【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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F-06-i61『悪夢は終わらない』

「ジョシュア先輩、本当に行くんですか?」

 

「大丈夫だって、心配するなよパンドラ」

 

 俺がもう一度『F-0 (1)-i61』の作業をすることになって、パンドラが随分と心配してくれている。

 

 前回の作業が曖昧なこともあって、心配なところはある。

 

 だがやらなければならない、ならばこいつを心配させないようにしないといけないな。

 

「……ジョシュア先輩」

 

「どうした?」

 

「ならせめて、作業の時は奴の機嫌に気を付けてください」

 

 パンドラのアドバイスを素直に聞く。

 

 ちゃんと聞いておかないと、後悔するような気がしたから。

 

「奴は機嫌が良くても悪くてもまずいです、絶対にいい感じの普通を狙ってください!」

 

「いや、なかなかに無茶を言うなぁ」

 

 それってつまりオーケストラみたいにいい感じで作業しろってことだよな?

 

 気軽に言っているがかなり難しいことを言っているじゃないか。

 

「それでもです! 頑張ってください!」

 

 こいつ、いい顔で無茶ぶりをするなぁ。

 

 ……まぁ、やれるだけやってみるか。

 

「わかったよ、それじゃあ行ってくる」

 

「はい、行ってらっしゃい!」

 

 パンドラに背を向けて、メインルームから出ていく。

 

 もちろん向かうは『F-0 (1)-i61』の収容室だ。

 

『……ジョシュア、いけそうか?』

 

「あぁ、一応対策を考えているんだ」

 

『対策?』

 

 輪廻が不思議そうに尋ねてくる。なんというか、新鮮な反応だ。

 

「あぁ、相手は精神干渉系っぽいからな。ちょうどいい力があるじゃないかって気づいてな」

 

『……あぁ、なるほど』

 

 輪廻と話をしているうちに『F-0 (1)-i61』の収容室の目の前にやってきた。

 

 いつものルーティンをする前に、手に“残滓”を出現させる。

 

 そのまま“残滓”の力を引き出し、俺自身を炎で包む。

 

 そうすることで、俺への精神干渉を焼き尽くすのだ。

 

「……ふざけるな!」

 

 そして、ようやく俺は認識した。

 

 この悍ましいアブノーマリティの力を。

 

 

 

 

 

「どういうことだ、『F-06-i61』!!」

 

「あらっ、いきなり来るなりどうしたのよ?」

 

 収容室に入れば、『F-06-i61』がキノコに腰かけてくつろいでいた。

 

 俺は奴に詰め寄ろうとして、冷静さを取り戻す。

 

 おそらく感情的に詰めたところで、こいつの思い通りになるだけだ。

 

「お前、ロバートやオフィサーたちに何をした!?」

 

 それでも、怒りが収まるわけではない。

 

 思わず声を荒げながら『F-06-i61』に問いかける。

 

 しかし奴は、俺を見ながら楽しそうに笑っていた。

 

「うふふっ、私は彼らとお友達になっただけよ? それの何がいけないの?」

 

「貴様……!?」

 

 そうだ、やはりアブノーマリティとはこういう存在だった。

 

 こいつらは平気で人々の命を、精神を、尊厳を破壊する。

 

 悪意もなく、そもそもそういう存在なのだ。

 

「あ~ぁ、残念。ついにばれちゃったかぁ」

 

「……パンドラは、すでに気が付いていただろう」

 

「はぁ? あんなケダモノ、インチキしてるんだからノーカンに決まっているでしょ?」

 

「まぁ、でもいっぱい楽しんだし、もうそろそろかくれんぼも終わりにしてあげる」

 

 そういうと、奴はキノコから飛び降りて、俺の目の前まで歩いてきた。

 

「さぁ、ここからは手加減なんてしないわ」

 

「いっぱいいっぱい楽しみましょう?」

 

「さて、楽しい時間はもう終わり」

 

「楽しいパーティーの時間が待ち遠しいわ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Emergency! Emergency! Emergency!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Risk Level ALEPH

 

 

 

 

 

 

 

 F-06-i61 『終わらぬ夢のアリス』

 

 

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