【完結】誰も知らないアブノーマリティー   作:名無しの権兵衛

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朝目が覚めてランキングを確認すると、なんとこの小説が十位にランクインしてました!
更に評価が真っ赤になっていて驚きました!
ここまでこれるなんて感無量です!
これからも皆さんのご期待に答えられるように頑張っていきます!










風を身に纏い 空は我らの支配下となった

このどこまでも続いていく世界を ただ進んでいく


Days-25-2 青空の夕暮『身を焼く蝋羽』

 今日もやっかいな作業を何度もこなして、ようやく作業も一段落してきた。最近はやっかいなやつしか収容されないから本当に困る。未知のアブノーマリティーへの作業だけでも負担が大きいのに、ある程度情報が判明した相手であっても油断なんて出来ない。そんな感じで心も体もボロボロなので、とりあえず体を休めるため休憩室で休んでいると、誰かが休憩室の中に入ってきた。

 

「あらぁ、ジョシュア先輩じゃ無いですかぁ」

 

「ジョシュア先輩、お疲れ様です」

 

「よう、二人ともお疲れ」

 

 休憩室に入ってきたのはサラとメッケンナだった。二人は俺に気付くと、手を振って挨拶をしてくれた。俺は笑顔で挨拶を返すと、二人は俺の前方の空いている席に着いた。

 

「サラ、お前またギフトが増えたんじゃ無いか?」

 

「えぇ、今度はぁ、『T-05-i22』*1のギフトですよぉ。この前ジョシュア先輩のアドバイスでぇ、随分とぉ成長した上にぃ、ギフトまでいただけたんですよぉ」

 

「そうか、だけど自分を見失うなよ? 結局は他人が自分の中に入ってくるようなものなんだからな」

 

「わかってますよぉ、でも私を簡単に乗っ取れると思ったらぁ、大間違いですよぉ」

 

 そう自信満々に発言すると、彼女はいとおしそうに胸の十字架、信仰をなでた。本当にあいつは性癖レベルだなぁ。

 

「まぁ、サラは随分とギフトにご執心ですからね」

 

「そういうお前も、ギフトをもらっているじゃ無いか」

 

「いやいや、サラと一緒にしないでください」

 

 そういうメッケンナにも、『T-01-i21』*2のギフトがついている。彼も最近随分と成長しており、これからの活躍に期待できる。というか、すでに戦力として数えられている。サラはもう少し頑張ろうという感じであったが、『T-05-i22』の作業を何度もこなしたおかげか、以前よりも随分と頼もしくなった。

 

「そういうジョシュアさんが一番ギフトが多いですけどね」

 

「やめてくれ、アブノーマリティーにモテたって仕方が無いからな」

 

「そうはいってもぉ、私もうらやましいですぅ」

 

「お前に羨ましがられても嬉しくは無いな」

 

「ひどくないですかぁ?」

 

 そう言いながら、サラは机に突っ伏した。こいつは性癖さえまともなら可愛いんだけどな。そんな事を考えていると、メッケンナも同じ事を考えていたのか目が合い、うなずき合った。

 

『中央第2にて試練が発生しました。エージェントの皆様は至急鎮圧に向かってください』

 

「はぁ、休憩くらいゆっくりさせて欲しいな」

 

「そんなこと言ったら、僕たちなんてろくに休憩してないですよ」

 

「そうですよぉ、私たちだってもっと休みたかったんですからねぇ」

 

 口々に文句を言いながらも、E.G.O.の準備をしていく。夕暮の試練だ、気をつけて戦わなければならない。

 

「ほら、さっさと行くぞ」

 

「了解しました」

 

「それじゃあ、行きますかぁ」

 

 急いで夕暮の現れた場所へ向かう。夕暮の現れた場所に近づくと、どんどん悲鳴が聞こえてくる。

 

「これは急いだほうが良さそうだな」

 

 その俺の嫌な予感は不幸にも的中してしまう。俺たちは夕暮の待つ廊下に続く扉を開くと、無残な光景が広がっていた。

 

 

 

「おいおい、これはまずいぞ!」

 

「速く逃げましょう!」

 

 俺たちの目の前には、氷で出来たプロペラ機がゆっくりと飛んできていた。機体の先頭と両翼に一つずつの計3つのプロペラが高速で回転している。しかし、そのプロペラは不相応に大きい。その羽は廊下の床を傷つけながら、前へ前へと進んでいく。

 

「あっ、あっ、いやぁぁぁぁ!」

 

 そして今、逃げ遅れたオフィサーの女性が髪を巻き込まれ、そのまま吸い込まれるように高速で回転するプロペラの中へと飛び込んでいった。

 

 肉は一瞬で細切れとなり、さっきまで人間だったとは思えないようなミンチへと早変わりだ。前方からゆっくりと進んでくる青空の夕暮は、こちらを逃がさないと言わんばかりにプロペラの刃で通路を阻みながら襲いかかる。

