そこで、これからの更新について活動報告にて報告させていただきます。
また、第一話に『はじめに』を追加しました。とは言ってもたいしたことは書いてはいませんが……
とにかく、何度も日刊ランキングに乗ることが出来、ここまで書くことが出来るようになったのも、皆様のおかげです。
このまま50日まで頑張って書いていこうと思います!
これからも『誰も知らないアブノーマリティー』をよろしくお願いします。
それでは、地獄の中層編、始まります。
Days-21-1 F-04-i27『素敵な時間よ、永遠に』
ついにここまで来てしまった。
今までいた部門は上層に当たるところであったが、ここからはついに中層に突入することになる。
さらに今日から配属となる中央本部では、一日に二体のアブノーマリティーが収容されることとなる。
今日収容されるアブノーマリティーは、『F-04-i27』と『O-04-i16』だ。今日は『F-04-i27』から作業をすることになっている。
「ジョシュアさん、よろしくお願いします。こうして一緒の部門でお仕事するのは初めてですね」
廊下を歩いていると、デボーナに声をかけられた。随分と職員も増えていったこともあり、彼女とはあまり関わりは無かったが、今日から同じ部門に配属されることになる。これからは関わる機会も増えていくことだろう。
「そうだな、これからは一緒に頑張っていこう。これからよろしくな」
そう言って握手を求めると、デボーナも手を握り返してくれた。
デボーナと別れて『F-04-i27』の収容室に向かう。今日はもう一体もいるため、ゆったりしている時間は無い。
『F-04-i27』の収容室にたどり着き、扉に手をかける。そして今日も生き残れるようにお祈りをしてから、収容室の扉を開けた。
『F-04-i27』の収容室は、煌びやかな舞踏会の会場のようで、どこか安っぽい雰囲気を感じさせる不思議な空間となっていた。
灰色のマネキンたちが楽器で演奏し、そのリズムに合わせて他のマネキンたちが踊り続ける。
収容室の奥には舞台の上に行くための階段と、その中央に大きな時計が壁に掛かっていた。その時計は壊れているのか、長針と短針が互いに逆方向に回っている。
俺を無視して永遠と踊り続けるマネキンたちを見ていると、まるで自分が童話の中に迷い込んでしまったかのように錯覚してしまう。
「……いや、このままだと相手のペースに乗せられたままだな」
このままではいけないと思い、作業を開始する。とりあえずホールの掃除を試みる、初手洞察作業は封印していたが、今回ばかりは仕方がない気がする。
掃除をしていると、意外にもマネキンたちは俺のことを避けて踊っていた。彼らには俺を認識する機能がちゃんとあるらしい。
結局、作業は滞りなく終わり、俺は収容室から退出していった。『F-04-i27』がどのようなアブノーマリティーであるかは、わからないままであった。
「それで、最近何か良いことがあったのか?」
「そうですねぇ……」
最近、デボーナの精神汚染値が急速に下がっていた。精神汚染値が下がることは良いことだが、さすがに急速すぎる。この数値は、おそらくアブノーマリティーによるものであると考えられる。
「特に思い当たることは無いですが、強いて言えば最近趣味を始めたくらいですね」
「趣味? どんなものだ?」
「はい、最近ダンスを始めたんですよ」
「ダンスって、あのダンスか?」
「私、お姫様になりたかったんですよ」
「おい、いきなりどうした?」
「でも、お姫様になるにはダンスが出来ないといけませんよね。私、ダンスが苦手だったんです」
「でも、練習をするようになって、どんどんうまくなっていったんです。それにこんなに素敵なものまでいただいて、本当にお姫様になったみたい……」
デボーナはそう言いながら、頭に乗せたガラスのティアラをいとおしそうになでる。それは、『F-04-i27』から与えられたギフトであった。
どんどん目が虚ろになり、口が早くなるデボーナ。さすがに様子がおかしいので止めようとする。
「おい、デボーナ……」
「私、本当にお姫様になりたいんですよ。だから、邪魔しないでくださいね?」
それだけ言うと、デボーナは何も言わずに立ち上がった。もう何も話す事は無いという姿勢のデボーナの背中に、せめて一言伝える。
「デボーナ、『F-04-i27』の収容室にはもう近づくな」
「……ふふっ、ジョシュアさんもひどいことを言いますね」
俺はデボーナを止めることは出来なかった。きっと、彼女はもう手遅れになっていたのだろう。今ここで止めたところで、いつかは絶対に『F-04-i27』の収容室に引き寄せられるだろう。
結局、後日『F-04-i27』の収容室に向かうこととなる。
その収容室では相変わらずマネキンたちが永遠と踊り続けている。
一つ、今までと違う点を上げるとすれば、そのマネキンに、新しいものが一つ増えたことくらいだろう。
そのマネキンは、ガラスのティアラを着けていた。
女の子なら、誰でもお姫様に憧れるものだと思うの
美しい髪に煌びやかなドレス、そして絢爛豪華な生活
幼い頃の寝物語にはぴったりで、いつもその素敵な物語を胸に眠っていた
この場所では、私はお姫様になることが出来た
紳士的に振る舞うマネキンたちは、本当に生きているようだった
美しいドレスを身にまとい、マネキンたちと踊り続ける
私にかけられた魔法はいつかは解けてしまう
魔法が解ければ、私はまたいつ死ぬかわからない日々に戻ってしまう
そんな恐ろしい化け物達の餌食になるくらいなら、いっそ……
この素敵な時間よ、永遠に
F-04-i27 『零時迷子』