【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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Days-24-2 O-09-i76『一針一針、想いを込めて』

「……ジョシュア、あれ捨てていいの?」

 

「あぁ、気にするなよ」

 

 ごみを捨てると、シロが少し心配そうな顔をしていた。

 

 まったく、いったいどうしたのだろうか?

 

「それよりシロ、次の作業は大丈夫なのか?」

 

「……あっ、そろそろ行かなきゃ! ジョシュア、行ってくるね!」

 

「あぁ、行ってらっしゃい」

 

 シロに手を振って別れる。

 

「さて、俺もそろそろ行くか」

 

 今から作業を行うのは、今日収容されたもう一つのツール、『O-09-i76』だ。

 

 正直ツール型だし後回しでもいいのだが、面倒ごとはさっさと終わらせてしまいたい。

 

「……はぁ、もうツール型とか使わなくてもいいんじゃないか?」

 

『何言ってるんだ、中には有用なものもあるだろう?』

 

「それでも命をベッドしたチキンレースをする理由にはならないんだよなぁ……」

 

 輪廻と話をしながら廊下を歩く、できることなら本当にやりたくない。はぁ……

 

「おっ、もう着いたか」

 

 気が付けば収容室の目の前まで来ていた。

 

 俺はいつものように収容室の扉に手をかけると、適当に扉を開いた……

 

 

 

 

 

「……なんだ、これ?」

 

 収容室の内部には、机といす、そして宙に浮く…… 針? だろうか。

 

「えーっと、どう使うんだこれ?」

 

 パッと見、どうやって使ったらいいのかわからない。

 

 とりあえず、この針を使えばいいのだろうか?

 

「いてっ」

 

 針に触れようとしたら、針で手を刺されてしまった。

 

 どうやら、使い方を間違えてしまったらしい。

 

「いや、どう使えば…… まさか」

 

 そこで思いついてしまった。

 

 もしかしたらこれ、今着ている防具を渡せばいいのか?

 

「えぇ、いやだなぁ」

 

 つまり古い信念の約束の防具版ということだろうか?

 

 その場合、防具が失われる可能性もあるのか。

 

 それは嫌だなぁ……

 

「だけど、やらないといけないよなぁ」

 

 まぁ、自分の命が直ちに失われるわけではないと考えよう。

 

 とりあえず防具を脱いで針に近づけてみる。

 

 すると、まるでそこに誰かいるかのように防具も宙に浮き、針で縫い始めた。

 

「なるほど、こういう感じか」

 

 しかし、これどうやって終わらせるんだ?

 

 一定時間過ぎたら返却される単発使用型なのか、それとも自分で切り上げていい継続使用型なのか、判断が付きにくいな。

 

「……もういいぞ」

 

 10分ほど待っても終わらなかったため、試しに言葉で静止してみた。

 

 すると、今まで忙しなく動いていた針の動きが止まり、こちらに防具が戻ってきた。

 

「……これ、着て大丈夫だよな?」

 

『さすがに大丈夫だろう』

 

「だよな?」

 

 とりあえず受け取った防具を着てみる。

 

 するとなんというか、ほんのりぬくもりのようなものを感じた。

 

「なんだろう、これ…… 誰かに守られているような気がする」

 

 おそらくは、防具の性能が上昇したのだろう。

 

「デメリットはなさそうだが、防具がなくなる可能性を考えると使用については要相談だな」

 

 とりあえず強化した装備を着たまま次の作業に向かう。

 

 できれば、変なデメリットがありませんように……

 

 

 

 

 

 厳しい戦場に向かうあなたへ

 

 どうか、無事に帰ってきてください

 

 貴方が生きていてくれるだけでうれしいのです

 

 貴方の笑顔が見れるだけで心満たされるのです

 

 だから、貴方の無事を、どうか願って……

 

 

 

 

 

 一針一針、想いを込めて

 

 

 

 

 

O-09-i76 『無人の仕立て屋』

 

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