【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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Days-47-1 T-02-i35『地下にそんなやつはいない』

「さて、今日も頑張るか!」

 

 怪物との戦いから一夜明け、今日もまた業務に励む。

 

 背中に後光を背負っているので阿弥陀様みたいになっているが、意外と邪魔にならない。なぜか触れないので、実質見た目だけの問題だ。

 

 今日収容されたアブノーマリティーは、『T-02-i35』と『T-09-i82』だ。

 

 設計部門にツール型? とも思ったが、ゲームと違う部分なんて今さらなんで特に気にしないことにした。

 

「さて、着いたな」

 

 設計部門の廊下は長いが、まだここくらいならメインルームからさほど遠くはない。しかしこれからどんどん長くなると思うと憂鬱になる。

 

「よし、いくぞ」

 

 『T-02-i35』の収容室の扉に手をかけ、いつものようにお祈りをしてから扉を開ける。

 

 

 

「……なんだこれ?」

 

 収容室の中には何もいない…… 訳もなかった。

 

 収容室の中央、その床の部分にはいかなる方法かマンホールの蓋が置いてあった。

 

 何故こんなところに? とも思うが、理由は一つしかないだろう。

 

「今回はいっそう変わっているな」

 

 このマンホールがアブノーマリティーなのかと思ったが、何かに見られている気がする。

 

 一瞬頭の中にシャーデンのことがよぎったが、逆の場合もあるので視線の主を探す。

 

「お前か?」

 

 とはいっても、探すところなんて限られている。

 

 よく見ればマンホールの蓋が少し浮いており、その先にある目と視線が合った。

 

 縦長の瞳孔と、黄色い瞳。緑色の皮膚に鋭い牙、それは紛れもないワニであった。

 

「あー、なんかそんな話聞いたことあるな」

 

 取り敢えずワニという事で、餌をやる。腹を満たせば襲いかかっては来ないだろう。

 

「よしよし、よく食ってるな」

 

 なんか頭を撫でたくなるが、マンホールの蓋もあるし、アブノーマリティー相手にそんなことしたら自殺行為なのでやめることにする。

 

 ……姫様たちは例外だろ。

 

「よし、それじゃあそろそろ終わるか」

 

 ワニが餌を食べ終えて満足そうにしていたから、そろそろ収容室から退出する。

 

 今回は何事もなく終わったな。

 

「さてと、次は……」

 

『設計部門にて『T-02-i35』が脱走しました。エージェントの皆様は、至急鎮圧に向かってください』

 

「……はぁ?」

 

 突然のアナウンスに、思わず間抜けな声が出てしまう。さっきまで順調だったことを考えると、本能作業が問題か俺のステータスに反応したかのどちらかだろう。

 

「全く面倒くさい、何処にいったんだ?」

 

『すまないジョシュア、脱走した『T-02-i35』の反応がないのだが、そちらで目視はできるか?』

 

「いや、こちらには何も…… いや、まさか!?」

 

 脱走後の行方がわからない、地面に潜伏するアブノーマリティー、これらと共通する特徴をもつアブノーマリティーを俺は知っている。

 

 その事を丸々信じるのは危険だが、闇雲に探すよりはいいだろう。

 

 予想通りなら、厄介なことになったかもしれない。

 

「管理人、地面にマンホールはないか? 何か不自然なものでもいい!」

 

『わかった、探してみる……』

 

「……どこかに、不自然な食い残しは?」

 

『なるほど…… あった、福祉部門と中央第二を繋ぐ廊下だ』

 

「わかった、取り敢えず誰も近づけないように、俺はすぐに向かう!」

 

 場所がわかればあとはなんとかなる。

 

 俺は急いで件の場所に向かった。

 

「よし、見つけた!」

 

 

 不自然に廊下に置かれているマンホールの蓋、俺はそこから少し離れたところで“転生”を振るい、斬撃を飛ばす。

 

 元が“墓標”であるからか、このE.G.O.でも斬撃をうまくとばせるようになった。

 

 その斬撃は動かぬ獲物に吸い込まれ、ズタズタに切り裂いた。

 

「……すまなかった」

 

 間に合わなかった職員に懺悔する。そのあとは気持ちを切り替え次の業務に向かう。

 

 この職場でいつまでも引き摺っていたら持たなくなる、だからこうして区切りをつける。

 

 そして俺は、次に向かうのだった……

 

 

 

 

 

 どうしたんだベイビー?

 

 えっ? 大きなワニがマンホールからでてきたって?

 

 しかもそいつが人を食べた?

 

 はっはっはっ、面白いことを言うな!

 

 見ろ、誰も騒いでないし、父さんも見ていない

 

 いいか、よく聞け

 

 

 

 

 

 地下にそんな怪物はいないんだ

 

 

 

 

 

T-02-i35 『喧騒の浸透』

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