 

「くそっ、メッケンナ、逃げるぞ! サラは遠距離から攻撃して危なくなったら逃げろ、決して無理をするな!」

 

「わ、わかったわぁ!」

 

 サラはそう言いながら信仰でねらいを定めて攻撃をする。しかしあまりダメージが通っているような気配は無い、直接攻撃していった方が良さそうだ。

 

「作戦変更だ、サラも一緒に逃げるぞ! 一緒に逃げて待機だ!」

 

「了解よぉ!」

 

 本当なら裏から回り込みたいが、懲戒部門の開いていない今では建物の構造上裏に回り込むことが出来ない。仕方が無く、奴が進んでくる先で待ち構えることにした。

 

「メッケンナ、攻撃範囲ぎりぎりから少しずつダメージを与えていくぞ」

 

「はい!」

 

 緊張しながら青空の夕暮を待っているが、動きが遅いからかなかなかこちらにやってこない。不思議に思っていると、管理人から連絡が来た。

 

『まずい、青空の夕暮がワープした! それにワープする直前に青空の白昼が降りてきて行動を開始した、急いで鎮圧してくれ』

 

「まじかよ、くそっ! 了解した、すぐに片付ける!」

 

 管理人からの情報は最悪のものだった。つまり奴は琥珀の夕暮と同じ効果を持っている、あのとき逃げたのは正解だったようだ。

 

 俺たちが移動しようとすると、ぞろぞろとさっきまでいた廊下から青空の白昼が入り込んできた。両手の鋭い羽根の刃をかちかち鳴らし、こちらに目を向けてくる。正直こいつらより青空の夕暮を倒した方が手っ取り早いが、この施設には俺たち以外にもエージェントはいる。このまま被害が増える前にこっちを片付けて、向こうは向こうで任せよう。

 

「さっさと片付けるぞ!」

 

「「はい!!」」

 

 勢いよくこちらに襲いかかってきた一番先頭の白昼の胸を墓標で突き刺し、壁に叩きつける。腐ってもALEPHクラスのE.G.O.だ。白昼くらいは造作も無い。そのまま続けて後ろの白昼に攻撃を加える。サラが後ろから信仰で援護をし、メッケンナが鬼退治で白昼たちを切り捨てていく。メッケンナも大分戦闘経験を積んできたおかげか、随分と強くなった。そして青空の白昼を殲滅させると、再び管理人から通信が入る。

 

『再び青空の夕暮が移動した、今度は中央第1の廊下だ。入り口から奥へと向かっているため、そちらから背後をとれる。先ほどまで頑張ってくれていたリッチとシロ、ジェイコブたちは青空の白昼の対処をしている。急いで鎮圧に向かってくれ!』

 

「了解した! サラ、メッケンナ、急ぐぞ!」

 

「わかったわぁ」

 

「任せてください!」

 

 急いで二人を連れて目的の場所へと向かう。指定された場所はここから遠くない、急げば間に合うはずだ。

 

 

 

「いたぞ、サラ、援護してくれ! メッケンナ、たたみかけるぞ!」

 

 中央第1の廊下につくと、青空の夕暮が俺たちに背を向けて移動している最中であった。どうやら向こう側にオフィサーたちが何人か取り残されているようで、悲痛の叫びが聞こえてくる。彼らのためにも急いでこいつらを倒さなければ。

 

「食らえっ!」

 

 移動もゆっくりであり、後ろから攻撃すれば前方のプロペラにも当たらない。そうなればこの青空の夕暮はただの動く的だ。前方からなら脅威だが、後ろからならこれほど戦いやすい相手もいない。

 

 それに、よく見れば車体が随分と傷ついている。これもさっきまで戦っていたリッチたちのおかげだろう。このまま傷をえぐるように攻撃していき、傷を広げていく。

 

「くそっ、堅いな!」

 

「まずいです、このままだとまた端に到達します!」

 

 遂に時間もなくなってきた。このままだと向こう側のオフィサーたちがみんなやられてしまう。それまでに決着をつけなければ。

 

 幸いこいつも限界が近そうだ。絶対に間に合わせる!

 

「よし!」

 

「やった!」

 

 そして、ようやく青空の夕暮の翼が折れ、奴は地面に突っ伏した。前方を確認すると、オフィサーたちが涙を流しながら喜びあっていた。

 

「なんとか間に合ったな」

 

「よかったですね」

 

「もうダメかと思ったわぁ」

 

 ギリギリオフィサーたちを守ることができた、その安堵感から座り込んでしまう。

 

 俺たちはそんなお互いを見て、笑い合うのだった。

 

*1
『慈愛の形』

*2
『インディーネ』




太陽に近付けば近付く程 羽は溶けだし 地に落ちた
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