「……珍獣、行くよ!」
「ちょっと!? それはひどくないですか!?」
珍獣に指示を出しながら、『O-02-i64』*1に向かって“禍福”を構える。
悍ましき白い肉銃に赤い光が集まり、エネルギーが溜まっていく。
珍獣は“御伽噺”の光弾で牽制しながら、“御伽噺”の栞剣で切り付け『O-02-i64』の気を引いている。
アレの作った時間でエネルギーが溜まり切った瞬間に、トリガーを引く。
「ギャアアアァアアァアア!!!!」
いくつもの真っ白な光線が『O-02-i64』を貫く。
光線を受けた『O-02-i64』は、悲鳴をあげながらよろける。
そしてその隙を珍獣は見逃さず、『O-02-i64』の足元を切り裂いて機動力を奪っている。
「……くっ、もうエネルギー切れ」
「シロさん! 私が引きつけますので今のうちに避難指示を!」
「……わかった」
戦闘中もジョシュアたちは全然その場から動かず、いつも通りに過ごしている。
「……みんな! ここは危ないから、早く避難を!」
「どうしたんだシロ? 別に危険なことなんてないじゃないか」
不思議そうにするジョシュアの言葉の後に、周囲の職員たちも同調する。
……どうしよう、誰もボクの話を聞いてくれない。
「シロさん!」
今は珍獣が『O-02-i64』を引き付けてくれているけど、みんな普段通りのせいで戦闘中でもお構いなしに近づいてしまう。
このままだと…… そうだ!
「ジョシュア! 今すぐ『O-04-i31』*2の作業に行って! リッチは『T-06-i73』*3、ボブは『F-02-i32』*4へ作業を!」
「えっ? 別にいいけど……」
少し腑に落ちないような顔をしているけど、何とかみんなぞろぞろと作業に向かってくれた。
これで……
「戦える!!」
チャージが完了した“禍福”から再び白い閃光がほとばしる。
『O-02-i64』は直撃を避けようとワープをするけど、そうはさせない。
「アアアアアアアアッギャアアァァァ!!!!」
珍獣が虚空に投げナイフを投げると、そこに『O-02-i64』が転移してきて突き刺さる。
妙に痛がり暴れまわる『O-02-i64』に向けて、再び“禍福”で狙いを定める。
「……これで終わり」
長いエネルギーの充電が終わり、今までで一番の輝きを“禍福”が放ち始める。
そして、白い光の奔流が『O-02-i64』を包む。
「……珍獣」
「だから珍獣じゃないですって!?」
『O-02-i64』の鎮圧が終わり、珍獣に話しかける。
珍獣のくせに、文句言ってるけど……
「……珍獣、私たちで『T-04-i51』の作業するよ」
「それは、もちろんですよ」
「……これが、『T-04-i51』」
『T-04-i51』の収容室に入ると、そこにはただのいぬのぬいぐるみが置いてあった。
ボロボロで、所々ほつれていて、汚れてみすぼらしい。
こんなものが、みんなを弄んでいたの?
「……わからない」
ボクの体質か、それ以外に何かあるのかわからないけど、ボクには何もわからない。
……怖い、わからないことが、怖い。
それでも、みんなを守るために、頑張らないと……
T-04-i51『恭順の供物』