【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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すいません、間に合いませんでした。

今回も前回の中間報告の続きです。





それはすべての始まり

三日間に及ぶ光の代償


中間報告 純黒の試練『黒昼』

「さて、それじゃあ今日最後の戦いと行こうか」

 

 本日の夕暮れの試練も鎮圧が完了し、残るは深夜のみとなった。

 

 おそらくは今までの試練で一番のきつい戦いとなるだろうが、こいつに勝てなければ明日は来ない。

 

 それに今の俺たちには強力なE.G.O.もあり、職員たちも今までとは比べ物にならないほどの練度だ。

 

 それでも勝てるかわからないが、ただ一方的に負けることもないはずだ。

 

 俺、シロ、リッチ、メッケンナ、マオ、ついでにパンドラ。現状の主力たちだ。残りの職員は別の場所で待機して、いざとなったら収容室に飛び込めるようしている。

 

 どこに出ても大丈夫なように中央第二のメインルームに待機している。

 

 ほかの職員たちが作業を行い次のクリフォト暴走段階への移行の待ち時間で、少しばかり緊張が走る。

 

 そんな中、緊張なんてどこ吹く風のシロが口を開いた。

 

「ジョシュア」

 

「どうした?」

 

「今夜楽しみだね」

 

「なっ!?」

 

「うるせぇぞ黙ってろジョシュア!!」

 

 突然のシロの爆弾発言に、その場の全員が一瞬ざわついたが、なぜかマオに俺が怒られた。理不尽だ。

 

 しかし、その光景を見て、シロは少しクスリと笑って再び口を開く。

 

「よかった、みんな元気」

 

「……もしかしてそのために冗談を言ったのか?」

 

「ううん、単純に楽しみなだけ」

 

「ええー……」

 

 そういいながらもくすくす笑うシロ、昔のことを考えると、こんなにも表情豊かになるなんて思いもしなかった。

 

『もうすぐ次のクリフォト暴走段階に移行する、全員気を引き締めてくれ』

 

「了解!」

 

 その時、ついに管理人から連絡が入る。これからついに深夜との戦いになるだろう。

 

 おそらく、今までのやつらとは比べ物にならないだろう。だが、今までの傾向からしてある程度は相手の予想はつく。

 

 正直怖いのは今までの法則から外れてしまった場合のことだ。そうなったらもはや俺の知識は意味をなさないだろう。

 

『来るぞ!』

 

 そして、ついにクリフォト暴走段階が次の段階へと移行し、やつが現れた。

 

 

 

 

 

 多くの瞳を宿す漆黒の片翼とヘッドドレス、白い包帯を巻かれた黒い体と赤いペンダント、歪な細長い手足に腹部の大きな赤い口。

 

 左腕には三つの鳥の巣が連なって存在している。その中には三種類の卵が一つずつ置いてある。l

 

 そしてその赤く裂けた顔には包帯で片眼を隠され、もう片方の黄色い瞳が開いている。

 

 怪物、終焉の具現化、哀れな三匹の末路、黒い森の悲劇。

 

 かろうじて人の姿をしたそれは、何かをもって悠々と佇んでいる。

 

 その姿を見た俺は、あぁ知っているという感情とともに最悪の形で自分の予想が当たってしまったことを痛感する。

 

 なぜなら、その終わりの象徴の手には、かの最強装備、“黄昏”が握られていたのだから。

 

「来るぞ!」

 

 そしてやつは、まずその手に持つ“黄昏”をふるった。

 

 直撃に耐えきれないと判断するや否や、マオとメッケンナが横に飛び退き、俺がその斬撃を“転生”で受け止める。かなりの衝撃で腕がしびれるが、耐えきれないほどではない。

 

 パンドラはすでに距離をとっており、その場から“魔王”による斬撃を飛ばして援護する。

 

「行くぞ!」

 

「切る」

 

 そして奴、終末がパンドラの斬撃に反応して斬撃を切り伏せようとしたその瞬間を狙って、シロとリッチが懐に入る。

 

 “超新星”と“儺追風”、二つの強力な斬撃が終末を襲う。

 

 二人が切りつけると終末はうめき、後ろに飛び退いて体勢を立て直そうとする。

 

「よし、そこですよ!」

 

 しかしその着地点に狙ったかのようにパンドラの斬撃が飛んできて、終末はその攻撃をまともに受けてしまう。

 

「よっしゃあやるぞ!」

 

「決めます!」

 

 さらにそこに待ち構えていたマオとメッケンナが“手”と“エンゲージリング”による追撃を行う。

 

 終末は二人の攻撃に一瞬ひるむが、すぐに体勢を立て直して再び“黄昏”を振り上げる。

 

「させるかよ!」

 

 さすがにその攻撃が通れば二人は危ない。振り下ろされる“黄昏”を“転生”で弾き、ガラ空きの体に斬撃を叩き込む。

 

