【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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Days-49-1 T-02-i72『鳴かぬなら、どうしてくれよう』

「……もうひと踏ん張りだな」

 

 朝目が覚めて、気合を入れる。

 

 今日を乗り切れば、あとは最後の日のみ。

 

 頑張らなければ……

 

『ジョシュア、あと少しだな』

 

「……あぁ」

 

『ちゃんと俺の出番は用意してくれているんだよな?』

 

「もちろんだ」

 

 輪廻と話をしながら仕事の準備を終える。

 

 部屋を出ていつも通りに食堂へ。

 

 終わりも近いが、みんないつも通りだ。

 

 ……最も、それを知っているのは俺と管理人、ホクマー、そしてアンジェラくらいのものだ。

 

「……やぁ、ジョシュア」

 

 そして、食堂で待っていた人物はその中の一人、管理人であった。

 

「おはよう、管理人」

 

 とりあえずいつものように挨拶をする。

 

 こうして彼と話すのも、あと少しか。

 

「ジョシュア、最近調子はどうだ?」

 

「……なんか昨日は迷惑かけたみたいで」

 

「大丈夫、それよりお礼はシロとパンドラに言ってあげてくれ」

 

 その後の話はいつも通り、近況の報告や最近会った楽しいことなど、和やかに話し続けた。

 

 一緒に食事をしながら話をしていたが、気が付けばお互いにすべて平らげていた。

 

「……さて、実は君には伝えておかないといけないことがある」

 

「なんだ?」

 

「実は、これでこうして会うのは最後になると思う」

 

「……あぁ」

 

 なるほど、わざわざお別れを言いに来てくれたのか。

 

 それは、なんというか……

 

「意外と真面目なんだな、管理人」

 

「ははっ、そうでもないよ。でも、友人にはちゃんとお別れを伝えておきたかったんだ」

 

 友人、か。

 

 こうしてたまに会話をしていただけだが、それでもそう思ってくれていたのか。

 

 ……今思えば、俺が死んだときはちゃんと巻き戻してくれたし、そういうことも関係していたのかもな。

 

「そうか、ありがとう管理人。またな」

 

「……ふふっ」

 

「なんだよ」

 

 またなは違ったか? でもさようならっていうのもなんか冷たいしな……

 

「いや、やっぱり気づいてるよね。もうすぐこの施設も終わりって」

 

「……っ」

 

「あぁ、いや、別にだからなんだって話じゃないだよ。誰にも言わない」

 

「……そうか、ありがとう」

 

「やっぱり、君と友達になれてよかった。またね」

 

「……あぁ、また」

 

 管理人が手を振って食堂を去る。

 

 俺はそれに、手を振り返すしかできなかった。

 

 

 

 

 

「……よう、ジョシュア。今日も大変だったな」

 

 もう今日の勤務が終わりそうな時間帯に、リッチに出会った。

 

「あぁ、リッチか。まさかまた『F-06-i61』*1が脱走するとはな」

 

「鎮圧大変だっただろう」

 

 そう笑うリッチに苦笑してしまう。

 

 それはもう鎮圧は大変だった。

 

「まぁ、それでも『T-09-i81』のおかげでまだ楽に鎮圧できたよ」

 

 今日収容されたツールである『T-09-i81』を付けていたおかげでまだ気を楽にして鎮圧することができた。

 

 ……まぁ、気休め程度だったけど。

 

「そういえば、今日収容されたアブノーマリティって何だったんだ?」

 

「……さぁ?」

 

 今日収容されたアブノーマリティの『T-02-i72』の作業指示、結局来なかったな。

 

 

 

 

 

T-02-i72『天下の不如帰』

 

*1
『終わらぬ夢のアリス』

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