【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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 ここは笑顔の溢れる醜い(素敵な)街さ、みんながみんな笑顔なの

 みんなが笑顔でいるもんだから、私の出番は一度もない

 私は笑顔を知らないからさ、いつも仮面で笑顔になるんです

 街行く人の笑い声、私はいつも蚊帳の外

 笑顔の絶えないこの街に、私は必要ないみたい

 ある日みんなの真ん丸ほっぺたが、可愛いピンクに染まったよ

 みんなで一緒に踊り合い、ドロッと溶けて混ざり合う

 とっても楽しいお祭りなのに、私は結局混ざれない

 拗ねて一人で歩いていたら、古びた紙を見つけたよ

 ぐちゃっと何かが握ってたのに、汚れ一つないみたい

 拾ってみると目の前に、不思議な扉が現れた

 扉のほうから潮騒と、赤子の声が聞こえたよ

 生まれる前から満たされない、苦痛と嘆きの泣き声だ

 私は知ってるその気持ち、君も笑顔を知らないね

 それならようやく私の出番、君に笑顔を届けよう

 扉を開いて歩みだす、貴方を笑顔にしてあげる



琥珀のグルメ Menu 3

「よう後輩、どうしたんだ?」

 

「あっ、先輩。見てくださいよこれ」

 

「……ルーレットじゃねぇか、これ」

 

「なんだか当たると色々優遇されるんですって。ほら、私と先輩の名前もありますよ!」

 

「……」

 

「あれ、どうしたんですか?」

 

「いや、お前は選ばれないでくれよ」

 

 

 

Menu 3 魚料理 ~流れる灯篭のムニエル~

 

 

 

「ね~先輩、いつまでこんな実験を続けるんですか?」

 

「いつまでってそりゃあ、満足するまで?」

 

「なんで疑問形なんですか!?」

 

 まったくなんなんですかこの人は!? 自分で言い出したことなのにいい加減すぎます、巻き込まれる身にもなってくださいよ!!

 

「にゃあぁぁぁん!!」

 

「あっ、今日も鳴いていますね」

 

「風流だねぇ……」

 

 なんだかまったりした雰囲気になりましたが、そもそも悲鳴なんですからもっとしっかり気を付けなきゃいけませんよね。

 

「ちょっと先輩、少したるんでませんか?」

 

「ん? 別にたるんではないけど……」

 

「あっ、可愛いお花だぁ」

 

「って、おい!?」

 

 気が付くと、目の前に綺麗なお花がありました。

 

 とってもきれいで、なんだかあったかくて、それで…… 地震? 

 

「って、うわぁ!?」

 

「馬鹿野郎!! 死にたいのか!?」

 

 気が付くと私は、先輩によって後ろに引っ張られていました。

 

 そして、私の目の前を白い何かを通過していった。

 

「えっ、はっ、えぇ……!?」

 

「まったく、たるんでいるのはどっちだか……」

 

 気が付けば、先輩はダ・カーポで目の前の白い怪物、『O-04-84』またの名を『肉の灯篭』を綺麗に捌いていた。

 

 ……いや、だからなんでそんなにきれいに切れるんですかその武器で。

 

「って、いやいや、今の何ですか!?」

 

「何ってアブノーマリティーだよ、近づいてきたやつを食い殺すんだ。言っとくけどALEPH装備でも普通に死ぬぞ」

 

「なんでこんなところにそんな危ない奴がいるんですか!?」

 

「……こいつ、簡単に脱走するんだよなぁ」

 

 そういって先輩は遠い目をしてため息をついた。えぇ、そんなの聞きたくなかったです。

 

「そ、そういえば、助けてくださってありがとうございます。ごめんなさい、私の不注意で……」

 

「気にするな、たぶんこいつの光に吸い寄せられたんだろう。その手の特殊能力を持つ奴は多いからな」

 

 そういって先輩は、いそいそときれいに捌いた肉の灯篭を回収していった。

 

「……まさかとは思いますけど、それってどうするつもりなんですか?」

 

「おう、たぶんそのまさかだと思うぜ」

 

 その言葉を聞いて、私はまた頭を抱えました。つまりはまた、そういうことなんだろう。

 

「さっ、次の食材を探しに行くぞ!」

 

「やっぱりまだやるつもりじゃないですかぁぁぁ!!」

 

 こうして私は、先輩と一緒にもう一度食料調達をすることになったのでした。

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ集まってきたかな」

 

「ねぇ先輩、本当にこれも使うんですか?」

 

 先輩が抱えている『T-02-71』、またの名を『夢見る流れ』の肉塊を見て思わずそう聞いてしまいました。

 

 だってそれ、上半身こそぎりぎりサメですが、下半身はその、もろにあれなわけで……

 

「大丈夫だって、ちゃんと上半分だけだから」

 

「いや、それでも嫌なものは嫌ですよ!!」

 

「えー、じゃあこの泡だけでも持っていくかぁ」

 

 さすがに本気で嫌がる私を見て肉だけは勘弁してくれましたが、それでも廊下に散らばる虹色の液体を回収し始めました。

 

 ……いやいや、だからってそれはないのでは?

