「……ジョシュア、あれ捨てていいの?」
「あぁ、気にするなよ」
ごみを捨てると、シロが少し心配そうな顔をしていた。
まったく、いったいどうしたのだろうか?
「それよりシロ、次の作業は大丈夫なのか?」
「……あっ、そろそろ行かなきゃ! ジョシュア、行ってくるね!」
「あぁ、行ってらっしゃい」
シロに手を振って別れる。
「さて、俺もそろそろ行くか」
今から作業を行うのは、今日収容されたもう一つのツール、『O-09-i76』だ。
正直ツール型だし後回しでもいいのだが、面倒ごとはさっさと終わらせてしまいたい。
「……はぁ、もうツール型とか使わなくてもいいんじゃないか?」
『何言ってるんだ、中には有用なものもあるだろう?』
「それでも命をベッドしたチキンレースをする理由にはならないんだよなぁ……」
輪廻と話をしながら廊下を歩く、できることなら本当にやりたくない。はぁ……
「おっ、もう着いたか」
気が付けば収容室の目の前まで来ていた。
俺はいつものように収容室の扉に手をかけると、適当に扉を開いた……
「……なんだ、これ?」
収容室の内部には、机といす、そして宙に浮く…… 針? だろうか。
「えーっと、どう使うんだこれ?」
パッと見、どうやって使ったらいいのかわからない。
とりあえず、この針を使えばいいのだろうか?
「いてっ」
針に触れようとしたら、針で手を刺されてしまった。
どうやら、使い方を間違えてしまったらしい。
「いや、どう使えば…… まさか」
そこで思いついてしまった。
もしかしたらこれ、今着ている防具を渡せばいいのか?
「えぇ、いやだなぁ」
つまり古い信念の約束の防具版ということだろうか?
その場合、防具が失われる可能性もあるのか。
それは嫌だなぁ……
「だけど、やらないといけないよなぁ」
まぁ、自分の命が直ちに失われるわけではないと考えよう。
とりあえず防具を脱いで針に近づけてみる。
すると、まるでそこに誰かいるかのように防具も宙に浮き、針で縫い始めた。
「なるほど、こういう感じか」
しかし、これどうやって終わらせるんだ?
一定時間過ぎたら返却される単発使用型なのか、それとも自分で切り上げていい継続使用型なのか、判断が付きにくいな。
「……もういいぞ」
10分ほど待っても終わらなかったため、試しに言葉で静止してみた。
すると、今まで忙しなく動いていた針の動きが止まり、こちらに防具が戻ってきた。
「……これ、着て大丈夫だよな?」
『さすがに大丈夫だろう』
「だよな?」
とりあえず受け取った防具を着てみる。
するとなんというか、ほんのりぬくもりのようなものを感じた。
「なんだろう、これ…… 誰かに守られているような気がする」
おそらくは、防具の性能が上昇したのだろう。
「デメリットはなさそうだが、防具がなくなる可能性を考えると使用については要相談だな」
とりあえず強化した装備を着たまま次の作業に向かう。
できれば、変なデメリットがありませんように……
厳しい戦場に向かうあなたへ
どうか、無事に帰ってきてください
貴方が生きていてくれるだけでうれしいのです
貴方の笑顔が見れるだけで心満たされるのです
だから、貴方の無事を、どうか願って……
一針一針、想いを込めて
O-09-i76 『無人の仕立て屋』