「はぁ、お前はいつも寝ていてうらやましいよ」
目の前で眠り続ける幼児に、意味もなく声をかける。このアブノーマリティーは、いつも寝ているうえに、どんどん成長している。ちょっと前まで赤子だったというのに、どうしてここまで成長が速いのか。
「これ以上はもう作業をしないほうがいいかもしれないな」
クリフォト暴走によってえらばれる可能性がある以上、これ以上このアブノーマリティーに対して作業を行っていけば、さらに成長してしまう可能性だってある。できれば無駄に作業はしたくない。
ふと周囲を観察すると、月は半月まで満ちて、星の数は心なしか多くなっている気がする。
「はぁ、後で管理人にでも相談しよう」
今日も洞察作業を終えて、収容室から退出する。余りこの収容室には長居したくない。どのような行動で影響があるか分かったものではないからだ。
「あらぁ、ジョシュア先輩じゃないですかぁ」
『O-01-i01』の収容室から退出すると、久しぶりにサラにであった。最近出会ってなかったからか、少し見ないうちに結構ギフトが増えていた。
「おいおい、そのギフト最近はやっているのか?」
「いえいえぇ、このギフトをもらっているのはぁ、私とパンドラちゃんだけですよぉ」
一番わかりやすい変化は、やはり咥えているおしゃぶりだろう。俺も渡されそうになったが、明らかにやばそうなので拒否したのだ。最初の意図とは違ったが、見た目的に受け取らなくて正解だったようだな。これ以上色物になりたくない……
「そういうジョシュアさんもぉ、ずいぶんと勇ましい姿になりましたねぇ」
「……あんまりいうなよ、結構不便なんだ」
そういいながら首をさする。この頭のせいで寝違えて今朝は大変だったんだ。
「なんだかんだでぇ、ジョシュア先輩は強力なギフトを結構お持ちですよねぇ」
「だがリッチも結構多いぞ」
「いやぁ、さすがに私でも金魚鉢はちょっと……」
「それこそあんまり言ってやるなよ……」
「そういえば、この前知ったのですが……」
その後サラとはアブノーマリティーに関する情報を交換して、お開きになった。
今後しばらくは、クリフォト暴走でもない限りは、『O-01-i01』に作業はしないように、管理人に報告して、次の作業に移っていった。
「はぁ、いったいどうなっているんだ?」
あれからしばらくして、久しぶりに『O-01-i01』に作業を行いに行った。前回幼児に成長したばかりから全く作業をしていなかったというのに、すでに子どもくらいの大きさまで成長していた。
その白い肌はそのままに、体を白い羽に包まれて安らかに眠っている。このままだと確実に成長し終わった場合に何かが起こる。それは、どう考えたっていい方向にはならないだろうという確信があった。
「どうか、そのまま眠った状態のままでいてくれ……」
思わず声に出てしまったが、どうしてもそう思わずにはいられなかった。