【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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Days-46-2 O-05-i47『私には足りないものがある』

「さて、そろそろ次の仕事に向かうかな」

 

 誰も居ない設計部門のメインルームで休憩を取り、しっかり体が休まったので次の作業に移る。

 

 今日収容されたもう一つのアブノーマリティーは『O-05-i47』だ。一体どんな物が出てくるのか、気を引き締めていかないとな。

 

「さて、それじゃあ頑張るとするか」

 

 

 

 『O-05-i47』の収容室の目の前につく。廊下は長いが、メインルームからは近いのがありがたい。

 

 収容室の扉に手をかけて、お祈りをする。そして収容室の扉を開き入室する。また、嫌な匂いがする……

 

「……何だこれ?」

 

 収容室の中にいるのは、巨大なハンバーガーだった。

 

 歯の生えた巨大なバンズに、しなびた巨大レタスと真っ赤な巨大輪切りトマト、そして明らかに腐臭を放つ赤黒いミンチ肉がぐちゃぐちゃと音を立てて挟まっていた。

 

 巨大な人食いハンバーガー、それはこちらを認識し、歯をかちかちと鳴らしている。何というか、すでに嫌な予感がする。

 

「と、とりあえず作業を行おうか」

 

 見た目からして本能作業が良さそうだ。

 

 とりあえず生肉を与えてみる。すると『O-05-i47』は嬉しそうに食らいつき、生肉を自らのミンチ肉に加えていく…… が、お気に召さなかったのか器用に加えた肉だけをはき出した。

 

「うげぇ」

 

 しかし、知能が低いのか先ほどはき出した肉に、再び嬉々として食らいつき始めた。

 

「何というか、久しぶりに理解できないな……」

 

 それは生肉がミンチになり、もはや固体と言えないくらいぐちゃぐちゃになったとしても食らい続けた。これほど理解出来ず、哀れに思ったアブノーマリティーも久しぶりかもしれない。

 

「さて、そろそろ作業を終えるか」

 

 このまま延々と捕食活動を続けるのでは無いかと思えるほど夢中だったので、そろそろ作業を終えようと思う。俺は『O-05-i47』に背を向けて収容室から退出する。

 

 このとき俺は気がついていなかった。『O-05-i47』はすでに目の前の元生肉になんて興味は無く、次の獲物に目をつけていたと言うことに……

 

 

 

「あっ、ジョシュア先輩!」

 

「……はぁ」

 

「何でため息するんですか!?」

 

「何でか自分の胸に手を当てて聞いてみろ」

 

 収容室から出ると、またパンドラに出会った。こいつは一体何なんだろう?

 

「いやぁ、さっき野菜中心って言ってたんで、新しく料理を作ってきたんですよ!」

 

「いや、あきらめろよ」

 

 何かと思ったらまた料理だった。何というかさっきから食欲の無くなるアブノーマリティーばっかりだったから正直重い。

 

 ……いや、よく考えればアブノーマリティーってそういう存在であるべきだよな。いや、べきっておかしいけど……

 

「それで、今度は何なんだ?」

 

「ふっふっふっ、ジャジャーン! 私特製のハンバーガーです!」

 

「いや、どこが野菜だ!?」

 

 なんなんだこいつは!? もしかしてレタスとトマトが挟まっているから野菜とでも言うつもりか!!

 

 ついでにさっきのハンバーグも再利用できて一石二鳥と言うことだろう。 ……まぁ、いいや。

 

 しかしよりにもよってハンバーガーか、正直今一番見たくない食べ物かもしれない。

 

「すまんパンドラ、正直今ハンバーガーは…… っ!?」

 

 パンドラのハンバーガーを断ろうとした瞬間、背後から気配を感じ振り向きざまに“墓標”を振り抜く。こっちの方が慣れていることもあって特別なとき以外はこっちで行くことになった、ちなみに“儺追風”はシロが使っている。

 

 “墓標”は背後から襲いかかる人食いハンバーガーにあたり、吹き飛ばした。

 

 そのまま追撃して切り刻み、さらに吹き飛ばす。

 

 ……どうやら、何らかの要因で脱走したようだ。本能作業がだめだったか、はたまたステータス反応か。

 

「ジョシュア先輩、援護します」

 

「あぁ、頼むぞ」

 

 再び体を起こそうとしている『O-05-i47』を、バンズの上から“墓標”で縫い止める。

 

 そして動きを止めている間にパンドラが“魔王”で切り刻むと、『O-05-i47』は綺麗に切り分けられて動かなくなった。

 

「これはTETH…… いや、HEあたりだろうか?」

 

「少なくてもWAWレベルではなさそうですね」

 

 突然収容室から現れた人食いハンバーガーは、あっけなく鎮圧できた。二人ともPダメージの装備であった事もあるのだろうが、予想以上に早く鎮圧できてたので、それほど危険度クラスは高くなさそうだ。

 

「さて、こいつをぶっ飛ばしたら腹減ったな。そろそろ飯に行くか」

 

「あっ、それならこのハンバーガー食べますか?」

 

「おまえ、この状況でよく言えるな」

 

「えっ、残念です……」

 

 とりあえず二人で食堂に向かう。今日は肉を見たくなかったので、海産物を食べまくることにした。

 

 

 

 

 

 それは、いくつもの偶然と不確定の要素によって生まれてしまった

 

 その職員はその日、『T-09-i97』*1に浸かっていた

 

 『T-05-i22』*2の加護を受け

 

 『F-01-i34』*3の薬を飲み

 

 『O-03-i07』*4にお菓子を与え

 

 『T-05-i11』*5に目をつけられ

 

 『O-01-i64』*6の愛を受けていた

 

 『T-09-i98』*7の占いを受けていたし

 

 『T-09-i96』*8と『T-09-i91』*9も飲んでいて

 

 『T-09-i88』*10を使用し

 

 『O-09-i80』*11に祈りを捧げ

 

 『T-09-i87』*12を着用していた

 

 そんな彼は、何の因果か『T-05-i08』*13に飲まれてしまった

 

 皆が彼の死を悲しんでいると、それは生まれてしまった

 

 一体何が影響を及ぼしてそれが生まれたのかわからない

 

 誰も再現しようとは思わなかったし、真実を追究しようとも思わなかった

 

 わざわざ同じ事をして同じ結果が生まれるとも限らず、わざわざ作り出そうとも思わなかった

 

 しかし、我々はその時初めてアブノーマリティーが誕生する瞬間を目撃した

 

 それは常に新鮮な人の肉を求めている

 

 

 

 

 

 まるで、私には足りないものがあるとでも言うように

 

 

 

 

 

O-05-i47 『フレディのドキドキいやしんぼバーガー』

*1
『極楽への湯』

*2
『慈愛の形』

*3
現状では未判明

*4
『でびるしゃま』

*5
『盲目の愛』

*6
現状では未判明

*7
『フォーチュンキャンディ』

*8
『黄金の蜂蜜酒』

*9
『七色の瓶』

*10
現状では未判明

*11
現状では未判明

*12
『搾取の歯車』

*13
現状では未判明

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