【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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EX-Story-15 『無防備』

「……珍獣、行くよ!」

 

「ちょっと!? それはひどくないですか!?」

 

 珍獣に指示を出しながら、『O-02-i64』*1に向かって“禍福”を構える。

 

 悍ましき白い肉銃に赤い光が集まり、エネルギーが溜まっていく。

 

 珍獣は“御伽噺”の光弾で牽制しながら、“御伽噺”の栞剣で切り付け『O-02-i64』の気を引いている。

 

 アレの作った時間でエネルギーが溜まり切った瞬間に、トリガーを引く。

 

「ギャアアアァアアァアア!!!!」

 

 いくつもの真っ白な光線が『O-02-i64』を貫く。

 

 光線を受けた『O-02-i64』は、悲鳴をあげながらよろける。

 

 そしてその隙を珍獣は見逃さず、『O-02-i64』の足元を切り裂いて機動力を奪っている。

 

「……くっ、もうエネルギー切れ」

 

「シロさん! 私が引きつけますので今のうちに避難指示を!」

 

「……わかった」

 

 戦闘中もジョシュアたちは全然その場から動かず、いつも通りに過ごしている。

 

「……みんな! ここは危ないから、早く避難を!」

 

「どうしたんだシロ? 別に危険なことなんてないじゃないか」

 

 不思議そうにするジョシュアの言葉の後に、周囲の職員たちも同調する。

 

 ……どうしよう、誰もボクの話を聞いてくれない。

 

「シロさん!」

 

 今は珍獣が『O-02-i64』を引き付けてくれているけど、みんな普段通りのせいで戦闘中でもお構いなしに近づいてしまう。

 

 このままだと…… そうだ!

 

「ジョシュア! 今すぐ『O-04-i31』*2の作業に行って! リッチは『T-06-i73』*3、ボブは『F-02-i32』*4へ作業を!」

 

「えっ? 別にいいけど……」

 

 少し腑に落ちないような顔をしているけど、何とかみんなぞろぞろと作業に向かってくれた。

 

 これで……

 

「戦える!!」

 

 チャージが完了した“禍福”から再び白い閃光がほとばしる。

 

 『O-02-i64』は直撃を避けようとワープをするけど、そうはさせない。

 

「アアアアアアアアッギャアアァァァ!!!!」

 

 珍獣が虚空に投げナイフを投げると、そこに『O-02-i64』が転移してきて突き刺さる。

 

 妙に痛がり暴れまわる『O-02-i64』に向けて、再び“禍福”で狙いを定める。

 

「……これで終わり」

 

 長いエネルギーの充電が終わり、今までで一番の輝きを“禍福”が放ち始める。

 

 そして、白い光の奔流が『O-02-i64』を包む。

 

「……珍獣」

 

「だから珍獣じゃないですって!?」

 

 『O-02-i64』の鎮圧が終わり、珍獣に話しかける。

 

 珍獣のくせに、文句言ってるけど……

 

「……珍獣、私たちで『T-04-i51』の作業するよ」

 

「それは、もちろんですよ」

 

 

 

 

 

「……これが、『T-04-i51』」

 

 『T-04-i51』の収容室に入ると、そこにはただのいぬのぬいぐるみが置いてあった。

 

 ボロボロで、所々ほつれていて、汚れてみすぼらしい。

 

 こんなものが、みんなを弄んでいたの?

 

「……わからない」

 

 ボクの体質か、それ以外に何かあるのかわからないけど、ボクには何もわからない。

 

 ……怖い、わからないことが、怖い。

 

 それでも、みんなを守るために、頑張らないと……

 

 

 

 

 

T-04-i51『恭順の供物』

 

*1
『愛の塊』

*2
『幸せの贈り物』

*3
『思い出隠し』

*4
『小さくて意地悪な狸』

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