そうすれば私のありがたみを知るだろう
『安全部門にて試練が発生しました。エージェントの皆様は至急鎮圧に向かってください』
今日の試練も終わり、残りの作業を行っていたところで新たな試練のアナウンスが始まった。
もう今日は終わりだと思っていた連中が動揺しているが、俺とリッチ、シロはすぐにE.G.O.を構えて走り出した。
「おい、試練ってのは1日に一度じゃないのか?」
「まさか、それどころかこれからどんどん強くなっていくぞ」
「マジかよ、最悪だな」
悪態を吐きながらも、試練の発生した場所へ向かっていく。付近に近付くと、既に悲鳴が聞こえてきた。
「まずいな、急いで……」
「まて、なにか来るぞ!」
飛び出そうとするリッチを手で制し、E.G.O.を構えて扉を注視する。
悲鳴が途切れ、地響きがなる。
そして扉が勢いよく吹き飛ばされると、巨大な丸い岩が飛び出してきた。
「おいおい、どこのバラエティだよ」
「来るぞ、後退しろ!」
巨大な岩は転がりながらこちらに向かって進んでくる。俺は殿をつとめ、シロが後退しながら信仰で岩を攻撃する。リッチは先頭を走り、一足先に後ろから攻撃するように伝えている。
シロが扉を開ける時間を稼ぐために、巨大な岩を迎え撃つ。幸福で転がる岩に向かって突きを放つが、案の定はじかれてしまった。危なく轢かれそうになるが、シロが間に合ったので急いで扉の向こうに飛び込んで扉を閉める。
ものすごい重量のものがぶつかる音と共に、扉が大きくへこむ。そして何かが転がる音が遠ざかる、もしかしたら勢いをつけてもう一度攻撃をしようとしているのかもしれない。
「シロ、今のうちにエレベーターを使って反対側に回り込め。俺はこっちで気を引く」
俺の言葉にシロはうなずき、すぐに駆けだしていった。扉の向こうはどうなっているかわからないが、シロは遠距離武器であるから追うも追われるも攻撃できる。それにどっち向きに転がってきても良いようにしておかなければいけない。
そんな事を考えていると、もう一度大きな音がして、扉がはじけ飛んだ。そして扉の奥からゆっくりと大きな岩が転がってきた。
「ちっ、どうやって転がっているんだろうなお前は」
動きが鈍い間に近づいて攻撃を仕掛ける。先ほどと違って、今度は表面に浅く傷をつけることが出来た。しかし岩は自分を傷つけられたことに腹を立てたのか、ゆっくりとこちらに転がってきた。
「くそっ、大人しく潰されてくれよ」
追撃して止まってくれないかと期待したが、全然そんな事は無かった。さすがにこんなデカブツに潰されたくなんて無かったので、大人しく引き下がる。すると、巨大岩は一瞬で加速し、俺を轢き殺さんとして襲いかかる。
「なんだよその加速!? 卑怯じゃないか!!」
「ジョシュア、大丈夫か!?」
「こっちはなんとか大丈夫だ! 頼むから早くこいつをどうにかしてくれ!」
「任せろ!」
後ろから激しい攻撃音と射撃音が聞こえてくる。必死に逃げながら後ろを確認すると、なんとなく表面がボロボロになってきている気がする。
「くそっ、まだ倒れないのか!?」
「大分ボロボロになってきている! もうすぐ飛ばせるはずだ!」
「よし、その言葉信じるからな!」
目の前に次の扉が迫ってくる。リッチの言葉通りそろそろ倒せると信じて反転する。そして思いっきり踏み込んで巨大な岩に幸福を突き刺す。決して手を離さないように強く握りしめながら幸福を突き立てると、巨大な岩と拮抗して火花が散る。あまりの勢いに体が押し出され、徐々に後ろに押されていく。
「ぐっ、ううっ……」
腕がしびれてはじかれそうになる。しかしそこで踏ん張って耐えることで、徐々に相手の勢いも落ちてきた。
「いい加減に、つぶれろ!」
最後の力を振り絞り、思い切り幸福を突き刺す。そして巨大な岩がきしみを上げると、ばらばらとはじけ飛んで壊れてしまった。
「……終わったのか?」
「あぁ、お疲れ様だ」
緊張が解けて腰を抜かしそうになるが、リッチとシロに起こされる。こうして俺は、初めて白昼の試練を乗り越えることが出来たのだった。
踏み台にするだけで 感謝は無い