「さてと、急がないとな」
頑張っている新人たちの為に、急いで教育部門へと向かう。
コントロール部門から教育部門への道は近いが、それでも新人にはやつらの相手はきついだろう。少しでも早く助けられるように全力で走り出す。
『中央第一で『O-04-i16』*1が脱走しました。職員の皆様は至急鎮圧に向かってください』
どうやら再びアブノーマリティーが脱走したようだ。全く厄介なことだ。
教育部門のメインルームに続く扉のドアを開き、内部に入る。その瞬間、少し肌寒い風が俺の頬を撫でた。
「大丈夫か!?」
「あっ、ジョシュア先輩、アセラが!!」
「なっ!」
教育部門のメインルームに入ると、そこではすでに戦闘が始まっていた。
鋭い鋼の牙と爪をもつ白い虎が、純白の青年と激しい争いを行っている。白き虎は全身が白くかたい毛でおおわれているが、傷だらけになっていた。せっかくの白き体は自らの血で汚れており、見ていて痛々しいほどだ。
傷だらけの白い虎に対して、純白の青年、アセラはその白い姿に一切の汚れがついてなかった。“エンゲージリング”の攻撃でいくつも攻撃しているが、その返り血が一切本人にかかっていなかった。
まるで血が彼を汚さないために自ら避けているような光景は絵画のようであったが、攻撃を受けながらも白い虎の放った攻撃がアセラに当たってしまった。
「ぐっ、うおぉぉぉ!!」
「まずい!」
アセラはその攻撃に対して回避を選択しようとするが、間に合わず直撃してしまう。傷がないことから精神汚染系の攻撃であることはわかるが、それでも直撃してしまうのはまずい。
「うぅ……」
「大丈夫アセラ!?」
どうやらまだ意識はあるようだが、このまま攻撃を受け続ければ間違いなく発狂してしまうだろう。
白い虎を足止めしながらアセラに声をかける。これ以上彼を戦わせるわけにはいかない。
「アセラ大丈夫か!? ここからは任せてくれ!」
「……何を言っているんだ、今更良い所取りかよ」
「ちょっとアセラ!! 何言ってんの!?」
しかしアセラはそれが気に食わなかったようだ。余り関わりはないが、彼が自尊心が高いことは知っている。確かに気に食わないだろうが、今は命がかかっているんだ。
「アセラ、お前結構攻撃を受けているだろう。これ以上は戦うべきではない」
「だが、俺はまだ戦える。完全である俺はこんな奴に負けるわけにはいかないんだ」
「アセラ、これ以上は本当にまずいって!」
マキが必死に説得しているが、どうやら効果はなさそうだ。こうなったら仕方がないか……
「わかった、こうなったら最後まで戦うといい」
「ジョシュア先輩!?」
「ふんっ、最初からそう言っておけば……」
「ただし、俺も一緒に戦う。こうなったら一気に片付けるぞ」
おそらく彼にはこれ以上言っても聞かないだろう。ならこんなところで時間をかけるよりも、一緒に戦ってサポートするほうがいい。
「……邪魔だけはするなよ」
「よし、それじゃあマキは俺たちを援護してくれ。気をつけろよ」
「……わかりました、アセラも気を付けてね!」
そういってマキは“呪毒”を構える。遠距離からでも攻撃のできる優れた武器だ、まだ粗削りだが彼女の力量もあってなかなかいい動きができる。期待しよう。
「行くぞ!」
「あぁ」
「はい!」
白い虎が前足でこちらを切り裂いて来ようとしてくるところを“墓標”で抑える。その間にアセラが接近して再び“エンゲージリング”で白い虎を切り裂く。
そこをうめき声をあげながら白い虎が再び攻撃を仕掛けようとするところを、ちょうど“呪毒”が攻撃を加えることでかく乱することができた。
その間に俺も空いたわき腹に“墓標”を突き刺しまわしてえぐる。どうやらアセラが随分と弱らせていたようで随分と弱ってきているように見える。
「よし、このままいけば……!」
「まて、何か来るぞ!」
マキが追撃をしようとしたその時に、何か嫌な気配を感じた。それは白い虎も同じだったようでその場から離れようとした。
「まずい、よけろ!」
白い虎から離れてマキとアセラを伏せさせる。すると俺たちの真上を青白い光線が通過していった。
白い虎は飛び跳ねて逃げようとしたが、どうやら逃げ遅れたようで青白い光線に直撃してしまう。
「ぐっ、いったい何が……」
「あの方向、もしかして安全部門か?」
もしかしたらこのままだとまずいかもしれない。俺が言っても邪魔になるというのが歯がゆいが、こうして少しでも数を減らさなければほかのやつらを応援によこすこともできない。どうか耐えてくれ。
「くっ、今がチャンスだ!」
「アセラ、突出しすぎるな! マキ、援護を!」
「はい!」
先に倒れ伏す白い虎に向かうアセラを追いかけ、俺も追撃に入る。白い虎は最後まで戦おうと立ち上がるが、もうそれ以上動くことができなかったようだ。
白い虎は俺の“墓標”とアセラの“エンゲージリング”による攻撃を一身に受けて対に倒れてしまう。
「ふぅ、これで終わりか……」
すると、虎はどんどん縮んでいき、再び人の形となった。
倒れ伏す彼女、『O-01-i42』*2の頭をなでてやると、彼女は満足そうに笑って光とともに消えていった……
「よし、それじゃあ俺は次に行く。二人は少し休んでから応援に行ってくれ」
「はい、わかりました!」
「俺のことなら大丈夫だ、指図を……」
「こいつも大丈夫なんで、気にしないでください!」
思ったよりも元気そうな後輩に、思わず笑みがこぼれる。とりあえず無茶をしそうなアセラをマキに任せて、俺は中央第一部門に向かう。
この調子でいけば残りも大丈夫かもしれない。
とにかく希望が見えてきた。この絶望的な状況を早く終わらせるべく、中央第一に向かった。
「待ってろよ、すぐに……」
そして、それと同時に……
施設内に、すべてを奪う冷たい風が吹き荒れた。
「あっ、大丈夫ですか?」
二週目の展開はどれがいいですか?(詳しくは活動報告をお読みください)
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これまでのような感じで幻想体変えて二週目
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まだ出ていない幻想体の紹介だけ
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アンケートで次回の幻想体を決める