 

「よし、それじゃあ食材も集まってきたし、そろそろ終わるか」

 

「全然よしじゃないですよ、なんでそんなやばそうなものを集めてるんですか!?」

 

「いやぁ、だってせっかく鎮圧したし。それになんかいい匂いがするし」

 

「においだけじゃないですか……」

 

 そういって笑顔で瓶を渡してくる先輩に、私はもう何も言う気力がありませんでした。

 

 もう最悪は避けられましたし、これ以上事態が悪くなる前にさっさと済ませてしまいましょう。じゃないと先輩のことだ、余計なアブノーマリティーを追加で食材にしかねないし。

 

「わかりましたよ、その代わりどんなゲテモノが出てきても怒らないでくださいよ!!」

 

「わかったって、そのくらい心配するなって。俺が今までお前の料理を残したことがあったか?」

 

 ……それくらいわかってますよーだ。

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ今日のお料理です!!」

 

 料理の完成した私は、先輩の待ついつもの部屋へとやってきました。

 

 部屋の中ではすでに先輩と無情座衛門さんが待機していました。

 

「あれ、今日は無情座衛門さんだけですか?」

 

「あぁ、今までの傾向的に問題なさそうだから、形式的にいるだけだ。特に気にすることはない」

 

「なるほどぉ」

 

 とりあえずほぼほぼ大丈夫と思われているようですね。まぁ、ちゃんと食べる前に自分で実験しているので大丈夫だとは思いますけどね。

 

「よし、それじゃあ飯にしようぜ」

 

「はい、そうですね」

 

 おなかが減ったのか待ちきれない様子の先輩にせかされて、二人分の食事をテーブルに置いて席に座ります。

 

 そしてさっとクローシュをとると、中からとても美味しそうな香りが漏れ出てきました。

 

「さぁ、『夢見る灯篭のムニエル』です!!」

 

 香しい匂いの中心には、真っ白い魚肉が淡く虹色に輝いています。

 

 その美味しそうな見た目に先輩は喉を鳴らすと、さっそく手を合わせたので私もそれに続きます。

 

「さぁ、それでは」

 

「「いただきます!!」」

 

 さっそく一口目をいただきます。

 

 口に入れるとバターの香ばしさと甘さ、そして魚肉の旨味が口の中に広がりました。

 

 そして胸の中にじんわりとした暖かさと、海辺の風のような爽やかさが駆け抜けました。

 

 アブノーマリティーを食べることによるこの不思議な感覚は、もしかしたら彼らを知る一助になるのかもしれませんね。

 

「やっぱり後輩の作る料理はうまいな」

 

「えへへ、今回は難しかった分、そういってもらえてうれしいです」

 

 先輩に褒められて思わず食が進み、いつもよりも早く終わってしまいました。

 

「あっ、もう終わっちゃいました」

 

「まぁおいしいとそうなるよな、それじゃあ俺も食べ終わったし、そろそろお開きにするか」

 

「そうですね、それじゃあ」

 

「「ごちそうさまでした」」

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす」

 

「おう、適当にくつろいでくれ」

 

 勤務時間が終わり、私は先輩の部屋にいます。なぜここにいるかというと、先輩が料理のお礼になんでもしてくれるというので、せっかくなら一度もお邪魔していない先輩の部屋に行かせてもらうことにしたのです。

 

 先輩の部屋は雑多なものが転がっていて、正直お世辞にも綺麗とは言えませんでした。

 

 部屋の中には脱ぎ散らかった服、遊びかけのボードゲーム、よくわからない置物、古びたスクロール、謎めいた複数の機械、そして知らない言語で書かれたノートが転がっていました。

 

「……あれ?」

 

 そこでふと目に入ったノートに書かれた文字に、どこか見覚えがあることに気が付きました。

 

 そしてその文字は、依然拾ったノートに書かれた文字に似ていることに気が付いたのです。

 

「先輩、もしかしてこれって先輩のですか?」

 

 そういって私は鞄の中にしまっていたノートを先輩に手渡しました。依然拾ったときに先輩のものであるかどうか気になっていたのですが、結局聞くタイミングがなくて忘れてしまっていました。

 

「えっ、こんなノート知らないけど…… なんて書いているんだ?」

 

「でも、このノートに書いている文字と似ていませんか?」

 

「えっ、どれどれ…… あっ」

 

 先輩は受け取ったノートと部屋に落ちていたノートを見比べて、そして何かに気づくと少し悲しそうな顔をしました。

 

「今回の代償はこれかぁ……」

 

 先輩がボソッとつぶやいた言葉をうまく聞き取ることはできませんでしたが、何やらショックを受けているということはわかりました。

 

 やめてくださいよ、先輩にそんな顔してほしくありません。

 

「……先輩、台所かしてください」

 

「えっ、別にいいけどどうしたんだ?」

 

「いえ、ちょっとお腹が減ったので何か作りますね。先輩もいりますか?」

 

「おう、せっかくだしいただこうかな」

 

 せっかくなので先輩の好きな料理を作ってあげましょう。おいしい料理を食べれば、きっと沈んだ気持ちも吹き飛びますよね。

 

 

 

 

 

「……ありがとな、後輩」

 




知らない言語で書かれたノート

ジョシュアがロボトミーコーポレーションについて忘れないように、覚えている知識を全て日本語で書いたノートである。(この作品では都市に日本語はないとする)

とはいっても、万が一アンジェラに解読されると危ないので、前半は全く関係のない短編小説をカモフラージュのため大量に書いている(A×アンジェラの生もの、嫌がらせも兼ねている)。

ちなみにアンジェラのお気に入りは、Aに思い切り甘えながら赤ちゃんプレイをしてもらう話。
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