誰も知らないアブノーマリティー【二周目開始】   作:邨ゅo繧峨〓螟「縺ョ繧「繝ェ繧ケ

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 夢を見て あらゆる事に挑戦する

 彼らは望む あの大空を


Days-20-2 青空の白昼『探求者』

「ジョシュアさん、このツールってやつすごいですね! どんな攻撃でもたまに弾いてくれるってもんだ!」

 

「『O-09-i94』*1のことか? だからってあんまり頼るなよ」

 

「わかってますって、大丈夫ですよ」

 

 新人のデリアが、手に持つ手紙を弄びながら話してきた。何というかこいつは、ツールやE.G.O.に頼り切っている印象がある。このままではいずれ足下をすくわれてしまう、そう思って何度も忠告はしているが、なかなか伝わっている気はしない。

 

「それよりも、最近どうなんですか?」

 

「何がだよ」

 

「いやぁ、シロ先輩と随分仲がいいみたいなんで」

 

「あらぁ、恋バナ? 私も入れなさいよ」

 

「あっ、ルビーの姉御」

 

「なんだルビーか、そんな話じゃ無いよ」

 

 デリアが変なことを言うから、恋バナ大好きのルビーが変に絡んできた。このままだと話が変な方向に向かってしまう、早く軌道修正しなければ。

 

「そういえば、この前食堂に追加された……」

 

「あらやだ、随分露骨ね、そんなんじゃ逆に聞いてくださいって言ってるようなものよ?」

 

「そうですよ、ほらほら白状しちゃってくださいよ」

 

 あぁ、なんて面倒なことになってしまったんだ。こうなるとなんか面白い話を聞かない限りひきそうに無い。なんでこんなことに……

 

「ええっと、それはだなぁ……」

 

『教育部門にて試練が発生しました、エージェントの皆様は至急鎮圧に向かってください』

 

 そこで救いの神が舞い降りた。この好機を逃さぬべく俺はたたみかけることにする。

 

「ほら、そんな話してる暇無いぞ! すぐに準備して出撃するぞ!」

 

 すぐにE.G.O.を準備して出発する。ルビーは慣れたものですぐに種子を構えて行動したが、デリアはもたもたと生け簀を装備しようとしていた。

 

「急げ、被害が大きくなるぞ!」

 

「わかってますって、焦らさないでください」

 

 ようやくデリアの準備が終わって出動する。今回は教育部門のメインルームに出現したらしいので、急いで向かう。

 

「さぁて、やっちゃうわよ」

 

「お前たち、気を引き締めていけよ!」

 

 メインルームにつながる扉を蹴飛ばして勢いよく入る。するとメインルームは、血まみれになっていた。この部屋にいたオフィサーたちは全滅したのだろう、その下手人となる存在は、俺たちに気がついたのか一斉に顔をこちらに向けた。

 

 それらは氷の体を持っていた。冷たい体は人の形をしており、その腕は鳥のような羽になっていた。顔の部分にはゴーグルのようなものが着いており、必死にその腕を振って空を飛ぼうとしていた。

 

 彼らは無表情の視線を向けながら、こちらに歩んでくる。その腕は鋭利な刃物になっており、血糊がべっとりと付着している。数は全部で五体、それらが一斉に襲いかかってきた。

 

「気をつけろよ、数が多い」

 

「大丈夫ですよ、俺はそう簡単に死にませんってば!」

 

「私後衛だから、ちゃんと守ってよナイト様!」

 

「何言ってるんだ、あんたにそんなもの必要ないだろう」

 

 デリアが前に突出しているのをフォローすべく、幸福で鳥人間たちに攻撃を加える。俺たちの後ろからルビーが種子で援護射撃をしてくれる、爆風が鳥人間たちを吹き飛ばして体の表面から小さな芽が出てくる。

 

「おいデリア、あんまり前に出るなよ!」

 

「大丈夫ですって! 後ろのおっさんがいますし、そう簡単に危ない事にはなりませんって」

 

 鳥人間の腕を砕きながら、デリアの後を追う。この鳥人間はやはり見た目通り脆く、攻撃する度に腕の刃物がなまくらになっていく。

 

「こいつら、数が多いだけで案外脆いですね!」

 

「だが、一撃でも食らえば危なそうだ。気をつけろよ」

 

「大丈夫よ、私が援護してあげるから」

 

 俺の攻撃とルビーの射撃で鳥人間たちはどんどんボロボロになっていく。そしてそこをデリアが生け簀で砕いていく。

 

「おら、おらぁ!」

 

「これで、終わりだ!」

 

 最後の一体を破壊して、ようやく全滅させることが出来た。俺たちは鳥人間たちの残骸を確認し、残った敵がいないか偵察する。

 

「さて、これで大丈夫だろうか」

 

「そうですね、それにしても……」

 

 デリアがこの部屋の惨状を見て眉をひそめる。そうだな、このままじゃいけないよな。

 

「デリア、清掃係を呼んできてくれ」

 

「清掃係って……」

 

「そういう名前なんだ、仕方が無いだろう」

 

 正直こんな名称の奴らの力を借りたくは無いが、彼らをこのままにもしてはおけない。それに、路地裏の掃除屋達よりはまだましだ。

 

『『F-01-i05』*2が脱走しました、エージェントの皆様は至急鎮圧してください』

 

「ちっ、誰がやらかしたんだ」

 

「おい、苺の黎明が一体放置されていたせいで脱走祭りだ。ジョシュア、手伝え」

 

 再び戦闘に向かおうとしていると、リッチがメインルームに入ってきた。俺たちはリッチに連れられて『F-01-i05』のところに向かう。

 

 俺たちの長い一日は、まだ始まったばかりであった……

 

*1
『父からの手紙』

*2
『彷徨い逝く桃』




 出来ぬ事を目指す 愚か者ども

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