 すると終末はうめき声をあげて周囲を“黄昏”で切り払い、接近している職員をはじき出す。

 

「くそっ、何か来るぞ。叩き込め!」

 

 そして終末は左腕を横に挙げると、そのうちの一つ、白と赤い色の卵、『小さな嘴』が徐々に大きくなり始める。

 

 今までの傾向からすれば、あれはこの後に強力な攻撃が来る前触れだろう。

 

 だがその攻撃をむざむざさせてやる必要もない。

 

 身動きが取れていない間に全員で攻撃を叩き込む。

 

 するとさすがに全員の猛攻には耐えきれなかったのか、終末は膝をついて動きを止める。

 

 そしてその間にも攻撃は続く。

 

「離れろ!」

 

 そして体を起こして攻撃を再開しようとする終末に、全員に離れるように指示する。

 

 終末は再び周囲に“黄昏”による斬撃を飛ばしてくる。

 

 それを間一髪よけると、気が付けば一瞬にして終末は俺の目の前まで接近していた。

 

「まずっ……」

 

 “黄昏”による斬撃を何とか“転生”で防いで攻撃を防ぐが、吹き飛ばされてしまう。

 

 さらに吹き飛ばされた俺に追いついてきた終末が、“黄昏”を振り上げる。

 

 まずい、このままだと……

 

「ジョシュア先輩!」

 

 そこにパンドラの“魔王”による斬撃が飛んできて、終末の意識がそれる。

 

 その瞬間にシロが接近して終末に“儺追風”を叩き込む。

 

 そのまま懐で回転しながら切り結んでいくと、“黄昏”を振り払おうとした終末の腕がマオの“手”によってはじかれる。

 

 何とか体勢を立て直して再び終末に接近する。

 

 このままいけば削りきれるかもしれないが、もしもやつと一緒ならあの『初見殺し』が存在しているはずだ。何とかうまく発動させずに倒し切りたいものだ。

 

 接近して再び“転生”を叩き込み、さらに隙をついてリッチが“超新星”を叩き込む。

 

「よし、このまま…… ぐはっ!?」

 

 すると突然衝撃波が俺たちを襲い、吹き飛ばされる。

 

 終末は何らかの方法で俺たちを吹き飛ばすと、再び腕の卵を成長させる。

 

 今度の卵は包帯だらけの『長い腕』だ。それは徐々に大きくなると筆の巣から零れ落ち、終末の長い腕によって手に取られる。

 

「まずい、来るぞ!」

 

 そして終末は大きな口を開けると、その卵を飲み込んだ。

 

 終末はそれを飲み込んだことにより、首の部分に天秤がかかり、その天秤は片方に傾き始めた。

 

 決して平等にならない天秤、その審判は下され、施設全域に濃密な死の波動が放たれる。

 

「ぐうっ!!」

 

「きゃっ!!」

 

「ぬあっ!?」

 

 施設全域に放たれたそれは、この場にいる全員に傷を負わせる。決して深くはないが、浅くもない。

 

 たとえ一撃でそれほど効いていなくても、蓄積されればかなりきつい。

 

「くそっ、そう何度もやられるかよ!」

 

 終末が再び腕を横に広げて卵を成長させようとする。

 

 今度の卵は『大きな目』だ。さすがにこれは打たれたらまずい。

 

 とにかく今度こそ相手の攻撃を防ぐべく、“転生”で攻撃を加える。

 

「おらあっ!!」

 

 気が付けば早々に復帰したマオとパンドラも参戦している。

 

 “転生”と“手”、そして“魔王”の攻撃はさすがに終末であろうと堪えたようだ。

 

 再びダウンする終末に復帰したシロ、リッチ、メッケンナが攻撃に参加する。

 

 “転生”で突き刺し、“儺追風”で切り刻み、“超新星”と“エンゲージリング”切り裂き、“手”で殴打し“魔王”で援護する。

 

「これで、止めだ!!」

 

 そして、終末の脳天に“転生”を突き刺し、ようやく終末は動きを止める。

 

 それと同時に試練は終わり、ようやく普段通りの業務に戻れそうだ。

 

「はぁっ、何とかなった……」

 

 何とか『初見殺し』を回避することに成功する。

 

 もしかしたらなかったのかもしれないが、そうでなくても強力な攻撃を防ぐことができてよかった。

 

「何とかみんな、生き残れたな」

 

 その言葉に、この場にいるほぼ全員が喜びをあげる。あのシロですら大きな感情をあらわにしている。

 

「ジョシュア先輩立てますか?」

 

「あぁ、ありがとう」

 

 差し伸べられたパンドラの手を取って立ち上がる。

 

 今はもう少しだけ、この場を楽しんでもいいかもしれない。




しかしそれは

光の種でもあったのだ
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