リッチとパンドラの増援により、手数が増えて今までよりも動きやすくなってきた。
遠距離攻撃が少ないのが不安材料ではあるが、リッチの“超新星”がある分戦いやすいはずだ。
「行くぞ!」
俺たちが駆け出すと同時に怪物が腕を振り上げる。
腕によるたたきつけをよけ、その腕に“墓標”をたたきつける。今度はしっかりと怪物を傷つけることができた。何か法則があるのだろう。
「ジョシュア、ひきつけてくれ!」
「わかった!」
「リッチ君、援護します!」
リッチが怪物の腕に飛び乗り、腕を切りながら肩まで上がっていく。怪物の注意が腕のリッチにいっている間に懐に入り、足を“墓標”で切りつける。
怪物はバランスを崩しながらももう片方の腕でリッチを払おうとして、パンドラの“魔王”による斬撃に阻まれる。
『ぬっ』
そしてひるんだすきにシロとメッケンナが腕を切りつけ、リッチが首に到達する。攻撃するには絶好の機会だ。
「行くぞ!!」
そして、リッチの“超新星”が怪物の首を切り裂く。
『ぐっ』
怪物は一瞬ひるんだが、とっさに首を避けたことで傷が浅かったようだ。そのまま二度目の攻撃を行おうとしているリッチのいる肩から骨を突き出して攻撃してきた。
「うおっ」
リッチはそれをとっさによけようとするが、そこをさらに骨が襲い掛かる。そこをパンドラが“魔王”で斬撃を飛ばすが、今度は全く効いていなかった。
「えっ、嘘!?」
「リッチ!!」
リッチを囲うように骨が襲い掛かる。リッチが“超新星”で攻撃を防ごうとしたその時に、そのすべての骨が切断された。
「……リッチ、油断」
「シロか、助かった!」
“儺追風”によってすべての骨を切り裂いたシロが、そのまま回転しながら怪物の体を切り刻む。そこを肉塊の触手が襲い掛かるが、パンドラの“魔王”による斬撃によって阻まれた。
「行きます!」
「気をつけろよ!」
シロに攻撃が集中している間に、メッケンナが“エンゲージリング”で体を切りつける。そしてメッケンナに標的が映った瞬間に“墓標”の力を開放して斬撃を顔に飛ばす。
『いいぞ、よく使ってくれているな』
「くそっ、黙れ!」
怪物は体から生やした骨で攻撃を防ぎながら、うれしそうに笑う。やはりあの時出会った存在はこいつだったのだろう。
リッチが“超新星”で足元を切り払い、怪物が体勢を崩して地に伏す。その瞬間にシロが怪物の横腹を高速で切り刻む。
この好機を逃す手はない。俺も怪物にとびかかり、“墓標”を突き刺す。そこで触手が再びとびかかるが、パンドラの“魔王”による斬撃が防いでくれる。援護があるとずいぶんとやりやすいな。
「いい加減くたばれ!!」
『そう簡単に終わったらつまらないだろう?』
周囲から骨が生えだし、接近していた全員が何とかよけることに成功する。そして攻撃が緩んだその瞬間に怪物は口から青白い炎を噴き出し周囲に振りまいた。
『かかっ、油断はいかんぞ!』
「いちいちうるさいんだよ!」
拳が俺に向かって飛んでくるが、それをよけて再び接近する。
そして気づく、やつの顔が笑っていることに……
「まずい、全員離れろ!!」
『遅い遅い』
次の瞬間、床から青白い炎が噴き出し、骨と肉塊があふれ出す。
その攻撃を“墓標”で切り払おうとするが、全く攻撃が効かない。そのまま体を焼かれ、骨が突き刺し、肉塊に押しつぶされる。
しかし必死に攻撃範囲から逃れようとしたおかげか、何とか致命傷だけは逃れることができた。
ほかのやつらに目を向けると、全員無傷ではないものの、E.G.O.で攻撃を防ぐことに成功していたようだ。
唯一パンドラだけが、射程外にいたので攻撃から逃れることができた。
『いい姿になったじゃないか』
「いい加減、黙ってろ……!!」
パンドラが斬撃を飛ばすが、攻撃が効いていない。やはり特定の攻撃後にこちらの攻撃が効かなくなるようだ。
『ほれがんばれ、俺の首はもうすぐだぞ?』
怪物の言葉を無視して再び攻撃に向かう。触手が再び襲い掛かるが、それをよけながら切り払っていく。
「こうなったら一気に決めるぞ!」
「了解!!」
『さぁ、かかってこい!!』
両手を広げて楽しそうにしている怪物に、まずパンドラの斬撃が飛ぶ。
続いてメッケンナの攻撃が怪物の足元を切り裂き、怪物が青白い炎を吐く。
そこをシロが“儺追風”で吹き飛ばし、そのまま切り刻む。
両手で殴りつけようとするところをリッチが“超新星”で切り裂いて隙を作り、とびかかって“墓標”を怪物の眉間に突き立てる。
『……あぁ、楽しかった』
怪物は最後に、感慨深そうにそうつぶやいた。
すると怪物の体は青白い炎に包まれる。それは眉間に突き刺さっている“墓標”にも燃え移る。
そして炎が消えたその時に、もう怪物の体は残っていなかった。
そこに残っているのは、新たなギフトを背に負った俺たちと、俺の手に残る絶望の錫杖だけだった……
O-01-i19 『輪廻魔業』 鎮圧完了