぁ〜」
武昭が何か聞こうとした時に生徒会室のドアが開いて走ってきたと思われる本音が入ってきた。
「ほう、布仏、私は放課後に来るから生徒会室にいる様に言っていた筈だが?」
「ふえっ!?お、織斑先生……あの、その〜……遅れてすみませんでした〜」
生徒会室に入った本音は千冬がいた事に気づくと震えながら謝罪した。
その後、武昭と千冬はソファに座っていた。
〔布仏先輩……この紅茶、美味しいですね〕
「褒めてくれてありがとうございます」
「虚ちゃんの紅茶は美味しいでしょ……それでここに来たのは村雨君のルームメイトの件ですね?」
「あぁ、学園の方から生徒会のメンバーを同室にする様に言われてな」
〔え?織斑先生、なんで生徒会のメンバーが俺と同室なんですか?〕
「詳しい話は機密に関係するから言えないんだ」
〔そうなんですか……けど、織斑先生……彼女達の誰が同室になるかわからないですけど……
「あら?別に村雨君位なら誰が同室でも構わないわよ?体が不自由なのは理解してるから」
〔それもありますけど……
「ふえっ!?あ、あきっち!?何を……え?……それって……」
武昭が制服を脱いで上半身を見せて本音が顔を赤くしたが、その体を見て言葉を失った。
その体には切り傷や火傷といった多数の傷跡があったからだった。
「ふぅ……村雨、もう制服を着るんだ……」
〔見て分かりましたか?俺はこんな体です……だから拒絶するなら今してください……〕
(なんて……暗い眼をしてるのかしら……
(話には聞いていましたが……これほどの物だったとは……)
(あきっち……だったら……なんで、そんなに悲しい顔をしてるの?……)
武昭を見て楯無は怒り、虚は理解を深め、本音は悲しい顔をしていた。
そんな中……
「お嬢様……私をあきっちと同室にしてください……」
「あら?本音ちゃんは構わないのかしら?村雨君を同室にするって事は同情ってだけじゃ出来ないのよ?」
「確かに同情してる所もあります……けど、それ以上にあきっちの力になってあげたいって私は考えたんです」
「本音……本当に良いのかしら?辛い事になるかもしれないわよ?」
「うんお姉ちゃん……私もそれはわかってるよ……けど、それを受け入れるって決めたの……」
「ふむ、布仏妹がそこまで言うのなら私は構わないが……村雨はどうする?」
〔織斑先生……俺は……布仏さん……本当にこんな俺が同室で良いの?色々迷惑かけるかもしれないよ?〕
「それは、そうだよ あきっちは体が不自由なんだから……だからってそれを受け入れない理由にはしたくないの……私が、ちゃんと決めたから……」
〔布仏さん……「本音だよ?お姉ちゃんもいるから……名前で呼んで?」……あぁ分かったよ本音……〕
「よし、ならば私は更識と話があるから村雨と布仏妹は先に寮の方に帰ってろ」
「そうね本音ちゃんは今日はもう良いわよ」
〔分かりました、織斑先生お先に失礼します〕
「それじゃ〜さようなら、お嬢様、お姉ちゃん じゃあ行こう、あきっち」
武昭が本音と一緒に生徒会室を出ると千冬と楯無に虚だけが残った。
「織斑先生は良かったんですか?本音ちゃんで」
「あぁ彼女が自分で決めて
「そういえば……織斑先生は村雨君とは幼馴染と聞いたのですが」
「正確には一夏が武昭と幼馴染なんだ」
「そうだったんですか……
楯無の言葉に千冬は何か気になった。
「おい更識、そういう言い方をするという事はお前達も昔の武昭を知っているのか」
「はい、織斑先生もご存知の通り村雨君の家では昔から格闘術が伝わっています」
「あぁ【村雨流格闘術】の事だな……なるほど、それの関係という事か」
「えぇ、まだ私が小さい時に
「それで私達は武昭君と知り合ったんです」
「ではお前達も昔の武昭を知っているというのか」
「えぇ……私達も【ドイツ】の事を聞いた時には何を捨ててでも向かおうとしましたよ」
楯無は手に持ってる扇子を折るかもしれない程に怒っていた。
「それでこちらでも出来る限りの手を尽くしました……」
「そして織斑先生から武昭君が学園に来ると聞かされた時、本音は喜んでいました」
「けど……あんなに変わってたなんて思いませんでした……」
「そうか……では私からも学園の教員ではなく……武昭の……【あいつの親代わり】として……頼む、武昭のそばにいてやってくれ」
千冬が頭を下げた事に楯無と虚は驚いていた。
「織斑先生……私達に頭を下げないでください」
「そんな事は言われなくてもやろうとしてましたから……私達だって、あんな武昭君は見たくないですから」
そう言って生徒会室での話は終わった。