【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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すいません、今日もギリギリです


Days-49-2 O-09-i80『祈りは必ず届く』

「とりあえず、何とかなってよかったな」

 

「まったく、ひどい目にあった……」

 

 リッチと今日の悲劇について話し合う。

 

 まさかの施設全員が『Fett-is-awesome(ものすごいデブ!)*1』のビームを受け、その影響を受けることになるとは思いもしなかった。

 

 そのせいで全員がふくよかな姿となり、特に女性陣へのダメージが大きかった。さらにパンドラへのヘイトが高まって大変だった。今回は何もしていないのに……

 

「だが、まさかあれが効くとはな」

 

「あぁ、あれがなかったら今頃どうなっていたか……」

 

 そこで活躍したのが『T-09-i97』*2だった。

 

 あれを利用することにより、なんと元の体型に戻ることができたのだ!

 

 確かにアブノーマリティーの呪いや祝福を消し去ることができるが、まさかこんなものまで無効化出来るとは……

 

 その事が発覚して、温泉が寄せ鍋状態になってしまったが、仕方ないことだと思う。

 

「まぉ、取り敢えずはなんとかなって良かった」

 

「流石にあのままでは気まずかったからな」

 

 結局騒動が終わるまでに結構な時間がかかってしまったが、何とか元通りになった。その後は例の収容室への入室が一時的に禁止されることとなった。

 

「さて、そろそろ次の作業に移るか」

 

「おっ、次はツールだったか?」

 

「あぁ、ツール型は基本的に番号でわからないからな。できればやばいやつ出ないことを祈るしかない」

 

「そうだな、今更お前が死んだら俺はどうしたらいいかわからない」

 

「その時はパンドラのことを頼んだぞ」

 

「……それ意味違うよな? ただの厄介払いだよな?」

 

 ちっ、ばれてしまったか。しかしやつの相手は本当に面倒だ、俺が死んだらおそらくリッチにしか止められないだろう。

 

 まぁ、そんなことはどうでもいい。とりあえず次の作業にはいかなければならないのだ。

 

「とりあえず俺はいくよ、お前はどうする?」

 

「俺も次の作業に向かうとする。次は『O-01-i02』*3だからな、気を引き締めていくさ」

 

「そうか、お互いに頑張ろうな」

 

「もちろんだ」

 

 そういってお互いに別々の場所へ向かっていく。

 

 もうこうやって話せる時間も少ない。しかしそれを知っているのは俺だけだ。

 

 だからせめて少しでも悔いのないようにしていきたい。そんなことを考えながら俺は、『O-09-i80』の収容室へと向かっていった。

 

 

 

「さて、それじゃあ行くか」

 

 今から入る場所にはツールしかないので、いつものようにお祈りをしてから適当に扉を開く。収容室の中からは、異様な雰囲気が感じられた。

 

「……うわぁ」

 

 収容室の中に入ると、そこにあったのは古びた祭壇であった。

 

 それは何かを捧げる場所、願う場所、祈る場所。

 

 その周囲は異様な雰囲気を纏っていて、否が応でもそれが特別な何かであることが理解できた。

 

 俺はゲームの知識でこれに似た雰囲気のものを知っている。

 

「もしかしてこれは、一番厄介なタイプのツールじゃないだろうな?」

 

 最悪を場合を予想しつつ、とりあえず祭壇へと近づいていく。

 

 近づけば近づくほどその異質で、神聖な雰囲気が増していく。

 

 これはまずいものだと直感でわかる。だがこれを使用しなければならないこともわかっている。

 

 俺はせめてこれが俺の予想しているような使用方法であるということを願うしかなかった。

 

「……さて、どうすればいいんだ?」

 

 とりあえず祭壇の前に立ってみるが、どうすればいいのかわからない。

 

 そこでとりあえず手を組んで祈るポーズをとってみる。するとそこで、頭の中に直接声のような物が響き始めた。

 

『捧げなさい』

 

「……何を?」

 

『捧げなさい』

 

「……だから何をだよ?」

 

『祈りを捧げなさい』

 

「祈り?」

 

『そうです、貴方が守るために、救うために、救済するために祈りを捧げなさい』

 

「……わかった」

 

 とりあえず言われるままに、シロについて祈ってみた。彼女が最後まで何とか生き残れますように、安全でありますように、そう願ったが、なんだかあまり手ごたえを感じない。

 

『違います、祈るは破滅、守るべきものではありません』

 

「……どういうこっちゃ?」

 

 その口ぶりからして、もしかしてアブノーマリティーか?

 

 そういうことならアブノーマリティーに対して祈ろう。シロは今休憩中のはずだから、リッチでいいだろう。

 

 俺はリッチが作業をしているはずである『O-01-i02』に対して祈りを捧げる。

 

 どうか勝手に脱走しようとしないでください。どうか妙な真似はしませんように。どうかそこでじっとおとなしくしていますように。

 

 そんなことを考えていたが、ふとあの奇妙な声が聞こえないことに気がづく。おそらく当たりであったということだろう。

 

「……よし、そろそろ終わるとするか」

 

 祈りを捧げてからしばらくの時間がたった。これでおそらく即死はないだろう。

 

 祈りを終えて収容室から退出しようとする。

 

 扉から出ると、なぜか後ろからさみしそうな雰囲気を感じた。

 

 

 

 

 

 それは、何のための祭壇か

 

 もはやわかるものは誰にもいない

 

 ただ祈るだけではだめだ、それは真摯な気持ちでなければならない

 

 ただ祈るだけではだめだ、それは任せきりになってはいけない

 

 ただ祈るだけではだめだ、頼りすぎれば破滅が待っている

 

 しかし、その思いが心の底からの祈りであれば……

 

 

 

 

 

 その祈りは必ず届く

 

 

 

 

 

O-09-i80 『天命の祭壇』

 

*1
『お前、デブだよ……』

*2
『極楽への湯』

*3
『新星児』

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